『真夏の褌隊・風邪をひく』

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 30 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月22日〜09月30日

リプレイ公開日:2004年09月30日

●オープニング

 光る海・光る大空・光る大地♪
 叫べ胸を張れ!! 進め褌(ふんどし)部隊♪

 謎の褌隊は夏の強化合宿の為、海へ山ごもりに来ていた。
 いや、山ごもりを始めたのは夏である。季節は9月。
 もうすっかり海にはクラゲがうようよしていた。
 一体何週間海で山ごもりを続けて行くつもりなのだろうか。
「姉さん。もうソロソロ勘弁してくださいよ」
「黙れ!! 褌隊の返答はハイかイエスだ!!」
 檄が飛ぶ、9月の海岸線で檄が飛ぶ。
 むさい筋肉マッチョでふんどしな兄ちゃん達総勢40数名が朝の海岸線をザッカザッカと走ってゆく。 中には疲れか疲労かを気合いで走る者もいる。
 有る意味絵になるが、有る意味夢に出そうな集団である。
 彼らは、越中褌、六尺褌で身を固めたマッチョダンディ総勢52名。自己主張の表れか、褌にはカラフルな刺繍が施されている物もある。
 謎の褌隊には規律と階級があり、位が上の物ほど良い褌を装備することが出来る。
 それはまるで西陣織や藍染めにさえ相当する艶やかで雅な物だ。
 彼らの統括を行っているのは真っ白な肌と細身の身体の艶やかな女性、名を紫陽花。
 黒く艶やかな髪を紙縒で頭の後ろで結び、その細身の身体からは想像も付かない様な自己主張溢れる豊満な胸をサラシで固め、黒地に金銀の糸で刺繍されたアジサイと螺旋状のカタツムリの図柄が入った何とも雅な黒猫褌を装着している。
 どうやら彼女がこの男どもの統括をしているらしい。
「良いかオマエ達、こんな事で根をあげている様では、立派なふんどしマスターには成れないよ? そんなケツの穴の小さい事でどうする?」
 紫陽花がそんなマッチョな集団に檄を飛ばす。
 彼女は荒ぶれるふんどし隊第一分隊分隊長である。
「しかし、分隊長。何人かの新入りは荒行に耐えられなくて、風邪をひいている見たいです。かくいう私もそいつらの看病で身体が重いちゅーかだるいちゅーか‥‥」
 そう言って新入りの面倒を見ているマッチョダンディなふんどし先輩『寒尊(さむそん)』は分隊長である紫陽花に対して哀願する。
 それもその筈、褌隊は常に褌の姿で走ったり泳いだりと特訓を繰り返しているのである。風邪をひく者がしかたがないだろう。
「分かった。奥歯に物の詰まったような話し方をするな。今日の特訓はここで切り上げる。明日は一日休みにしてやるから、ゆっくり身を休め、また明後日から特訓を再開することにしよう」
 そう言って優しく微笑む紫陽花の優しい言葉に新入り達は喜びの喚起をあげた。

 そしてその夜の事である。
 彼女は太さ3cm程の超極太の万能ネギを数本用意して風邪をひいた隊員達の前に現れた。
「よし、おまえ達、すぐに熱が冷めるように万能ネギを用意した。その名の通り、どんな病気にも効く万能なネギだ。さぁ、早速お尻をこっちに向けなさい」
 その言葉に新人の隊員達は目を丸くして紫陽花を見つめた。
「あっあの、分隊長が‥‥その‥‥ネギを‥‥」
 耳まで真っ赤にしながら後ずさりをする。隊員達。
「私の特訓でおまえたちは風邪をひいて熱を出して居るんだ。私がおまえたちの面倒を見るのは当然だろう? さ、こっちにお尻を向けて」

 出せと言われて早々にお尻を向けられるわけはない。絶世の美女。しかも自分たちの崇拝さえもする尊敬する分隊長にお尻にネギを入れられるなんて。
 だが、紫陽花の目はまじめである。ここで遠慮をすれば失礼に当たる。そう、文字通りケツの穴の小さいことを示してしまうことになる。それだけは避けたい。

