踊る猫耳巫女

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜4lv

難易度:易しい

成功報酬:0 G 88 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月11日〜10月17日

リプレイ公開日:2004年10月20日

●オープニング

 江戸から北東に3日ほど。小さなお山がありまして。猫神様を祭っている祠が有りました。
 お山は猫神様に守られていると、地元の村々の人は、そう口を揃えて言います。
 山は村人達に沢山の幸を与えてくれます。木の実、魚、キノコ、薪、そして‥‥。
 山の麓には猫神様を信仰する小さな神社が存在しました。そして、そこには一人の美しい巫女が存在しました。
 彼女の名は五月(さつき)。猫神様を信仰する猫耳巫女です。
 猫神様の声を聞くことが出来る唯一の存在です。
「猫神様からお告げが届きました」
 ある日いつもの様に巫女様は猫神の御神託を村の村長様と若い衆に伝えます。
「猫神様は黒鯛を御所望です。村人以外の手でつり上げた黒鯛を7日以内にお供えしてください。さすれば猫神様は今年も沢山の幸を約束してくださいますでしょう」
 お山に入ることが許されるのは巫女様が御神託を受けたときだけである。
 そして、近々この山には村人総出で松茸狩りに入る予定があった。
 故に今猫神様の機嫌を損ねて幸を減らされては村人に取っては困る。

「よし、早速冒険者様を雇って黒鯛を釣ってきてもらうだ。」
 村長を始め村の人々は口々にそう言いました。

 村の川から小舟で入り江まで出て、そこから船で小一時間ほど進んだ場所に黒鯛の生息する海(入り江)が存在します。冒険者の皆さんは申し訳ありませんがそこへ行って、黒鯛を釣ってきてください。もちろん何匹でもかまいません。
 1番沢山釣られた方には村人から粗品をプレゼントしたいと思います。
 またキチンと黒鯛を釣ってきてくださったあかつきには松茸と振舞酒で祝福されます。

次の3つの竿から好きな竿を選んでください。
1.木の竿
2.竹の竿
3.鉄の竿

次の3つの餌の中から好きな餌を選んでください。
1.糸みみずの餌
2.漁師の作った疑似餌
3.猫耳ルアー

 船は2艘あり、どちらも6人乗りです。冒険者は5人ずつに別れて乗ります。
どちらに乗るか明記してください。

1.白い船
2.黒い船


以上 がんばって黒鯛を釣り上げてください。なお釣りの期間は3日間です。

●今回の参加者

 ea0828 ヘルヴォール・ルディア(31歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea0957 リュカ・リィズ(27歳・♀・レンジャー・シフール・イギリス王国)
 ea2011 浦部 椿(34歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea3547 ユーリィ・アウスレーゼ(25歳・♂・バード・エルフ・ロシア王国)
 ea4475 ジュディス・ティラナ(21歳・♀・ジプシー・パラ・イスパニア王国)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5414 草薙 北斗(25歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea6656 ラヴィ・クレセント(28歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea7052 九竜 斉天(29歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●流れるままに
 太陽が昇る数刻前、それは最もくらいと呼ばれる日の出前の時刻である。船に積まれる食事、船に積まれる水、そして船に積まれる人間達(一部人外含む)。
 朝焼けの中で船出する白い船と黒い船、陸から置きに数百m地点、そこで早速双方の船は碇を降ろし、のんびりと釣りを始めた。

●白い船
 ヘルヴォール・ルディア(ea0828)が鉄の竿を使って釣りを始める。猫耳ルアーがクルクル回転しながら水中に沈んで行く。
「‥‥遠く、エジプトには猫を象った神が居ると風の噂で聞いたことがあるが‥‥ジャパンにもいたとはね‥‥びっくりだよ」
 波に揺れる船の上でヘルヴォールはルアーの動きを静かに見守った。
「うにょうにょうにょら〜ああ糸ミミズ〜糸ミミズ〜♪」
 ユーリィ・アウスレーゼ(ea3547)がメロディで詩を歌いながら釣りをする。糸ミミズが食べたくなる特別な歌だ。そしてその歌の作用は船に乗っている全員に効果がある。
「ちょっと待つでござる。乗組員全員でミミズを食べるのは勘弁でござる」
 沖鷹又三郎(ea5927)がユーリィの歌を制した。
「代わりにお弁当のおにぎりを食べるでござる。これで万事解決でござるよ」
 又三郎は船が出る前にお弁当のおにぎりをいくつも作っていた。これがそれである。
「そういえば、実は弥勒様も猫が好きだという話があるんでござる。猫神様は弥勒様の御使いかもしれぬでござるな! 拙者、猫神様のお役に是非立ちたいでござるよ!」
 本当なのか嘘なのか全然分からない話を唐突にしてみる又三郎。そんな彼らを尻目に、一人楽しそうに釣りを楽しむのはジュディス・ティラナ(ea4475)。木の竿に海老の形をした疑似餌を付けている。
「ジャパンのえびってあかくてせなかのまがってるのよねっ☆ たいはえびがだいすきなんでしょ? どのくらいのたいさんがよってくるかたのしみだわっ☆」
 そう言って元気に竿を振るジュディス・ティラナ。パラな彼女はこの船最年少に見える。
 彼女の竿が撓りをあげる。一気に引っ張られる彼女の体力は3。大物だったら海に持って行かれるのが目に見えた状況に成っている。
「フィ〜〜〜シュ!!」
 気合いいっぱい竿をあげる。一気につり上げられたそれは約45cmの大物である。これでワンポイントゲットと言うことになる。
「やったね」
 大喜びのジュディス。自分の身長と比べても、十分大物を釣り上げたことになる。
 釣りの期間は3日間。先が長いとは言ってもさい先が良いスタートである。

