もしも願いが叶うなら‥‥
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■ショートシナリオ
担当:瑞保れん
対応レベル:1〜5lv
難易度:やや難
成功報酬:1 G 94 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月12日〜06月19日
リプレイ公開日:2005年06月20日
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●オープニング
始まりは、去年の春。キャメロットを暖かな風が包む、そんなある日。
1人の吟遊詩人の青年がこの町にやってきたのが全ての始まりだ。
「麗しき花よ〜♪ 芳しき薫り〜♪ 私の心を狂わせ酔わせる〜♪」
リュートの音色に美しい歌声が、キャメロットの酒場を彩った。そしてその姿も人々を惹きつけた。
サラリと頬を流れる銀色の髪、涼しげな切れ長の目元、どことなく鋭く光るシルバーグレーの瞳、細すぎずしかし肉のつき過ぎていないがっしりとした肩、スラリとした長い足‥‥。スッと長い指は楽器に携わる者独特のしっかりとした作りをしており、その指が数々の音色を奏でていく。
美形の吟遊詩人現る!
その噂はあっという間に広まっていく。
キャメロットの女性は彼の歌に、姿に、そして言葉に酔い、そして彼に心を奪われて‥‥。
そこで問題が1つ。
困った事に‥‥彼はプレイボーイであった。それも、かなりの浮気者。しかも、人でなしレベル。
その後、彼が数々の女性と恋の時間を送り‥‥そして修羅場も送り。血を見る出来事があったとか、なかったとか‥‥。
まあ、そこまではまだ良かった。
彼にすっかい溺れて、全身全霊捧げる者が現れる人間が現れるまでは。
「春も終わる頃になると、彼は貴族は商家などに招かれるようになってね。性格はともかく、彼は腕の良い吟遊詩人には違いなかったから。それで、ある貴族の家で問題が起きたの」
受付嬢の言葉に、話を聞いていた冒険者が口を挟む。
「どうせそこの貴族の娘や奥方が吟遊詩人と‥‥なんてパターンだろ?」
「ああ、おしいな〜。近いんだけどねえ‥‥」
俯き加減に溜息をつくと、ふっと顔を上げて受付嬢は遠い目をした。
「娘だったらまだ良かったんだけど‥‥‥‥息子だったのよね〜」
もう1つ、彼には問題があった。
彼は‥‥女も男も‥‥どっちもいけたのだった。
成人して間もない貴族の息子は、彼に恋に堕ちた。一目惚れだった。その気持ちに戸惑いながら、吟遊詩人に近づいていく。
美青年というより、まだ美少年といった面影の彼の姿に、吟遊詩人の心も動く。
2人は自然に親しくなり、あっという間に関係ができて、その上に‥‥。
「息子さん、吟遊詩人を追っ掛けて家でちゃったのよ」
なるほど‥‥。
お約束だな、といったように皆一斉に頷いた。
「彼はそのまま、吟遊詩人の下に身を寄せてね。最初は何度も連れ帰したようなんだけど、その度に出て行って。吟遊詩人を何らかの罪で捕まえて‥‥なんて荒っぽいのも考えたそうなんだけど、彼は他の貴族の家に出入りするくらい有名になっていたので、変な噂が立つのも嫌がってそれもできなかったみたい。仕方ないから、暫く静観して、熱が冷めるのを待つ事にしたんだけど‥‥」
受付嬢は言葉をとめると、苛立ったように机を指で叩く。
