謎の温泉教団からのお願い

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜3lv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:13人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月14日〜06月24日

リプレイ公開日:2004年06月24日

●オープニング

 江戸から北へ進むこと3日ほど、人知れず温泉をこよなく愛する集団が存在しました。彼らは温泉には神様が住んでいて、温泉に入る事が神様と交流する手段であると訳の分からない事言う謎のカルト集団。通称『謎の温泉教団』の面々である。‥‥かなり人畜無害なカルト集団だが‥‥。
「ふぅ〜。やっぱり疲れたときは温泉に限りますねぇ〜」
 若い娘数人が温泉のお湯に浸かり、湯煙の中で甘いひとときを過ごしている。お湯はややぬるめ、じっくりと身体にしみこんでゆくそのお湯が、彼女たちを夢心地の世界へと誘って行くのである。
「こらこら、湯船の中には手ぬぐいは入れては行けないのよ。不衛生だと言われたでしょう? 」
 一人の少女が手ぬぐいで汗をぬぐっていると、その裾が湯船に触れていたようである。もう一人の少女がそれに対して指摘した。お風呂場でのマナーとエチケットにはちょっと口うるさい集団ではあるのだ。
「さて、そろそろ野良仕事からみんなが帰ってくるから、そろそろ上がりましょう」
 温泉の中での礼儀作法と道徳に気を使うとても人当たりの良い集団である。そんなある日の事、突然その事件は発生した。彼らに取って命の次に大事な温泉に異変が生じたのである。
「こっ、これは!? 一体どういうことなの!?」
 朝風呂を楽しもうと彼女たちが温泉に入ろうとすると、無いのである。温泉が!? 
今までコンコンと沸き続けていた温泉がその姿を消し、お湯の無い岩風呂、いわゆる岩だけがそこに残されていたのである。果たして温泉はどこに行ってしまったのであろうか? お湯は源泉から地面の下に埋め込まれた、竹の筒を通してこの湯浴み場(お風呂場の事)まで運ばれてくる。コレは事故か!? はたまたこれは敵対組織の陰謀か!? 謎が謎を呼び、湯けむり頂上決戦へ。


『 冒険者様へ温泉を取り戻してください。 謎の温泉教団より 』

●今回の参加者

 ea0028 巽 弥生(26歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea0050 大宗院 透(24歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea0480 鷹翔 刀華(28歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea0548 闇目 幻十郎(44歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea0646 ヴィゼル・イヴェルネルダ(27歳・♂・ウィザード・人間・ロシア王国)
 ea0697 如月 あおい(28歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea0946 ベル・ベル(25歳・♀・レンジャー・シフール・モンゴル王国)
 ea1347 李 鈴華(19歳・♀・武道家・シフール・華仙教大国)
 ea1874 虎 玲於奈(30歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea2480 グラス・ライン(13歳・♀・僧侶・エルフ・インドゥーラ国)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2948 如月 妖乱(34歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3082 愛染 鼎(32歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●転がる温泉騒動

 なぜに温泉は突如として一夜にして無くなったのか、お湯は地面に竹の筒を通って湯本から岩の露天風呂まで引き込まれている。この10年温泉がとぎれた時はない。
「きっとコレは誰かの嫌がらせです。出なければ温泉が一夜にして無くなる筈がありません。竹にヒビが入ったとするならお湯の量が減ることは有っても、全く来なくなるなんてあり得ません。モンスターとか仕業というのも考えられます。とにかく、温泉を取り戻してください。温泉が戻った暁には、特別に皆さんにも温泉を楽しんで頂きたいと思いますわそう言うワケでがんばって取り返してきてくださいな。」
 ヴィゼル・イヴェルネルダ(ea0646)の聞き込みに答えてくれたのは、謎の温泉教団でもこの温泉地域を預かる僧都の位を持つ彩花(あやか)さんと言う女性である。
 極薄の浴衣に身を包んだ彼女の肌の色が、浴衣越しに透けている。ヴィゼルは目のやり場に困りながら、彼女の話を聞いている。
「何か不自然なコトは無かったですか?」
 如月あおい(ea0697)がヴィゼルに続いて質問する。
「特に何も‥‥妖しい人影も無かったし‥‥。脅迫状も無かったし‥‥」
 そう言って首をかしげる彩花姉さん。琴宮茜(ea2722)がその言葉を聞いてうなずいている。彼女の聞きたかったこともそこなのだろう。

