【D or A】狩人狩り
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■ショートシナリオ
担当:BW
対応レベル:1〜5lv
難易度:難しい
成功報酬:1 G 29 C
参加人数:9人
サポート参加人数:3人
冒険期間:05月19日〜05月26日
リプレイ公開日:2005年05月30日
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●オープニング
闇に身を潜め、人々を恐怖に陥れる犯罪者や魔物達‥‥。
彼らは時として、賞金首として指定される事がある。
そしてその中でも、一部の賞金にはこういった条件が付く。
『生死を問わず』
それは、対象の罪の重さを示す証。
だが時にそれは、対象の実力を‥‥その対象を追う事が、いかに危険かを示す証でもある。
「こ‥‥んな‥‥はず‥‥は‥‥」
呟いた戦士の目に映るのは、己が血で染まった大地‥‥。
「あ〜あ。つまんねえ奴ら。少しは、俺様を楽しませろっつうの」
薄れ行く意識の中、聞こえてきたのは、一人の男のそんな言葉。
「いいじゃないですか、リガルさん。おかげでこっちは楽に仕事ができたんですから」
今度は又、別の男の声が聞こえる。
「見てくださいよ。こいつら、結構良い品を運んでたみたいですぜ」
――ガダッ。ゴソッ。
大きな音がする。おそらくは、連中が戦利品を確かめているのだろう。
「おい、お前ら。ちゃんと金目の物は全部拾っとけ。そこでくたばってる連中の武器も忘れるんじゃねぇぞ」
既に指一本動かなくなった身体で、戦士は自分に問いかけた。
何故、こんな賊に‥‥。
自分には、周囲からプロと称されるだけの剣の実力があったはずだ。
どんな盗賊に襲われようと、返り討ちにしてみせる自信はあった。
だが、今この地に倒れているのは自分と、その仲間達‥‥。
「あ? 何だこいつ、まだ生きてやがったのか」
目の前に、先程リガルと呼ばれていた金髪の男が立つ。
――ドシュッ。
放たれた矢が、己が身を貫く音。
それが、戦士がこの世で最後に聞いた音だった。
――後日、冒険者ギルド。
「依頼の内容は、森に出没する盗賊団退治です。依頼主は、その盗賊達の被害に逢った商人達で、最低限の報酬は既に用意されていますが、冒険者の働きに応じて、それ以上出すそうです」
「出来高払いってやつか。‥‥その盗賊って、どんな奴らなんだ?」
興味を持った冒険者の一人が、係員にそう訊ねる。
「腕利きの弓の使い手の集まり‥‥。それも、中には精霊碑文学に通じ、魔法の罠をしかける者もいるとか‥‥」
その話を聞き、周囲にいた数人の冒険者が難しい表情を浮かべる。
「‥‥厄介な相手だな」
「確かに、難しい相手とは思いますが‥‥」
敵の武器は弓。フィールドは森。そして、魔法の罠。
知恵と力。双方を併せ持った冒険者でなければ、相手の一方的な攻撃に為す術なく敗れる事になりかねない。
だが、その戦い方が分かっているのなら、対策を練る事は可能だろう。
果たして、冒険者達はこの盗賊団にどう立ち向かうのだろうか‥‥。
●リプレイ本文
彼らは待っていた。
新たな獲物を。
降り注ぐ死の雨の、次なる生贄を。
息を殺し、足音を忍ばせ、じっと目を凝らして‥‥。
だが、彼らはまだ知らない。
今日、その森に足を踏み入れた者達もまた、狩人であるという事を‥‥。
お互いの手にロープを渡しあい、隊列を崩さぬように注意を払いつつ、冒険者達はゆっくりと歩を進めていった。
迷宮化の魔法でもかけられていたのか、道中では突然に、森の中で進むべき方向を見失った者が何人か出たが、ロープで互いを結んでおいたおかげで、迷ったりはぐれたりするという事はなかった。そうしてしばらく歩く。
その間にも、倉城響(ea1466)とメイリア・インフェルノ(eb0276)は敵の姿を探している。
「何か感じますか?」
「いいえ。念のため、魔法も使ってみます」
光、音のいずれにも異常を感じる事ができなかった二人。メイリアはすぐに『デティクトライフフォース』での探査を試みる。だが、反応はない。弓の射程を考えると、彼女の探査できる範囲まで敵が近づいてくる可能性は低いかもしれない。
「では、私も‥‥」
