魔の影とシフール

■ショートシナリオ


担当:長谷 宴

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 48 C

参加人数:8人

サポート参加人数:3人

冒険期間:01月06日〜01月12日

リプレイ公開日:2007年01月17日

●オープニング

「‥‥あ、こんにちわ! また何かあったんですか、ヤーンさん」
 ギルドへやって来たその顔を見て、受付嬢は声をかけた。以前の弱気矯正、そして山での動物が暴れていたという件の調査依頼で見たことのある顔である。声をかけられたヤーンは、まだ幼さの残る顔を微笑ませ挨拶を返した。
「こんにちわ。ええ、以前の調査依頼とも関わりがあるんですが‥‥」
 あまり表情は明るくない。どうやらまた何か依頼になりそうだ。そう悟った受付嬢は手元の用意を整え、仕事モードへの切り替えをした。

「悪魔絡み、ですか‥‥」
「ええ。調査のときに現われたグレムリンもそうですが、あの時現われたシフールの少年が放った火、あのような精霊魔法は無いはずですし‥‥」
 以前の調査依頼では、凶暴化した動物のほか、火球を放ったと思われるシフールの少年、そしてその少年の逃亡を助けるかのようにグレムリンが出現していた。これは見逃すにはあまりに重要過ぎることだ。更には冒険者の悪魔を感知する指輪。グレムリンの登場で曖昧になったがそのシフールの少年に対する疑惑は晴れない。
「それで、色々調べていたところに、急な話が舞い込んできました。領内のとある村で、元気‥‥いや、活力そのものが無くなった人が増えているとか。デビルには、そのようにしてしまう人の魂を抜き取る魔法を使う者がいる。これは、もう放っておけません」
 デスハートン、そう呼ばれるデビル魔法が存在する。人の魂の一部を白い玉にして抜き取ってしまう魔法だ。これから回復するにはその白い玉を取り返し、飲み込むしかない。
「‥‥そうですか。では、その村を調査し、原因を断ち、そして出来るなら村人の回復を。そういうことでよろしいですか?」
「ええ‥‥ただ」
 言いよどむヤーン。何度か頭の中で推敲したのか、考える風になったあとに、ゆっくり口を開いた。
「最近、その村に若いシフールが1人、近くで怪我をしたとかで来て、滞在しているそうなんです。そして、丁度その頃から活力を無くした人が増えてきている‥‥これは、もしかしたら、と考えるところなんですけど」
 けど。そう、けどである。安易に結び付けてはいけない、という意思が含まれているその言い回し。
「もしかしたら、ただの偶然かもしれません。それに、偶然だった場合早まると、取り返しのつかないことになってしまいます。あの時見たシフールの少年の自分の見た特徴を記して渡しておきますのでよろしくお願いします」
 そう頭を下げるヤーンに、今度は行かないのか? との質問を受付嬢は飲み込んだ。先の国王襲撃以来貴族は皆身辺警護に以前に増した注意を払うようになっている。
 行けないことを悔しがっているのを押し殺している彼の横顔を見ながら、受付嬢は彼に依頼を受け付けることを告げた。

●今回の参加者

 eb0516 ケイト・フォーミル(35歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb3338 フェノセリア・ローアリノス(30歳・♀・クレリック・エルフ・ノルマン王国)
 eb3680 稲生 琢(69歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 eb5723 サスロイト・テノール(27歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb7789 アクエリア・ルティス(25歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb7876 マクシーム・ボスホロフ(39歳・♂・レンジャー・人間・ロシア王国)
 eb9400 ベアトリス・イアサント(19歳・♀・クレリック・エルフ・イギリス王国)
 ec0302 クレリア・マイルス(23歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●サポート参加者

緋野 総兼(ea2965)/ リノルディア・カインハーツ(eb0862)/ キドナス・マーガッヅ(eb1591

●リプレイ本文

「安心しなさい、ヤーン! 今度こそきっちり突き止めてみせるんだから!」
 っていうか関われ無いことを悔しがるなんて、成長したわね〜とヤーンの肩をバシバシ叩いているのはアクエリア・ルティス(eb7789)。ヤーンの矯正にも、以前の調査依頼にも関わっている彼女は今回の依頼への思いは人一倍。そうでなくても、彼女はこのような弱い立場の人間が被害を受けているようなことは放っておけない性質だ。
「件のシフール、あのデビルと一緒にいたときの説が濃厚か、厄介だぜ‥‥」
 ベアトリス・イアサント(eb9400)も以前ヤーンがギルドに持ち込んだ調査依頼に参加していた一人だ。普段白のクレリックらしからぬ言動が目立つ彼女だが、何だかんだいってこういった件を見逃すようなことは無い。
「そ、それで特徴はこれでいいんだな?」
 クールな印象を見るものに与えながらも、ヤーンへ以前の件で遭遇したシフールの特徴の確認に一瞬言葉に詰まったケイト・フォーミル(eb0516)の姿はどこか別の本当の姿があるよう。
「あ、ハイ」
「んー、確かにこんなんだったよな。一瞬のことだっけどな」
 ヤーンの返事にベアトリスがその人相その他が書かれた資料を覗き込んで確かめる。もっとも、彼女が言うように長い接触があったわけでもないし、頼りになっているのは記憶だけなので、確実、とはいえないのは確か。


