ゴーレム生産環境整備計画2nd II
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■ショートシナリオ
担当:三ノ字俊介
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや難
成功報酬:5 G 97 C
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月21日〜04月28日
リプレイ公開日:2007年05月06日
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●オープニング
●第二工房建設
メイの国に『騒音公害』をもたらした第一ゴーレム工房の一件も早幾星霜。
というほど時間は経っていないが、ともあれ金属ゴーレムを生産する専門の工房が建設された。
ただし、まだ外側だけである。
内部はまだ未整理の状態で、決まっているのは精鋼炉などの大型設備のみ。今回のメインイベントは『コレ』である。
また新式シルバーゴーレムの実戦配備のため、その装備や補修、補給部品の製作なども行わなければならない。前回《イクサレス》級シルバーゴーレムに装備させた鎧は、軽量でありながら頑強でたいへん高性能であったが、量産できないという欠点があった。また《オルトロス》級、《カークラン》級カッパーゴーレムの生産も決まり、工房の仕事は爆発的に増加していた。
そして、工房管理官のガンゴントウス・エメルセンは悲鳴をあげるのである。
つーか、誰か助けてやれよ。
●工房分設準備
ハードウエアについては前記の通りだが、今回はソフトウエア――つまり『人材』についての課題が一つある。工房の『分設』である。
金属ゴーレムが離地に配備されることが決まって、まず課題となったのはその整備環境である。『生産』までは必要ないが、『修理』は出来る必要がある。ゆえに、今回初めて『準工房』と呼べるような大型設備を離地に配設しなければならないのだ。
設備自体は、特に問題は無い。築城なりなんなりの際に、盛り込むだけである。問題は『人材』だ。
ゴーレム生産経験があり、その補修・整備などが出来る鍛冶師。遠隔地でそれを十全に行える者は、たぶん少ないだろう。ましてや国土の端から端に移動となると、ちょっと引いてしまう者も多いと思われる。
本来ならガンゴントウスなみの人材を寄越すべきだが、それも難しい。
今後、各城塞などにゴーレムが配備されることを考えれば『人材の確保(育成も含め)』を課題とすべきだが、状況をかんがみ、あえて『ガンゴントウスを送り出せる状況を作る』という選択肢もある。
冒険者の中から募ることまでも含めて、いろいろと検討してみるべきだろう。
ともあれ、問題は山積している。早急な解決を望む。
●リプレイ本文
ゴーレム生産環境整備計画2nd II
●さてここで問題です
ゴーレム生産環境について、今回ブレーンとして集まった者は5人の冒険者である。初見の者もいるが、意欲ある者たちが集まった。
が。
ちょっと彼らとガンゴントウス工房管理官とのやりとりを、ADV形式で書いてみよう。
【ローシュ・フラーム(ea3446)】「結局ガンゴントウス工房管理官どのが行くのか?」
【ガンゴントウス・エメルセン(NPC)】「難しい問題だな。俺はノウハウはあるが、しょせんは鍛冶師だしなぁ」
【シュタール・アイゼナッハ(ea9387)】「それより『しぃとべると』の開発をさせてほしいんだが‥‥」
【レネウス・ロートリンゲン(eb4099)】「それも大事ですが、『換気扇』の件もお忘れ無く願います。特にこれからは気温が上がる時期です。工房は人が倒れるような熱気に包まれます」
【殺陣静(eb4434)】「それより最前線――つまり《オルボート》の工房ですが、人材登用について提案があります」
【エル・カルデア(eb8542)】「殺陣さん、その件についてですが、私からも提案があるのですが‥‥」
【ローシュ】「いずれにせよオルボートの準工房をを稼働状態に持って行くには、それ相応の人材を派遣せざるをえんだろう」
【シュタール】「『しぃとべると』は現在2点式のものが用いられているようだが、天界のものは4点式や6点式のものがあるらしい。どれが有用かテストしてみたい」
【レネウス】「冬季の心配は当面不要ですが、風車の凍結防止のために塩や石灰を用意すべきと考えます」
【静】「当面の人員は仕方がないとしても、防諜対策のことも考えて信頼できる人間を集めるべきでしょう。ですから既存の就労者から選抜すべきだと思います」
【エル】「殺陣さん、それでは十分な人数をそろえることは出来ません。まずは鍛冶師に技能資格を与えて、大量雇用すべきです」
【ローシュ】「人材は育てるしかあるまい。都合良く有用な人材が見つかるわけもない」
【シュタール】「今回はとりあえずバガン級ストーンゴーレムを使わせてもらい、座席のベルトの改良を行いたい。許可が欲しい」
【レネウス】「基礎工事は済みましたし、風車については問題なく稼働できるようにもなりました。今後の工房建設では、これらの風車を使用した動力利用が適当と思われます」
【静】「ひとまず雇用条件の整備を行うべきでしょう。具体的な案は、ここにしたためました」
【エル】「ああ、待ってください。私の意見がまだです」
【ガンゴントウス】「‥‥‥‥‥‥‥‥」
どうしますか?
