おこちゃまダンジョン〜一人でできるもん

■ショートシナリオ


担当:マレーア

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや難

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月05日〜03月10日

リプレイ公開日:2005年03月13日

●オープニング

「私は冒険者になるの!」
 それがマドレーヌちゃんの小さい頃からの夢でした。
 でも、家庭の事情がそれを許してくれないのです。
 今年、12歳になったばかりのマドレーヌちゃんは、フランボワーズ家の一人娘です。ふさふさした金色の髪、ぱっちりした青いお目目にふっくらしたほっぺが、とってもチャーミング。綺麗なドレスで着飾ったその姿は、甘い香りを放つ最高級のお菓子みたいに魅力的です。
 マドレーヌちゃんのパパとママは貴族です。名門貴族とまではいかないけれど、地元ではそこそこに名前を知られています。ご領地は都市に近い田舎のほうにあって、マドレーヌちゃんとその家族が住むお屋敷は、お花畑に囲まれて立っています。どうしてお花畑があるのかというと、ミツバチを使って花の蜜を集めるためです。マドレーヌちゃんの一家はご領地で養蜂業を営んでいて、ハチミツの売り上げで大きな収入を得ていました。なんてったって、フランボワーズ印のハチミツは天下一品。とても人気があるのです。あちこちから注文が殺到するので、作っても作ってもすぐに売り切れてしまいます。
 そんな裕福なお家に生まれ、何一つ不自由することなく育ったマドレーヌちゃんですが、冒険者になりたいという想いは日増しに強まるばかり。
 ある日、マドレーヌちゃんは決心しました。
「私、パリの街に行くわ! 街の冒険者ギルドで冒険者の登録をして、森や山やダンジョンを冒険して、モンスターをやっつけて、ご褒美をたくさ〜んもらうの!」
 そしてマドレーヌちゃんはこっそり屋敷を抜け出し、パリの街を目指して歩き始めました。ところが困ったことに、マドレーヌちゃんはものすごい方向音痴だったのです。屋敷を出て百歩も歩かないうちに、道が分からなくなりました。
「困ったわ。どっちに進めばパリに行けるのかしら?」
 すると、大変なことが起きました。突然、人相の悪い男たちがぞろぞろ現れ、マドレーヌちゃんを取り囲んだのです。
「え!? え!? これはもしかして、冒険の始まりなのかしら!?」
 マドレーヌちゃんがどぎまぎしてつぶやくと、男たちの中から怪しい女の人が現れました。見るからに怪しい黒ずくめのドレスをまとい、黒いマスカレードで顔を隠しています。
「ほほほほほほほ! マドレーヌ、観念おし! もうお前の逃げ場はどこにもないわよ!」
 怪しい女が高笑いして脅します。でも、お利口さんなマドレーヌちゃんは、すぐに怪しい女の正体を見抜いてしまいました。
「あ! プラマンジェリーヌのおばさんだ!」
 言った途端、怪しい女はいきり立って叫びます。
「お、おばさん‥‥キィィィィーッ!! よくもこの私をおばさん呼ばわりしてくれたよね!! 絶対に許さないわよ!!」
 叫んだ後で、怪しい女は気付きます。自分の実名がバレていることに。
「あ〜!! ちょっとタンマ!! プラマンジェリーヌなんて名前は知らないわよ! 私は、私は、え〜と私は‥‥そうよ! 私は泣く子も黙る誘拐魔、大悪女ドロンジーナよっ!! おほほほほほほほほほ! 覚えておきなさい、このクソ生意気な小娘がっ!!」
 ニセモノの名前を名乗って無理矢理に高笑い。だけど、黒いマスカレードの下で素顔がムチャクチャ引きつってます。でもとりあえず、この怪しい女の名前はドロンジーナということにしておきましょう。
「さあお前たち、この小娘をかっさらっておしまい!!」
 ドロンジーナが手下の男たちに命じます。
「へっへっへっへ! もう逃げられねぇぞ!」
 恐い顔の男たちがにじり寄り、マドレーヌちゃんを追いつめます。マドレーヌちゃんの後ろは石の壁。もう逃げ場はありません。マドレーヌちゃん、大ピンチです! ‥‥と思ったら、石の壁の上から呼ぶ声がしました。
「マドレーヌ様ぁ!! 今、お助けしますぞ!!」
 石の壁の上に身を乗り出して叫んだのは、フランボワーズ家に仕える執事の爺やでした。何のことはありません。道に迷ったマドレーヌちゃんがいた場所は、お屋敷のすぐ横だったのです。爺やは手を伸ばし、マドレーヌちゃんを引っ張り上げて助けました。
 ドロンジーナは歯ぎしりして悔しがりました。
「おのれぇ〜! あと一歩というところでぇ! ギシギシギシギシ!!」

