好事家エルフの女傑、その野望!?

■ショートシナリオ&プロモート


担当:深空月さゆる

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 15 C

参加人数:3人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月18日〜09月23日

リプレイ公開日:2008年09月26日

●オープニング

 メイディアの外れには、あるエルフの女性が小さな屋敷を構えている。季節ごとに様々な花が咲き乱れる美しい庭が一番良く見える一室に、女主人はいた。

「マチルダ様」
 膝裏まで届くだろう長い金髪、透き通るような青の瞳。頭の先から爪先まで非の打ちどころのない美女は、優雅に扇子を煽ぎ、尋ねた。
「‥‥なぁに?」
 年老いた品の良い執事は、長椅子にしどけなく横たわる女主人に近づき手元にある巻物を広げた。
「本物が、例の村の遺跡にはあるようですよ。ミーアより便が届きました」
 ミーアという名の侍女に同行したシフールが、先程届けてくれたものだ。
「まぁ。あそこは信頼できる情報によると、百年以上も使われていた由緒ある建造物なのよ。そこで使用されていた物品も本当にあるのなら、とても価値があるわ。また私の野望に一歩近づいたわね」
 マチルダは嫣然と、扇の影で唇の端を釣り上げた。



 村興し、即ち観光名所を作ればいい。これといって特産物もなく、土地が特別豊かなわけでもないある村の者達が将来を見据え辿り着いた先は、それだった。メイディアから馬車で一日程のどかな田園風景をゆくとやがてその村が見え、そしてその傍には打ち捨てられていた遺跡があった。そして今、その遺跡は村人の手によってある用途で使われている――らしい。

 その村に足を踏み入れたのは身なりの良い、若い娘である。
 彼女はメイディアの外れに屋敷を構えるマチルダ・カーレンハートという好事家エルフの女主人の命を受けこの地にきた。その遺跡か村にあるであろう物品を手に入れる為に。正確に言うと、本物なら手に入れてこいと命令されて。

(頭痛がしてきましたぁ‥‥。マチルダ様って無理難題を平気で仰るんだもの。体がいくつあっても足りないですぅ)
「行きましょうか〜」
 傍を浮遊する同行者のシフールに声をかける。
 ボヤいても仕方ないから思うだけに留めたが、溜息は自然零れた。



「はい‥‥? 出ると言いますと、え?」
 遺跡の宝について詳しい話を聞きたいとお菓子を差し出しつつ願ったら、すんなりある薄暗い部屋の中に通された。そこでミーアは村の長老他、二人の老人に奇妙な話を聞いた。
「だから、最近出るのでございますよ、宝を護るためにか。本物の火の玉が」
「は、本物の!? 村の皆さんが作っている偽物の火の玉ではなくて?」
「はい、最近は仕掛けを動かしている村の者も、お客様も大きな火の玉が飛ぶのを目撃してましてなぁ。皆、とにかく気味悪がってねぇ」
 嘘から出た真というやつですね、と娘が驚きつつも呟く。
「かなり大きな火の玉でしてな。こうゆらゆら〜と動くと思ったらいきなりひゅん! と近づいてきてですな、暗い中ぼぉぉっと妖しく燃えてですな!」
 両手を大袈裟にぷるぷるさせながら叫ぶ老人。
「怪火‥‥」
「そうそう。他のやつとは見た目も全く違うので。やっぱり宝を餌にして遺跡で村興しに利用しようとした罰が、あたったんですかなぁ」
「? ちょっと待ってください。じゃ、やはりあの遺跡には本物の宝も?」
「大きな声ではいえませんが、本物と偽物が入り混じっております。ただし、本物も偽物も、一目見ただけじゃ判別できないようにどちらもちょっとやそっとじゃ取れないように固定してありますがねぇ‥‥」
(よっしゃぁっ、アタリですぅ!)
 小さくガッツポーズをとるミーア。

