温泉教団凸凹コンビ2

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜4lv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 30 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月07日〜10月15日

リプレイ公開日:2004年10月18日

●オープニング

 とある山奥にふたりのうら若き娘の姿が有った。
 ふたりは謎の温泉教団の信者にして狂信者である。
 謎の温泉教団とは、教団とは名ばかりの集団で温泉こそ神の恵み、温泉を嗜む事が神への祈りであり、信仰であると考えている集団である。
 温泉に入り屋台の料理や蜜柑酒、梅酒、甘酒等を煽り温泉で傷を心を癒して疲れを取る。
そして檀家の人々もその温泉で疲れを癒し、屋台を利用することで散財し教団に貢献する。
 そのお金と檀家の皆さんからのお布施、お湯代で成り立っている団体である。

 とある山奥にふたりのうら若き娘の姿が有った。
 ふたりは謎の温泉教団の信者にして狂信者である。
 身長150cm程の着流しを着たちんまりとした小娘と、身長170cm程で男物の着物を着込んだ朱槍を持った大柄で巨乳の娘の凸凹コンビである。
 小さい方の娘の名は灰神楽・舞(はいかぐら・まい)。
 大きな方の娘の名は花鳥(かちょう)。ふたりとも種族は人間である。
 ふたりは謎の温泉教団に所属し団からの命令によって様々なトラブルを解決する、いわゆる便利屋だ。

 今回の依頼はこの山に住むオーク退治である。
 だが、山に入って3日ほど探索しているが、オークの影も形も見あたらない。
「オークが出て、困ってるから何とかしてくれって依頼‥‥だったよねぇ?」
 そう言って温泉教団からの依頼書に目を通す灰神楽舞。
 実は紙は結構な値段がして庶民には手が出しづらい物だが、依頼書は全て上質な紙で送られてくる。一説には自分たちで空いている漉いていると言う話も聞くのだが‥‥。
「見つかったのは戦闘が有ったであろう痕跡と‥‥小鬼の死骸が2つ‥‥」
 そう言って木々に刺さった矢とゴブリンの死体を指さした。
「ゴブリンと何かが闘った後‥‥みたいですね。取りあえずはゴブリン退治して帰ります?」
 花鳥の言葉に腕を組んで首をかしげる灰神楽舞。
「でも、足跡から見ると、ゴブリン2〜3匹じゃないよ? 10匹とか居るかも‥‥」
 舞の言葉に顔を引きつらせてひやりと汗をかく花鳥。
「んじゃ今回もやっぱり冒険者雇いましょうか。経費は教団持ちで」
 そう言って本部へと連絡を取るべく一度山を後にするふたり。
 しばらくしてシフール飛脚を通して連絡が教団本部へと送られ、教団から出た指令は
『オークでもゴブリンでも良いから、冒険者雇ってちゃちゃっと倒してきてください。』っと言う物だった。

 そて、そんなわけで今回も冒険者の出番と成ったわけである。
 今回の依頼は灰神楽舞と花鳥のふたりと共にゴブリンの撲滅である。
 ゴブリンは山に住み着いているらしく、弓を使う物も居るらしい。
 冒険者の皆さんはふたりを手を合わせてゴブリンを倒すことが今回のミッションだ
 ふたりを倒されたり、ゴブリンを殲滅出来なければ、ミッションは失敗となる。
 それでは冒険者の皆さん幸運を!!



●今回の参加者

 ea0196 コユキ・クロサワ(22歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea0697 如月 あおい(28歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea1160 フレーヤ・ザドペック(31歳・♀・ファイター・人間・神聖ローマ帝国)
 ea2740 狩野 龍巳(45歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2941 パフィー・オペディルム(32歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea3107 月詠 御影(27歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea3115 リュミエール・ヴィラ(20歳・♀・レンジャー・シフール・モンゴル王国)
 ea5910 ミリオン・ベル(28歳・♀・レンジャー・人間・ビザンチン帝国)
 ea6764 山下 剣清(45歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7062 阮 幹(20歳・♀・武道家・エルフ・華仙教大国)

