【収穫祭】トーナメント東予選〜決勝戦

■ショートシナリオ


担当:マレーア

対応レベル:4〜8lv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月12日〜11月17日

リプレイ公開日:2004年11月19日

●オープニング

 山賊の襲撃にからくも逃れた村。山賊の襲撃を阻止するために集まった軍勢。傷の手当てこそ終わったものの、相手が山賊、しかも早暁の戦いで手柄の順位も決めようがない。収穫祭をお預けされた村人も、そして足止めを食わされた商人たちも不満が残っている。都市と違い娯楽が少ない。
「ならばトーナメントでも開催するか」
 優勝者には名誉が与えられる。
「馬上での戦い。たたき落とされた者はその場で負け。ただしたたき落とした側がたたき落とされた側の挑戦に応じれば、馬を下りての戦い継続あり」
「これ以上死人を出すのは不吉ですから、判定員による判定勝ちもあることにしましょう。もちろん、殺してしまった場合は正当行為として刑罰の対象とはしないが、試合は失格としましょう」
「正々堂々と戦えないものは、その場で失格ということで。馬を狙った攻撃、あるいは馬を攻撃して落馬させた場合は失格でしょうな」
「馬上でのランスでの戦い。地上での戦いは飛び道具でなければOK」
「ナイト、ファイターが基本ですが、ルールに従うならば他の職業でも参加は可能」
 次々とルールが決められていった。
「馬は持参が基本ですが、レンタルも許可しましょう。有料で」
 トーナメント参加者募集の依頼書が冒険者に伝わったのは、開催の2日前。村は幾度か冒険者に救われているので、冒険者にも声をかけなければという意見が出たためだった。