>1.キレる
_2.暴れる
_3.てけれっつのぱー
とまあ、こんな感じである。
おのおのが自分のアイデアを出すのは良いのだが、それを受けるガンゴントウスは一人だし、優先すべき案件は山ほどある。それぞれメイの国のために働いてくれるのはありがたいが、アイデアを出すだけではなくそれを実現させる手段までしっかり考えて欲しいのが本当のところだ。
なぜなら先進的で独創的な『自由な発想』が天界人や冒険者の武器であり、そして智賢はそれを実現するためにあるのである。やりたいことをただ並べるなら、文化人とか言われる『○○評論家』といった、ネガティブを売りにしてメディアに出ている役立たずと変わらないのだ。
例えば、日本で初めて蒸気機関を再現し日本初の蒸気船を造った田中重久という人物がいる。彼は60半ばにして欧米の技術を学び、それを身につけ様々なものを開発した。
これがが、「蒸気船を造りたい」で終わっていたら、彼は偉人として名を残すことは無かっただろう。彼は常に「○○を実現するためにどうすれば良いか」を考え、実行してきたのだ。例えば彼の発明で『万年時計』というものが有名だが、彼は1000点に及ぶパーツをすべて一人で、手作りしたのである。例えば1枚の歯車にある700あまりの刃を、全て手で削ったのだ。
余談だが、2004年に現代人のスペシャリストが、100人がかりで1年かけても、この万年時計は完全に再現できなかった。現代の工作技術を以てしても、この万年時計を完全再現できなかったのである。
というわけで。
『実現』のための具体的な行動を、優先的に報告にまとめるとしよう。
●第2工房
メイの国の第1工房の隣に作られた巨大なハリボテ。
現在ただ『第2工房』とだけ呼ばれている場所だが、ここに手を入れたのはレネウスである。
彼は地球人から仕入れたのか、『ライン』という考え方を導入し、つまり『流れ作業』でゴーレムやその部品を作れるレイアウトを提案したのだ。
この考え方は、ゴーレムの仕上げ段階に威力を発揮した。ライン工房というのは部品の効率的な組み立てに使われるもので、できあがったゴーレムを『一騎』に仕上げるシステムを作ったのである。
無論、職人芸である剣を打つ作業をライン化することは出来ないが、部分の応用は利きそうだった。
なおこのシステムは、オルボートの工房にも『修理ライン』として導入されるらしい。
●オルボート工房顛末
オルボートの準工房へは、ガンゴントウス工房管理官が直々に向かうことになった。結局稼働したメイの国の工房は代理が利くが、1から始めなければならないオルボートの工房を『建てられる』人物が他に居なかったのである。
これによりメイの国の開発依頼関係では、ノーマルアイテム類でのフットワークが失われることになるが、状況的にやむを得まい。
また、オルボートの工房への人材には、ステライド王から念書が渡された。それは静の素案をメイの国の状況に合わせたもので、次のような内容になっていた。
1,独立用に「店用の土地」と「鍛冶設備」を提供する。
2.独立後も軍からの仕事を優先して回す。
3.オルボートの工房への再雇用は優先的に行う。
4.上記特益を、オルボート工房に3年勤めた者に与える。
ともあれメイの工房の3割の人材が動くのである。たいへんな話しになる。
だが、ゴーレムの運用を最初から視野に入れた城塞を稼働させるのである。十全の体制で挑まねばなるまい。
●余談
さて、カルロを介してノーマルアイテム類での発注がいくつか来たが、その中にローシュが望んでいた投げやりの項目があった。
またキテレツな兵器が一つ発注されたが、完成してみるとかなりの攻撃力を発揮し衆目を驚かせた。
が、ゴーレム工房の人間に言わせると『装備した腕のほうが壊れるんじゃないか?』との話しである。まあ、作用と反作用の話しなのだが。
いずれにせよガンゴントウス不在の間を仕切る人物が、良い人材であることを祈るのみである。
【おわり】