「1年たっても熱は冷めない上に、彼に尽くしまくっちゃてさ〜。それをいい事に吟遊詩人は遊んでばっかで。毎日酒場で飲んで遊んで‥‥勿論浮気もね。そんな状態なのに息子さんは彼を信じて、その遊び金と生活費を稼ぐのに、慣れない酒場の水仕事とかやってるらしいの。それでも生活は苦しいらしく。綺麗な男の子だしねえ、この状態が続くと‥‥」
客を取り出すような場所に言ってしまっても不思議ではない‥‥という事だろう。
「その現状を見て流石に家の方も何もいえなくなって。でも、家の話には息子さん全く耳を傾けなくて、無理やり連れて帰っても火に油を注ぐ状態。そこで冒険者さんにご相談ってわけよ」
「息子さんを恋の束縛から解放してちょうだい。信じきちゃってるみたいだから、失望させればいいと思うんだけどね‥‥」
●リプレイ本文
「おそらく、恋に恋した状態ですね」
セレニウム・ムーングロウ(ea2153)は、ふむりとばかりにそう呟くと、情報収集の為にある酒場にむかう。
現実を正しく認識させる為には、多少の荒療治も必要‥‥。彼の考えは、ほぼ他の冒険者も同意していた。
ユーリーの目を覚ます。
噂の吟遊詩人ケイオスの所業を見れば、絶望するのも簡単だろう‥‥、そう皆、簡単に思っていたのかもしれない。
しかし、恋の炎というのは簡単に消えない。だから、面倒くさいのだ。
* * *
セレニウムは、ユーリーの働く酒場や、二人の住む長屋の近所、それにケイオスの出入りする酒場等で聞き込みをした。店の者も気さくに答えてくれたし、ケイオスの商売仲間の吟遊詩人のも酒をおごると簡単に答えてくれた。
一言でいえば『何も知らない坊ちゃんと、それを良い様にするダメ男』。ギルドで聞いた内容とほとんどかわらない。
ユーリーは、仕事熱心で不器用ながらもコツコツと働く。決して人付き合いが良いというわけではないが、その健気な姿が店でも好意的に思っている人が多いらしい。ちなみに、彼の身の上を知っている人間はいなかったが、ケイオスといや‥‥吟遊詩人としての腕はいいのだが、その後がいけない。女好きの節操なし。美人で可愛いお嬢さんがいたら口説かずにいられない。そのうえ、人一倍プライドが高い。仕事上でもトラブルがあったらしい。仲間に言わすと「人生全部投げきってるタイプだな」と、いうことだ。
ユーリーはそんなケイオスでも献身的につくす。周囲の人間も何度も忠告しているのだが、やはり側にいるらしい。ケイオスはそれを当然のように思い、ユーリーが自分から離れるなんて思ってもいないようだ。
「なっさけない吟遊詩人ね」
ミューツ・ヴィラテイラ(ea7754)はセレニウムの話しを聞き、呆れたように溜息をつく。
彼女も自称『恋多き女』。しかし、その恋につけこむような事はしない。彼女はそう心で呟く。
「では、自分はユーリーと話しできるように接近してみましょう」
辻篆(ea6829)の言葉に皆が頷く。
「御願いする。さて、ケイオスの方はっと‥‥」
セレス・ハイゼンベルク(ea5884)が首を傾げると、ゼザ・ウィンシード(ea6640)がそれに答えた。
「とりあえず、ユーリーに取り次いで、それから浮気現場を見せるようにしたらいいんじゃないのか? どうせ叩けばホコリが出る奴だ。すぐに尻尾は捕まえらるだろう」
「私もケイオスの遊ぶ場所は大体調べてますので、多分すぐわかると思います」
セレニウムもゼザの言葉に、同意するようにいった。
その時、ケイオスに対し物騒な行動が起されようとしてる事を、彼らは知っていたのだろうか?