●今回の参加者

 ea0827 シャルグ・ザーン(52歳・♂・ナイト・ジャイアント・イギリス王国)
 ea1625 イルニアス・エルトファーム(27歳・♂・ナイト・エルフ・ノルマン王国)
 ea2350 シクル・ザーン(23歳・♂・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)
 ea2449 オルステッド・ブライオン(23歳・♂・ファイター・エルフ・フランク王国)
 ea2685 世良 北斗(32歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea4004 薊 鬼十郎(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●予選
「それで出るのか?」
「第1回戦第2試合オルステッド・ブライオン(ea2449)」
 オルステッドの名前が呼ばれる。オルステッドはランスにAnaretaと結社の旗を両方槍先に掲げて驢馬に跨がった。
 それとはもちろん、オルステッドが跨がった驢馬のことである。馬ならともかく驢馬に跨がってトーナメントに出るとは。
「あ〜、え〜、わ、私は結社グランドクロスパリ本部採用契約傭兵社員にして、異端殲滅集団Anaretaが従僕『蝙蝠』、別に今回は異端殲滅でも化物撲滅でもなんでもないが、いくぞ!」
 声が裏返っていた。
「何、あれ」
「あいつ驢馬に跨がっているぜ」
「馬、借りていないのかよ」
「恥ずかしい奴だ」
 オルステッドに向かって野次が飛ぶ。当然と言えば当然のこと。北予選会場に現れた『ひょっとこ』仮面の方がまだ威圧感があったらしい。
「こんな奴が初戦の相手か!」
 対戦相手の世良北斗(ea2685)は、審判席や観客に対して嘆いてみせた。試合が開かれると聞いて、前の依頼が終るとすぐに船に飛び乗り、急ぎパリへと帰って来たのである。
 しかも予選会場を見渡すとシクル・ザーン(ea2350)やシャザ卿といった顔見知りの強敵がいる。その他にも第1試合は数回に分たるランスチャージが行われる激戦で、このトーナメントのレベルの高さを感じていたのであった。
 そして次は自分の番だと。この高レベルのトーナメントに参加できる喜びを感じていたのに。
「なんで私の相手は、驢馬に跨がった変なのが相手なんだ」
「第1回戦第2試合世良北斗」
 北斗は、気を取り直して愛馬月陽炎を促して会場に出る。
「我は技は夢幻。故に何人たりとも捉えること適わじ。
 わが一撃は無想。故に一切の迷いなし。一刀を以って邪を払わん。
 夢想流、世良。いざ、参る!」
 北斗はランスを肩に担ぎ体で相手から隠していた。驢馬と月陽炎が急速に接近していく、月陽炎の方が遙に速い。月陽炎の方はオルステッドの予想以上に動きが良い。北斗のランスがオルステッドの無防備な脳天を捕らえた。
 全力疾走する馬上からまともに命中できたのは、腕ではなく多分に運に恵まれただけだった。オルステッドの脳天を叩いたランスがそのままベキッと折れた。
「むぁぁあ」
 オルステッドは意味不明な言葉を残して、驢馬の鞍から大の字になって落馬しそのまま気絶した。ランスが折れるほど叩かれて、平気ならばそいつは凄い。
「勝者世良北斗!」
「第1回戦第3試合シクル・ザーン」
「イギリスの騎士を父に持ち、『大いなる父』タロンに剣を捧げし神聖騎士シクル・ザーン、ここに参上いたします。この世の悪を断つため全てを捨てた『ゼロダイバー』が、ゼロから何を掴んだか。とくとご覧に入れましょう」
 シクルは名乗りを上げてノーマルホースを前に進める。
「第1回戦第3試合ウーゼル流の騎士シャザ」
「ゆえあって真の名は明かせぬが、ウーゼル流の騎士シャザと憶えられよ」
 シクルの相手は同じジャイアント。ウーゼル流の騎士シャザは、マスカレードとフェイスガードで顔を隠した異様な風体。これに匹敵するのは、北予選に出場したというひょっとこ仮面くらいのもの。
「あいつ、やる気ないみたいだぞ」
 シクルも途中で馬を止める。同じジャイアントだから親近感が沸いたが、こちらは動きだしたのに動かないのは、こちらを敵と見なしていない。
「おい、シャザ卿とかいったな。やる気あるのか。それとも私のような若造では相手にならないとでも言うのか」
 シャザはそれに対して何も言わず、ただ胸を叩いただけだった。ここを突いてこいという意思表示らしい。
「ふざけやがって!」
 狙いは相手の左胸から左肩にかけて。そのまま駆け抜けざまに左肩に命中させてランスが折れるまで手を離さなかった。ランスが勢いで撓んで、折れた。
 シャザはカウンターをするつもりであったが、カウンターをする前にシクルの姿は後方に駆け抜けていった。馬上で高速ですれ違うのにカウンターは使用できない。
 シールドを持っていなかったシャザはその一撃で左腕が使えなくなった。命には別状ないものの、これは酷い。少したってからシャザは左に滑るようにして落ちた。
「強くなったな。これなら故郷の父上もお主の事を認めるであろうよ」
 とシャザ(実は父シャルグ・ザーン(ea0827))からシクルへのほめ言葉は、予選が終わるまでは言えなかった。
「第4試合。イルニアス・エルトファーム(ea1625)」
「『蒼銀の貴公子』イルニアス・エルトファーム、参上」
『スクルーズィ』に跨がって会場に走り出す。
 勝ち負けには拘らない。つもりだったが、気分が高揚していて負けるとは思っていない。『蒼銀の貴公子』の二つ名に会場が沸く。
「第4試合。薊鬼十郎(ea4004)」
 試合前には愛馬『黒緋』の身体を綺麗に洗ってあげた。
「今日はお前と一緒に戦えるね‥‥怖いだろうけど頑張るのよ」
 紫の縅毛のジャパンの武者鎧に武者兜、面頬西洋風に盾とマントも装備。その華麗な姿に会場から歓声があがる。
「やあ! やあ! 遠からん者は音にも聞け! 近くば寄って眼にも見よ! 我こそはジャパンにありて断頭斎と謳われし剣客、薊鬼十郎の名を継ぐ者。六代目にして唯一の相伝者なり! 強敵を求めこの地に推参! 我と思わん者、この六代目薊鬼十郎にその力を見せてみよ! いざ尋常に勝負! 勝負ー!」
 観客全員に聞える位の声で名乗りを上げる。その大声をかき消すように大きな歓声があがる。
『蒼銀の貴公子』イルニアスも完全に観客を取られたようなことになった。
 鬼十郎はランスを脇に抱えて突進してくる。ジャパンの槍はそう使うのだろう。そこにリーチの差が出た。鬼十郎はボディ狙い。
 イルニアスのランスが先に鬼十郎の顎を捕らえる。
「うわ」
 鬼十郎は悲鳴をあげて落馬してそのまま気絶しかけた。
『黒緋』が心配そうに覗き込んでいた。
「御見事でした」
 イルニアスに賞讃の言葉を送ってから、気絶した。会場はイルニアスへの賞讃はもちろん、鬼十郎にも賞讃を送っていた者が多かった。
「第2回戦第1試合シクル・ザーン対世良北斗」
 両者とも相手の力量を知るもの同士。慎重に構える。アーマーは互いに少ない。北斗のアーマーはない。その分軽く動きが取れるはず。機動性でどうにかするしかない。1回戦は相手がランスの距離を見間違えたので叩けたが今回は‥‥。前回同様にランスを棍のように振ったが、届く前にシクルのランスが届いた。そのまま吹っ飛ばされる。落馬のダメージが大きい。どうにかもがきながら立ち上がって日本刀を構える。
「刀術こそが、わが流派の真髄」
 しかし、ランスの攻撃で右肩の感覚がほとんどない。シクルは下馬して挑戦を受ける。ダメージの大きいのか北斗の攻撃には本来の精彩さが感じられない。シクルの盾で完全に阻まれてしまっている。無理な攻撃は北斗の疲労を強いた。結局北斗が攻撃で疲れるまで地上戦の主導権を握ったが、右腕が動かなくなるに至って試合は決した。
「勝者シクル・ザーン」
 勝ちを宣言された。しかし、攻撃の主導権を握られたことはまだまだ修行が足りない。多大なダメージを負いながらも、積極的に攻めた北斗も高い評価を受けたが、多分ダメージのために本戦には出られないだろう。残る東予選の本戦出場枠の1名は、イルニアスが取った。相手は前回の戦いで負傷して棄権したためだった。
「運も実力のうち」
 負傷しないように勝ち進めるのが必要となる。
 本戦の出場枠は、8名。西予選が激戦で本戦出場の上位2名枠のうち1名が負傷により棄権していた。そのため3名を評価によって本戦に加えることになった。そのうち2名は西予選で激戦の中で敗退した者たちから、そしてもう一人は。
「本当に私でいいの?」
 薊鬼十郎は評価で選ばれたことを知って驚いた。1回戦で破れたのに。
「あなたをおいては、観客が納得しません」

