わが懺悔室へようこそ

■ショートシナリオ


担当:宮本圭

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:4

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月17日〜10月23日

リプレイ公開日:2004年10月24日

●オープニング

「あなたは、日頃罪を犯していませんか」
 ずずいと迫られて、冒険者ギルド本日の受付係は、思わず引いてしまいそうになった。
 しまいそうになっただけで済んだのは、質問を発した主が、明らかにそれとわかる僧服を身につけていたからだった。クレリック、それも『聖なる母』を崇める白のクレリックである。するとこの質問も、宗教的なアレとかソレからくるコレなのか。
「罪、ですか」
「罪です。何かありませんか」
 勢いこんで問われれば、こちらも釣られてそうですねえ、なんて考えこんでしまう。
「五歳のとき、母の気に入っていた高価な化粧品で、こっそり家の裏の塀にいたずら描きをしていました」
 ふと思い出したことを挙げてみると、僧は明らかにがっかりしたような表情を見せた。
「あー‥‥もっと他にありませんか?」
「一昨日夕飯のおかずの材料を買うときに、肉屋のおかみさんがお釣りを多く渡してきたけどそのまま帰ってきてしまいました」
「他には‥‥」
「で、ではこれはとっておきです。十歳のころ、隣に住んでいたサラちゃんという女の子に、お医者さんごっこと称して‥‥」
「‥‥もう結構」
 甘酸っぱい少年のころの思い出をみなまでは聞かず、落胆の色を隠さぬままため息をついて、僧はやれやれと首を振った。
「実は拙僧は、先日とある教区を任され、小さいながらも教会の預かり手となったのですが‥‥」
 教区はのどかな農村で、村人たちも皆親切なところだそうだ。住民たちはみな素朴で、善良で、なにより信心深い。これだけ聞くとまるで言うことなしのようだが、実はこの僧にはひとつだけ不満があった。
「懺悔です」
「懺悔?」
「人々は皆あまりに善良で、懺悔室はいつも閑古鳥が鳴いているのです。
 以前私がいた教会では、都会だったということもあって、懺悔室はいつもドラマに満ちていたものでした。不貞、憎しみ、陰謀、犯罪、そしてときには、決して許されぬ愛‥‥ッ。そして告白された罪に、神の代理人として赦しを与えるあの日々よ!」
「‥‥‥‥‥‥はあ」
「そこで私は思いついたのです! 日々己の腕だけを頼りに生き抜く冒険者と呼ばれる者たちこそ、余人には知らせざる罪を抱え、常に苦しんでいるはずであると!」
 要するに超訳すると、平和すぎて退屈なので、冒険者たちの刺激に満ちた懺悔が聞きたい、ということらしい。
「そういうことでしたら‥‥まあ‥‥声をかければ誰かしら集まるかも。いやもちろん絶対とは保証できないのが世の常といいますか‥‥えーと‥‥それで、お金の話なんですが‥‥」
 おずおずと、かろうじて切り出すことのできた受付係の言葉は、かがやくような笑顔に出迎えられた。
「おお‥‥あなたの上に『聖なる母』の祝福あれ。お心遣いには非常に感謝いたします。しかしながら、慈悲を請う子羊に赦しを与えるのは、神よりわれわれに与えられた使命であり責務。いわば当然の行為なのですから、寄付などもちろん無用ですとも」

●今回の参加者

 ea0508 ミケイト・ニシーネ(31歳・♀・レンジャー・パラ・イスパニア王国)
 ea1662 ウリエル・セグンド(31歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea2201 アルテュール・ポワロ(33歳・♂・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ea3844 アルテミシア・デュポア(34歳・♀・レンジャー・人間・イスパニア王国)
 ea3892 和紗 彼方(31歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea4771 リサ・セルヴァージュ(31歳・♀・ウィザード・人間・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

