『オークを従えし魔物』
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■ショートシナリオ
担当:凪
対応レベル:1〜4lv
難易度:やや難
成功報酬:1 G 56 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:08月26日〜09月03日
リプレイ公開日:2004年09月04日
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●オープニング
江戸から北へ三日ほど進んだ山中に山賊がでると言うウワサがたった。
山賊の頭領は西洋製の甲冑に身を包み、その剣は巨馬をもなぎ倒すと言うウワサがたった。
山賊が山に出るというのは、田舎の町では早々に珍しいことではない。
浪人崩れ、冒険者崩れ、そんな連中が食うに困って山賊を働く、そんなことは日常的に起こりえる事だからだ。だが、今回の場合は少々珍しい例としてあげられていた。
ウワサがたった原因‥‥それは、その西洋甲冑に身を包んだ山賊は、山に住まうオーク達をしたがえて、山賊家業を行っていたのである。
通常オークは人間の言葉を話すことは出来ない。
もちろん並の人間にもオークの言葉を理解することなど出来ない。
卓越したオーガ知識を持った物だけが‥‥それを可能にするというが‥‥
2mの巨躯に西洋甲冑を着込み、クレイモアを帯剣したそれは数匹のオークの従えて山間で山賊家業に精を出していた。その方には一匹のシフールを付き従えさせている。
「よし、オマエタチ、人は殺すな積み荷だけを頂くんだ!!」
鎧の剣士はそう言ってオーク達に指示を出した。
その指示をシフールがオーク達に伝える。
分かったのか分からないのか、オーク達はうなずき、そして、ある者はヤリを構え、ある者弓を構えて旅商人の大八車に襲いかかっていた。
成果は上々、上質の絹織物や京拵えの反物など江戸でもなかなか手に入らない上々の首尾である。もちろんオーク達にその価値等分かるはずはない。だからと言って頭領が一人締めをしているわけでもない。そう、盗品の横流しをして金を稼いでいるのである‥‥。そしてオーク達は今日も美味い飯と美味い酒にありつくことが出来たわけだ‥‥。
それからまもなくして冒険者ギルドにモンスター討伐の依頼がやってきた。
敵はオークが6匹。山間の村々や旅商人達を襲い、金品や金目の物を巻き上げているらしい。どうかオーク達を討伐してほしい‥‥っと言うのが今回の依頼だ。
ただし、オークの首領らしき者は西洋鎧を着込んだ2m程の化け物なので注意だそうである。(オークも身長が2m程なので大きさ的にはさほど変わらない)
●リプレイ本文
●戦いの中で
オークが山賊行為を行う山道。そのオーク達を退治するべく、一行は山狩りを開始した。
当初はみな商人に化けて襲われるという意見も合ったが、刀を隠し持つのに苦労するため、山狩りを行って退治する方向へと進んでいった。
そして、山間の中腹たる場所で彼女らに出くわす事が出来た。
「良くここを発見することが出来たな。褒めてやろう冒険者」
黒い西洋鎧に身を包んだ女性、その身長は約2mほど。
彼女はオークを引き連れてこの辺を荒らし回る山賊である。
「なぜ罪もない旅人を襲う? そのわけを‥‥聞かせてもらおうか?」
冒険者達の言葉に彼女はにやりと笑った。
「ならば、私を倒してそのわけを知るが良い!!」
彼女が合図をすると、山の逆側に弓をもったオークが2匹、槌を持ったオークが3匹。合計5匹のオークが待ちかまえていた。
正面には鎧の女性、後方にはオーク達に挟まれる形と成っているのだ。
「さぁどちらを相手にするかはおまえたちの自由。かかってくるが良い」
そう言って彼女かクレイモアを構えると、茂みの中へ姿を消した。
●鎧の女性との対決
礼月匡十郎(ea1352)が日本刀を抜き、静かに彼女と距離を保っている。
「私の名はアリサ、我が剣のつゆと消えるが良い」
アリサと名乗る彼女はゆっくりと剣を抜いて近づいてくる。
匡十郎はそれに対して警戒するレベルに止めていた。極力戦闘を避ける事が、勝利につながると確信していたからである。
その脇すり抜けるようにして、ふたりの男は彼女を倒すべく前にでた。
西中島導仁(ea2741)と李雷龍(ea2756)である。
オーラを纏った李雷龍と日本刀と短刀を構えた西中島が挟み込むように彼女と対峙した。
「先に言っておくが、私は強いぞ?」
そう言った彼女に対して西中島のダブルアタックが炸裂する。両手の武器で一度に攻撃をしかけたのだ、そして彼女にはそれを武器で受ける技量はない。‥‥だが。
彼女はその2刀の一撃を避ける事は無かった。
鎧の一番堅い部分で受け止めると、西中島に対してカウンターの一撃を放った。
鈍い音がする。