●本戦第1回戦
「神聖騎士シクル・ザーン対烈断剣デューク・ラーン」
 激戦の西予選で評価によって選出されたファイターがシクルの最初の相手。
「強敵そうだ」
 シクルは感じた。決勝戦にはランスだけでなく、シールドも貸し出される。シールドなしで予選に出場した者たちのうち、勝っても次の試合に出られないほど怪我を負った者が多かったためである。
 特に西予選は激戦だったため、シールドの有無が運命を左右した。決勝戦が負傷者同士では様にならない。というわけで、シールドを所持していない者には軽めのシールドが半ば強制的に装備させられる。
 すれ違いざまにランスがシクルを襲った。シールドを通じて強烈な衝撃が左腕の骨を砕くほど伝わってくる。思わず顔を顰める。シクルのランスは、当たる直前に相手のシールドによって脇に跳ねられてしまった。
「手綱を操りながら、シールドをあそこまで操れるのか」
 西予選が激戦だったことを裏付けるような手際。
「もっと強くなりたい。それにはこんなところ負けられない」
 今度はランスで誘ってシールドの動きを見極めた。シールドに弾かれなかったが、命中もしなかった。
「東予選は楽戦だったようだ。そっちに出れば良かった」
 シクルの後を考えない突進は、中央の柵を蹴散らして馬ごと相手にぶちあたっていく。そのまま弾き飛ばした。
「シクル・ザーン失格」
「第2試合『蒼銀の貴公子』イルニアス・エルトファーム対ブレイド・カスター」
「え‥‥もしかして、あの時のブレイドさんですか?」
「そういえば、ローズの依頼を受けた冒険者か」
「軽く胸貸してください」
「『蒼銀の貴公子』なんて二つ名を持つ冒険者に手加減はできない。全力でやらせてもらいう」
「(この名前いい加減やめにしたくなった。しかし、あっちだって愛用のブレイドじゃないし、やれるかも)」
 互いに得物は同じランス、長さも同じ。
「スクルーズィ、頼むよ」
 滑るような動き、向こうの馬は‥‥、いや騎乗の技術か。縦揺れはほとんどなく、それでいて凝視すると逆に幻惑されるように動いて見える。気づいた時には、ブレイドのランスがイルニアスの借り物のシールドを突き破っていた。
「突き破る前にランスが折れるだろう、普通!」
 最後にそう叫んで意識を失った。
「第3試合カタリナ・ブルームハルト対薊鬼十郎」
 馬上にて薊鬼十郎が礼するとカタリナ・ブルームハルトもそれに応える。礼儀正しい挨拶の次は作法に則った戦いが始まる。
 サムライアーマーに身を固めて、ミドルシールドを持つ薊鬼十郎に対して、カタリナがレザーアーマーにライトールド。騎乗技術はカタリナの方が上。
 突進すること10回に及ぶ戦い。ランスを折った数はカタリナの方が多かった。それはランスをより多く薊鬼十郎に当てていることを意味する。
 互いのシールドの表面にランスの痕が残る。薊鬼十郎は愛馬黒緋から落ちないように,半ば強引に衝撃を受け止める。カタリナはシュツルムを微妙に扱って、勢いを後方にかなり流してしまっていた。
 黒緋もシュツルムも互いの主のために、全力疾走しているが、どちらも限界に来ている。たぶん、黒緋の方がもう走れないだろう。サムライアーマーとレザーアーマーの重量差が勝敗を決した。黒緋の限界を感じた薊鬼十郎が試合を断念する。
「勝者ユニコーンに認められし乙女カタリナ・ブルームハルト!!」
 両者に会場から拍手が送られる。
「第4試合響清十郎対‥‥え、居なくなった?」
 響清十郎と対戦する予定だった人物は、姿が見えなかった。