「あんたね、問題の僧侶はっ!」
 懺悔室に入り戸を閉めるなり、聴聞僧のいる(はずの)格子の向こうに指先をつきつける。長い黒髪、ブルーの瞳。黙ってさえいれば美人と思わせる彼女の名は、リサ・セルヴァージュ(ea4771)。告解にやってきた冒険者たちのひとりである。
「村人が善良なんて、ずいぶん贅沢な悩みじゃない。信心深い人ばかりなら喜ぶべきことでしょうっ。それを退屈だなんて嘆くのって、白の僧侶としてどうなの!」
「‥‥‥‥」
 沈黙。
「‥‥でね、ちょっと聞いてくれるぅ?」
 言うだけ言ったら気が済んだらしい。さっさと椅子に腰を下ろしてリサは唐突に語り始め、格子の向こうで誰かがこける気配。
「この通りおしとやかなあたしにも‥‥秘密があるの」
「ほう」
 気を取り直し聴聞僧が聞く体勢に入る。おしとやか云々はともかく、繰り返すがリサは黙っていれば若く綺麗な女性である。そんな彼女が『秘密』とくれば、僧でなくとも興味をそそられる。
「この間‥‥誰にも言えないような、はしたない真似をしてしまったの‥‥」
「ほ、ほほう」
 恥じらいに頬を染めるリサの言葉から一体何を想像したものか、さらに身を乗り出す僧侶。もじもじと視線をさまよわせる彼女を、続きが待ちきれないらしく熱っぽく一押しする。
「何を恥じることがありますか。どれだけ秘めていようと、神はすべてご存知であらせられる。その上で、あえて自らの咎を神に告白することで、あなたは秘密を持つことによって背負う桎梏から解放されるのですっ」
「そう‥‥そうね」
 詐欺師と僧侶は口がうまいとはよく言ったもので、意を決してリサは頷き、顔を赤くして話を続けた。
「この間、ある男性と一緒に冒険に行っているときにね‥‥誰にも内緒で」
 男性と。内緒で。
 急かしたいのをなんとか堪え僧侶は唾を飲み込んだ。
「キス‥‥しちゃったの」
「は?」
「きゃっ言っちゃったっ、なななな内緒よ!? ふしだらな女だと思ってくれてもいいわっ」
「つまり‥‥キスというと、唇と唇を、その」
「いやあっ改めて言わないでよっ」
 呆気にとられている僧を尻目に、異様に舞い上がったリサが身をくねらせた。
「あー、やっぱり秘密って体によくないわね。言ったらすっきりしちゃった。あ、お弁当作ってきたけど食べる?」
「‥‥どうも」
「ちょっと、聞いてる!? それで続きなんだけど、アリオスったらね‥‥」

 延々とのろけ話を続けるリサに丁重にお引き取り願い、次に来てもらったミケイト・ニシーネ(ea0508)は、もう長いこと告解のための席に腰かけたまま考えこんでいる。
「罪なんて大層なもん告白せえなんて、急に言われても困るわ」
「人は誰しも、罪を犯しながらさまよう子羊。その告白を聞き届け、神の名の元に罪科を洗い流すのが我らの役目です」
「なんや子羊て‥‥そんなこと言うてあんた、要するに人の不幸話聞きたいだけちゃうん?」
 ずばりとつっこまれ一瞬言葉に詰まる僧侶。
「こ、ここでの告白は決して俗世には流れぬもの。懺悔の内容は咎人と聴聞僧、ふたりだけの秘密です。あなたも遠慮なく、心にあるつかえを吐露するといいでしょう」
「‥‥せやなあ」
 まだ多少納得の行かない表情だったものの、ややこしい言い回しの多い僧の言葉は彼女の語学力では漠然としか理解できないようだ。思考に没入しかけたミケイトだったが、何か思いついたのかぽんと手を叩いた。
「あんな。うち、何かと勿体無いなぁーっと思う事ようあんねんけど」
「はい」
「どうも無駄遣いが好かんのや。せやから保存食ケチって冒険先で狩りしたり‥‥せなあかんのやけど、貧乏やと矢もろくに買われへんから悪循環や。使った矢はできるだけ拾ったりしてんねんけど、そんなんじゃ大物もよう狙えんし」
「‥‥はあ」
 どう考えても、懺悔というよりは愚痴に近い。相槌に明らかに期待はずれといった色をにじませる僧だったが、ミケイトはそんなことには欠片も気づかない。
「金のためにカマの尻まで追っかけまわしたこともあったしなー。あ、もちろん退治するためにやで?」
「‥‥か、カマ?」
「あー、なんちゅうか‥‥要するに変態や。イギリスではたまに見かけるで」
「おお!」
 神よ、と呟きながら、僧はその場で聖印を手に天を仰いだ。
「教えを守らず、摂理に反した姦淫を貪る人々ですか! かの国が、そのような恐ろしい者たちが跋扈するところだったとは」
「? まあ、せやな。恐ろしいと言えば、そうかもしれんわ」
 あんたが考えてるのとは多分別の意味で、とミケイトがつけくわえるのを今度は僧侶のほうが気づいていない。居住まいをただし身を乗り出して、格子の向こうの彼女に顔を近づける。
「くわしくお聞かせください。この世で実際にどのような罪が行われているのか、是非これを機会に知っておかねば」
「別にええけど、あんたも物好きなやっちゃなあ」
 というわけで、意図せずして刺激的な話を持ち込んでしまったミケイトと、田舎暮らしに退屈していた僧との接見は意外にも有意義に終わったらしい。