 お屋敷に帰ってきたマドレーヌちゃんは、ママからた〜っぷりお説教されました。
「もう勝手に家を飛び出したらいけません! 冒険者になるなんてもってのほかです!」
「でも私、どうしても冒険者になりたいの!」
 マドレーヌちゃんは言い張りますが、ママは許してくれません。
「だってあなたはものすごい方向音痴で、しかも悪い親戚に狙われているのよ!」
 悪い親戚というのは、もちろんプラマンジェリーヌのことです。プラマンジェリーヌの狙いはフランボワーズ家の財産。そのためには手段を選ばず、これまで何度もマドレーヌちゃんの誘拐を企んできました。誘拐が成功したら途方もない金額の身代金を要求し、その支払いでフランボワーズ家を傾かせて、全財産を乗っ取るつもりでいるのです。だけど、マドレーヌちゃんのパパもママもお役人に訴えることができません。だって、こんな悪い親戚がいることが公になったら、フランボワーズ家の恥です。一族の評判はガタガタになってしまいます。
「そうだ。この際だから、マドレーヌの夢を叶えてやろう」
 マドレーヌちゃんのパパが言いました。
「本物の冒険者たちと一緒に、迷宮庭園で思いっきり冒険させてあげようじゃないか」

 迷宮庭園というのは、フランボワーズ家のご領地にあるちょっと変わった庭園です。これは本物のダンジョンを真似て作られた、貴族たちの遊び場でした。ダンジョンの石の壁の代わりに、人の背丈ほどもある沢山の木が縦横に植え込まれ、中に入ると木の壁で作られた細い道がくねくねと続いているのです。マドレーヌちゃんのパパは、この迷宮庭園に本物の冒険者を集めて、可愛いマドレーヌちゃんにとっても楽しい冒険をさせてあげようと思い立ったのです。
 さっそく、執事の爺やが冒険者ギルドに出向き、事務員のお兄さんに依頼の内容を説明しました。
「この迷宮庭園の中に、宝物に見立てたさまざまな賞品を隠しておきますのじゃ。そしてモンスターに見立てた動物たちを放ち、おもちゃの刀や弓矢を使って血を流さずに退治しますのじゃ。ギルドの冒険者たちには、マドレーヌ様に同行するパーティーの役と、パーティーに勝負を挑む着ぐるみモンスターの役をやってもらいますのじゃ」
 そこまで言うと、爺やは事務員のお兄さんの耳元に口を近づけ、余所には聞こえないように囁きました。
「ここだけの話なのじゃが‥‥大悪女ドロンジーナもこの迷宮庭園の冒険に、手先を率いて乗り込んで来るのは間違いありませぬ。くれぐれも用心されますよう、お願いいたしますのじゃ」

●今回の参加者

 ea0130 オリバー・マクラーン(44歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea2733 ティア・スペリオル(28歳・♀・レンジャー・パラ・ノルマン王国)
 ea3184 ウー・グリソム(42歳・♂・レンジャー・人間・ロシア王国)
 ea3952 エルウィン・カスケード(29歳・♀・ジプシー・パラ・イスパニア王国)
 eb0694 ハニー・ゼリオン(43歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)
 eb0732 ルルー・ティン(21歳・♀・バード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●リプレイ本文