ナーシェ・ルベド(eb0988)が『ブレスセンサー』でより広い範囲を調べてみると、今度は幾つかの反応があった。
「少し離れてはいますが、向こうの方に二人と、それからそちらにも一人‥‥あ、今、あちらの方にも一人隠れているようです」
そうナーシェは言ったが、冒険者達はまだ、実際に敵の姿を見つける事ができない。
おそらく、相手の技能がそれだけ高いという事だろう。
何とか敵の姿をその目に捉えたいが、どうしたものかと悩む冒険者達。
そんな中‥‥、
「俺は夜十字信人!! 義に生き、義に死す侍‥‥って、うおあっ!?」
声高に叫んだのは夜十字信人(ea9547)。
すると、四方から放たれた幾多の矢が、彼女を貫こうと一斉に飛来した。
同時に、危険を察知した燕紅狼(eb0966)が信人を首根っこをひっ掴んで隊列の中に引きずり戻し、飛んできた矢に向かって軍配を掲げ、信人の身を守る。
紅狼が防ぎきれない矢は、セレナ・ザーン(ea9951)が頑強な鎧を纏った己の身を盾にして防いだ。
「何をやってるんだ!!」
「‥‥悪い。いや、でも名乗りくらいは‥‥」
「まあまあ。信人様のおかげで敵の姿は確認できましたし」
矢が放たれた瞬間、セレナの目は確かにレンジャー達の姿を捉えた。
だが、彼らはまたすぐにその姿を森の木々の陰に隠してしまう。
「よし、俺が囮になろう」
信人は再び隊列の前方に出ようとする。確かに、身につけた武具は両手に持った小太刀のみという彼女であれば、敵にとっては格好の標的だろう。今さっき集中して狙われたのも納得だ。
「矢には何も塗られてはいないようです‥‥。何とか、やれるかもしれませんね‥‥」
敵の放った矢を拾い上げ、ヴァレリア・ロスフィールド(eb2435)はその鏃を確認しながら言った。
だが、毒の心配がなくなっても、それで全ての不安な要素が消え去るわけではない。
弓の射程を考えれば、敵の姿を捉えてすぐに接近できるとは限らないし、傷を癒すための回復も考慮に入れれば、仲間達から離れ過ぎるわけにもいかない。
おそらく、信人にできるのは囮も囮、完全に敵の攻撃を受ける的だ。
「‥‥となると、攻撃の要は私か」
ネイ・シルフィス(ea9089)は少し緊張した表情を浮かべる。遠く離れた位置にいる相手に、瞬時に攻撃できるのは彼女の魔法だけ。
「なら、攻撃の飛んでくる方向は絞った方が良いですね。それは私に任せて下さい」
すぐに、バーゼリオ・バレルスキー(eb0753)が魔法の詠唱に入る。
ほどなくして、敵と自分達の間の視線を塞ぐため、全ての光を飲み込む漆黒の闇の空間、『シャドゥフィールド』が次々に生み出される。
これで、敵がこちらの姿を捉えられる範囲はかなり絞られる。また、敵がこちらの姿を確認できない以上、魔法による攻撃を受ける可能性も激減した。
「まだ、向こうが何か罠を仕掛けている可能性もあります。皆さん、注意して下さい」
周囲の地面を調べながら、ヴァレリアが仲間達に警戒を呼びかける。
お互いの動きを探りながらの、静かな戦いの始まりだった。
「なるほど。ただの力馬鹿どもよりは楽しめそうだ」
遠く離れた位置より、冒険者達の動きを伺いながら、リガルはそう呟いた。
「どうします? 奴ら、こっちの動きを待ってるみたいですが‥‥」
仲間のレンジャーの一人がリガルに近づき、指示を仰ぐ。
「そうだな‥‥。放っておけば、向こうの魔法使いの奴に限界が来る。それを待って視界が戻ってから‥‥なんてやり方もあるが、そんなのは俺の性に合わねぇ。しかし、見える場所から近づけば相手の思うツボか。‥‥だが、手はある」
不適な笑みを浮かべ、リガルはこっそりと仲間の一人に指示を出した。
「前方の茂みに隠れている敵に、動きがあります」
「ぐっ!?」
ナーシェが告げた次の瞬間、囮として先頭に立っていた信人の肩に、敵の放った矢が深々と突き刺さる。敵の動きを事前に知らされ、姿を確認してなお、弓の攻撃はそれなりの身のこなしを持って対しなければ、かわすのは難しい。
「離れてておくれ! いくよ!!」
傷を負いつつも瞬時に身を伏せた信人の影から、姿を見せたのはネイ。弓に矢を番える敵の一瞬の隙をついて、ネイのその手より放たれるは閃光の雷、『ライトニングサンダーボルト』。
――バシュッ!!
