『謎の温泉教団の温泉宿 3』

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 44 C

参加人数:13人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月14日〜09月21日

リプレイ公開日:2004年09月22日

●オープニング

 初夏の日差しの差し込む関東甲信越、江戸から北へ2日ほど行った山間の温泉寺を中心に、謎の温泉教団は活発に活動していた。
 彼らは八百万の神を信仰する宗教団体で、温泉には神が住んでおり、温泉に入ることが教義と成っている団体である。
 温泉に入るための礼儀作法には厳しいがそれ以外はおおむねざっくばらんである。
 彼らは温泉寺に住み、檀家の者達も温泉へといざなう。
 温泉寺の裏はもちろん温泉である。温泉に入り身体を癒し、心を癒し、平和に生きていこうと言うのが彼らの考え方である。
 石灯籠の明かりの中でのんびりと温泉に入るのが彼ら流のやり方だ。
温泉脇には屋台が数軒並んでいる。甘酒や蜜柑酒、冷えた瓜や無花果などが売られている。
 そのほかにも野生の豚肉を使った串焼きの焼き豚。鯨の肉を使った鯨丼。山の清流で取れたばかりの虹鱒を使った鱒寿司や鯉の刺身等も売られている。
 檀家の人間達はここでお金を使ってくれる。これが彼女たち謎の温泉教団の軍資金に成っている。

 冒険者を雇い近くの森に出るモンスターを駆逐し、さらにうら若き乙女によるマッサージのサービスや、女性従業員の入浴が覗ける覗き部屋なども好評で連日連夜客足の絶えない状況が続いている。温泉宿としては大繁盛を納めていた。連日連夜の満員御礼に嬉しい悲鳴は鳴りやまなかった。

「軍資金も大分貯まったし、ソロソロ次の展開へと乗りだろうかねぇ」
 そう言って温泉教団の幹部、彩花が視線を送ったのは、裏の竹林の隣の山林である。山林の木を切り出し、そこへ新たに温泉宿の別館を造って増益を計ろうというのが今回の彼女の趣旨である。
 腕の良い大工は雇った、従業員の増員も滞りなく行われる予定だ。ただ一つ気になるのは、モンスターの存在である。裏山の竹林に温泉を作る際に、オークが出没したのを彼女は忘れては居なかった。
「今回も冒険者の皆さんを雇いましょう。まぁ客分と言う事で、モンスターがでたら退治してもらえばいいでしょう。それに温泉が気に入ってもらえれば、他のお客さんを呼ぶ投資につながりますしねぇ」
 そう言って彩花はにっこりと微笑んだ。

 冒険者の皆さんへ 
 裏山の木を切り出し、温泉宿別館を建築しますので、モンスターがでたら退治してください。モンスターがでるまでは部屋を用意しますので、ゆっくりと温泉を堪能してください。

 謎の温泉教団温泉宿責任者:彩花

●今回の参加者

 ea0299 鳳 刹那(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0697 如月 あおい(28歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea0758 奉丈 遮那(32歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea2480 グラス・ライン(13歳・♀・僧侶・エルフ・インドゥーラ国)
 ea2948 如月 妖乱(34歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3220 九十九 嵐童(33歳・♂・忍者・パラ・ジャパン)
 ea3741 レオーネ・アズリアエル(37歳・♀・侍・人間・エジプト)
 ea4083 橘 雪菜(32歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea4599 燎狩 都胡(26歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea6000 勝呂 花篝(26歳・♀・浪人・パラ・ジャパン)
 ea6764 山下 剣清(45歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

■『謎の温泉教団の温泉宿 3』

●探索
 温泉宿はいくつかの場所に別れて配置されている。
 元々有った岩風呂。後から作った竹林の露天風呂。そして今メインとなる古びたお寺を改造した旅館である。さらに今回は、お寺の裏の杉林を切り出して、新たな旅館(別館)を作りお客さん達をこっちでもてなすのが温泉教団の目的だ。
 そのために雇われた山師達が木を切り、土地をならし、図面通りに建築を進めている。
 だが、元々この山は人里離れた古寺の放置されていた場所であり、オークやオーガなどのモンスターが度々徘徊する場所に成っている。
 故に今回の工事をモンスターが聞きつけ、押しかけてこないかと言うのが彼ら温泉教団の心配する所であり、そのために雇われたのが今回の冒険者である。