●やってきた冒険者
 マドレーヌちゃんのお屋敷に冒険者たちがやって来ました。
「うにゃ!」
 真っ先に挨拶したのは、ティア・スペリオル(ea2733)です。レンジャーをやっている17歳のパラの女の子。いつも明るく元気で、冒険の事以外細かい事は気にしないタイプに見えますが、実はまったくその通りなのです。
「ボクはティアだよ。よろしくね!」
「私、マドレーヌよ。よろしくね!」
 これが初対面のティアとマドレーヌは、お互いの顔を見てにっこり笑い、それぞれの手をぎゅっと握って握手しました。
「フン、ガキのお相手か‥‥」
 誰です? そんなことを言っているのは?
「そんなこと言っちゃダメですよ。これでも立派な依頼なんですからね」
 うっかり口を滑らせて、仲間にたしなめられている男は、ウー・グリソム(ea3184)。人間のレンジャーです。ウーをたしなめたのは、エルウィン・カスケード(ea3952)。ジプシーをやっているパラの女の子です。歳は18歳だから、ティアとは1歳違い。それでも二人は、マドレーヌちゃんにとっては立派なお姉さんです。
 エルウィンはマドレーヌちゃんのパパとママにきちんとご挨拶しました。
「この度迷宮庭園をお供させていただくエルウィン・カスケードです。気軽にエルって呼んでくださいね」
 可愛いエルウィンの姿に、パパとママも思わず顔をほころばせます。
「娘のマドレーヌをよろしくお願いします」
「マドレーヌの良いお友達になって下さいね」
 続いて、マドレーヌちゃんに挨拶です。
「あたしがエルウィン・カスケードよ。あたしのことは、エルって呼んでね」
 マドレーヌちゃんは、エルウィンの服を興味深げに見つめています。
「エルの服って、とってもひらひらしているのね」
「ジプシーの衣装、そんなに珍しいかな?」
 言って、エルウィンは優雅に踊ってみせます。エルウィンは踊りの名人。しなやかに、かろやかに体を動かすと、ひらひらした衣装が美しくはためきます。それを見て、マドレーヌちゃんはうっとり。
「私もそういう服を着て、踊ってみたいな」
「頑張れば、出来るようになるよ。頑張ろうね!」
 エルウィンは、そう答えてあげました。
 続いてやって来たのが、ルルー・ティン(eb0732)です。ルルーはロシアからやって来たハーフエルフの女の子で、職業はバードをやっています。マドレーヌちゃんやティアやエルウィンに負けないくらい、可愛らしい女の子です。
 ルルーを最初にお出迎えしたのは、執事の爺やです。でも、爺やはルルーの耳を見るなり、何だか心配そうな顔つきになりました。
「ちょっと待ちなされ。貴方のその耳は‥‥」
 爺やの心配も無理はありません。爺やはハーフエルフのことで、悪い話を色々聞いているからです。ここノルマンでは、ハーフエルフの評判は良くありません。ハーフエルフが暴れ出したら、とんでもないことになると、大勢の人たちは思っているようです。
「月の聖霊よ‥‥」
 ルルーは魔法の呪文を囁きました。チャームの呪文です。すると爺やはチャームの魔法にかかり、ルルーのことが好きになってしまいました。
「おお、少しばかり変わった耳をしておるが、綺麗なお嬢さんじゃな」
 爺やはルルーをマドレーヌちゃんのパパとママの所へ連れて行きました。ルルーはきちんとご挨拶します。
「おほん。わたくしはロシアの貴族令嬢ですの。戦闘のある冒険は経験していませんけれど、物語に出てくるような冒険をしてみたいと思っていますの。この依頼を受けたのは、そういう理由からですの」
 マドレーヌちゃんのパパとママも、ルルーの堂々とした物腰にすっかり感心してしまいました。
「おお、そうでしたか。ぜひとも、マドレーヌと一緒に冒険をお楽しみください」
「ロシアの貴族令嬢ともなると、物腰もとても優雅ですわね。これならマドレーヌを安心して任せられますわ」
 そして、ルルーはマドレーヌちゃんと対面します。
「マドレーヌさん、わたくしもあなたの気持ちが分かりますわ」
「ルルーお姉さま。私の気持ち、分かりますの?」
「ええ、分かりますとも。だってわたくしも、大切に育てられた箱入り娘ですもの」
 大切に育てられて、それがかえって不自由なものに感じているルルーには、本当の冒険をしたいのにさせてもらえないマドレーヌちゃんの気持ちが、よく分かるのでした。
「だから今度の冒険は、みんなで思いっきり楽しみましょうね」
「はい。ルルーお姉さま」
 マドレーヌちゃんは幸せでした。だって、とても素敵な何人ものお姉さまたちと、こうして出会えたのですから。

●迷宮庭園のモンスター
 迷宮庭園では冒険の準備が始まっています。召使いたちが伸びすぎた枝を刈り込んだり、植え込みの陰に宝箱を隠したり。エルウィンはその様子を、マドレーヌちゃんのお屋敷の高い所から眺めていました。
「はあ。貴族っていう人種は遊び場として庭に、迷宮庭園なんて物を作っちゃったりするんだから、ほんとうに凄いわよねー」
 そして、ふと思います。
「確かに、こんなお庭とか持ってたりもすれば、財産狙いの方の一人や二人いても、おかしくはないですよね。マドレーヌ様を楽しませつつしっかりとお守りしなくちゃね」
 エルウィンは決意とともにおもちゃの剣を握りしめ、勢いよく振りました。冒険に使うおもちゃの剣は、棍棒に柔らかい布を幾重にも巻き付けたものです。これで思いっきり叩いても、怪我をすることはまずありません。