 一人一人新米の隊員達のお尻にネギを挿していく紫陽花。
 有る者は悲鳴を上げながら、有る者は無言で歯を食いしばりながら、そしてまたある者は嘆美な声をあげながら、お尻の穴に優しく、そして力強くネギを挿して行く。
「ほらほら、力を入れない。もっと力を抜いて」
「ほら、変な声を出さないの」
「コレが終わったら、寒尊、アンタにもネギ挿してあげるからね」
 あっと言う間に新人達のお尻にネギを挿入してゆく紫陽花。
 有る者は目に涙を浮かべ、またある者は『もうお婿に行けないと』っと涙組み、そしてまたあるものは新たな感覚に目覚め、涙していた。結局みんな涙している。

 そして最後に目線を送ったのは、彼らの面倒を見ている先輩の寒尊であった。

 所がいつの間にか寒尊が居ない。姿をくらましている。
「大変です。分隊長。寒尊の奴が一人でオークの出る山の方へまっしぐらに走っていきました」
「どうします? 分隊長。追いかけますか?」
 突然のハプニングに顔色を変える紫陽花。だが冷静に、そう、冷静に対処する。
「いや、二重遭難の危険性も有るし、オークに出くわしたら危険だ。ここは冒険者を雇おう。悪いが誰か、ひとっ走り冒険者ギルドまで行ってきてくれないかい?」



 次の日の朝、冒険者ギルドに依頼が昇る。
『オークの出没する山に迷い込んだ寒尊を連れてきて欲しい‥‥っと』

●今回の参加者

 ea0280 インシグニア・ゾーンブルグ(33歳・♀・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0758 奉丈 遮那(32歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea2233 不破 恭華(29歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5694 高村 綺羅(29歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea5790 霧林 雷(26歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5943 鬼子母神 豪(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea5989 シャクティ・シッダールタ(29歳・♀・僧侶・ジャイアント・インドゥーラ国)
 ea6000 勝呂 花篝(26歳・♀・浪人・パラ・ジャパン)
 ea6808 神無月 霧龍(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7040 安堂 嶺(28歳・♀・僧兵・ジャイアント・ジャパン)
 ea7062 阮 幹(20歳・♀・武道家・エルフ・華仙教大国)

●リプレイ本文

●目には目を褌には褌を
 暑い太陽。九月と言うのに猛暑の続く夏。海にでも入りたいようなお天気。
 でも、何故か山に入ることになる。そう。お尻にネギを突き刺す為に。
 取りあえず冒険者11人(?)は2班に分かれてオークの出ると言われている悲劇的伝説の有る山へと登っていった。そこに山があるから昇るのではない。そこにふんどしが居るから昇るのである。一応参加賞の6尺ふんどし(未使用)をもらいながら。

