闇闘オウル

■ショートシナリオ


担当:長谷 宴

対応レベル:1〜5lv

難易度:難しい

成功報酬:2 G 4 C

参加人数:8人

サポート参加人数:4人

冒険期間:06月30日〜07月05日

リプレイ公開日:2007年07月09日

●オープニング

「くそっ、何でこういったときに‥‥!」
 月明かりだけを頼りにして、闇が覆う街道をひたすらその男は走っていた。走り続けて既に数分。息が切れ身体中にかかった負担が露わになり筋肉が悲鳴を上げ始める。
「絶対に‥‥捕まって‥‥」
 後ろを確認したその時、男の足が地面の乱れでもつれる。体勢を立て直す暇も無く、前につんのめり――そのまま大地へ抱かれる形となる。
 しまった。やばい。早く逃げなきゃ。助ケテ。ドウシテ。恐怖する男の頭が思考で埋まる。慌てて顔を上げるとそこには月を背にする大きな翼。ジャイアントオウル。
 慌てて動かそうとする四肢はもうろくに言うことを聞かず。悲鳴を上げるまもなく絶命した男が見たのは大きく鋭利な爪だった。


「おやおや、まったく獰猛だねぇ。おかげでゴブリン達のときみたいに仕事としての旨みは減っちまったよまったく」
 森を切り開くようにして通されたのがその道であったから、周りは当然木々が立ち並ぶ深い森。その中で木に寄りかかりながらジャイアントオウルの捕食の様子を眺める1人の初老の女性。傍らにはウッドゴーレムが控えている。そう言ってくつくつ笑いながら眺める女性へ嫌悪の視線を向ける男が、口を開いた。
「ほとんど危険を背負うとことなくよく言えるな。今じゃ情報だってもらうばかりだろう」
「それは情報を渡すだけのあんた達にだっていえることだろうさあ。」
 不機嫌そうな物言いだったが、それを全く意に介さず女は言い返す。その様子にむっとした様子を隠せない男。
「それにしても、あの『シフール』がいなくなったってことはやっぱりキエフでのあのことがらみなのかねぇ? アンタは間違いなく人だろうけど、それでもこんなことするのはやっぱりあの『元』お偉いさんの動きとも関係が?」
「余計な詮索は‥‥」
 あまりに人をくった言い方に耐え切れなくなったか、それとも核心をつかれ焦ったか、色をなす男。その様子に肩をすくめてハイハイ、と女は答えた。
「分かった分かった。アンタらのおかげでここいらの『仕事』がやりやすくなったのは確かだからそれでいいさぁねぇ。ま、おかげで同業者も増えてるようだけどサァ。さてさて何が狙いなのか‥‥おっと。そろそろアタシらも取るもんとろうかね」
 そういって静かにゆっくりと距離をつめながら、スクロールを取り出す女。
「ふん‥‥その梟に食われて死んでしまえ」
「残念、アタシみたいな皮と骨しかないようなババアには興味ないのさ、コイツは。おかげでこいつの頭でも上手くこうやって一緒に『仕事』出来てるわけなのさ。‥‥アンタは、隠れたままの方がいいんじゃないかい?」
 初老の女性が浮かべた邪な笑みに舌打ちすると、男はより奥のほうの木へ背を預けた。


「今回の敵はジャアイントオウル。体長は2m、翼を広げれば5mにもなるやつで、人どころかオーガ種すら捕食してしまうやつらだ。こいつがキエフから二日と少し程離れた街道で夜にあらわれ、人を襲ってくる事件が起こっている」
 既に犠牲者も出ているという。至急倒さなくてはいけないだろう。冒険者達が他に何かないか、と聞くと係員は手元の資料を確かめながら答えた。
「そうだな‥‥確認されているジャイアントオウルは1体のみで。そのためか襲われる人間も殆ど1人。まれに複数人のときもあるが‥‥大抵は自分が圧倒的優位に立っている時。当然といえば当然だが。それと、わざわざ夜出歩いているのも気にかかる。周辺の宿屋を含め、色々気をつけてみてくれ」