「なるほど、ケガをしたシフールが療養のためしばらく休ませて欲しい、そう言って訪ねて来て以来、様子が悪くなる村人が増え続けている。それ以前に今のような症状を出すものはいなかった、と」
「そうなんじゃ、あなた方冒険者が来たということはあやつが原因で退治に来たということなのじゃろう、早く何とかしては下さりませんか!?」
 幸いまだ無事だった村長の話を聞いたマクシーム・ボスホロフ(eb7876)に、必死なようで村長はすがるように頼み込んできた。
「まあ待って。それで、そのシフールは出歩いたりは?」
「いいや。丁度空いていた家‥‥まあ、小屋に近いようなもんですが、そこにこもったきりじゃ。来たときにそれなりの金額をもらった以上食事などは運んでいたが‥‥それももうやれんな」
(出歩いていない? 1人の仕業ではないということなのだろうか、それとも‥‥)
 マクシームは少し考え込むようにした後、村長に村人へ極力出歩かないよう伝えること、何かあったかと悟られないよう今までどおりシフールへ食事運ぶよう頼むと、張り込みのため村長宅を離れた。


「できる限りのことはしないとな‥‥色々と警戒をして損はないだろう。そっちはどうだ」
 村から少し離れた森にて、何か怪しげなものがないか探していたサスロイト・テノール(eb5723)は、行動を共にするフェノセリア・ローアリノス(eb3338)へと声をかけた。二人は村での軽く情報収集の後、こちらへ向かっていた。
「いいえ、特には。以前の依頼では炎の跡があったそうなので、今回も何かあるとは思ったんですが‥‥こちらハズレでしょうか。‥‥でも」
 一旦そこで口を噤み、自分の中で言葉をゆっくりと、着実に整理し、組み立てるようにしながら、フェノセリアはゆっくりと続けた。
「たしかに一番の容疑者はそのシフールさんですが‥‥全く別の要因があるかもしれません。見落としだけは避けないといけません」
「そうだな‥‥だからこそ依頼人は私達に頼んだのだし」
 答えるサスロイトの目が、兜で上のほうが少し隠れてはいるものの少し緩まった、そんな気がした。


「朝起きると体調が悪くなっていた‥‥その前の夜中、ふと去るようにした影の羽‥‥ですか」
 実際に被害があった人の宅を訪ねるケイト。体調不良が原因で断られることもしばしばだったが、今回の家では今までと共通した答え――朝起きた時に気付く悪化と、新たなる情報、つまり被害に会った人が見たという羽について話を聞くことが出来た。ふと気配を感じて偶然目を覚ますと、暗くてほとんど見えなかったが、蝶のようなシルエットの羽をみたという話を。
『本気で不安がってるな。やはりこれはシフールか?』
 ゲルマン語を話すことの出来ない傍らの稲生琢(eb3680)が村人の表情を確かめてケイトと話す。最も、確かめたといってもそのような技術がないためただの直感でしかないのだが。
 

「蝶のような羽、ですか。‥‥私達のほうでは、コウモリのような羽を見たという話が」
 日が暮れるころ、集まって情報収集などの結果を交換し合う冒険者達。ケイトたちの聞き込んだ話に反応したのは、一足先に情報収集を終えていたサスロイト、フェノセリア達の班。二つの話を聞いて、ますますデビルの仕業では、と思う冒険者達。コウモリの羽は説明を受けたデビルの姿の特徴の一つだ。
「それで、肝心のここのシフールの羽の形は?」
「ああ、蝶だったぜ」
 さらりと答えるベアトリスに驚きの表情を隠せないマクシーム。この寒い中張り込んだ彼は姿を見れずじまいだったからだ。
 そんな彼に、ベアトリスは見ようとはしたが無理そうだったので、軽く聞き込んだ結果だという答え。実のところこっそり覗き込んでもいたのだが。ちなみに、以前の調査以来でのシフールも蝶羽だったと資料に。
「そう見ないし、結構派手になるから、短時間とはいえそれは見間違えてないはずよ‥‥」
 アクアの記憶も、その記録を裏付ける。


