【比叡山焼討】天台籠城

■ショートシナリオ


担当:松原祥一

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:10 G 85 C

参加人数:9人

サポート参加人数:5人

冒険期間:05月21日〜05月26日

リプレイ公開日:2008年06月01日

●オープニング

 京都。
 神聖暦一千三年五月。

 上洛した尾張平織家が軍事力で京都をその支配下に置き、藩主平織市より都の意に沿わない延暦寺の攻略を任された平織虎長が延暦寺を三千の兵で囲んでいた頃の話。
 延暦寺攻めの勅命を出した安祥神皇は戦火と憎しみの拡大を憂い、冒険者達に和睦の助けを頼んでいた。
 近隣の諸侯に援軍を求める平織家と延暦寺、悪名高い鉄の御所の酒呑童子は人間達の戦いをじっと見つめていた。



「ええい、何をしているか! 敵の僧兵は少数ぞ。一気に押し込めぇぇ!」
 平織軍の侍が大声で部下を叱咤するが、長屋に突入した足軽達は見る間に崩れ、追いたてられていく。
「な、中の僧兵はてだれ揃い! しかも民を盾に取られ、思うように戦えませぬ!」
 部下の報告を聞き、指揮官は口惜しさに指揮棒を地面に叩きつけた。
「くっそー! 忌々しい僧兵どもめ!」

 延暦寺の包囲は突然だった。
 時間を置けば天台宗の政治力が物を言うのは明らかで、秘密裏に準備していたのだろう。平織軍が比叡山の登り口を封鎖した時、延暦寺の外に出ていた僧侶も多かった。
 その中に、京都でジーザス狩りを行っていた精鋭の僧兵部隊があった。
 彼らは慌てて延暦寺に戻ろうとしたが、平織の大軍を突破して山に入ろうとするのは自殺行為。右往左往するうちに京都を守る平織の兵に追い詰められ、とある貧乏長屋に逃げ込んだ。

「覚えたか、平織の腰ぬけ侍ども! 御仏の加護を恐れぬ不届き者め、まもなく仏敵虎長には天罰が下るであろうぞ!」
 平織兵を追い返した僧兵達は長屋の出入り口を荷車や家具等で封鎖し、立て篭もった。長屋の住人は人質にされ、或いは僧兵達に説得されて彼らの為に働いている。
「突入は諦めたか。しかし、いつまでもこうしてはおれぬな。御山の大事に間に合わねば、我ら何の為に修行してきたか分からぬぞ」
「ああ、それに非道な連中の事だ。長屋に火をかけ、民ごと我らを焼き殺そうとするかもな」
「覚悟は出来ておる。いざとなれば、平織の青瓢箪を一人でも多く道連れにして、我らの意思を都に刻みつけようぞ」
「慈円様の御心には背くが、仕方あるまい。その時には‥‥」
 僧兵達の目線の先に、襲撃したジーザス教会から連れて来たジーザス会の宣教師と信徒達の姿があった。

「‥‥仕方が無い。騒ぎを大きくして、民に不安が広がれば一大事だ。冒険者ギルドに使いを出せ」
 膠着事態に業を煮やした指揮官の侍は事態の対処に冒険者を頼った。
 ギルドは今回の件に中立を宣言している。延暦寺側につく冒険者も少なくない事からこのような現場に呼ぶ事には躊躇いもあったが、生憎と見廻組や黒虎部隊も手一杯で他に選択肢が無い。

 依頼内容は、長屋に立て篭もった延暦寺の僧兵の制圧。
 僧兵達は長屋の住民とジーザス教徒を人質にしている。人質にはなるべく被害が出ないよう注意を払うこと。非戦闘員の殺傷は厳禁。
「かなり難しい依頼です。僧兵達は精鋭。それに人質の一部は彼らに協力しているようです。正直、誰も死なせない結末は至難。自分の命を大事にして下さい」