●準決勝
「第1試合響清十郎対ブレイド・カスター」
「目標は右肩。バランスを崩させて‥‥いや、喉を狙う。あのアーマーなら喉元はガードが薄いはず」
 ブレイド・カスターの着用しているアーマーを観察して目標を定めた。並の相手でない以上、致命的になろうと死にはしない。ブレイド・カスターの防御は喉元が開いている。
 それは半ば誘いの手だった。喉元を狙った一撃はシールドの縁に押されて逸らされてしまった。相手のランスも響清十郎は辛うじてだが、かわした。はずだった。
 しかし、気づいた時にはメタルバンドがなかった。
「キミ、やるね」
 パラだから攻撃範囲は狭いはずだが、それを気づかれないように攻撃してくる。会場はどっと沸く。響清十郎は積極的に狙ったが、ブレイドは薄皮一枚でかわし、反対に清十郎が落馬させられてしまった。
「第2試合カタリナ・ブルームハルト対烈断剣デューク・ラーン」
「デュークさん、さっきの試合。あんな手を使って恥ずかしくないのですか?」
 カタリナはシクルを無理やり挑発させて失格にしたデュークに怒りを感じていた。
「決勝まで力を温存させたかっただけだ。ご希望なら本気で相手をしてやるよ」
「負けません。あなたにだけは」
 カタリナはランスを握る手に力を込める。
「もっと柔らかく握れ。それじゃ相手の変化に対応できないぞ」
 カタリナに助言が飛ぶ。
「え?」
 考えるまもなく突進する。そして言われたように、カタリナは柔らかく握っていた。
 デュークはさきほどブレイドがやったような動きをした。カタリナは柔らかな握りでその微妙な動きに対応し、シュツルムと一体になってランスを繰り出す。
「そう簡単に勝てるとは思うなよ」
 そのランスは斜めに逸らされた。シールドに角度をつけて、ランスの先を滑らせたのだろう。デュークのランスはカタリナを微かに掠っていた。シュツルムが僅かに体を横に走らせて難を逃れた。
「次こそ。シュツルム、頑張って」
 シュツルムは、カタリナの願に応えた。デュークの予測を越える伸びで一気に接近し、カタリナのランスがデュークの顔面を捕らえる。ランスが、面当てに食い込んで折れる。

●決勝戦
「カタリナ、相手は歴戦の冒険者だ。小細工なしにぶつかってみて」
 ニルナ・ヒュッケバインが助言してくれた。
「そういえば、さっきの助言はニルナ?」
「次の対戦者」
 柔らかく握って命中した時に強く握る。互いのシールドにランスの突いた痕が残る。
「次を最後に」
 相手の馬であっても心配する。カタリナのランスがブレイドの右肩を突いた。ブレイドはどうにか持ちこたえたが、馬は限界のようだった。そのまま棄権した。
「あと1回向こうが走れたら負けていた。うっし、シュツルムお疲れ!! 皆さんもお疲れさまでした!!」
 カタリナ・ブルームハルトが優勝し、三領主トーナメント優勝者の栄誉を得た。敢闘賞には響清十郎が選ばれた。