●今回の参加者

 ec0886 クルト・ベッケンバウアー(29歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・フランク王国)
 ec1789 シーリス・ヴォルザース(28歳・♀・神聖騎士・エルフ・ロシア王国)
 ec2048 彩月 しずく(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ec2073 瀬名 北斗(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ec2332 ミシェル・サラン(22歳・♀・ウィザード・シフール・フランク王国)
 ec2843 ゼロス・フェンウィック(33歳・♂・ウィザード・エルフ・ビザンチン帝国)
 ec3096 陽 小明(37歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ec3222 シェル・レイド(28歳・♂・レンジャー・ハーフエルフ・ロシア王国)

●サポート参加者

レイオール・エヴァンジェリス(ea8927)/ ジェイド・グロッシュラー(eb2086)/ レア・クラウス(eb8226)/ 辰若 清吉(ec1606

●リプレイ本文

 夜に出歩く犠牲者。そして二日目の宿。この関連性を疑った冒険者達は聞き込みをしつつ動いていた。陽小明(ec3096)など、口数の少ないタイプでも、話に耳を傾けるなどして、情報を集めていた。
 そして出た結論は、裏で何か指示をしている者がいるのではないかという推測。過去にゴブリンでそういった依頼があったらしい、という話を聞いたことがある者もいた。
 そして、その推測を元に、冒険者達は二手に分かれることにした。ジャイアントオウルを討つ者と、黒幕を捕らえる者と。
 また、一つの可能性を考えたゼロス・フェンウィック(ec2843)は、二泊目の宿では金持ちを装った(あながち嘘でもないのだが)。


 依頼の街道には5人。話に聞くように囮を用意し、ジャイアントオウルをおびき寄せ叩く班。瀬名北斗(ec2073)や彩月しずく(ec2048)など側の森に潜んで様子を窺っている。あまり大人数では相手も警戒して出てこないだろうと思えるからだ。


 こちらは黒幕に備える3人が森の中を進んでいる。潜むためだろうか、灯りは持っていない。そのため、闇に、景色に目をならしながらでなくていけず、動きは遅い。面子はクルト・ベッケンバウアー(ec0886)、シーリス・ヴォルザース(ec1789)、そしてシェル・レイド(ec3222)。隠密行動にある程度自信があるため、クルトなどはこの役を受け、またシーリスはその能力にある程度頼るつもりだった。
 だが、結論から言うとクルトは自らの能力を過信していたと言わざるを得ない。彼は隠密行動の技能があるとはいえ、あくまで「普通より少し優れている」程度である。そしてその技量では、闇の中で動くのが常の魔物と競えば、負けるのは火を見るより明らかだった。
「‥‥なっ!?」
 羽ばたく音を聞きつけたときには既に遅かった。空を駆け下りるジャイアントオウルを視界に収めたときには既にその爪は眼前。受ける暇すら与えられなかったクルトの肩口が裂かれる。
「ど、どうしました、クルトさん?」
 聞こえた短い狼狽の声にシーリスは反応するが、事態を把握しきれない。夜目が徐々に利き始めたとはいえ、月明かりもさほどではなく、かつ羽ばたきを殆ど聞き取れなかった彼女が、敵の姿を確認するのは困難極まりなかった。
 そして、それはシェルも似たようなものである。シーリスに比べて幾分か感覚は良いが、それでも闇の中で動く影を捉えるには不十分。
「敵か? まさかジャアイントオウル‥‥なら、あちらの者達は襲撃にあわなかった、ということか‥‥」
 自分達はあくまで『何か裏から操っているような気がする存在』に対する役であったが、どうやら事はこちらの筋書き通りには進まなかったらしい。
 想定外の事態だったが、取り乱すようなことはせずに、シェルはミドルボウを構えた。その狙いはつけられなかったが‥‥。