 
「‥‥何をしているんですか?!」
 夜の村を見回ってみれば、灯りに向かっていってみれば、シフールの方向へとそれぞれ歯を持つ農作業具や古びた武具を持つ、まだ元気のある村人が数人。フェノセリアはそのただならぬ様子に驚き、訊ねる。
「あのシフールが原因だと分かったなら一刻も早く何とかすべきだろう?」
「村長は待てといったが、翌朝になればまた被害が増えているかもしれない。悠長すぎる!」
 次々と言い立て、シフールの元へ道を空けるよう迫る数人の村人。何とか押し留めようとしている最中、それは起こった。
「逃がすか!」
 割って入るように聞こえたのはサスロイトの、音量が抑えられてはいるものの強い語気での叫び。彼女が追いかけるのは背中にコウモリの羽を生やし、矢尻のような尾を持つデビル、インプそのもの。
 が、逃げるインプが身軽に空を飛ぶのに対し、サスロイトが身につけている武具は一つ一つはそれほどではないが、数も多く、動きが緩慢にならざるを得ない。両者の差は開く一方。そのような先の見えた鬼ごっこ、逃げるインプが丁度冒険者達が見張っているシフールの元の近くにやって来たというわけだ。
 シフールの入る小屋まで近付こうとしたインプは、見張る冒険者、そして押しかけてきている村人に気付いたのか、急いで進行方向を変えるように上空へ舞い上がったあと、小屋を名残惜しそうな素振りで眺めた後飛び去ろうとする。
「大胆な!」
 騒ぎを聞いたマクシームが飛び出し急いで矢を番えるが、一瞬遅く。既にインプの姿は夜の闇へと溶けていた。

 突然の出来事に唖然としながら見守っていた村人達だが、インプが去っていくのを見届けると、気を取り直したかのように、先程より一層激しさを増して迫る。みたか、あのデビルの様子を。もうあまりにも明らかじゃないか、と。
「夜だと今みたいに闇に紛れて逃げられてしまうかもしれません。お願いします、明日まで待ってください」
 根気強くが説得し渋々ながらようやく、やってきた村人達を返すことに成功した。明日になれば必ず、と何度も念を押すのに答えていなければ、どうなっていたかは分からないだろう。一気に疲労がたまったように、ふうっ、というため息と共に肩を落とす。


「どうぞ」
 シフールのいる家、いや確かに小屋といったそこへはあっさりと入れた。いつもの食事だと思ったのかもしれない。
 中には、ベッドに横たわるシフール。確かに腕や足に手当ての様子がある。来客者にシフールは痛みのせいか顔を若干歪ませながら上体を起こした。
「‥‥どうかしましたか? というか貴方達は‥‥?」
「ああ、冒険者なんだけど、ちっと邪魔させてもらわねーといけねーんだよ」
 不審そうな表情で冒険者達を見るシフールを、じっと見て確認するベアトリス、アクア。顔を見合わせて少し小声で交わす。互いに頷いた後、っつーかむしろ、昨日覗いた時からもしかしたら、とは思っちゃいたんだよなーとベアトリス。
「冒険者が一体何でボクに‥‥?」
「‥‥ちょっと待て。んと」
「な、何‥‥ふぁっ?!」
 ぺた。いくら仲間が控えてるとはいえ、すたすたと無防備どころか無用心とすら思えるに見える様子で近付いたベアトリスがしたことは、シフールへの胸タッチ。
 顔を紅くするシフールをよそに、はぁ、とため息をつきながらクルリと振り返ったベアトリスに、アクエリアが一言で訊ねる。
「女の子でした?」
「ああ、分かりづれーけど女だ」
 さらりと失礼なことを言うベアトリス。すぐ側でシフールが抗議しているようだが、完全に聞き流しているあたりどっしりとしているが。
 デビルが姿を変えるときの規則性や制限には冒険者達はみな知識がない、もしくは足りていなかったが、少なくともここにいるシフールはボーイッシュだが少年ですらない。
「一体何が‥‥それに、デビルって一体? 村の様子がおかしいのは薄々伝わってはきたけど」
 本当に分からない? といった表情で聞き返すシフールの少年‥‥いや、少女。
「いや、人相が合わないとはいえまだデビルの関係じゃないとは言い切れない」
「いえ、それよりこれはむしろ、別の意図が‥‥」
 見守るサスロイトが疑いを外さない言葉に、フェノセリアが何か感づいたようなに言う。その会話のデビルという言葉を聞いてシフールの表情が突如変わる。
「デビル!? そうか、どうにもおかしいと思っていたけど、この村の近くで突然襲ってきたカラスや野犬は‥‥」
「それって、まさか――危ないっ!」
 合点が言ったという表情のシフールと、すぐ側のベアトリスの側、空間が歪んだように見え何かが現われた、いや、姿が見えるようになったというほうが正しいか。現われたのはインプのような尾が無く、毛むくじゃらな悪魔、グレムリン。現われるやいなやその長い爪を振りかざし、ベアトリスとシフールを裂いた。