 一方そのころ虎玲於奈(ea1874)愛染鼎(ea3082)は温泉のニオイを頼りに上流の方へとヒタヒタ進んでいた。残念ながら硫黄のニオイは殆ど無いが、それでも鍛え抜かれた玲於奈の鼻が役に立つ‥‥のかもし得ない。クンクンと鼻を鳴らして進む玲於奈。それについて行く鼎。結構良いコンビなのかも知れない。

●犯人を発見
 土に埋まった竹ずつを器用にたどりながら上流に進んでゆくのは、李鈴華(ea1347)。土地勘の有る彼女は背中の羽をパタパタさせながら上流へ上流へと向かっていった。そして、忽然と埋まっている筈の竹が途中で無くなっているコトに気がついた。
「犯人は近くにおる?」
 当たりを見回す鈴華。彼女の後ろに一人の女性、大宗院透(ea0050)が後を追ってきているのが分かる。そしてその後方に2名。巽弥生(ea0028)と鷹翔刀華(ea0480)がついてきているのが分かる。すぅ〜っと上昇する鈴華。少し離れたところに大きな水たまりが出来ている。おそらく温泉のお湯が流れ込んだ物だろう。そしてその影には大きな影が二つ。巨大なネズミが姿を見せている。お化けネズミが巣を作っているのだ。
「あぁ、お湯を運ぶ竹で巣を作ったから、お湯が来なくなったんだ」
 納得して下降する鈴華。一番に手柄を立てたご褒美をモヤモヤと想像していた。
 その油断がをついてネズミたちが彼女に襲いかかる。
 そのネズミに対して、透の投げが手裏剣が見事に命中。鈴華はかろうじておなかに収まるのを阻止した。
「行きます!!」
 弥生が待っていたかの様に刀を抜いて渾身の一撃を放った。
 その一撃に寄ってお化けネズミは真っ二つへになる。飛び散る血しぶきが弥生の頬を朱色に染めた。
「悪・即・斬」
 刀華が目にも止まらぬ抜刀術でもう一匹のネズミに一刀に斬りつけた。
ネズミの血しぶきがある。泥の様な泥地戦闘で、優勢に敵を追いつめてゆく。
 闇目幻十郎(ea0548)がその場にたどり着いた時には既にネズミたちは息絶え、どろんこまみれに成っている4人の女性の姿を見て取れるだけであった。
「あちゃー自分の出番無しですか‥‥まぁ真っ向勝負は忍びの役目ではありませんから良いんですけどね」
 活躍の場が無くて少々手持ち無沙汰を感じる幻十郎。
「活躍の場、あるよ?」
 そう言って刀華が指さしたのは壊れた竹の筒であった。
 この後5人が筒を治してお湯を弾き直したのは言うまでもないだろう。

●温泉天国
 お湯が戻った岩風呂の大掃除。ごしごしと教団員が竹箒で磨きをかけたお風呂にお湯を張り、少しぬるめの40度で温泉は透明なお湯で満たされた。
 湯気が立ち、日の暮れた温泉の周りをロウソクが彩り、屋台の提灯が明かりと成って、月明かりの中に全裸のうら若き娘達がお湯の中へと身を沈めてゆく。極楽極楽。
「さて、お湯に入るときの注意ですが、先ず掛け湯です。桶でお湯をすくい、左の肩からジャー、そして右の肩からジャー、そして股間にもお湯をかけて、まずは手ぬぐいて身体を洗います。お湯に入るときは手ぬぐいを湯の中に入れないように注意してくださいね。」
 簡単な説明を受けてから各面々も湯の中に入ることにした。
 グラス・ライン(ea2480)が説明を受けた後にゆっくりと湯の中に身体を付ける。肌寒い山間で、暖かいお湯は極楽、至福の時でありましょう。どうでも良いけどインドゥーラ出身の彼女は全裸で温泉に入って人前に肌をさらして良いのだろうか? 疑問だ。
 シフールのベル・ベル(ea0946)はのんびりと湯に浸かって疲れを癒している。濡れた羽では飛べないのか、ヨタヨタしながら湯船の縁を歩いている。どうやら酒が少々入っているようだ。足下がおぼついていない。
「だいじょうぶ?」
 大宗院透がベルを受け止める。そして、彼女のあわれもない姿を見て頬を真っ赤に染めた。
「どうしたのぉ、女の子どうし仲良くしましょう〜」
 ベルベルは気がついていないらしい。彼女が彼で有ることに。