「‥‥出てきませんね」
 囮として街道を歩く小明は、あちこちにゆっくりと視線を動かし、気を張るのに疲れたか、ため息一つ。集めた情報ではもう、ジャイアントオウルが出てきてもおかしくないのだが。
「全然見当たらないわね‥‥大きいから遠くからでも分かるはずなのに。‥‥あら?」
 遠くから何か木々が揺れるような音が聞こえた気がしたミシェル・サラン(ec2332)は、見守っている小明から視線を一旦離すと、音がしたほうへと振り返る。今回の一行の中で最も優れた視力を持つ彼女が見れたのは、たしかに何かが木々を揺らす影。そう遠くない場所で――いや、あそこは!
 はっとなったミシェルは慌てて仲間達へと叫ぶ。本来隠密行動にそのようなことは厳禁だが、その根底が覆されようとしている以上最早関係ない!
「大変ですわ‥・・梟が狙っているのは私達ではなくて――!」



「ふん、怪我なんかするとは足手まといな。余計な出費に手間だ!」
 そう毒づくクルトの髪は逆立ち、瞳は赤く。緊迫感を感じたために彼は狂化していた。傷を負ったシーリスやシェルにポーションを渡すに当たって、心配の言葉より攻撃的なものが出るよう、思考が塗りつぶされている。
「すまない、あの爪は厄介だ‥・・。だが、もう見えてきている。そう何度も許しはしないぞ」
 避けきれずに負傷したシェルが何度目かになるポーションで傷を塞ぐと向かってくるジャイアントオウル目掛けて矢を放つ。無論狙ってはいるが、最悪でも牽制になれば、という腹積りだったが、それは逸れることなく、そして避けられることなくジャイアントオウルへと命中する。だが。
「全然堪えていない‥‥っ!?」
 殆ど鈍らない動きで急降下しながら爪が繰り出される。その一撃目は何とかパリーイングダガーでシーリスは捌くが、続く一撃には対応しきれず、再び浅くない傷を負ってしまう。舌打ち共に再びクルトがポーションを取り出すのが見えた。
「どうやらこいつでは威力不足のようだな‥‥かすり傷程度にはなるみたいだが」
 再び矢を番えながらシェルは呟く。あまり有効ではないと悟りつつ、打てる手は殆ど無い。ポーションも最早底が見える。闇も、動きが自由に取れない森の中であるということも、そしてジャアイントオウルの実力を考えると、絶望的な状況といえた。暗闇の空で旋回し再び向かってくるジャイアントオウルが向かってくる。相変わらずの毒舌ながら、二人を庇うようにクルトが盾を構えた。


「さてさて、どうしようかねえ‥‥今手を出しちまえば事は簡単なんだが」
 その女にとって、この状況は予想外、いや拍子抜けとも言えた。まあ何しろ明らかに冒険者と思しきが灯りも持たずに(!)わざわざ森の中へ入ってきたのだ。その無防備さはジャイアントオウルの獲物となりに来たとしか思えないぐらいで、囮役として何かあるのでは無いかと勘繰るほどだったが、蓋を明けてみれば彼らが見せたのは狼狽と劣勢だった。
「こんなことなら最初からアタシも出ちまえば良かったかね。しかし‥‥」
 注意深く辺りを見回すと、初老の女性は再び沈黙に撤することにした。獲物を前にして興奮状態であろうジャイアントオウルを下手に刺激して自分まで的にされては堪らないし、このまま放っておいても優勢なのはこちらだ。わざわざ危険を冒す必要は無い。