 さあ、明日はいよいよ迷宮庭園で冒険をする日です。でも、マドレーヌちゃんは明日まで待ち切れません。準備中の迷宮庭園へ、ついつい足を向けてしまいました。
「一人で勝手に行ったらダメだよ」
 ティアがマドレーヌちゃんに注意します。
「ドロンジーナとその手先が狙っているんだからね。常に仲間と一緒に行動するんだよ」
「うん。分かったわ」
 すると、どうしたことでしょう。植え込みの陰から怪しい陰が近づいてきました。
「ヨーホー! ヨーホー!」
「お前は何者だ!?」
 ティアはマドレーヌちゃんを守るように、さっとマドレーヌちゃんの前に立ちはだかりました。目の前に不気味な怪人が立っています。怪人は、ぐるりと辺りを見回して言いました。
「これがハチミツで有名なフランボワーズ家ね。われら蜂蜜騎士団の作るハチミツにはかなわないだろうけどね。おっと、申し遅れた。私は冒険者ギルドから派遣された冒険者のナイト、ハニー・ゼリオン(eb0694)だ」
 怪人は名乗りを上げました。それにしても、なんという不気味な姿でしょう。蜂の巣みたいな六角形の模様が並んだ鎧に、蜂の触覚みたいな飾りのついたヘルメット。その姿は、まるで人間とごちゃ混ぜになった大きな蜂を見ているみたいです。
「えへへ。ライバルを研究しておくのもよいかもしれない知れないと思って参加したんだよ。だからついでに庭園の花やミツバチ巣箱のつくりなどをじっくり観察したい。ヨーホー! ヨーホー!」
 怪人は奇妙な声で鳴きながら、迷宮庭園の植え込みの向こう側へ姿を消しました。それにしても、ヨーホー! ヨーホー! という奇妙な鳴き声は何なのでしょう?
 おや? またも怪しい影が現れました。頭から大きなシーツをすっぽりと被った、お化けみたいなヤツです。
「出たなモンスター!」
 ティアがおもちゃの剣を向けると、その怪しいヤツは被っていたシーツを持ち上げて顔を見せました。
「私だ」
 怪しいお化けの正体は、ウーでした。ウーはみんなの護衛も兼ねているので、お化けのふりをしている時でもロングボウを手放しません。
 やがて、おやつの時間がやって来ました。みんなでテーブルを囲み、蜂蜜をたっぷり塗った焼きたてのパンを一緒に食べます。蜂蜜パンと一緒に出される飲み物は、幾種類ものハーブにお湯を通して作った、香りのいいハーブ・ティーです。
「私の家は代々の軍人でね」
 おやつを食べながら、ウーが言います。
「でも、それが嫌で冒険者になったのさ‥‥みんなに迷惑をかけつつな‥‥」
 故郷を捨てて冒険者になったウーの話を、みんなはしんみりとした様子で聞いていました。話が一段落すると、ウーは隣に座っているハニーの姿をまじまじと見つめて、言いました。
「しかしハニー‥‥その鎧、よく出来ているなぁ」
「ヨーホー! ヨーホー!」
 おやつが済むと、マドレーヌちゃんはお勉強の時間です。貴族の家に生まれたマドレーヌちゃんには、お勉強することがたくさんあるのです。
 マドレーヌちゃんがいなくなると、冒険者たちはオリバー・マクラーン(ea0130)の周りに集まりました。オリバーもギルドから派遣された冒険者で、職業はナイトです。ここに集まった冒険者たちの中では、ウーと同じく頼りになる大人です。
「ドロンジーナたちが現れた時の為に、備えをしておこう」
 オリバーは言います。
「この屋敷には大勢の使用人が働いており、人の出入りも多い。その中にドロンジーナとその一味が混じっている恐れもある。問題はそれを見分ける方法だが、これはあまり難しくない。フランボワーズ家は『身内の恥で取り潰し』を避けたいがために相手を訴えれないだけ。逆に言えば、相手も自分の正体を隠すために怪しい格好をしていなければならないということだ」
 その言葉に、皆がうなずきます。
「つまり、怪しいヤツを見つけ出せばいいんだね!」
 ティアが言いました。
「もしかしたらドロンジーナ達は、真夜中にこっそりと迷宮庭園に忍び込んでくるかもしれない。だったら、罠を仕掛けておこうよ」
 ティアのその言葉にみんなは賛成し、さっそく罠の準備が始まりました。