どうやら西中島のあばら数本が犠牲に成ったようだ。
だが、彼女もそれと同時に片膝をつく。
膝をついた彼女の懐に李雷龍の拳が炸裂する。
アッパー気味に放たれたそれは、確実に彼女の鎧の部分の額に命中していた。
彼女の兜が空中を舞う。
彼女が素顔が露わになった。
それは黒髪の。ジャイアントとはいえ、美女である。そう絶世の。
モンスター達を引き連れた魔物は紛れもなく女性だったのである。
彼女の苦し紛れの剣が水平に薙ぐ。
李雷龍はそれを後方に飛んで避けると、西中島の肩を抱き、一線を退いた。
「お前が噂に聞く葉亜舞鬼か?」
河島兼次(ea2900)が日本刀を抜いてアリサと対峙した。
だが、むやみに剣は振らない。彼女に剣を振らせ疲れされたところ叩くそれが彼の作戦である。それを礼月が静かに見つめる。お互いに防御の構えを取って彼女を動きを静かに、そして的確に分析して防御の構えを取っていた。
七杜風雅(ea4458)は狙っていた。礼月匡十郎がアリサに攻撃を仕掛けるのを。
彼はその一撃の為に静かに静かに身を隠し、様子を窺っていた。
起きあがったアリサの額に血がにじんでいるのが分かる。
額から流れた血が見て取れる。鎧越しとはいえ、無傷ではない。
倒そうと思って治せぬ事はない。だが‥‥。
彼らはそれでも剣を構えむやみに手を出すことは無かった。
●オークとの戦線
一方そのころオークとの戦いは熾烈を極めていた。
その戦力の大半がボス戦に回ってしまったため、オークの相手をしているのは霧山葉月(ea0367)と白夜躯(ea0920)のふたりだけに成ってしまっていたのである。
屈強のオーク5匹に対してふたりでは分が悪すぎるのである。
霧山葉月が弓を持ったオークの元へ一気に間合いを詰めて斬りつける。
オークの肩越しから血がにじむが、オークの溢れる生命力から、致命傷には至らない。
オークは至近距離で弓を放つ。
そしてそれは霧山の足をかすった。
傷は浅いが痛みが彼女の身体を走る。そしてそこへ槌を持ったオークの一撃。
奇跡的にその攻撃を交わし、カウンターアタックを放つ霧山葉月。
普通なら避けることの出来ない攻撃をよけ、渾身のカウンターアタックがオークを袈裟懸けにばっさりと切り裂いた。
しかし、それでもそのオークを即死させるには至らなかった。
切り裂かれたオークは傷を抑える様にして後方へと下がる。
白夜躯はオークと刃を交え、そして、すぐに離脱し、再度突入する戦法を取っていた。
所が山の中で動きの速いオーク。そしてましてや相手は槌を持ったオークが2匹。動き回らされる結果と成っていくのは言うまでもないだろう。徐々に徐々に体力が削られていく。
だが、白夜もそれは慣れたこと、忍びとしてのその動きがオーク達を翻弄することに一枚かっている。お互いの体力消耗度は互角であった。
●勝敗を分ける最後の鍵
緊迫したアリサの戦闘。
圧倒的有利なオーク達の戦闘。
このままの戦局から行けば、オーク達はアリサに加勢するであろう。
そう予想されるその時である。
戦いのアキレス腱とも言うべき場所、オーク達の戦闘指揮をとっている軍師。
シフールに対して突然に襲いかかったのは、身の丈3mの巨大なカエルであった。
「いけ‥‥ガマ‥‥」
由加紀(ea3535)の召還した巨大なカエルが、飛び回るシフールに襲いかかる。
「きゃー、うそ、そんなバカなー」
逃げ回るシフール。追いかける巨大なカエル。
微笑ましいワンシーンにも見えるが、シフールにとっては必死のワンシーンである。
「ふふふ、にがしませんわ〜」
劉迦(ea0868)が逃げるシフールを追い込んで行く。
追い込まれたシフールのララディにカエルの容赦ない攻撃が放たれる。
シフールはアリサの元へと飛来し、肩に乗ると、彼女に撤退を要求した。
「そうか、分かった私も手負いの身だ、こうなれば最後の手段をとるしかないな」
そう言って彼女は指笛を吹く。
それに合わせてオーク達が集まってくる。一点に戦力を集中された彼女たち。
そのまま最後の反撃を行うかと思いきや、彼女は巨大な剣を使い、予め用意していたロープを切った。そしてトラップが発動する。
「いけ、トラップナンバー001、『ラッキー宝箱』」
巨大な宝箱が木の上からロープで吊されている。それが巨大なカエルに直撃した。
そして宝箱の中身が地面にぶちまけられる。
それは新品の武者鎧であった。
「なんでいきなり武者鎧を宝箱に入れてぶつけてくるのかしら?」
そんなことに疑問符を抱いている間に、手追いの彼女たちは逃亡していた。
鎧に気をやった隙をみつけ一目散に逃げていったと言ってもよい。
かくして、山を縄張りにしていたオーク盗賊団は、殲滅は出来ないまで、追い払う事は出来た。コレはひとえに彼らの活躍と言えよう。
そして、戦利品に加えられる武者鎧は、なぜかカエルの手中に収まっていた。
どっとはらい