 初めに駆けつけてきたのは、その視力で仲間を先導してきたミシェル。そこへ身軽な小明、北斗が続き、ゼロス、しずくも姿を現す。最も灯りを持っているのがゼロスだけだったため、仲間がいるところに出るまではほぼ同じ速度で進むしかなかったが。
「大丈夫‥‥!? くっ、これ以上好き勝手は!」
 傷ついた仲間を見たしずくは一瞬我がことのように苦しそうな表情を浮かべるが、すぐにそれを沈め、二枚続けて手裏剣を放つ。翼を撃ち、機動力を殺ごうと。
 だが、彼女には部位を狙える技は無かった。そして、この暗闇で、相手をしっかり視認する視力も持ち合わせていない。それでも一枚はジャイアントオウルを捉えたが、シェルの矢同様、ジャイアントオウルの動きに殆ど変化は見られない。降下したジャイアントオウルの爪が、ライトシールドに受け止められる音が響く。それを見たゼロス、宙に戻る魔物を見ながら油を手にし――その上目掛けて投げつけた。
「中々その翼を封じることは出来ないか。‥‥だが、これなら」
 生半可なダメージで効果が無いなら、それ以外の方法で止める。が、ゼロスの投げた油は、ジャアイントオウルの上に届くことは無かった。ただでさえ宙を舞い動き回り捉えづらいのに、付け加えて視界は悪く狙いをつけるのが容易ではない。そして――むしろ、こちらの要素のほうがより多くを占めているのだが――ゼロスには、そのような難易度の高い的を捉えられるほど、投擲の腕は無かったのだった。いや、あったとしても今の彼の装備では投擲と同時に詠唱をこなすことは出来なかっただろうが。油はむなしく地へと、ゼロスがウィンドスラッシュを放つ準備を整える前に落ちて行った。
 敵が増えたのにも動じず、いや意にも解していないのか、ジャイアントオウルは再びその鋭い爪を向ける。だが、空は既に独壇場ではなくなっていった。ミシェルがその背後を取ろうとしていた。‥‥その辺の枝を手に。
「カチカチに凍っちゃ――やぁっ!?」
 勿論枝で渡り合おうと考えてたわけでもなく狙いは高速詠唱のアイスコフィン。だが、その射程3mはあまりに近すぎた。彼女がその距離をつめる前に、気取ったオウルの爪が彼女を襲う。
 二度目の爪が来る前に彼女が射程を脱せたのはまさに僥倖。ゼロスのウィンドスラッシュ、シェルの矢が襲いジャイアントオウルの気が逸れたから。
 一瞬でも唱える余裕があれば、と悔しがりながらミシェルは傷を抑え距離を取る。
 最も、ある意味でこの行動は正解であった。詠唱できたからと言って必ず成功するとは限らない。もし抵抗されてそのまま爪の餌食になれば――あっという間に重傷、追われればあっという間に瀕死である。ましてや頭の片隅にあった枝でのヒットアンドアウェイなど、無駄どころか自殺行為に近い。アウェイはともかく、彼女の実力ではヒットに難がありすぎ、また当てたところで小枝では気休めにすらなりやしない。

 ジャイアントオウルの狙いは再び地上へ。それを見て取った小明は心のうちでの戦慄を禁じえない。翼を広げれば5mほどの巨体が難なく飛び、しかもその動きは似合わず機敏。
(攻撃がとどかないどころか、あれを避けきれる‥‥?)
 いくら動体視力に優れてるとはいえ、あくまで動きを捉えられるだけ。読めるわけではない。果たしてあの攻撃を相手にして避け続けるなど器用なことが出来るだろうか‥‥。動揺が心を支配しそうになるのに気付いた小明は自らを諌めるように、自らを叱咤する。
「‥‥落ち着いて、周りをよく見なさいっ!!」
 その声は、一向に攻撃が通用しないことに焦燥する仲間へも届いただろうか。