●今回の参加者

 ea0629 天城 烈閃(32歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1274 ヤングヴラド・ツェペシュ(25歳・♂・テンプルナイト・人間・神聖ローマ帝国)
 ea5480 水葉 さくら(25歳・♀・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea7767 虎魔 慶牙(30歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea8545 ウィルマ・ハートマン(31歳・♀・ナイト・人間・ロシア王国)
 eb0712 陸堂 明士郎(37歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 eb2483 南雲 紫(39歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ec0312 烏 哭蓮(35歳・♂・僧侶・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ec3981 琉 瑞香(31歳・♀・僧兵・ハーフエルフ・華仙教大国)

●サポート参加者

サントス・ティラナ(eb0764)/ マキリ(eb5009)/ 頴娃 文乃(eb6553)/ ヒルケイプ・リーツ(ec1007)/ アクア・リンスノエル(ec4567

●リプレイ本文

「たのもーっ!」
 家具や荷車を押し込めて封鎖された長屋の入口の向こう側から、声が聞こえた。
「何者だ?」
 僧兵達は武器を手に取り、人質の住人達は一体誰だろうと小さな声で囁き合う。
「あのお武家様、乗り込むつもりらしいぞ」
 長屋を囲む平織の兵達と、その後ろで遠巻きに見守る見物人は、長家の入口に立つ大男を固唾を呑んで見守った。
「聞こえるか、中の衆。俺ぁ、虎魔慶牙(ea7767)って者だ。お前さん達と話がしたい。ここを開けてくれぇ!」
 大声で呼ぶが、返事が無い。
 虎魔は二、三度長屋の前を行ったり来たりして、
「‥‥分かった! 今から行くから、ちょっと待ってろ」
 虎魔はそう宣言すると、入口を塞ぐ瓦礫に手をかけて登り始めた。
「むむ、曲者めっ」
 物陰で様子を見ていた僧兵が飛び出して、瓦礫の隙間から六尺棒を突き出す。
「なんだ。ちゃんと居るじゃねえか」
 虎魔は繰り出される棒を籠手で軽く払いながら、ひょいひょいと一番上まで登っていく。見下ろせば殺気を放つ僧兵が6人、その後ろに居るのは恐らくこの長屋の住人達か。
「虎魔慶牙、押して話を聞いて貰うぜ」

「無茶をする男であるな」
 長屋の中に消える虎魔の姿を見つめ、ヤングヴラド・ツェペシュ(ea1274)は呆れたように呟いた。白十字の描かれた黒いマントを羽織った青年は聖女騎士団の白騎士、或いはツエペシュ領男爵‥‥神聖ローマが誇るテンプルナイトの一員だ。
「正面から挨拶に行くと言って、止める間も無かった」
 陸堂明士郎(eb0712)が言うと、ツェペシュは肩をすくめた。
「冗談であろう。貴公に止める気があったとは思えん。それが、東洋の武侠というものであるか」
 巷で勇名を馳せる誠刻の武の主席。厳格な騎士団長よりは、義理人情に厚いヤクザの親分のような雰囲気。
「本当だ。平織の侍と話している間に行ってしまった」
 冒険者達の立てた作戦に、長屋を囲む平織兵の指揮官は難色を示した。説得に時間がかかった。
「戸板が降りていてはろくにできることはない」
 騒ぎをよそに、ウィルマ・ハートマン(ea8545)は長屋の向かい側の建物を物色した。都合のよさそうな一件を見つけて、中に入り込む。
「は、何事でございますか?」
「御上の御用だ。二階はこっちか」
 返事も聞かず、ずかずかと階段をのぼる。二階からは長屋の入口が良く見えたが、死角が多い。
「となれば上しか無いか。暫く借り受けるぞ。私の邪魔はするなよ。ここに居る事も秘密だ。もし喋れば、都の敵に味方する輩には情けをかけられん。分かるな?」
 家主に釘をさして、ウィルマは床にごろりと寝ころんだ。
「戸板が降りていてはろくにできることはない。演技演目、冒険者が役者に向くかどうか、お手並み拝見‥‥」