●罠がいっぱい
 時が経つに連れて太陽は西のお空に傾き、やがて夜がやって来ました。それでもティアとウーの二人は、時間の経つのも忘れて罠を仕掛けるお仕事に励んでいました。迷宮庭園への侵入口になりそうな場所を探しては、罠を張っていくのです。
「あくまで念の為だが、これで悪人共を防げるのなら御の字だ。本当はドロンジーナのアジトを強襲とかしたいのだが、それをやると寝不足になって翌日に響くからなぁ」
 罠を張るティアの手伝いをしながら、ウーが言いました。
「執事の爺やから聞いた話だと、あそこが大悪女ドロンジーナの住処らしいよ」
 そう言って、ティアは遠くに見える館を指さしました。館はマドレーヌちゃんのお屋敷を見張るような位置に建てられ、月明かりの下にその姿をさらけ出しています。たくさんの尖った屋根が付いた館なので、見るからに刺々しくて怪しい感じがします。
「よーし! できた!」
 ティアが元気に叫びました。罠が完成したのです。足下にロープを張って、侵入者の足をすくうのです。ついでにベタベタのトリモチを周りに置いて転んだ拍子にくっつくようにしてあります。他にも、ロープにひっかかると上から小麦粉の袋が降ってきて粉だらけになったりとか、あちこちに色んな罠を仕掛けてあります。みんな子どもの悪戯っぽい罠で、敵のやる気や冷静さを奪う作戦なのです。
「さぁて、次に罠を仕掛ける場所は‥‥」
 別の場所に罠を仕掛けようと、ティアとウーは迷宮庭園の中を移動します。足下に生い茂る草を踏んづけた時‥‥。
 バキン! 鋭い刃がウーの足に食い込みました。
「う〜!」
 思わず、ウーはう〜! と叫んでしまいました。誰かが大きなトラバサミを草むらに仕掛け、ウーはそれを踏んづけてしまったのです。トラバサミは動物を捕らえるための罠です。がっちりした金属の歯で足を挟み、動けなくしてしまうのです。トラバサミにはさまれたウーの足がずきずき痛みます。だけどウーは大人の男だから、歯を食いしばって痛みに耐えました。そして、力を込めてトラバサミの歯を広げ、足を罠から抜いて怒鳴ります。
「誰だ!? こんなあくどい罠を仕掛けたヤツは!?」
 その時、すぐ近くの植え込みの向こうで悲鳴が上がりました。
「あーっ!!」
 悲鳴の上がったのは、ティアがさっき罠を仕掛けた場所です。何だかおばさんの悲鳴っぽいです。
 行ってみると、そこに全身黒ずくめの怪しい女がいました。でも、黒いマスカレードを被っているので、素顔は分かりません。
「あ! その格好、おまえは大悪女ドロンジーナだね!」
 怪しい女を指さして、ティアが叫びます。ドロンジーナはロープの罠に引っかかったのです。転んだ拍子に、トリモチがべったりくっついた板きれが顔にくっいてしまい、それを引き剥がそうとじたばたしています。
「ドロンジーナ、こんな所で何やってるのさ!?」
 言って、ティアは気が付きました。
「あっ! さては、迷宮庭園に罠を仕掛けるために侵入したんだね! あのトラバサミは、おまえの仕業だね!」
 ティアが怒鳴ります。
「そうよ、トラバサミを仕掛けたのはこの私。それにしても、このクソ生意気な冒険者ども! よくも、こんな陰険な罠を仕掛けてくれたわね!」
 ドロンジーナが怒鳴り返します。それを聞いて、ウーもトラバサミを振りかざしながら怒鳴ります。
「人のことが言える立場か!? 今の言葉、そっくりおまえに返してくれる! よくも、こんな悪質な罠を仕掛けてくれたな!」
「ふん! 人のことが言える立場かしら!? 覚えてらっしゃい、必ず仕返してあげるわよ!」
 言って、ドロンジーナはトリモチの板を顔にくっつけたまま逃げだしました。ところが、再び別のロープの罠に足をひっかけてしまいました。罠に仕掛けた小麦粉の袋が、ドロンジーナの頭の上に降ってきました。ぼんっ!
「ぶはっ! ぶはっ! またやってくれたわね!」
 ドロンジーナの顔は小麦粉で真っ白です。
「あははー、間抜けー!」
 ティアが笑います。ドロンジーナはティアとウーには構わず、一目散に逃げ出しました。その姿は迷路のような植え込みの向こうに消え、声だけが夜の闇に響き渡りました。
「キィィィィィーッ!! 覚えてらっしゃい〜っ!!」