「なんか苦労しているみたいだけど、色々と相談に乗るよ?」
篆は疲れた顔で皿を下げる青年に、笑顔で声をかけた。どことなく気品が漂う美青年‥‥そう、彼が話題の人ユーリーである。
この酒場に出入り始めて4日ぐらいになる。セレニウムの情報収集と同時進行で、ユーリーの働くこの場所で歌を歌って稼がせてもらっていたのだ。彼女の歌う異国の歌は好評で、ユーリーも興味深く見てくれていたらしい。なので、言葉を交わすようになるのも時間はかからなかった。
「‥‥苦労‥‥。誰かから何か聞いたのかな?」
ユーリーは苦笑いを浮かべながら、篆に答える。
「ごめん、気を悪くしたか?」
「いや‥‥。皆言ってるから、もう気にもならないよ」
気丈に振舞うユーリー。
でも、やはり表情は冴えない。己の心の中で迷いもあるのかもしれない。
「悩みを心に抱えたままにしておくと、身体にも良くないし、解決するものも解決しないよ」
ユーリーの肩をポンと叩き、突然誰かが話しかけてきた。首を傾げるユーリーに、肩を叩いた男セレスはにっこりと笑いかける。後ろには、セレニウム、ゼザ、ミューツ、バルタサル・デ・コレア(eb2599)も共に現れた。
「自分の友人だ」
篆はそういって、セレスに紹介する。
突然知らない人たちが自分の周りを取り囲んだので、ユーリーは目を丸くさせた。
「ずらずらと大人数押しかけてごめんねぇ?」
ユーリーの緊張を解くように、ミューズは小首を傾げながら柔らかい笑顔で話しかける。
冒険者と名乗るときっと警戒されるだろう。そう思い、名乗ることはやめた。
「友人達はユーリー殿の良い相談相手になってくれると思う。もちろん私も含めてだが‥‥」
しばらくはユーリーも突然大挙してきた手段に困惑気味であったが、とりとめのない話をしていくうちに、ポツリポツリと今現在の内情を話し出した。
今の恋人との事、一緒になる為に家を飛び出して来た事、そして今の生活。お金が足りない、とも話してくれた。最後は、自分の身体を売る事も考えていると‥‥。
そんなユーリーにセレスは静かに話しかけた。
「誰かを想う気持ちというのは、自分ではどうしようもないよな。俺も痛いほど分かるし、その想いは尊いものだと思う。だが彼は酒や遊びに金を浪費し、浮気までしているとのこと‥‥」
『浮気』という言葉にユーリーの身体がピクリと震えた。
「知らなかったのか?」
ゼザの問いかけに、ユーリーは答えない。ただ、俯いてじっと身を硬くさせている。
「好きという気持ちは誰にも否定できない。だが、あなたは見たくないものに対して目をつぶっているんじゃないのか?」
多分‥‥気づいているのだろう。
ゼザにはそう思えた。浪費も浮気も、わかっているのに別れたくない一身で我慢していると‥‥。
「それに、ユーリー殿のお相手は今、駄目な状態であるのではないのか? 仕事もせず、才能を朽ちさせていくのはどう思う?」
セレスはじっと聞いているユーリーに、ゆっくりと問いかける。
「そんな人間が世間からどう見られるかは分かるだろう。それを助長しているのが、他でもない貴方なんだぞ‥‥。好きな人が悪い様に言われて、嬉しいか?」
セレスの言葉にユーリーは顔をあげた。そして、小さく、
「僕の‥‥せい?」
と呟いた。
今までは自分が全部我慢していればいい‥‥そう思っていた。
「厳しい言い方かもしれないが、一方的に尽くすだけのものを『愛』とは呼ばない‥‥それに気づいて欲しい」
セレスが静かに言ったのを聞いて、ユーリーはじっと考える。少し時間を置いて、彼は顔を上げた。
「彼は‥‥ケイオスは本当に僕を‥‥好きなのかな‥‥」
消えそうな声で。今にも泣き出しそうな声で。
誰かに尋ねるわけでもなく、ただ呟いた。
きっと今まで胸に秘めていた言葉だろう。
「そうね、彼の愛を確かめるが一番ね」