 僧兵達に囲まれた虎魔は嬉しそうだ。いかな彼でも今襲われたら助からない。それが彼には楽しい。
「用件は人質の解放だ。お前さん達と一緒に居たいって連中は除外してくれていい」
「それだけか?」
 虎魔は頷く。言葉を並べて謀略と思われたくない。
「ああ、そう言えば伝言が一つある。外に居る俺のダチの陸堂ってのが、女と引き換えに、他の質を解放してほしいそうだ」
「‥‥いいだろう」
 即答は期待しなかったが、僧兵の頭らしい中年男が人質解放を承知する。
「已む無く立て篭もったが本意ではない」
「有り難ぇ」
 人質を通すために入口の瓦礫を虎魔が取り除く。気色ばむ平織兵を下がらせて、人質になっていた住人のうち、8人が虎魔と一緒に外に出た。
 代わりにヤングヴラド、陸堂、烏哭蓮(ec0312)、南雲紫(eb2483)、琉瑞香(ec3981)の5人が長屋の中に入る。
「住人を解き放ち頂いた事に感謝する。心ばかりのものだが、受け取ってほしい」
 陸堂に促されて、烏哭、南雲、琉の三人が持参した食糧を僧兵達の前に置いた。
「久々に帝都に戻ればこの様な事に‥‥。余程肩身の狭い思いをされたのでしょうねぇ〜?」
 目頭を押さえる烏哭。国は違えど同じ僧侶として思う所があるのか。
「他の人達も解放してくれないかしら?」
 南雲が言うと、残った住人から反対の声が上がった。
「俺達は僧兵様についていくと決めたんだ!」
「この僧兵達は悪い事はしていない。微力だが、助太刀する事に致した」
 残った住人の中に浪人ややくざっぽいのが混じっている。何やら考え込んでいた南雲が一歩前に出た。
「‥‥固い決心のようね。それなら私もこちらに残るわ。放ってはおけないし、あなた達にももっと良く考えてほしいから」
「私も残りましょう。怪我をされている方を残してはいけませんから」
 琉も残ると言いだしたので、陸堂はどうしたものかと困った顔を見せた。
「むむ。血に飢えた僧兵の巣に乙女を置いていけと? 余にはそんな趣味は無いのであるが‥‥本気であるか?」
「冗談で言うような事じゃないでしょ」
 南雲に睨まれて、若きテンプルナイトは肩をすくめた。
「その方がいいかもしれんな。俺達は流血を見ないで済む解決を望んでいる。表の平織兵も説得してみるつもりだ。彼らも都の真ん中で騒ぎを起こしたくはあるまい。望みはある。それまで貴殿らにも軽挙は慎んで貰いたい」
「‥‥」
 南雲と琉を残して、三人は長屋を出た。
「捕まっているジーザス会の宣教師と信者の場所が分からないと、手が出せないであるな」
「長屋のどこかであるのは確かだが」
「猿芝居をどこまで信じたのでしょうねぇ」