 冒険者はローテーションを組み3つの班で事を起こすらしい。
 奉丈遮那(ea0758)が持参したロープを使って鳴子を作ることを提案した。温泉教団もそれに対しては特にとがめることはないという。そう言うわけでオークが来たら分かるように、工事現場から少し離れた場所に、ロープを張り鳴子を設置した。ロープの距離が3mしか無いのはご愛敬であるが。
 それを手伝うのは九十九嵐童(ea3220)。彼も温泉が好きらしい。
 ハリセン片手にそれを見守る燎狩都胡(ea4599)。土地勘を生かし、オークの出没する場所を予想する。確かに山岳地域にはオークが住んでいる事は分かる。
 大雑把な方向感覚で鳴子の配置にアドバイスと出すと、後はオークが来るまで見張りという事になる。
 その後ろに従うのは沖鷹又三郎(ea5927)と山下剣清(ea6764)。温泉教団の為に‥‥っと言うのは少々おかしいが、まずは依頼を解決するためにブラブラと巡回を行っている。
 額に汗をしながら探索する彼ら。特にオークのそれらしい物は発見出来なかった。

●暖かな温泉と静かな季節
 1班が山岳地域の探索を行っている中で2班は温泉にて温泉を嗜み、3班は部屋で待機と言うことに成っていた。その3班のお相手をしてくれているのが、何をかくそう温泉教団温泉宿の責任者彩花である。
 温泉宿運営中で忙しい中、冒険者の皆さんを代表して接待してくれているのがこの人である。
「前の冒険者さんのおかげで竹林温泉が出来ました。覗き場も出来ました。おかげでお客さんの入りは上々でウチの教団員達も朝から晩まで働いております」
 そう言ってにっこり笑う彩花。
 グラス・ライン(ea2480)がそれに合わせて微笑を浮かべてる。
 何度も顔を合わせた人だ、彼女の考えることもおのずとわかってくる。
「ほんじゃお風呂でのマッサージばかりではアレやし、お布団でのマッサージも少ししてあげようかしらねぇ」
 そう言って彩花が如月妖乱(ea2948)の方にゆっくりと近づく。
 誰もがHな展開を予想していたが、妖乱は精神的に優れないため、逃げることが出来ない。
 そして、予想外にも彩花のマッサージはHな物ではなく、妖乱の身体を優しく回復するものだった。そして静かに彼女は語り初めて。
「ウチも昔、恋人(女性)に逃げられた鬱病にかかったことがあるんよ」
 そう言って彩花はキセルを片手に一服吸うと静かに話を続けた。
「そら毎日が地獄だったわ、何をする気も無気力で、一日中寝て過ごす様な事もしばしば、おなかがすいても食欲が無くて何日も食事を取らないことも有ったしな。どうして私は生まれてきたんだろう。何の為に生まれてきたんだろう。誰の為に生まれてきたんだろう。‥‥私なんか生まれてこなければ良かったのにっと自分で自分を呪ったもんやったわ」
 昔を懐かしむ彩花の言葉に少々重く受け止める妖乱。
「そんなおりやった、教団の教祖様にお会いできたのは‥‥」
 そう言って彩花は懐かしみながら話を続けた。
「温泉教団の教祖様はそんな私に光を与えてくださったんよ。人間というのは小さい、何でも出来る訳じゃない。出来ることは限られている。出来ないことを嘆くより、マズ、出来ることを一つ一つやっていくのが大事なんじゃないか‥‥てね。ウチに取っては最高の言葉やったわ。そして温泉教団に入信して、少しでも教団の役に立とうと、日々努力した結果、今のウチがあるんよ」
 彩花は小暑照れくさそうにして妖乱に向かって話しかけている。
 妖乱も何とはなしにその言葉に耳を傾けている。
「色々人生あるんですねぇ」
 レオーネ・アズリアエル(ea3741)が温泉上がりの火照った身体でゴロゴロと布団の上を転がっている。彼女はかなりの温泉好きになり、温泉教団にも填ってしまったらしい。
「温泉の作法が上手く身に付いている人は温泉教団に入信させて上げても良いですけど、温泉作法がまだ未熟な人は、仮入信って事で色々勉強してもらいます」
 温泉教団入信を求むグラスとレオーネに倒して彩花はにっこり微笑んだ。
「思ったんですけど、オークと仲良く共存することは出来ないんですか?」
 橘雪菜(ea4083)がそう言って彩花に問いかけて行く。
「難しいわね。山で熊や猪がでるのと同じように、オークやゴブリンはでるのよ。そして彼らは人間の言葉では話すことが出来ないし、彼らの言葉を人間が話すことも出来ない。だから上手く共存していくのは難しいと思うわ。お互いのテリトリーを守っての共存しか無いと私は思ってるの。だから山からオークを根絶やしにするんじゃなくて、襲ってきたら追い払ってもらおうと思っている訳なんだけど」
 彩花も争いは望まないらしい。
 だが、オークとの共存の道は激しく遠そうだ。
 ちなみにオーガ語を人間が操ることは難しいが、オーガ知識が達人に成ると、オーガと身振り手振りで意思疎通が可能に成っていくらしい。詳しいことは分からないが。
「雪菜ちゃんにはちゃんと胸が大きくなるマッサージもして上げるから、定期的に通ってくださいね」
 そう言って両手をワキワキと音を立てながら雪菜の布団の中に潜り込んで行く彩花。
 今日も今日とて犠牲者は絶えない様だ‥‥。