「身寄りのない子を‥‥捨てに‥‥行かなくちゃ、いけないんだ」
 ウリエル・セグンド(ea1662)の話の切り出し方はなかなかショッキングだった。皮鎧にマントという見るからに戦士風のいでたちの彼は、表情に乏しいこともあいまってどこか翳のある面差しに見える。
「おお‥‥」
 これこそ私の求めていた告解だ。僧侶は格子越しに感動にうち震え、首に下げた聖印を握りしめ祈った。聖なる母よ、この者の前に私を遣わしてくださったことを感謝します。かくなる上は彼をみごと、罪咎の苦しみから解き放ってみせましょうぞ。
 娯楽が少ないと人間ろくな刺激を求めない。
「どうか‥‥したのか?」
「いえ失礼。その子供というのは」
「飢えたり‥‥困ったりしている子を見ると、つい‥‥連れて帰ってきてしまうんだ」
 ふむ。この青年はこう見えて、根の優しい男のようだ。
「弱い命を救う行いは尊いと、聖なる母の教えも説いています。あなたは正しい」
「でも‥‥俺は‥‥まだ駆け出しだし、自分たちの生活で手一杯だし‥‥冒険者の仕事で頻繁に留守にするから。仲間も‥‥ちゃんと責任持って育てられないなら‥‥育てちゃいけない、って」
「なるほど。お仲間のおっしゃる事にも一理ありますな」
 同意すると、肩を落としていたウリエルがますますしょぼんとしおれてしまう。いかんいかん。私ともあろうものが、迷える子羊を更に落ち込ませてどうするのだ。あわてた僧は失言を取りつくろうべく、必死で頭を回転させた。
「しかしそのお仲間も、子を捨てて来いというのはひどい。もうすぐ無慈悲な冬がやって来るというのに」
「‥‥あの子が俺を‥‥見つめてくると‥‥胸が痛む」
「当然のことです」
「足元をまとわりついて‥‥信頼しきった目で、俺の顔を見上げ‥‥一心不乱に尻尾を振って‥‥」
「‥‥尻尾?」
「尻尾」
 僧が眉間に深くしわを刻んだのには気づかず、ウリエルはため息をついた。理屈ではわかっているのに‥‥と首を振る。
「子犬や、子猫を見かけると‥‥素通りできないんだ‥‥どうしても」
 この村で貰い手を捜してみてはいかがでしょうと、そう勧める以外に一体どうしろというのだ。

「懺悔って、よくわからないんだけど」
 ジャパン出身の和紗彼方(ea3892)は、首をかしげて格子の向こうにいる僧に不思議そうにたずねる。
「簡単に言うならば‥‥あなたの犯した罪、誰にもいえない秘密、そういったものを神の前に告白するのが懺悔です」
「ほへ?」
 言葉としては理解できるが、ジーザス教徒ではない彼方には感覚としていまひとつ遠い。たくさんの疑問符が貼り付いた彼女の頭は、いちばんわかりやすい形での理解を選んだ。
「つまり、お説教なわけなの?」
「‥‥過去に、何か罪を犯したことはございますか?」
「うーん。僕、昔からいい子だったからなあ」
 早々に理解させることを諦めた僧からの問いに、彼方はこめかみに指先を当ててぬけぬけと言う。
「そうだなあ‥‥魔法の稽古で失敗したのをそのままほったらかしにして逃げたとか、壷を壊したのを隠してたら、いつのまにかそれがお兄ちゃんのせいになってたとか、お稽古事をさぼって遊びに行ってたとか」
 それは果たして『いい子』と言えるのだろうかと僧は思ったようだが、それをつっこむ機会は訪れない。
「ま、子供のころは色々あったんだよ。あ、それと」
「何です?」
「これ、最近思うことなんだけど、怪物にも家族とかいて、普通に暮らしてるのかなあ。僕たちが退治したら、残された家族にとって、僕たちは仇になるんじゃないかな‥‥って」
「ほほう」
 興味をひく話題に、はじめて僧は彼女の顔を見直した。
「よろしい。そのことについては、ジーザスの教えにはまずこうあります。アダムとイブの子であるカインとアベルという兄弟のうち、祝福を受けられなかったカインは弟を妬んで殺してしまい、ためにカインの子孫は罪深きオーガとなってアベルの子孫を襲うように‥‥」
 こうして(はからずも彼方の言ったとおり)長い長い説教がはじまり、彼方はいつの間にかそれを子守唄にして居眠りをはじめていたという。