「さっきは言えなかったけど、私は延暦寺に味方する冒険者よ。貴方たちを助けに来たの」
 表の様子を伺ってから、南雲は僧兵達に正体を明かした。
「何? ‥‥それは本当か」
 疑いの目を向ける僧兵に、真剣な顔で頷く。
「勿論よ。延暦寺の非戦闘員を逃がすのを手伝って、都に戻ってきたらこの騒ぎを聞いたの。罪も無い人が戦の犠牲になるなんて耐えられないわ」
「信じられんな」
 僧兵の一人が南雲の肩を掴んだ。黒い光を見て、咄嗟に振り払う。
「どうだ?」
「‥‥今の話には嘘は無い」
 リードシンキング。思考を読まれたと気づいて、南雲の背中を冷たい汗が流れる。
「だが、こやつが平織の間者かはまだ分からん」
 伸ばされた手から逃れようと後退する。すぐ壁にぶつかった。
「逃げるな。嘘をついておらぬなら、恐れる事は無いはずだ」
「お止めください。この方は貴方達を助けようとしているのですよ。善意に悪意で報いるのが僧の道ですか?」
 瑞香がそう説くと、話を聞いていた初老の僧兵が黒僧兵の腕を止めた。
「もう、いいじゃろ。見たところ、悪い人では無さそうじゃ」
「恵芳殿‥‥見た目に騙されるとは修行が足りませぬな」
 二人の僧兵が睨みあっている所へ、若い僧兵が入ってきた。
「妙なのが長屋の周りをうろついてるよ。あの格好は平織兵じゃないな。多分、冒険者だね」

 水葉さくら(ea5480)は光が長屋から見えないよう、物影でブレスセンサーをかけた。感知した呼吸の数や大きさを紙にメモる。市街地では人間の数が多くて分かり難いが、長屋のすぐ側の人達は避難しているので多少はましか。さくらは、場所を変えつつ何回か試してジーザス会の宣教師と信者達の場所を探した。
「捕まっていた住人の人達‥解放されて良かった‥です。おかげで‥特定も、で出来そう‥」
 一所懸命に感知を続ける水葉は、羽音に気づいて上空を見上げる。
 急降下した大鷲が彼女に襲いかかる。野太刀を抜く暇は無いと見て、転がって避けるさくら。大鷲の爪が空を切る。
「いい腕だぁ。平織の冒険者かい?」
 屋根に降りた大鷲が陽気な声で喋る。さくらはそれを見てギョッとした。身体は鷲だが、首から上には人の顔。変身魔法は、生物の知識を深めれば奇妙な変態を可能とする。
「えっと‥少し、違いますけど‥‥です」
 人面鳥の問いについ答えるさくら。
「あれ、答えてくれるとは思わなかったな。変わってるねぇ」
「あ、あなたほどでは‥」
 怪鳥はニヤリと笑い、その姿がグニャグニャに変容したかと思うと、人間の女の姿に変わる。
「じゃあね」
 女は塀を飛び越えて長屋の中へ消えた。
 取り残されたさくらは暫し呆然、仲間の元へ走った。


 長屋を囲む平織兵の間で騒ぎが起きた。
 突然、数名の冒険者が刀を抜いて平織兵の列に突っ込んだのだ。
「延暦寺方の冒険者か!?」
 足軽を指揮する武士が振り上げた指揮棒を、どこからか飛来した矢が弾いた。
 武士が通りの端に目を向けると、そこに梵字の顔覆で顔を隠した天城烈閃(ea0629)の姿があった。
「義によって、僧兵に助太刀仕るッ」
 慌てる武士の見る前で、足軽達が冒険者に追い散らされていく。よく見れば攻撃しているのはヤングヴラドと陸堂である。
「貴様ら、裏切ったのか!?」
 武士は腰の刀を抜き放った。だが足もとに天城の矢が突き刺さり、恐怖を感じた武士は踵を返して物陰に隠れた。
「自分達が道を開きます! どうか、御山へ‥‥慈円様の元へ向かって下さい!」
 平織兵が逃げるのを確かめて、長屋に呼びかける天城。