●迷宮庭園の冒険
 さあ、待ちに待ったマドレーヌちゃんの冒険の日がやって来ました。ロバに犬にカモなど、モンスターに見立てた動物たちが迷宮庭園に放たれます。小麦がぱらぱらと蒔かれて、空を飛ぶ雀が呼び寄せられます。
「冒険の前に、ちょっと確かめておかなくちゃ」
 エルウィンはサンワードの呪文を唱えて、お日様にたずねてみました。
「大悪女のドロンジーナはどこにいるの?」
 お日様は答えました。
『ドロンジーナの姿はどこにも見えないよ』
「それなら安心して冒険できるわね。ありがとう、お日様」
 マドレーヌちゃんは、ティアとエルウィンとルルーの3人といっしょになって、4人のパーティーを組みます。ティアがマドレーヌちゃんに言いました。
「先頭にはマドレーヌが立つんだよ」
 なんてたって、冒険の主役はマドレーヌちゃんなんですから。
 そしてマドレーヌちゃんのパーティーは、迷宮庭園の冒険に乗り出しました。
 迷路の壁を作っている植え込みの木は丈が高く、みんなの姿がすっぽり隠れてしまうほど。その迷路を歩いていると、何かがぬうっと現れました。
「うにゃ! モンスターだよ!」
 ティアが叫びます。
「ぶひぃ〜!!」
 現れたのはロバです。馬よりも小さいくせに、ものすごく大きな声で鳴きます。
「えい!」
 マドレーヌちゃんはおもちゃの剣を構え、ロバに打ちかかりました。でも、ロバが痛がるとかわいそうなので、おもいっきり手加減しています。おもちゃの剣には赤い粉がついていて、モンスターにヒットの目印が付くようになっています。仲間のみんなもロバに打ちかかります。
「えい!」
「えい!」
「えい!」
 たくさんの女の子が打ちかかってきたものだから、ロバは思いっきり大声で鳴きました。
「ぶひぃぃぃぃ〜!! ひぃ〜ひぃ〜ひぃ〜!!」
 その鳴き声があんまりうるさいものだから、ルルーは手で両耳を押さえて顔をしかめます。
「あ〜! うるさい!」
 ロバは向きを変えると、あっという間に植え込みの迷路の奥へ逃げてしまいました。
「やったねマドレーヌ! モンスターをやっつけたよ!」
 さらに迷路を進むと、モンスターが群をつくって現れました。
「うにゃ! またモンスターだよ!」
「グァ、グァ、グァ、グァ」
 カモです。全部で5匹もいます。
「モンスターが近づいて来る前に、弓と矢でやっつけちゃいましょう」
 エルウィンが言いました。みんなはおもちゃの弓と矢を取り出し、モンスターに狙いをつけます。
「えい!」
 マドレーヌちゃんが真っ先に矢を放ちました。おもちゃの矢の先には、尖ったやじりの代わりに綿を詰めたふわふわの布袋が付いています。マドレーヌちゃんの放った矢は、見事にモンスターに命中し、その体に赤い粉のマークを付けました。
「えい!」
「えい!」
「えい!」
 みんなも一斉に矢を放ちます。
「グァ、グァ、グァ、グァ」
 飛んでくる矢がうっとうしかったせいか、カモの群は向きを変えて植え込みの陰に隠れてしまいました。
「やったねマドレーヌ! モンスターをやっつけたよ!」
 さらに迷路を進むと、袋小路にはまりこんでしまいました。そこにはとても強そうなモンスターが待ち構えていました。
「う〜! う〜! う〜!」
 モンスターが不気味な声で鳴きます。
「うにゃ! 今度のモンスターは手強そうだよ!」
 そこにいたのは、真っ白いシーツでできたのっぺらぼうのゴーストです。シーツの中に入っているのはウーです。モンスターの後ろに宝箱が見えます。このモンスターは宝箱を守っているみたいです。
「えい!」
「えい!」
「えい!」
「えい!」
 みんなは一斉に、おもちゃの剣で斬りかかりました。でも、ウーゴーストはなかなか倒れません。ウーゴーストが襲ってきました。真っ白なシーツの体に、エルウィンが巻き込まれます。
「きゃあ! モンスターにやられちゃう!」
 エルウィンが叫びます。
「わたくしの魔法を使いますわよ。みんな、下がってください」
 赤い粉がびっしり詰まった布袋を、ルルーが投げつけました。布袋がウーゴーストに当たると、赤い粉がもわっと飛び散って、モンスターのシーツの体を赤く染めます。
「う〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 断末魔を上げ、ウーゴーストは倒れました。モンスターの守っていた宝箱を開けると、そこには金貨が4枚も入っていました。
「うにゃ、宝物だよ。やったねマドレーヌ!」
「宝物はみんなで分けましょう」
 マドレーヌちゃんが宝物をみんなに分配します。そしてパーティーは迷路の探索を続けます。
「わうっ! わうっ!」
「うにゃ! またまたモンスターだよ!」
 現れたのは犬です。貴族が狩りに連れて歩くような、とても毛並みのいい犬です。でも、何だか怒ってるみたいで、しきりに吠えています。
「何だか、恐い‥‥」
 思わずマドレーヌちゃんがつぶやくと、ルルーが前に進み出ます。
「ここは、わたくしにお任せを」
 ルルーはチャームの呪文を唱えます。すると、犬は怒ったように吠えるのを止め、尻尾を振りながらルルーに近づき、体をスリスリさせました。
「わたくしの美しさに魅了されてしまった様ですわね。おっほっほ!」
 ルルーは思いっきり高笑いしました。
 パーティーはさらに迷路の奥へと足を踏み入れます。
 突然、凶暴なモンスターが襲ってきました。
「がるるるるるるるるる!」
「ヨーホー! ヨーホー!」
 狼男と蜂女です。狼男の中味は、毛むくじゃらの着ぐるみを着たオリバーです。蜂女は言わずと知れたハニー。ヨーホー! ヨーホー! と鳴きながら、蜜蜂の巣箱を振り回しています。
「うにゃ! 何だかとても強そうだよ! ここは逃げるが勝ちだよ!」
 パーティーは逃げ出しました。すると、モンスターが追いかけてきます。迷路をどこまで逃げても、しつこくしつこく追ってきます。
「うにゃ! こうなったら反撃だよ!」
 パーティーは反撃に出ました。おもちゃの剣でモンスターをびしばし叩きます。さしものモンスターも、これにはかないません。
「うがあああああああ! やられたぁ!」
 断末魔を上げ、狼男が倒れました。
「ヨーホー! さすがハチミツを食べて育った子は強い!」
 蜂女も死に台詞を残して倒れ、動かなくなりました。
「うにゃ! やったね! モンスターを倒したよ!」
「みんなのおかげよ! ありがとう!」
 マドレーヌちゃんとみんなは輪になって、勝利を喜び合いました。
「ばんざ〜い! ばんざ〜い!」