●リプレイ本文

●命を燃やせ
 夜、静かな森の片隅に明かりが動く。それに連なる10人の冒険者達、花鳥と灰神楽の二人と合流して、彼らはオーク退治の為の下準備やら訓練やらを始めていた。
 夕食を取った後に、近くの木にダーツの如く矢を投げつけ突き刺すのは阮幹(ea7062)ウサ耳を模したヘッドドレスをかぶり、弓を持たず矢を素手で投げる流派の一人。その威力や射程はダーツに劣るが、矢本体が軽いというメリットが有る。
「その攻撃やとゴブリンに軽傷を与えることさえ役不足やな。別の武器に変えたりしないの?」
 灰神楽舞がふと彼女の手矢について質問する。阮幹(グエン・カーン)は小さな胸を反り返して自慢げに灰神楽舞にえっへんと胸を張る。
「大丈夫その時はシューティングポイントアタックで急所を狙うから」
 自慢げな彼女の言葉の腰を折る舞。
「なるほど。それなら確かにダメージ沢山与えられるかも知れないね。でもそれだと一匹にシューティングポイントアタックで大量の矢を投げつける事に成るけど大丈夫なの?」
 自信なさげに質問する舞の言葉に顔色が一変する阮幹。
「しまったですよ!? どうしましょう!?」
 どうしましょうと言われても困るが、本当にどうするんだろう‥‥。
「えーと威力重視で行くなら手裏剣とかに持ち帰ると良いんじゃないかな? 後は矢を大量に持つとか‥‥。手裏剣なら矢を手で投げるよりはダメージが有る‥‥っと思う。私も武器は詳しくないんだよね。物理的戦闘は常に花鳥に任せてあるから‥‥」
 そう言って乾いた笑いを浮かべる舞。
 その話の主である花鳥は朱槍を持ち、静かに素振りをしていた。
「大きく突く、右回りの回転で突く、左回りの回転で突く、ラン、ナー、チャー、‥‥」
 月明かりの中で槍の修練を行う花鳥に対して、近づく一人の人物。狩野龍巳(ea2740)は額に汗する花鳥に対してそっと近づきその動きを見守った。
「良い動きだねぇ。技は一体どんなのを憶えてるんだい?」
 狩野の言葉に花鳥は頬を赤らめながら応える。
「スマッシュ1つだけ‥‥いつかブレイクアタックも習得したいとは思ってるんだけど‥‥」
 そう言って頬を赤らめる花鳥。男性への免疫が全くない彼女は異性と会話するだけでも頬を赤らめるタイプの人間である。
「俺はいつか朱槍を持って戦場で戦うのが夢‥‥いや目標なんだ。だから朱槍を使うと言う花鳥さんに興味があるのさ‥‥」
 興味があると言う言葉にまた頬を赤らめる花鳥。彼女は持っていた朱槍をそっと狩野に手渡す。
「使ってみる? 私は予備があるから‥‥」
 そう言って片手で渡された朱槍だが、狩野は両手でしっかりと受け止めた。常人の予想を遙かに超えるその重量感。そして長巻きを越える破壊力。日本で最も重く、最も破壊力の有る接近戦武器、いわゆる『スマッシュを使う者が最終的に喉から手が出るほど欲しくなるアイテム』朱槍。威力は17重量は20。スマッシュの一撃はゴブリンに致命傷を与える事さえ出来るジャパン最強武器である。
 それ故に扱える者は少なく、扱うためには常人を遙かに越えた体力を必要とする。
「こんなに重いとは思わなかったな」
 槍を素振りし、その重量感を両手と全身で受け止める狩野。試し打ちのスマッシュが立ち木に大きな穴を穿つ程の破壊力である。ほどよい緊張感が汗となって額と背を走る。
「気に入ったのなら‥‥それ‥‥あげるから‥‥大事に使ってね‥‥」
 手ぬぐいで汗を拭きながら頬を赤らめる花鳥。
 男性に免疫の無い彼女の精一杯の自己アピールなのだろう。

●戦場を狩る者達
「闘うために生まれてきた、バトルだけが私の生きる全て」
 朱槍を構え深く静かに呼吸する花鳥。その花鳥の脇に同じようにしてフレーヤ・ザドペック(ea1160)が剣を構える。静かな呼吸そして静かな動き
「手強いから‥‥熱く成れる」
 右手にロングソードを、左手に十手を構えて姿勢を制御するフレーヤ・ザドペック。正面のゴブリン(小鬼)の数は約6匹、一人頭3匹を倒せば良い計算と成る。
「見敵必殺!!(サーチ&デストロイ!!)」
 フレーヤの剣と十手がゴブリンを挟み込むようにして左右から攻撃を与える。挟まれたゴブリンは同時に2発のダメージを受ける。そしてどす黒い血を吐くゴブリン。
「小鬼如きに私の剣を止めることは出来ない」
 フレイアが剣を振るい2匹目のゴブリンと対峙するとき、3匹目のゴブリンは苅野の使う朱槍の餌食と成って消えていた。そして4匹目5匹目のゴブリンを軽くスマッシュで迎撃してた花鳥は6匹目のゴブリンにその槍先を向けていた。