「どうなされた?」
「あ、いえ無駄足じゃなかった、と思ったんですよぉ。えへへ、すみません。あの! 私の主人は骨董品に並々ならぬ興味を持っている御方で、真偽を確かめてこいと言われたんですよ。もしかして、月の水鏡という名の大きなお皿があったりしませんか?」
「ん〜確か一枚、大きな古びた水皿はありますぞ。何しろ汚い皿でしたからなぁ、遺跡の傍の手洗い場においてあります」
「‥‥は、お手洗いに」
 骨董マニアの女主人が怒るか脱力しそうな答えに、ミーアはきょとんとした。マチルダの情報網から得た内容であればこの遺跡に残された物は、古来の重要な儀式に使われていたものだというのに。
「あのぅ。どうでもいい感じで使われているなら、頂くことはできません?」
「ただじゃあだめですなあ。‥‥何か見返りがないと、ですなぁ」
「そうそう」
「んだね」
「では、お金で」
「金より何より、あの火の玉をなんとかしてくれませんかねぇ」
「そうそう、なんたってあれのおかげで、せっかくの村興しが下手すりゃ失敗しそうなんだもの。お客さんも増えてきてたところだったのに。しかも、他にも変なのがでるんですよ」
「変なの、ですか?」
「そうそう。がりがりに痩せててね、スバシッコイやつで。人を脅かせたりするのが大好きなのか人が驚くと気味の悪い声で笑ってどこかに消えてしまうんだよ」
「まったく‥‥。最近すぐ傍の森が焼けた事件があったんだけどね。どっかの馬鹿が森に火をつけたんですがねえ。森がかなり焼けちゃってね、結構被害も大きかったみたいで。そんなことがあったと思えば、今度は夜になると火の玉が出てくる。正直、気味が悪いんですわぁ」
 三人に詰め寄られ、ミーアは椅子からずり落ちかけた。
「‥‥はぁ、私も多少は魔法は使えますけど」
「はぁ、あんたみたいなお嬢さんが、魔法使い? そいつはいい!」
「あの、えと、火の玉をどうにかするほどの技量」
 ミーアの声はかき消された。なんていうか、老人達の声が大きすぎて。
「あの火の玉をなんとかしてくださると?」
「ありがたいね〜ほんとありがたいね〜。退治よろしくお願いしますよ〜」
「ちょっと待ってください〜。私は、あの、やるとは」
「あの皿、やはりいらないと。ふ〜、残念ですねえ」
「ああっ、やりますぅ!」
 即答してしまったミーアがしまった、と思った時にはもう遅かった。でも困っているらしいのは本当のようだし、と自分を慰めつつ。溜息をついた。



「ただ厄介事に巻き込まれてしまったようですな。ミーアはよい子ですが、一人でモンスターや魔物と戦うにはいささか経験不足でしょう」
「手洗い場の皿って何!? 歴史的価値があるものに何してくれちゃってんのかしら!? これだから物を知らない凡人はヤなのよ‥‥!」
「マチルダ様、落ち着いて。せっかくの美貌が損なわれますよ」
「これが落ち着いていられるかっ。ってか、お人よしなんだから〜ミーアの奴め〜。縁もゆかりもない村人の為に手を貸してやって、怪我したらどうする気かしら。皿一枚くらい、こっそり奪ってきちゃえばいいのに要領の悪い子ね」
「マチルダ様、ミーアはあなたの侍女で弟子でもある。それができない子なのはご存じでしょう」
 直後、彼女は呆れたように長い金髪をかいた。優雅さが台無しになっても、頓着する様子はないらしい。むくりと起き上がり足を組み替え、毒づく。
「あ〜、おバカさんね。本当に給料カットでもしてやろうかしら」
「どうなさいます?」
 暫く考え込んだ後、彼女は執事に指示をした。
「このまま放っておいたらあの子がいつ帰ってこれるか、わからないわ。火の玉っていうのは十中八九、アレでしょ。出てきた原因を突き止めるにしても、解決するにしても人手がいるわ」
 さっさと皿を持ち帰ってもらって洗浄しなきゃ‥‥洗浄を‥‥! と言い募る発言はひとまず置いておいて。
「冒険者ギルド、ですね」
 なんだかんだ言いつつも情が厚い女主人を見つめ。執事は微笑んだ。
「依頼を出してきて! お願いね」