ミューツはその言葉を引き出せた事に満足したように、笑みを浮かべた。
今まで黙っていたバルタサルもセレスの通訳で、己の言葉をユーリーに伝える。
「ジーザスの教えにより男性同士は結婚できない。ケイオスの気持ちが確かだったとしても困難も多かろう。ケイオスを交えて話しをし、二人の将来の事を考えないとな」
セレスの訳で多少伝わり方が変わったかもしれないが、大まかの意味はユーリーに伝わったらしい。
「辛い結果になるかもしれないけど‥‥よろしいですか?」
セレニウムの言葉に、ユーリーは頷いた。
「覚悟は‥‥しました」
薄い唇をキュッと結ぶ。今までの不安げな臆病な姿ではなく、強い意志を感じる瞳だ。
この青年もこんな顔をするんだ‥‥。
皆がそう感じた時だ。
1人の男が、酒場に血相を変えて飛び込んできた。そして、ユーリを見つけると、慌てて側に駆け寄ってきた。
「たっ! 大変だ!!」
「どうしたの?!」
「ケイオスさんが‥‥襲われて怪我を!!」
ユーリーの顔が一瞬で真っ青になる。そして立ち上がると、すぐさま店を飛び出た。
冒険者達も慌てて後を追った。
* * *
「あれがケイオスね?」
メイリア・インフェルノ(eb0276)は仲間達が仕入れてくれた情報を元に、ケイオスが良く遊びに来る酒場に詰めていた。
店の中央のテーブルで、女達を数人はべらせて酒を煽る長身の銀髪の男‥‥。涼しげな瞳な端整な顔立ちは、確かに女達を虜にさせるだろう。
「まったく、どうしようもない奴だな」
メイリアのはす向かいに座ったクラウ・レイウイング(eb1023)は、ケイオスの様子を見て不愉快そうに悪態をついた。
女達の背や腰に手をまわし、甘い言葉を吐き、時には髪をなで、時には唇をよせ‥‥やりたい放題だ。
こんな状態をユーリーに見せたら、簡単に愛想なんてつけるだろう。
しかし、彼女達の方向は別の方向に向いてしまう。
「ここは穏便に‥‥別れを切り出してもらいましょうね」
メイリアは、そんなケイオスの光景を笑顔で見つめていた。
ほろ酔い気分のケイオスは、酒場を1人でていく。
もう金が尽きた。
夜の道を歩いていると、1人の女が近づいてきた。「お、巨乳じゃん」とか、そんな暢気な事を考えていたケイオスの背後に周り、突然首筋に小柄をあてた。
突然の女の行動に、ケイオスは言葉を失う。嫌な汗が背中から流れた。
「ユーリーさんと‥‥別れていただけませんか?」
状況とは全くアンバランスな、おっとりとした口調に少しだけケイオスの気が抜けた。しかしさっき素早さといい、只者ではないだ。
「へっ、脅しってわけかい?」
多分、ユーリーの家の回し者だろう。
「‥‥一瞬で逝かせてあげますよ?」
物騒な事をいう女‥‥メイリアに、ケイオスを手をあげる。
「おいおい、勘弁してよ〜」
「あら、物分りがいいのね?」
「ああ‥‥僕も命は惜しいし。もうあの坊ちゃんのお相手は疲れたから」
平然と答えるケイオスに、メイリアは呆れたように溜息をついた。まったく‥‥この男ここまで腐っているのか。
「‥‥まあいいわ。その言葉二言はないわね」
「ないない! 全然ない!」
メイリアが小柄をはずすと、ケイオスは慌てて逃げ出した。そしてクルリと振り返り、
「でも、あの坊ちゃんが納得するかな〜? 何せ惚れきってるから、僕に」
と、笑いながら手を振った。
「な?!」
どことなくバカにした態度。
顔色が変わったメイリアが追いかけようとする前に、ケイオスは駆け出していた。
しばらく逃げ、後ろを振り返り、誰もついてこないのを確認する。ほっと胸を撫で下ろしたその時だ。
「逃がさんぞ」
すっと、レイピアがケイオスの胸の前を遮った。
恐る恐る顔をあげると、そこには金髪の女が立っていた。
「私は不誠実な人間は嫌いだ」