「がああっ!!」
電撃にその身を貫かれ、叫びを上げる敵のレンジャー。
すぐに身を隠されてしまったが、与えたダメージは小さくはないだろう。
「この調子なら‥‥えっ!!」
戦いの流れを自分達に有利にできたと、そう思った響の頬を、一本の矢が掠めた。
それは、バーゼリオの発生させた『シャドゥフィールド』の向こう側から飛来したもの。
「なっ‥‥!? どうして!!」
これに一番驚いているのは、やはりバーゼリオ自身だ。敵の狙いそうな射線は完全に塞いだと思っていたのだから当然か。
だが、その疑問はすぐに解消された。
――ヒュン!
闇の中を抜けた矢が、冒険者達のいない、全く明後日の方向に飛んでいく。
――ヒュン、ヒュン!
次の矢も、その次の矢も‥‥。
だがその次、
「きゃあ!!」
――ッカン!!
「くっ!」
間一髪、危ういところでメイリアに飛んできた矢を、紅狼が軍配で受け止めた。
「‥‥そういう事ですか。皆さん、陣形を崩さないように注意を‥‥うっ!!」
何かに気づいたらしいヴァレリア。だが、その彼女の足を、やはり暗闇を抜けてきた敵の矢が貫く。
「どういう事ですか?」
セレナが訊ねると、ヴァレリアは突き刺さった矢を激痛に耐えながら引き抜いて、そして答えた。
「確かに私達の姿は向こうから見えません。けれど、この人数で固まって動いているんです。当てずっぽうでも数を撃てば、少しは当たる可能性もあるという事です」
矢の補充さえあれば、放れたところから幾らでも攻撃できる弓矢だからこその戦術。
魔法で反撃するにも、こちらも暗闇に視線を遮られているのは同じ。いや、使える回数にかなり限りがある分、冒険者達が圧倒的に不利だと言ってもいい。
「くっ‥‥こちらの魔法を逆に利用されるとは‥‥」
予想外の敵の策略に、バーゼリオは苦い表情を浮かべる。
「かといって、慌てて動けば今度は狙い撃ちにされます。今は耐えて、何か策を‥‥」
響がそう言ったが、彼女自身も、仲間達にリカバーをかけるヴァレリアを身を呈して庇うので精一杯の状態。
敵の矢と、味方の傷を癒す回復薬との不毛な消耗戦が続く。
やがて、冒険者達の目の前で、『シャドゥフィールド』の一つが消滅した。効果時間が切れたのだ。
「く‥‥。こうなったら、一か八かだよ。皆、今から私の言う事、よく聞いて」
言ったのはネイ。残された僅かな時間に、彼女が提案した賭けとは‥‥。
一方、次々に消えていく闇の空間を見たリガル達は一斉に弓を構え、最後の攻撃の準備にかかっていた
「さあ、仕上げだ。お前ら、しっかり狙ってやれよ」
余裕の笑みを浮かべながら、冒険者達の姿が見えるのを待つリガル達。
「はああーーー!!!」
「何!?」
突然に視界に飛び込んできたのは、消える寸前の闇を抜け、駆けてくる信人と紅狼の姿。
「そんなに早死にしたいか!! なら、お望み通りにしてやるよ!!」
しかし‥‥、
――バシュッ!! バシュッ!!!
「がっ!? ‥‥ぐあああっ!!!」
矢を放とうとしたその瞬間、リガルもまた、突然の雷撃にその身を貫かれた。
しかもそれは、驚異的な速さで放たれた連続魔法攻撃。
「こいつが、あたしのとっておきだよ!」
不意の出来事で、突っ込んでくる二人に気を取られた隙を狙い、ネイが高速詠唱を用いたのだ。
「リガルさん!? ちいっ!!」
リーダーがやられた事で、他のレンジャー達が一斉に逃げ出し始めた。
だが、逃亡を始めた者達の中で、判断の一瞬遅れたレンジャーが二名。
「‥‥是も仕事でな‥‥。悪いが、容赦はせんぞ」
「この間合い‥‥貰った!!」
――ザシュ!! ズサッ!!
「がはっ!!」
「ぐおああ!!」
紅狼の龍叱爪と信人の小太刀。それぞれの武器が敵を捉えた。
「誰一人、逃がすわけには‥‥」
「いえ、深追いは危険です」
逃げた敵を追いかけようとするセレナを、メイリアが止めた。
追いかけるにも、ここは相手にとって庭も同然。下手に追いかけても、捕まえられる可能性は極めて低いだろう。
その間に、ナーシェは紅狼の攻撃で重傷を負った敵の一人をロープで捕縛した。
「くっ‥‥。こんな奴らに‥‥」
「さあ、盗んだ品物の在り処、教えていただきましょうか?」
――後日、冒険者ギルド。
捕縛、あるいは撃破した盗賊は計三名。これにより、各自に金貨三枚が追加報酬として渡された。
なお、盗賊団の首領を倒した最大の功労者であるネイには、特別報酬として敵が所持していた物品の一部が渡されたとの事である。