●山に入る前の出来事。
 インシグニア・ゾーンブルグ(ea0280)は紫陽花に進言をしていた。
 汗をかけば熱は下がる。いっそみんなで押しくらまんじゅうでもしたらどうかと。
 紫陽花はその提案にしばらく沈黙をして考えた。
「汗をかいて熱は下がるかも知れないが、体力を消耗させるのは不味い。それに熱が出たらお尻にネギを挿すのは褌隊のしきたりに有る由緒正しい解熱方法だぞ?」
 そう言って紫陽花はインシグニアの発案を申し訳なく否定した。
「そのネギなんだけど、お粥を作ってあげるって言うのはどうかな?」
 野村小鳥(ea0547)の発案に首をかしげる紫陽花だが、ポンっと手を叩くとその意見を取り入れた。
「分かった。万能ネギは万能だ。たぶんお粥に入れても風邪に効くだろう。地鶏の良いのも手に入っているから、鳥と葱のお粥を作ってみんなに食べさせることにしよう。無論寒尊の分もちゃんと取っておくから安心してくれ」
 そう言って彼女はにこやかに微笑んだ。
「紫陽花、アンタにちょっと話がある」
 不破恭華(ea2233)が胸にサラシ、下はふんどし姿で登場する。
 大きな胸がサラシから溢れんばかりに自己主張しているのが見て取れる。
 そしてふんどし姿もきわどく六尺ふんどしがお尻に食い込んでいる。
「彼はきっと恥ずかしいのだ。その辺の所を察してやって欲しい」
 そう言って彼女は紫陽花に向かって進言する。
「ふむ。確かに他人にケツの穴を見せるのは恥ずかしいかも知れない。だが、風邪を拗らせて死んでしまってはそれこそ取り返しのつかないことに成らないか? ほらことわざにもあるだろう? 『菊は一時の恥』と」
 確かに見せてる時だけ恥ずかしいので一時の恥と言えなくもないが、いやそーじゃねだろとツッコミを入れたくなる気持ち半分。いっそ紫陽花のふんどしを脱がして辱めてやろうかと言う気持ち半分で不破恭華は呆然と硬直していた。
「だが、キミの意見も半分は理解した。そして私と正面から話し合いをするためにわざわざふんどし姿になって私に意見する度胸も気に入った。よし、寒尊が恥ずかしいと言うのなら、私は目をつぶってネギを挿すことにしよう。それと、キミを褌隊仮隊員に認定する」
 そう言って不破恭華の肩をポンっと叩く紫陽花。右斜め45度に話は進んで行く。
「紫陽花さん。身につけている物を何か貸してもらえませんか? 彼に貴方が心配していると言う意を伝えたいのです」
 奉丈遮那(ea0758)の言葉に首をかしげる紫陽花。
「言ってる事は分からないがやりたいことは何となく分かる。私の普段使ってるふんどしを貸してあげよう。今は黒猫褌だが、普段は六尺の割褌を使っているのでコレを貸そう」
 そう言って彼女愛用のアジサイに螺旋カタツムリの褌を貸してもらうことが出来た。
「はぁ彼女が紫陽花おねぇさんですか。褌姿がりりしいですねぇ」
 目をるんるんに輝かせて紫陽花の褌姿を見つめる勝呂花篝(ea6000)。
 その隣ではまた違った意味で紫陽花の褌姿を見つめるうさみみの女性がいた。
「これがふんどしと言う物ですか‥‥私がつけてもいいのかな?」
 唐突にうさみみで、そして唐突にふんどしを締めたがる不思議な女性、阮幹(ea7062)。
 彼女は初めて見るふんどしに興味深々だ。
「このふんどしは私専用だから‥‥新人用の無地の六尺褌を貸してあげよう」
 見てくれは2m程の無地の布だがあら不思議、テキパキと阮幹を脱がせあっと言う間に六尺褌を装着させる紫陽花。ついでに上もサラシを巻いて出来上がりである。
 どこから見ても褌にサラシの少女の出来上がり。‥‥うさみみがついているが。
「あの‥‥紫陽花ねぇさんに一つお願いが‥‥」
 阮幹の飾り付けを終わらせた紫陽花に話しかけてきたのはシャクティ・シッダールタ(ea5989)である。
「あの、わたくしの友人巴渓様が関わった古褌屋のこと何ですが、此度では仮出店と言う事でしたが、もし本出店という時には、是非ひいきにして頂きたいと思いまして‥‥」
 そう言って知り合いが古下着屋で商売をしている話を、その店を使ってはもらえないかと言う話を紫陽花にしてみた、紫陽花は残念そうにしてシャクティ・シッダールタの申し出を丁重に断った。
「褌には色々な種類がある。越後屋で扱っている越中褌、六尺褌を始めに、もっこ褌、9尺褌、祭りの時に閉める締め込みや、私が今付けている黒猫褌それに私が普段使っている割褌だ。どれも取り扱っている店は皆無に等しい上に、我々褌隊はその階級に従って褌に装飾を入れる。第一分隊分隊長の私は西陣織と見まごうばかりの金糸銀糸の刺繍が施されているし、地も黒い布を用いている。逆に平隊員の褌は無地の白だ。それらは全て専門の業者に一手に任せている。町の古下着屋で扱うような品物では到底代用は叶わないと思って欲しい。専門店のオーダーメイドでまかなっている品物なのですよ」
 そう言って紫陽花はシャクティの肩をポンと叩く。
「だが、その心意気や良し、オマエさんとグエンカンにも仮隊員の称号をあげよう。褌を愛し、褌と共に生きる気持ちがあるのなら、共に褌の道を究める為に進もうではないか」
 予想していた最悪の事態の常に斜め上を行く発言をする紫陽花。そんな紫陽花の言動にシャクティもハイと言う他は無かった。