「このままでは仕方がないですね‥‥ならば。クルトさん、次の攻撃は私が引きうけます」
 そう言って北斗は譲られるまま前へ出る。向かってくるジャイアントオウルの姿は闇とその速さでかなり見難くはなっているが、捉えられないほどではない。
「まあ、見えたからと言って避けられるわけではないですが‥‥だからこそ、といった手もあるんですよ‥‥」
 鋭き梟の爪は正確に北斗を捉えた。だが、北斗は最初から想定したといわんばかりに傷みに顔をゆがめつつ笑みを浮かべる。カウンターで放たった両手での日本刀の一撃でジャイアントオウルを斬っていたから。
 ようやく、といっていいほどの苦痛を受けたジャイアントオウルは苦しそうに羽ばたきながら空へと昇り、再びその爪を振りかざそうと降りてくる。だが、その動きは今までと比べ明らかに鈍っていた。
「縛へつきもうやめてください‥‥コアギュレイト」
 今までもよりも余裕を持って攻撃をはじいたシーリスは直後に高速詠唱によるコアギュレイト。もっとも高速詠唱で成功させるには彼女の腕では少し早かったようで、呪縛の効果は現われなかった。だが、その行動は冒険者側に余裕が出来た証左。形勢は既に覆っている。

 ならば、と装備が薄そうな者目掛けてその爪を向けるジャイアントオウルだったが、小明はその攻撃を紙一重でかわしきる。お返しとばかり放たれた拳はやはりカスリ傷以上のものではなかったが、ジャイアントオウルの焦りと怒りを積み立てるのには効果があったようだ。尚も追いすがろうとするジャイアントオウル目掛けてゼロスのウィンドスラッシュが、ラシェルの矢が、しずくの手裏剣が突き刺さる。苛立ちを募らせる梟は気が付かなかった。自らを狙う白刃が閃いたことに。
「今度はこちらで十分そうですね‥‥」
 元が切れ味鋭い日本刀、そこへ更に彼の筋力、両手持ちによる威力の増大がなされた一撃がジャイアントオウルを襲った。


 地に落ち絶命したジャイアントオウルの姿を確かめると冒険者達は大きく息を吐きその場に座り込む。
 下手をすれば死が見えていた。それほどの敵だった。浅くない傷はポーションを使用し治療していく。数に限りがあるため全員元通り、というわけにはいかなかったが傷のある者はキエフに帰るまで問題ないぐらいの浅さ程度である。
「結局、黒幕がいるかどうかは確かめられずじまいでしたね‥‥これでお仕事は、何とか完遂、ですけど」
 シーリスが呟く。二手に別れはしたものの、結局は合流する手間を設けてしまっただけか。まあ、それも曖昧な推測に基づいて戦力を分けてしまったことからくる面倒だったのだろう。
「話を聞いた限りでは少し不自然だと思ったんですが‥‥やり方の問題でしょうか」
 小明もため息。たしかにもう少し、囮や待機のやり方を変えればどうにかなったかもしれない。そんな思いがある。本来梟をおびき寄せなくてはいけなかったのに、森の中のほうがジャイアントオウルがより狩りやすいということを失念していたのだから。
「‥‥さて、ではそろそろ宿へ。荷物が荒らされているかも知れんしな‥‥それはそれで好都合だが」
 宿の主人を疑っていたゼロスはそう言って立ち上がった。少なくともただのジャイアントオウル1匹による事件ではないはず。そう思って荒らされる事を覚悟で彼は荷物を宿に預けていた。


「完全な解決には至れなかった、ということでしょうか‥‥」
 宿の主人に見送られながら、漏れたシーリスの呟き。
 結局、宿屋の主人は帰ってきた冒険者達を見るといつのまに危険な時間帯に外へ! と心配した表情を見せただけだった。内心悔しがるゼロス。この事件には宿の共犯が必要な筈なのに‥‥、と。だが、証拠が無い。


 内心忸怩たる思いを抱えて帰路に着く冒険者達。だが、それでも彼らは強敵であるジャイアントオウルに勝った。それは一つの、誇るべき成果であることは間違いない。