●温泉にゴブリンが‥‥
 第一班が探索を行い、第3班が眠っている頃。第2班はのんびりと温泉を楽しんでいた。
 そんな4人の所へ少し遅れて彩花がやってくる。
「遅くなって申し訳ありません。他のお客さんの接待やら、宿の運営やらでばたばたしておりまして、早く幹部候補を育成しなければ行けないんですけどねぇ。そんな暇も無くて」
 そう言って彩花がサービスといって梅酒を持って4人に振る舞う。
 鳳刹那(ea0299)がマズは杯の酒をゆっくりと嗜む。ほうっと頬が赤くなる。
「美味しいお酒ですねぇ。何かちょっと幸せな気分ですわ」
 刹那の言葉に機嫌を良くする彩花。
「ありがとう。まだまだいっぱい有るからたんとめしあがれ」
 そう言って2杯目の杯を差し出す彩花。
「そうだ。私彩花さんにお願いが有るんです。私今江戸の馬喰町1番に住んでいて、銭湯『やぎの湯』を経営してるんですが、温泉では無いですが江戸での教団事務所にする事を許可願えませんでしょうか?」
 刹那の言葉に首をかしげる彩花。しばらくしてポンっと手を叩く。
「温泉教団の江戸のたまり場にしたいんやね? えぇよ許して上げる。入信者の人が来たらウチの所の教団をちゃんと紹介したってね」
 そう言って彩花はにっこり微笑んだ。

 野村小鳥(ea0547)と如月あおい(ea0697)は岩風呂から少し離れた山中に人影らしい物を見かけた。それが人なのかモンスターなのか確認するために、風呂桶片手に山中を歩いていた。もちろんふたりとも一糸まとわぬ姿である。
 いや、多少は纏っている。あおいはなぜか顔にバックパックをかぶっているのである。
彼女たちが見かけたのはゴブリンだった。それも2匹。通常よりは一回り小さいゴブリンが偵察のために来ていたのだろう。それに偶然ふたりは出くわしたのだ。
「うひゃーモンスターだ」
 小鳥が思い切りゴブリンに回し蹴りを浴びせる。側頭部を殴られ転がり落ちるゴブリン。
 あおいも負けずに手裏剣を投げる。覆面をかぶって投げているので、足下にザクザク突き刺さるだけだが、それでもゴブリンに対しては効果はあったようだ。ふたりの動きを見つめて一目散に山の奥の方へと逃げていった。そして‥‥

「へぇゴブリンがでたんですか。それは珍しい」
 彩花の悶絶官能マッサージを受けながら、小鳥とあおいは今あったことを報告した。ふたり同時にマッサージしてるので流石にその手の攻撃には限界があるが、それでもふたりを夢心地の中へ誘うには十分な『破壊力』である。
「この辺は元々オークの縄張りやったのに、そこにゴブリンがでるなんて珍しい。何かあったのかもしれませんねぇこれからは十分注意して作業することにします。それにしてもふたりともお疲れ様でした」
 そう言って小鳥の胸を優しくなで回す彩花。その指の動きになすすべも無く、ぐったりと力尽きる小鳥。とって返す手であおいのふとももの内側へと彼女の手が滑り込んで行く。
 そして数分後。今度はあおいもぐったりとして動かなくなる。

「彩花さん私にもマッサージのやり方教えてほしんですけども。そしたら、江戸に帰ってもわたくしが小鳥さまの為におっぱいを大きくするマッサージをしてあげられます」
 そう言って彩花に近づくのは勝呂花篝(ea6000)。だが、彩花はにっこり笑って否定する。
「このマッサージを身につけるには3年は修行しないとダメよー。教団の中でも幹部の人にしか扱えない特別なマッサージなんだから。でもどうしてもっていうなら私が貴方の身体にたっぷりと教えて上げるわね♪」
 そう言って勝呂花篝を押し倒す彩花。温泉の中ではいつまでも官能的な悲鳴が耐えなかった。

●最後に
 今回のミッションではオークは出ませんでしたが、偵察とおぼしきゴブリンが出現しました。ゴブリンは迎撃されたことによってしばらくは安心が続くでしょう。おそらくこの山でオークを倒しすぎたおかげで縄張りがゴブリンの物になりかけているのだと彩花は言っております。取りあえずはミッション成功です。おめでとう。