●ドロンジーナの襲撃
 お昼の時間がやって来ました。パーティーのごはんは、迷路のあちこちで見つけた保存食です。みんなでごはんを食べていると、迷路の外から執事の爺やが呼ぶ声がします。
「マドレーヌ様に冒険者の皆様、お客様が来ていますぞ!」
 誰が来たのだろうと思って、みんなで迷路の外に出てみると、そこには騎士の格好をした大勢の男たちが待っていました。その中にウィザード風の黒いローブをまとった、見るからに怪しい女がいます。女は黒いマスカレードで顔を隠しています。
「冒険者ギルドの紹介でおいでになられた冒険者だそうですじゃ」
 爺やがお客さんたちを紹介しました。
「ギルドの紹介でやって来たのですか?」
 オリバーが妙な顔になります。
「冒険者ギルドから派遣されてきたのは、私たち6人だけのはずですが‥‥?」
 怪しい女が言いました。
「おほほ。それが、依頼の締め切りギリギリで、何とか間に合いましたの。冒険者ギルドが発行した証明書も、ほらこの通り」
 女は1枚の書類をオリバーに差し出し、オリバーはそれに目を通しました。ちょっと見たところだと、書類は本物のようです。発行元も、ちゃんと『冒険者キルド』となっています。
「どれ、私にも見せてくれ」
 ウーもオリバーと一緒になって、書類に目を通します。
「確かに『冒険者キルド』と書かれてあるが‥‥」
「‥‥いや、ちょっと待ってください」
 何かがおかしいと、二人は思いました。
 怪しい女はマドレーヌちゃんに近づき、優しい声で言いました。
「さあ、可愛いマドレーヌちゃん。私たちと一緒に冒険しましょうね」
 すると、ウーもオリバーが同時に叫びました。
「ちょっと待てぇ!」
「この証明書はニセモノです!」
 怪しい女が叫び返しました。
「失礼な! この証明書のどこがニセモノだとおっしゃるんですの!?」
「発行元をよく見ろ! 冒険者ギルドの『ギルド』が、『キルド』となっているではないか! こんな間違いはギルドにはありえん!」
 ウーの言葉に、怪しい女はいきり立ちました。
「おのれ! あれだけ本物そっくりに作った証明書をニセモノと見破るとは!」
 女は黒いローブを脱ぎ捨て、ドンジーナの正体を現しました。ローブの下は黒い戦闘服です。でも、妙に露出度が高いので、とっても悪趣味に見えます。
「さあ、おまえたち! やっておしまい!」
 騎士の格好をした男たちが襲ってきました。
「なんの!」
 咄嗟に、ウーがロングボウを構えて矢を射ました。矢は次々に、男たちの体に突き刺さります。オリバーとハニーも剣で斬りかかります。ルルーも魔法で応戦です。
「うわあっ!!」
 ルルーの魔法にかかった男が叫びました。
「死に神が襲ってくるぅ!! うぎゃああああーっ!!」
 ルルーのかけたイリュージョンの魔法のおかげで、男は死に神が襲ってくる幻覚が見えたのです。そして幻覚の中で死に神に殺され、男は気絶して倒れてしまいました。
「うわ! こいつはかなわん!」
 次々と倒されていく仲間の姿を見て、残りの男たちはあっけなく逃げ出しました。最後に残ったのは、ドロンジーナ一人だけです。
「ふん。大勢集めた手下も、所詮は役立たずのザコだったってわけね。こうなったら、この私が相手するしかなさそうだわ」
 ドロンジーナの唇が、怪しく笑いました。
 次の瞬間、ドロンジーナの体が風のように動きました。
「うっ‥‥!」
 気がついた時には、ウーのこめかみの急所にドロンジーナの拳が打ち込まれ、ウーは気を失って倒れてしまいました。
「うふふふ。格闘技は悪女のたしなみってことね」
 言って、ドロンジーナはオリバーをにらみつけます。
「まさか、こんなに強いとは‥‥」
 思わずオリバーはつぶやくと、オーラエリベイションで気力を高め、オーラボディで守りを固めました。
 ドロンジーナがオリバーに迫ります。オリバーが剣を打ち込むや、ドロンジーナは素早く身をかわし、オリバーの腕に平手打ちを喰らわせてその剣をたたき落としました。次の瞬間、オリバーは体をつかまれ、宙に投げ飛ばされていました。