●寒尊を探して
 さて、前置きが長くなったが寒尊を探して二つの班が動いていた。
 負けた方がケツにネギを入れられる‥‥‥‥訳ではないが2班は懸命に寒尊探しにいそしんでいた。
「お〜い寒尊。‥‥今回の冒険者仲間が‥‥粥を作ってくれる‥‥ネギ尻されること無いから‥‥安心して帰って来いよ‥‥アンタの分隊長、心配して俺らをよこしてオマエを探させたんだ。‥‥風邪気味なら心配なのはなお更だろう‥‥だから、帰らないか?」
 神無月霧龍(ea6808)が深く静かに語らおう様にして寒尊を呼びかける。
 もちろん半分本当で、半分は嘘である。
 ネギ粥は確かに作られているが、分隊長がネギを持って待ちかまえているのも事実なのだ。だが、そんなこと言ったら、寒尊はケツを抑えて逃げ出すだろう。
「寒尊さん。紫陽花さんは貴方の事を思ってくれて居るんですよ。彼女の愛情を受け入れてあげてください」
 安堂嶺(ea7040)が有らぬ話をでっち上げながら呼びかけを行って行く。
 大声を出しながら進んで行く第壱班。だが、寒尊はその姿を現さなかった。

「寒尊様〜紫陽花が心配してますよ〜。」
 第弐班で呼びかけを行っているのは霧林雷(ea5790)。未だ寒尊の消息はつかめていない。
「いずれは帰らなければならないのですから‥‥」
 そう言って森に語りかけるように、どこかで聞いているかも知れない寒尊に語りかけるように話しかけて行く霧林雷。読んだら出てくると言うわけでもないことは彼も理解している。
「寒尊さん聞こえているのなら、コレを見てください。紫陽花さんの褌です。彼女は貴方を心配して、褌を預けてくれたんですよ? 出てきてください」
 それが何を意味してるのか分からないが、奉丈遮那の言葉に寒尊の心は動いた。
「褌隊に取って命より大事な褌を他人に預けてまで、私の心配してくれているなんて‥‥」
 その価値基準が何処にあるのか分からないが、山の中に褌姿で隠れていた寒尊は既に自らの力では立てないほどに疲弊していた。
「大丈夫か? さぁ私の背中に乗りなさい」
 鬼子母神豪(ea5943)が寒尊を背中に背負って下山する。すっかり冷え切った身体と高熱の寒尊くんを引き連れて。

●治療‥‥そして
 下山し、ぶるぶると震える寒尊に思いがけない包容が訪れた。
震える寒尊に毛布を掛ける紫陽花。そしてその寒尊をぎゅっと抱きしめ人肌で温めてあげている。
「すまない寒尊。オマエの気持ち分かってあげられなかったよ。私にお尻を見せるのが恥ずかしかったんだろう? だが、だからといって無茶をするな。心配したんだぞ」
 紫陽花の包容に顔を真っ赤にして赤面する寒尊。
「彼らの助言で粥を作った。地鶏の肉とネギをふんだんに使った物だコレを食べて元気を付けろ‥‥それと」
 そう言って彼女は一降りのネギを右手にもって笑っていた。
「恥ずかしいならなるべく見ないようにしてやるからな。さぁお尻をこっちに向けて」
 かくして寒尊くんの純血は風前の灯火と成っていた。
 だが、それも愛情なのだ試練なのだと受け入れる寒尊。だがなるべく見ない様にして
ネギを入れられるのは有る意味プレイにも似た行動に成ってしまっている。

「この辺?」
「いや、もっと手前です」
「この辺かな?」
「いや、その、もう少し右です」
「じゃこの辺かな〜」
「あぁ、そこ!! そこです!! あぁ!? もっとゆっくり‥‥やさしくぅ〜」
 お尻にネギを入れられて、艶めかしい声と変なことを思い切り想像させてしまうセリフを吐く寒尊。

 取りあえずは一件落着と言ったところであろうか。

どっとはらい