「チィ、放って置けば潰しあえばイイモノヲォ!! シカモ余計なことに気付きやがって、俺が出ればもう言い逃れは出来ないハズだったノニィ!!」
 肌を裂いた爪の先、付いた血は弧を描くように。
「何してるのよ!」
 が、そのまま、もう一撃、というところで迫ったアクアが振るった桃色の刀身を持つ魔法の武器、ローズダガーが今度はグレムリンを裂く。
「ガァ!? チィ‥‥コイィ!」
『外からか! ‥‥ケイト』
 物陰に隠れていた小動物などが姿を変え、インプへと変貌し、小屋に殺到しようする。外の様子の変貌に気付いた琢は、迫られる前にととっさにイギリス語でケイトを呼ぼうと叫ぶ。が、間に合わず迫られる‥‥そう思った瞬間、空気を切る音共に、眼前のインプが倒れる。
「中の様子が気になるが‥‥こうなった以上仕方ないだろう。やはり単独ではないか」
 当初の予定では、逃走するシフールを射る予定だったが、インプが現われ仲間のもとへ向かおうとしてる限り選択の余地は無い。マクシームは急ぎ次の矢を星天弓に番える。 

「大丈夫ですか!?」
 治療しようと駆け寄るフェノセリアを、ベアトリスは傷口を押さえながらシフールの少女の方へと視線で誘導する。実際元々怪我があったところにさらに傷を受けてしまったため、より具合がわるいのは少女のほうだと判断してのことだった。が、少女を覗き込んだフェノセリアは、側にあった布でさっと抑えるとベアトリスのほうを向きながらロザリオを握る。
「おい‥‥?」
「私がやるより、ベアトリス様にやってもらったほうが早いです、ですから、まず‥‥!」
 思ったよりも傷は深いらしい。そのことを悟ったベアトリスの目つきは一層険しくなった。
「襲ってこの村へと誘導、その後上手くタイミングを合わせて魂を抜き取っていってシフールに疑いの目を向けさせる‥‥狡猾、というより外道だな。人から何か奪うだけでなく、罪を負わそうとするとは!」
 そう叫ぶサスロイトは、黒い刃と血を連想させる赤い柄を持つデスサイズを振りグレムリンを狙おうとするがただでさえ室内戦闘に向かない大きさを誇るのに、小屋とも呼べる狭さのせいで満足に振るうことが出来ない。そのせいで緊迫しないため、まだ彼女が狂化せずにはいられるという利点もあったが。
「以前の調査依頼でシフールという存在を意識に植えつけといて、よくやってくれたわね!」
 アクアの振るうダガーは威力こそ低いものの上手く取り回していることも含め、上手くグレムリンへ傷を負わせている。グレムリンの反撃それなりに傷を負わせていたが、左手のダガーの鍔で防がれることもあるん分アクアの優位はゆるぎなくなっていく。
「コノッ、モウイイッ!」
 合間を縫うようにして小屋を脱しようとしたグレムリンだったが、出入り口付近で剣を振りかぶる音が聞こえた時には既に手遅れ。
「外はもう片付いた。最後だ、逝け‥‥」
 マクシームがケイトに貸したそれは、ただでさえデビルに対するスレイヤー効果。それに重みを乗せた必殺の一撃に、グレムリンは敢え無く息絶えた。白く小さな玉が一つ、床に転がる。

「それはコイツの分っぽいな」
 傷が塞がったベアトリスが、ひょいっとその白い玉を拾い上げるとシフールの元へ。
「リカバーかけて傷は塞がったんだが、まだ全快じゃねーじゃん。近くに居たこいつにとられた、っていうのは十分あるだろ。‥‥こうすればいーんだよな、説明によると」
 依頼の出発時、受けた情報提供にそってその玉を少女へ飲ませた。

『外にもいくつか転がっているな』
 マクシームとケイトが外のインプを片付ける間に、白い玉を落とすのを見ていた琢の言葉をケイトが訳し、一行は外に向かい、白い玉を収拾する。
「これを村人に飲ませて元に戻せば、決着か‥‥」
「シフールさんの誤解解かなくてはいけませんね‥‥昨夜は本当に危ないところでしたから」
 拾いながらサスロイトがいった言葉に、ふう、とため息を付きながらフェノセリアが返した。あのまま行かせれば、無実の少女がどんな目にあっていたことか。
「ヤーンが依頼を出したおかげ、っか‥‥」
「ま、最終的にはそれを受けてこなした私らのおかげじゃん?」
 感慨深げなアクアの言葉に、ベアトリスが軽い調子で笑みを浮かべながら答える。冒険者達の表情が、少し、緩んだ。