「次の方‥‥」
 どうぞ、と言い掛け、あやうく僧は椅子から転げ落ちそうになった。
 格子の向こうに座った人物は、頭からすっぽりと白い覆面をかぶっていたからである。視界を確保するため、ご丁寧に目と思われる部分にだけ小さく穴があいている。『怪しい』などという生易しい表現では足りないほど、不審な雰囲気ふんぷんである。
「わけあって、このような姿で失礼する」
「ど、ど、どうぞ」
 背が高くなかなか立派な体つきなので、刺激してはまずいと思ったのか僧はやっとそれだけを口にした。うむ、と覆面の人物は鷹揚にうなずき、聞かれてもいないのに話を始める。
「俺‥‥いや、私は神の御傍に仕え、神の剣として生涯を捧げると誓った身なのだが」
「ほ、ほう」
「実は先日、悪魔に唆され」
 僧がさすがに目をむくと、覆面男は首を振って、そうなのです、とその声に悔恨をにじませた。
「悪事を未然に防ぐためだったはずが‥‥いつのまにか強欲な悪魔の甘言に惑わされ」
「そ、それは由々しきこと」
「ああ、私も軽率だったと思っている‥‥悔いているのだ。しかし悪魔の誘惑は強烈で‥‥拒めなかった」
「誘惑というと‥‥一体どのような手立てで!?」
 冒険者でもないほとんどの僧にとっては、悪魔との戦いなど無縁なものだ。恐る恐る問われ、それまで落ち着いていた覆面の下の声に急に狼狽が入り混じった。
「あの甘やかな香り‥‥い、いや、そうではない。その、実に胸は柔らかく‥‥ああっ、そうでもなく、な、何というべきか」
「つ‥‥つまり、肉の誘惑ですな!?」
「に、肉‥‥!?」
 といっても兎肉の煮込みだの鳥の丸焼きだのという意味ではなく要するに『姦淫』ということなのだが、神の剣を標榜するだけあり言わんとすることはすぐに察したらしい。何故かというと。
 白い覆面の中央の隆起した部分、おそらく鼻周辺と思われる箇所に、点々と赤い血の染みが。
「うわあああ!?」

 僧の叫び声が上がり、狼狽して覆面の男が告解部屋から飛び出してきた。ぴったりと部屋の壁にはりついて聞き耳を立てていたらしい、リサやミケイトと覆面ごしにばっちり目が合う。
 とっさに壁から離れたふたりの耳のあたりにはなぜかコップの跡が残っていた。なぜか覆面の真ん中にひろがっている赤い染みを見て、アルテミシア・デュポア(ea3844)が眉根を寄せる。
「その鼻血‥‥もしかして」
「で、出たな悪魔ッ」
 動揺した覆面男にかまわず、アルテミシアが飛びかかった。素早さでは彼女のほうが上だ。あっという間に覆面をめくりあげてそのへんに放ると、そこにはアルテュール・ポワロ(ea2201)の顔がある。
「やっぱりポーちゃんだ‥‥ポーちゃん、黒派の信者のはずでしょ。なんで白の教会で懺悔してんの?」
「そ、それは‥‥ッ」
 素朴な疑問をそのままぶつけるアルテミシア、痛いところをつかれ口ごもるアルテュール。
「ははーん、それでその覆面か。ねね、ポーちゃん? お願いがあるんだけど」
「お願い、だと?」
「そう、お・ね・が・い」
 意味ありげに繰り返され、アルテュールはぐっと言葉に詰まる。上目遣いに見上げてくるアルテミシアから、なぜか目が離せない。瞳に激しい葛藤をのぞかせたのち、彼はそれを振り切るように叫んだ。
「‥‥その手には乗らんぞ、悪魔め!」
 視線をむりやり引きはがし、クルスソードを握りしめ完成させた魔法はミミクリー。
 ‥‥が発動しない。
「あ、あれ? おかしいな。やっ。えいっ」
「‥‥神様が怒っちゃったんじゃないの? 黒派の信者のくせに、白の教会で懺悔なんかしてるから」
「ああっ、しまったあっ」
 アルテュールの信ずるのは『大いなる父』だ。ジーザス教では白派の『聖なる母』とおなじく、神の持つ顔のひとつと言われている。どちらを信じているかで宗派はきちんと分かれており、神にふた心なく仕えるものにこそ魔法の恩恵は顕れる。信仰の対象であるはずの『大いなる父』をさしおいて『聖なる母』に懺悔というのは‥‥まあ、神の僕としてちょっと、どうだろうか。むろん行いさえ改めれば、おのずと奇跡の力も戻ってくるはずではあるが。
「これからはちゃんと自分の神様に仕えないと、いつか本当に見放されちゃうわよー。せっかくロバに化けてもらおうと思ってたのに、ちゃんと信心を取り戻してもらわなきゃ、あたし困っちゃう!」
 アルテュール言うところの『悪魔』であるらしい当のアルテミシアは、手前勝手な理屈をどこまでも披露しながら、ショックのあまりまっしろになったアルテュールをどこかへ引きずっていく。
 その後彼がどうなったかは、報告に関係ないことなのであえて伏せておくが‥‥げに、悪魔よりも真に恐ろしいのはなにかということを、アルテュールはつくづく悟った、らしい。