●今回の参加者

 eb3114 忌野 貞子(27歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ec4205 アルトリア・ペンドラゴン(23歳・♀・天界人・人間・天界(地球))
 ec5159 村雨 紫狼(32歳・♂・天界人・人間・天界(地球))

●リプレイ本文

●情報収集とか、色々?
「お、誰かと思ったら幽霊ちゃんか! この前は演歌ちゃんと一緒だったんだぜ。 えーと、セイバーちゃんとはこの間のゴーレム教習で一緒だったっけ。 あれ、二人とも顔見知りなんだ?」
 今回行動を共にする事になる仲間、忌野貞子(eb3114)とアルトリア・ペンドラゴン(ec4205)は以前別の依頼で一緒になったことがある。言葉交わす二人を見て、村雨紫狼(ec5159)がにこやかに尋ねる。
 彼の機嫌がいい理由は、即ち一つ。
 片方は独特のオーラを持つがよく見ればかなりの美少女、もう片方は凛とした雰囲気がある金髪碧眼の女剣士である。
「(よっしゃぁ! 両手に花! あとはミーアってこも俺ごのみのろりぷにでモエモエなら言う事ないんだけどな! 夢の生ハーレム状態きたコレ!)」
「んじゃあ、二人ともよろしくな! 気合い入れていこーぜ!!」
「何か‥‥よくないオーラが出ているような、気がするわ‥‥」
「ええ、桃色の何かが‥‥」
 馬車に向かいつつ。とりあえず二人は紫狼をそっとしておくことにした。