●黒い船
 一方黒い船のメンツはと言うと‥‥
「今日は天気が良いし、絶好の釣り日よりだよね‥‥」
 草薙北斗(ea5414)が糸ミミズの餌でノンビリを釣りを楽しんでいる。
 今日は波も少なく、海も凪ぎ、結構な釣り日和である。
 その隣ではシフールのリュカ・リィズ(ea0957)が竿を構えていた。シフールサイズの竹の竿に疑似餌装備である。
「故郷のイギリスの海と違って明るくて蒼い海って、なんか新鮮」
 隣に座る浦部椿(ea2011)に語りかけるリュカ。浦部はそれににっこり笑って相づちを打っている。
「カモメさんが居るところが沢山お魚が居るんだよね?」
 リュカの質問に首をかしげる浦部。釣りの経験や土地勘の無い彼にその辺の知識は無い。
 取りあえず浦部は日差しを遮る為に傘を差して固定した。日傘の代わりにしているのである。案外日焼けは油断していると海では大敵に化けることもあるのである。
「あっそうだ、水沢山積んでおいたぜ」
 九竜斉天(ea7052)がそう言って瓶に入った水を差し出す。
 船の上では結構喉が渇く、そのために飲み水なのであろう。
「黒鯛さん、たくさん釣れるといいですねぇ。神様は、生の魚が好きなんでしょうか? それとも焼いた方がいいのでしょうか? 私は、丸ごと塩焼きにしたものを食べてもらいたいなぁ、とか思います」
 すっかり食べる気満々のリュカ・リィズ彼女の竿が唐突に撓り始める。取りあえず竿を引いてみるリュカ。体力1のシフールと魚との壮絶な戦いである。
「おぉ、コレは大物ですピョン。がんばってつり上げるですピョン」
 語尾がぴょんの妖しいウサミミエジプト人、ラヴィ・クレセント(ea6656)がリュカを応援する。応援してないで手を貸してくれれば良いのにと思いながら、必死に竿を引く改心の一撃の引きでクリティカルな大物が船の上へと上がった。
 その拍子にステンと転ぶリュカ。つり上げた黒鯛はなんと57cm。自己新記録って言うか、ちょっとまて! リュカの身長は40cm並んでみても圧倒的に魚の方がでかい。
「やったー、大物ゲットだよー」
 船の上で大喜びするリュカ、だが潮で羽が濡れて姿勢制御が思うように出来ない。
 気がついたら彼女は海の上に落ちてしまっていた。

●巨大な影が大接近
「大丈夫ですかピョン? 私の手に捕まるですピョン」
 海の上を漂うリュカ、彼女に手を差し出すクレセント。クレセントの目の前を巨大な影が横切っていく。そしてそれはリュカをぱっくりと飲み込んでいった。
 全長4m。それは巨大な鮫であった。
「サメー!? モンビーディークですピョン」
 あまりの事にびっくりしてバタバタと慌てるクレセント。リュカは鮫のおなかの中で暴れている。
「そこだ!!」
 浦部椿が鮫に対してモリを投げつける。そのモリ身体に受け、そのまま逃げようとする鮫。
「ダメですピョン。食べたのをはき出して行くですピョン」
 手元のムチを鮫の尻尾にからみつけるクレセント、一気に船の上に引っ張り上げようとするが、あまりの重さにパワーが足りない。
「みんな手を貸すですピョン。みんなで鮫を引っ張りあげるですピョン」
 かくして、前代未聞の鮫との綱引き合戦が行われた。
 白い船の乗組員も総動員して鮫に絡まったムチを全員で引っ張る引っ張る引っ張る。
 船ごと浜辺の方へ引きずる引きずる引きずる。
 前代未聞の体力勝負の後に鮫は砂浜へと引き上げられた。
 そして、鮫のおなかをばっさりと切り開く料理人の沖鷹又三郎。
中から目をグルグル回しながら、リュカ・リィズが登場する。
「う〜〜〜ん。狭い所は苦手だよぉ」
 そう言ってパッタリ倒れるリュカ・リィズ。
 かくして一日目の夜は更けて行くのでした。
 そして‥‥

●結果発表
 3日間の長い長い釣り大会が終わった。途中思いもしないハプニングが有って、美味しい鮫鍋を食べたり鮫料理相手に花を咲かせるすばらしいのかなんかのかさっぱり分からないイベントがあったが、取りあえず全員が無事に帰ってくることが出来た。
 そして、黒鯛トップ成績はリュカ・リィズとジュディス・ティラナの3匹。その他の面々も一匹づつは釣っているのである。大量でありました。
「お疲れ様でした。猫神様は大変お喜びでございます」
 そう言って猫耳巫女は喜びの舞を踊った。
 何故かうさぎみみの妖しいエジプト人、ラヴィ・クレセントが猫耳に対抗心を燃やしている。ヘルヴォール・ルディアに至っては、何故か猫じゃらしをちらつかせている。
「巫女殿、霊験粗方なこの神前で奉納神楽を舞わせて戴きたく」
 浦部椿が猫耳巫女様の踊りに合わせて神楽舞を踊り出す。収集が着かない状況で宴の催しは始まった。
「はい、それでは皆さんに依頼料とは別にご褒美です」
 そう言って今回の参加冒険者全員に『ふさふさな根付』が送られました。
 そして最もつり上げたトップの二人には『簗染めのハリセン』が送られました。
「わぁハリセンだぁ」
 それをもってぶんぶん振り回す、ジュディスとリュカ。
「お酒は一斗用意してありますからね。沢山飲んでください」
 沖鷹又三郎が黒鯛以外の魚を捌く中で、みんな大漁祝いのお祝いと猫耳神様への祈りを込めて宴会は朝まで続くのでした。

おしまい。