そう言い切ると、女‥‥クラウは、ケイオスの胸倉を掴んだ。
「ユーリーと別れろ。別れなければ始末する。お前の口から直接言うのだ」
クラウはそう言って、ケイオスを壁に投げつけた。衝撃で、ケイオスの苦痛のうめきがあがる。大分痛めつけられたようで、口端から血をだしている。
そうしていると、メイリアが駆けつけてきた。
「あら〜、やっちゃいましたかぁ〜」
半分伸びたケイオスを見て、ちょっと困ったようにメイリアは言った。
「少し叩きのめしてやっただけだ」
「‥‥少しって」
細腕の吟遊詩人が、傭兵あがりの冒険者に闇討ちかけられて、少しの怪我ですむと思っているのだろうか‥‥。
まあ、もう終わってしまったら仕方がない。
クラウの言葉にケイオスは何度も頷いている。多分‥‥ユーリーとは別れてくれるだろう。
そう思いながら、二人はその場から立ち去った。
* * *
怪我をしたケイオスは偶然にも友人に発見され、家に運びまれた。幸いにも大事には至らない程度らしいが、かなり殴られたようであった。
「ケイオス!!」
駆けつけたユーリーの声に反応するかのように、ケイオスは閉じていた目を薄っすらとあける。
酒場にいた冒険者達も、ユーリーを追いかけ今部屋の戸口で中の様子を見ていた。
半泣き状態のユーリーの顔をじっと見つめると、ケイオスは微かな声で呟いた。
「お前のせいだ‥‥」
突然の言葉に、ユーリーの表情が凍った。
「お前のせいでこんなになったんだ‥‥」
「何を‥‥言ってる‥‥の?」
「別れろって言われたよ‥‥お前と。そうしないと殺すってさ」
「な‥‥?!」
ケイオスは、痛む身体を堪えながらゆっくりと身体を起す。
「出て行け‥‥俺は殺されるなんてまっぴらだ‥‥」
「ユーリー!!! 僕は!」
ユーリーの目から涙がこぼれる。
「お前がいなきゃこんな事にならなかったんだよ!!」
ユーリーに罵倒を浴びせるケイオスに、我慢できなくなりミューツが声をあげる。
「いい気になってるんじゃないわよ! 貴方が彼の恋心につけこんで今まで好き勝手にやってきたんでしょ? それを自分が痛い目にあったからって!」
しかし、その言葉にも耳を傾けることなく、ケイオスは怒鳴り続ける。
「五月蝿い!! お前らに何がわかる! そうか‥‥お前らもユーリーを連れ戻しにきたんだな。ああ、勝手に連れ帰ってくれよ! もうこの坊ちゃんは迷惑なんだよ。もううんざりだ!!」
「お前っ!」
あまりに酷い言葉‥‥。冒険者達は言葉を失う。
「ケイオス‥‥僕がいけないの?」
ユーリーは呆然とケイオスに尋ねる。涙の零れる瞳はガラス球のように色がない。
「ああ‥‥。もう‥‥お前が側にいられるのは‥‥ウンザリなんだ」
ユーリーと冒険者はその後、無言のままに家を出た。
長屋の2階にある二人の部屋にはぼんやりと明かりがついていて、窓からただ遠くの空を見つめているケイオスの姿があった。
ユーリーはじっとその姿を見つめていたが、それに気がついたケイオスが直にカーテンを閉めてしまった。
ユーリーは溜息を一つつき、冒険者を振り返った。
「僕は家に帰りません」
強くきっぱりとした口調でユーリーが言った。
「ケイオスの所にも‥‥戻りません‥‥戻れません。でも、僕は‥‥、こんな方法で僕を引き戻そうとする考えには同調できません。だから‥‥」
ユーリーは冒険者たちに、深く深く頭を下げる。そして顔を上げたユーリの目は、強い意思を持った者の目であった。
その後‥‥ユーリーは冒険者に別れを告げ、どこかに消えていった。
ユーリーがどこにいったかはわからない。
ケイオスは襲われた事を、役人達に届けることもなかったのでこの話は表にでることはなかった。
ユーリーを家に戻すことはできなかったが、口止め料の意味もこめ、依頼主からはそれなりの報酬が冒険者たちには与えられた。
−END−