 それなりに人の出入りがある観光地風の派手な看板の下にいた、小柄でぽっちゃりした愛嬌の良い少女。出迎えてくれた彼女が、ミーアだった。
「初めまして、ミーアちゃん。俺は村雨 紫狼。シロウと呼んでくれて構わないぜ」
「あ、あの?」
 疾風の速度で駆けより、そっとその柔らかな手を握って話しかける紫狼。貞子がそっと仲間の肩に手を置く。
「ね、話を進めていいかしら‥‥?」
「うぉっ、スマン幽霊ちゃん。この子が色々あれだったもんで、つい。でも大丈夫、俺幽霊ちゃんも好きだから! もちろんセイバーちゃんも好きだぜ!」
「さて。貞子よ。よろしく、ミーア。貴方‥‥私の親友と‥‥いい勝負よ、お人好しのね‥‥クーックク!  手伝ってあげるから、事件を解決させましょ」
「私はアルトリア。よろしくお願いします」
「おぉ〜い」
 そのやり取りにくすくす笑って。
「はい、宜しくお願いします! ちょっと、一人で心細かったんですぅ。えへへ、貞子御姉様、アルトリア御姉様‥‥! 紫狼様も。来てくださって本当に感謝します!」
 村興しの中心人物、村長の元へとミーアは案内してくれた。
 そこで情報を確認し合う冒険者達。そして炎について何か気付いていた事があるらしく、貞子がそれを口にする。
「ふうん‥‥もしかしたら、火の玉‥‥火の精霊、エシュロン‥‥かも。人に危害は加えたりするの?」
「いいえ、時々ぼわぁって強まったりはするらしいんですけど、誰かに怪我させたりとかは」
「ふぅん。‥‥なんらかの意図があって‥‥現れたなら‥‥コンタクト、取らないといけないわねェ、ククク」
「幽霊ちゃん、なんだい、そのエシュなんとかって奴はよ?」
「エシュロンは火の扱いを間違えた者に‥‥警告の為に、現れたりするのよ‥‥」
「へ〜。んじゃ、もしかしたら。近くの森で火事があったんだろ? それ以前は火の玉は出なかったのか聞いておくか」
「それなら、判ります。念の為確認したら、火事以後に現れるようになった、とおっしゃっていましたから」
 とミーアが教える。口笛を鳴らす紫狼。
「‥‥つまり、近隣の森で火災が起き、その後にこの村にある例の遺跡で火の玉と、謎の子供が目撃されるようになった、と」
「その謎のガキ。モンスターか何かか?」
「この目で確認できれば、それに関しては私の妖魔知識で鑑定可能、よ」
「ひゅー頼りになるな、幽霊ちゃん。もしそうなら、ソイツが森を焼いた犯人で、火の玉はそれを怒って追っかけてきた‥‥とかなら辻妻はあいそうだぜ」
 ニヤリと笑う紫狼に、二人は頷く。ミーアは感嘆したように三人を見つめた。
「ただ、これは推論だから‥‥。断定はではないけど、ね」
「この目で確かめるしか、ありませんね」
「そういえば、ミーアちゃんはなんの魔法が使えんの?」
「炎系統の魔法を少しだけ、です。師匠のマチルダ様は本当に凄いウィザードなんですけど、私はまだまだで」
「そっか。悪いが戦力に入ってるから、よろしく!」
「悪いなんてとんでもない。頑張りますね! これを巻いておけば、遺跡に入れます。あ、お代はいいですよ〜」
 鮮やかな色の糸を使用した布製の腕輪である。巻かれていく腕輪に、三人は面食らう。どうやら入場料を支払うと渡されるものらしい。お化け屋敷を出る時に回収されるとの事だ。
「夜までまだ時間がありますから、せっかくだから店を回ってみませんか?」
 さる縁で村に訪れた天界人から色々教えてもらい、出店を考えたらしい。遺跡の傍にずらりと並ぶ店に皆、驚愕した。
「ぎゃー! たこ焼き! 焼きそば! クレープゥゥ!」
「紫狼様ご存じなんですか? たこ焼きとか、美味しいですよね〜」
 天界人の紫狼はもの凄く喜んでいた。少々高いそれらを、必要経費ですからと微笑みつつ気前よく奢ってくれるミーア。ひとしきり皆で天界談議に花を咲かせたのだった。