「唸れ!! プラントコントロール」
 コユキ・クロサワ(ea0196)のかけ声で、ウネウネと草と蔓がわき上がりる。
右側からやってきていた3匹のゴブリンのウチの一匹を絡め取る。
「小鬼なんて私の一撃でたおしてみせますわ」
 如月あおい(ea0697)が残り2匹に向かって文字通り飛び込む。
 6尺褌を口と髪に巻いてうさ耳みたいになびかせながら、まるで特撮ヒーローの如く飛び込んで行く彼女であったが、いかんせん実力と行動がともなっていない。
 取りあえず回避能力をフルに生かして、相手の攪乱に尽力を尽くしている。
 月詠御影(ea3107)もまた、高速の動きを使って翻弄する。
 オフシフトと疾走術を使い、左右に身体を振っての高速移動は、ゴブリンの攻撃を回避し翻弄するには十分な動きであった。
 そして彼ら二人の動きに合わせて、詠唱を行うのはパフィー・オペディルム(ea2941)。
 地より吹き出す炎の一撃、マグナブローを多彩に組み合わせてジリジリとゴブリンのヒットポイントを削って行く、

 左方向の3匹のゴブリンに攻撃を仕掛けるのは山下剣清(ea6764)。ソニックブームの一撃が遠距離攻撃としてゴブリンに発射される。そして、間髪入れずに弓の攻撃を打ち込んでいるのはミリオン・ベル(ea5910)。ショートボウを使った一撃がゴブリンの懐に直撃し、傷を負わせている。その隙間を縫ってコアギュレイトの呪文でゴブリンの動きを封じる灰神楽舞。
「所詮小鬼は小鬼ね。おなじ数なら、冒険者が負けることは無いわ」
 リュミエール・ヴィラ(ea3115)はそんな灰神楽舞の頭の上で小休止を取っている。
 あおいが動き回る為、動き回らない術者の上が彼女の拠点だ。

 油断は生まれる。一匹のゴブリンがソニックブームの一撃を身体で受けながら、そのまま突進してきたのである。流石の山下もそれには驚いた‥‥。
 まさか小鬼の中に一匹だけ、小鬼戦士が混じっていようとは‥‥。
小鬼戦士の攻撃を刀で受け止め、その一撃を受け流しながら小鬼戦士に刀を返し攻撃を仕掛ける。
 その間に前方に回っていたフレーヤがゴブリン戦士(小鬼戦士)を後ろから切り裂く、その側面から花鳥の朱槍が唸りをあげる。3方向からの攻撃に流石にゴブリン戦士も撃沈する。そして、それを境に、ゴブリン達は皆潮が引きように逃げて行く。

 我々は勝利の雄叫びを上げた。

●湯と言う癒しの空間
 戦闘が終わったら常に湯に入る訳ではないが、今回も戦闘終了後に傷を癒すために湯治にやってきていた。特にフレーヤと花鳥はゴブリン弓兵の矢を受けての活躍がめざましい。
 生傷に湯が染みるが、それでも温泉は心地よい。どちらも鍛えられた肉体を持っているが、一応に女性である。花も恥じらう乙女なのだ。
「手合わせしてみて分かったけど、花鳥さんは本当に剛の人だな」
 フレーヤ・ザドペックの言葉に頬を赤らめる花鳥。その横をリュミエール・ヴィラがパタパタと泳いで行く。
 アオイに飲まされた酒に酔ってすっかりキス魔に成っている彼女であるが、羽がお湯に浸かって飛べなくなっているのである。
「温泉にはフンドシを穿いて入る物だと思っていたから、全裸なんて知らなかったよ」
 阮幹がそう言って温泉に入る。もちろん全裸ではあるのだが、頭には何故かうさみみを着用している。
 パフィー・オペディルム(ea2941)がのんびりと湯を楽しむ。男性女性少々狭い湯の中で森の動物たちと楽しむ温泉。それもまた一興と言ったところであろう。
「こうしてお二人と知り合えたのは、温泉教団信者見習いとして感動です」
 山下剣清の言葉ににっこり微笑む灰神楽舞。彼女の目線は既にコユキ・クロサワへと流れている。
「今回の餌食は彼女に決定!!」
 そう言ってコユキにギュッと抱きつく舞。コユキは耳まで真っ赤にして抵抗する。
「あっ、やっ、あかん‥‥あかんよ‥‥」
 いやいやをするコユキ。だが観念したのか、徐々に抵抗の力は薄らいで行く。
「‥‥優しくして‥‥な?」
 その言葉ににんまりと微笑む灰神楽舞。温泉の夜は今夜もふけて行くのであった。

どっとはらい