「仲間達がやってくれたわ。ぐずぐずしないで逃げるのよ」
 僧兵達に脱出を促す南雲。
「罠だ!」
 南雲に触れる事無く黒僧兵が叫ぶ。
「そやつ、外に出たところを叩く気だ」
 僧兵達の敵意を感じて南雲は出口に駆け出した。進路を塞いだ年配の僧兵が両手を合わせた。南雲は簪を引き抜く。暗器乱れ椿。
「南無三ッ」
 四方の僧兵が目に見えぬ呪縛をうつ。戦士殺しの僧兵戦術。身体の自由を奪われて崩れ落ちる彼女に黒僧兵は近づくと、落ちている乱れ椿を彼女の首に突き刺した。
「何ということを‥‥」
 絶命した南雲の姿に、琉は呆然と立ちつくした。
「比叡山に行かれなくとも、皆様のできることはいくらでもございます。都で殺傷を繰り返して、何の為の使命だというのですか?」
 文殊の数珠を握り、瑞香は経文を唱える。コアギュレイト、一人でも呪縛出来ればという想いは、六角棒に粉砕される。
「戦場で使うには隙が多すぎるな。修行不足だ」
 高速詠唱を使わない呪文は、仲間の援護無しでは厳しい。瑞香も分かってはいたが、人質になった時から覚悟はしていた。
「‥‥行くぞ。平織に味方する者どもに、我らの意地を見せるのだ」

 12人の僧兵隊は、彼らに同調した長屋の住民7人と共に飛び出してきた。僧兵達を導く南雲が、明士郎に殴りかかる。
「なにッ!?」
「さあ冒険者、虚言の報いを受けよ」
 南雲が死人憑きと分かって冒険者達の足並みが乱れた。なおも陸堂に迫る南雲の頭に矢が突き刺さる。

「ふむ。これは、ジーザスの宣教師どもは殺されたかな?」
 屋根の上からウィルマは十人張の強弓を引き絞った。
「利用できる者は敵の死体まで使うとは、いやいや坊主と侮ったが、なかなか合理的ではないか。感心するほどでは無いがな」
 ウィルマは僧兵達を守ろうと視界に飛び込んできた住民を撃つ。
「今度は人質を盾にしたか。いや、もう人質と呼ぶのは役不足。敵として扱わねば、失礼というものだ」
 彼女は呟きながらも無駄のない動作で、次々と射かける。

 頭上からの矢と前後して、僧兵達の前方にいた天城も射撃を始める。両脇から逃げた筈の平織兵が殺到する。
「ここを切り抜けて、一人でも多く御山に戻るのだ」
 僧兵達は正面から冒険者達の罠を破りにかかった。物陰に隠れていた水葉は僧兵達が外に出たのを見計らって長屋の中に滑り込んだ。一つずつ部屋を確認した水葉は奥に倒れていた琉を見つける。
「う‥‥あ‥‥」
 琉は呪縛されていたが、命に別状はないようだ。ほっと息を吐き、振り向いたさくらはその場にへたり込んだ。
 そこに居たのは、動かないジーザス教徒達。

 呪縛されて倒れる陸堂。
「そこまでにしておくのだ」
 ディバインプロテクションをかけたヤングヴラドが陸堂を庇うように飛び出した。僧兵達は彼に南雲をけしかけて、逃げを打つ。
「逃がす訳にはいかん!」
 冒険者の策が失敗したと見た平織兵達が戻ってきた。槍を構えた足軽達が表通りへの出口を塞ぐ。立ち止まった僧兵達に、横あいから現れた焼死体が襲いかかった。
「この呪法は!?」
「‥‥まあ、魑魅魍魎ですか? 物騒な世の中になりましたねぇ〜」
 長屋の影から烏哭は戦いを眺める。何本も槍を受けて絶命する僧兵。鳥に変身した所を二人の射手に撃ち落とされる僧兵。足軽の列に特攻する浪人者。
 長屋の浪人一人と四人の僧兵が死に、三人が捕まり、僧兵八人と三人が囲みを突破して逃げた。
「余の目的は、この者達だったのである‥‥」
 南雲を倒したヤングヴラドは物言わぬジーザス教徒のために祈り、南雲の遺体を寺院に任せた。恐らく大丈夫だろう。彼女の金袋は重かったし、なるべく傷つけぬよう苦労した。

 脱出した僧兵達はその後の京都の戦いに参加して、全滅したという話である。