 如月妖乱(ea2948)はやや細身な身体に大きな胸の色っぽい女性である。
彼女は皆からは少し離れた場所で、身体の洗い方を彩花ねぇさんに手取足取り教わっている。
っと言うか酒の入った彩花ねぇさんに手込めにされているといっても良いかも知れない。
「綺麗な肌ね‥‥。さぁ身体の隅々まで綺麗に洗ってあげますからね」
 竹の板の上に寝かせた如月の身体を入念に洗う彩花ねぇさん。
「あっ、そこは‥‥ダメです」
 彩花ねぇさんの艶めかしい指と手ぬぐいの動きに、か細い悲鳴を上げる如月。
「んっ、どこがダメなの? ここ‥‥かな?」
 それらしい場所を入念にまさぐり洗う彩花ねぇさん。
「あっ、そこ、そこはダメ‥‥です」
 唇をかみ締め、身悶える如月。それが彩花ねぇさんに火を付けるたようだ。
「ふ〜ん。ここはダメなんだ‥‥。じゃぁこっちはどうかな〜?」
 垢擦り片手にさらに責め立てる。
「あっ、そこは‥‥もっとダメ。あっ、くっ、声が‥‥出ちゃう」
 礼儀を見てですます調だった言葉が地に戻る如月妖乱。
「ここもダメなの? じゃぁここは? ここなんてどうかな〜? うふふ♪」
 楽しそうに笑みを浮かべ、妖乱の身体のあちこちを垢擦りで擦る彩花ねぇさん。
「くっ‥‥んっ‥‥くぅ〜〜〜」
 上唇と下唇を必死にかみ締めて声を殺す妖乱。艶めかしい戦いは朝まで続く。

「美味い!! 鯨丼最高!!」
 鈴華が屋台にて串カツと鯨丼を平らげて満足そうなゲップをはき出す。
その脇に控えるのは闇目幻十郎。完全な男女混浴。それ以上に教団の人間は前を隠すコトさえしないのである。男性である彼は少々身の置き場に困っていた。
「ここまであっけらかんと入られると、こっちが困りますよね‥‥」
 ヴィゼル・イヴェルネルダはそうは言いつつも、女性陣とは少々離れた場所で湯に浸かっている。流石に見放題の状況と言うのは、逆に遠慮の生む物なのである。
「でも、温泉自体は良い感じですよね。」
 ヴィゼルがそう言って湯の中で手足を伸ばす。
「あぁ、悪くは無いな」
 無愛想に相づちを打ったのは鷹翔刀華である。
 他人に見られるを無関心にそして無愛想に、彼女もまた湯の中で手足を伸ばしてゆったりとしていた。
「本当に温泉は心も体も落ち着かせてくれますね。」
 琴宮茜がしんみりとお湯に浸かって汗をかいている。如月あおいや巽弥生もまた、同じように湯を楽しんでいる模様だ。大粒の汗を流しながら、お湯の中を泳ぐようにしてスイスイと動き回り、教団員とのコミュニケーションを取っている。

「一人で洗えるから大丈夫だよ。それにくすぐったいよ」
 虎玲於奈がそう言って振り払うようにして腕を振るう。
 愛染鼎に虎玲於奈の言葉は分からないが、スキンシップを込めて、愛染鼎が手ぬぐいを使った玲於奈の身体を洗う。まるでそれを楽しんでいるように。
「きゃ、手が滑った」
 そのまま倒れ込むようにして玲於奈の胸に顔を埋める愛染鼎。
「もう、気お付けてくれよぉ」
 玲於奈はそう言って姿勢を整えた。無論彼女の言っている事は分からない。
「それにしても良いにおいだなぁ」
 全裸のままで屋台の方へ向かう玲於奈。串カツをひょいひょいと口いっぱいほおばり、もしゃもしゃと音を立ててそれをたべる。
「玲於奈。口にソースが付いてるわよ?」
 そう言って玲於奈の唇についているソースをぺろりと舐める愛染鼎。
 玲於奈は耳まで真っ赤にして硬直した。

「お湯から上がる時はもまた綺麗なお湯を浴びます。これを清湯(きよゆ)と言います。
 清湯(きよゆ)を浴びたら身体を手ぬぐいで良く擦って下さいね。」
 ぐったりとして動かない妖乱を尻目に湯のルールを説明する彩花ねぇさん。
 彼らの宴は、東の空が明るくなるまで続いた。