●お化け屋敷へ
 そして夜が訪れた。遺跡の入口からして二つの松明が頼りだから、かなり薄暗い。
 冒険者達とミーアは並ぶ客に交じって、腕環を見せ、遺跡の中に入る。一定時間を開けて、少人数ずつ中に入っていくらしい。
「入口で売ってた羊皮紙、ありゃ一体何?」
「スタンプラリーに使うらしいです。買わない時どこか、手とかにスタンプを押せばいいみたいなんですけど。でも羊皮紙に押して記念に持っていると、恋愛のご利益があるらしいんですよぉ」
 成程、と。皆一様に苦笑した。
 静かな遺跡内部に、こつこつと足音が響く。遺跡内はごくたまに明かりが灯されているものの、暗い。黒マントに皺だらけの顔に、よぼよぼの老人が一人案内役を務め、皆を狭い通路へと誘う。
「さて、ここより先はわしゃぁ何が起きても、知りませんからね、いっひっひ、さぁいってらしてくださいましね‥‥」
 暗闇の中に老人は消える。そしてそこから先は灯りはなく、空から柔らかく冷たい弾力性のある糸つきの何かが揺れており何度も顔にぶち当たり、客達に悲鳴を上げさせた。
 木の板みたいな床がいきなりガタガタと揺れだしたり、異様な音に振り返ったら背後からライトに照らされた老人が天井から空中ブランコみたいなのに足をひっかけて絶叫しながら通り過ぎて行ったりとか、皆が絶叫しつつ走って逃げたら、床が唐突に抜け揃って落下し、脇にそっと梯子が用意されたり。
 道なりに進むと、その先で悪い魔術師風の衣装に身を包んだ老人達が怪しげな照明でライトアップされた舞台で寸劇を始め、迫真の演技を披露。不気味な演奏を後ろで奏でている村人も続々現れ、なんだかもうホラーミュージカル?
 スタンプをぽんと手に押しつつ。
「フ‥‥涙ぐましい、努力ね‥‥」
「ん〜でも結構な盛り上がり? って、ほらほらやっと怖いのが出てきたぜ。ほら、あそこでこっちを見てる怖い顔つきのガキ。おっ松明振り回して。危ないねぇ」
「‥‥」
「‥‥‥」
「って本気で布燃やしてんじゃねーか、あのガキ!」
「‥‥ふぅん、グレムリーね。放火魔ってわけ。‥‥これは、決定?」
「出ましたね」
「あの子を追いかけて、エシュロンが現れた、か。クククっ‥‥あながち、外れていないかも」
 老人達は茫然と、客は悲鳴を上げる。いきなり唐突に火の玉が出てるのだ。そりゃ怖いだろう。身軽な子供を追いかけて妖しく浮遊していく、怪火。冒険者達は一番近くにあった小さな照明を奪い、追いかけていく。
「フレイムエリベイション!」
 ミーアが魔法を発動する。術は貞子へ。行動と思考にプラス効果を与える炎の術法だ。
「ウォーターボム!」
 高速詠唱で子供の背中目掛けて水の塊をぶつける。ぎゃん、と転がって壁にぶち当たる子供。ゆらゆら近づいていく炎。そこに追いついた冒険者達。
 そして。魔法と壁に当たった衝撃で目を回しているグレムリーを、ぼかりと叩く紫狼。
「ったくハタ迷惑だな。‥‥まぁ、でも人を傷つけたりした訳じゃねえみてえだし。お二人さん、どうするよ、こいつ?」
 子鬼の首筋に剣を押し当て。アルトリアが低く告げる。
「命を絶つのは簡単ですが。ここから出ていき、二度と戻らないなら見逃してもいい。言っている事は、判りますか?」
 有無を言わせぬ覇気の前に、小さくなったグレムリーはコクコクと頷く。
「また何か仕出かしたりしたときは、遠慮なく‥‥退治するからねェ。森に火をつけたり、とか‥‥バカな事を仕出かした時には。くく。まぁ、判断は任すわ。エシュロン、そんな感じで、どうかしらぁ?」
 遺跡内で揺らめいていた巨大な炎は、その場をふわふわと漂い。やがて輝きを弱めて、忽然と姿を消した。脱兎の如く逃げ出したグレムリーの必死の逃亡ぶりを見ると、だいぶ灸は据えられたか。
「‥‥解決ね」
 ミーアの拍手と歓声がその場に上がった。

●依頼成功!
「ん〜スタンプは一つだけですな。はい、男性の参加賞はこちら」
 紫狼は、様々な食料品を手に入れた!
「見事に食い物ばっかだなぁ。まぁいっか、ありがとよ!」
「お嬢さん達は、この蝶の飾り物をプレゼント」
 アルトリアが嬉しそうに受け取る。貞子も同じ品物を受けとってしげしげとそれを見つめた。
「まぁ、‥‥案外いい物、ね」
「光に当たるとキラキラしますよ、この蝶♪」
「あれ〜? なんかそっちは良くねえ?」
「こういう商売は女子が優遇される、それは鉄則。ミーアさん、例の物は村長から貰ってくだされ」
 すっかり馴染みになっていたらしい出口で腕輪を回収していた老人に語りかけられて、少女は大きく頷いた。
「皆さん、ありがとうございました。例のお皿が、本当に必要で。価値のある骨董品、珍しいアイテム、師匠はそういう物を集めてるので。これでいい報告ができます〜!」
 その後、町の遺跡には謎の子供も、怪火も二度と現れなくなった。今日もあの村では老人達が元気に村興しをしている事だろう。