「蜂蜜騎士団のハニー・ゼリオンが相手だよ!」
 ハニーがドロンジーナに斬りかかりますが、ドロンジーナの動きは素早すぎて、剣をかわされてしまいます。ドロンジーナも拳と蹴りで攻撃を繰り出し、ハニーは必死にかわしましたが、とうとう剣をたたき落とされてしまいました。
 ルルーがドロンジーナの前に立ちはだかりました。
「そこをおどきなさい! 小娘が!」
「あら、おばさんが何か用ですか? それにしても、気品がない服装ですわね。わたくしを参考になさって結構ですわよ。おっほっほ!」
 高飛車お嬢様パワー全開で、言葉をドロンジーナにぶつけます。ドロンジーナの目に怒りの炎が宿りました。
「小娘の分際で、よくも私をおばさん呼ばわりしてくれたわねっ!!」
 ドロンジーナが攻撃に出ます。ルルー危ない!! でも、一瞬早く、ルルーのイリュージョンの魔法がドロンジーナに放たれていました。
「うわ、死に神が‥‥! うわあああああああーっ!!」
 ドロンジーナは絶叫して倒れました。倒れたドロンジーナの周りに、みんなが集まってきます。
「ドロンジーナ、死んじゃったの?」
 マドレーヌが訊ねました。
「いいえ。死んだのは幻覚の中だけで、本当は気絶しているだけですの」
 ルルーが答えます。
「ほんと?」
 マドレーヌはしゃがみ込み、ドロンジーナの顔をのぞき込みました。すると‥‥。
 ドロンジーナの手が、がしっとマドレーヌをつかみました。
「きゃあっ!!」
 ドロンジーナの体が、むくりと起きあがります。
「おほほほほ! 気絶したふりにひっかかったわね! たかが小娘の魔法など、私の清い心が跳ね返してくれたわ!」
 ルルーが、ティアが叫びます。
「魔法にかかって気絶したふりなんて卑怯ですわよ!」
「マドレーヌを返せ!」
 ドロンジーナは高笑いして答えました。
「おほほほほほ! マドレーヌを返して欲しくば、迷宮庭園で見つけた宝物をそっくり渡しなさい!」
 みんなは言う通りにして、宝物をドロンジーナに投げつけます。ドロンジーナはそれを一つ残らず拾い集めると、勝ち誇ったように言いました。
「おほほほほほ! マドレーヌも宝物も、み〜んな私がいただきよ!」
「卑怯だぞ! ドロンジーナ!」
「おほほほほほ! 騙されるおまえたちが悪いのよ!」
 ティアの叫びにも、ドロンジーナは聞く耳持ちません。
「ドロンジーナ!! あたし、あなただけは絶対に許さないわ!!」
 エルウィンがひときわ大きな声で叫びます。そして、エルウィンはサンレーザーの魔法を放ちました。目もくらむような輝きと共に放たれたサンレーザーの光は、ドロンジーナの顔に命中しました。髪の毛がちりちりと焼けこげ、マスカレードがめらめらと燃えます。
「うあちちちちちち!!」
 ドロンジーナはマドレーヌちゃんを放り出して顔を押さえます。そして、マスカレードが燃えてしまったことに気付きました。
「ああ! 私のマスカレードが! これでは私の正体がバレてしまう!」
 ドロンジーナはすたこら逃げだしました。その姿がお屋敷を囲む石壁の向こうに消えた頃、悪あがきの叫びが聞こえてきました。
「覚えてらっしゃい!! この仕返しは必ずしてやるわよ!!」

 宝物は取られたけれど、マドレーヌちゃんが無事でめでたしめでたし。マドレーヌちゃんのパパとママは冒険者たちに何度もお礼を言いました。
「ドキドキハラハラで、本当に楽しかったわ。みんな、ありがとう」
 マドレーヌちゃんがみんなにお礼を言います。
「私も大きくなったら冒険者になって、たくさん冒険がしたいな〜」
 すると、マドレーヌちゃんのママが言います。
「それはいけません。だって、あなたはものすごい方向音痴で‥‥」
 そんな二人のやり取りを聞きながら、ルルーはつぶやきます。
「あぁ。わたくしたちは、何時になったらちゃんとした冒険ができるのでしょうか」
 はい。今回の冒険は、これでおしまい。