『褌ヒーロー誕生編』

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:1〜4lv

難易度:難しい

成功報酬:1 G 0 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月28日〜11月02日

リプレイ公開日:2004年11月06日

●オープニング

 褌がもしも〜無かったら〜♪
 潔く格好良く生きて行こう〜♪
 ふんどし仮面は〜謎の人♪ どんな顔だか知らないが〜♪
 誰もがみんな知っている〜♪
 胸をどんと張ってさぁ行こう〜♪

「我々が世界に認知されないのは、我々にはヒロイズムが足りないからではないだろうか? ここらでどうだろう? 褌隊からヒーローを出して貢献してみないか?」

 山奥の小さな温泉の片隅で、荒ぶれる褌隊第一分隊分隊長の紫陽花はふんどしとサラシ姿で唐突な発言をした。ちなみに囲んでいる総勢60人の面々も色取り取りの褌に身を包んでいた。一見すると変態、一見しなくても不思議な集団である。
 鉄鍋を囲み、猪鍋をつつきながら、褌隊は作戦会議にいそしんでいた。
 彼らは、越中褌、六尺褌で身を固めたマッチョダンディ総勢60名。自己主張の表れか、褌にはカラフルな刺繍が施されている物もある。
 謎の褌隊には規律と階級があり、位が上の物ほど良い褌を装備することが出来る。
 それはまるで西陣織や藍染めにさえ相当する艶やかで雅な物だ。
 彼らの統括を行っているのは真っ白な肌と細身の身体の艶やかな女性、名を紫陽花。
 黒く艶やかな髪を紙縒で頭の後ろで結び、その細身の身体からは想像も付かない様な自己主張溢れる豊満な胸をサラシで固め、黒地に金銀の糸で刺繍されたアジサイと螺旋状のカタツムリの図柄が入った何とも雅な黒猫褌を装着している。
 どうやら彼女がこの男どもの統括をしているらしい。

「ヒロイズムが足りないとおっしゃいますが、具体的にどんなことをすれば良いんでしょう?」
 新人指導員の寒尊(さむそん)が分隊長の紫陽花に質問する。紫陽花はニヤリと笑ってその質問に答える。
「子供が憧れるヒーローさ。褌姿で悪人をばったばったやっつけていく‥‥そう、褌仮面とか褌侍とか‥‥子供が憧れるヒーローを我々で生み出すのさ!! そうすれば新人隊員の志願者も増えるし、社会に貢献する良い褌団体として地域に貢献できるかも知れない」
 その言葉に寒尊も成るほどと首を縦に振った。いや、何が成るほどなのかわからないが。
「つまり地域密着型の褌集団を作って行こうと言うわけですね? 流石分隊長」
 回りの者達からも一斉に喚起の声があがる。
「早速選抜にかかりたい‥‥っと言いたい所だが、いかんせん私たちはモンスター退治の経験は無い。でもやはり褌戦隊としては悪のモンスターなどを倒して地域に貢献して行きたいと思う‥‥そこで冒険者を雇って褌隊に仮入隊してもらい、彼らにモンスターを倒してもらうと言うのはどうだろう? 我々監督の元に冒険者が怪物退治をするのだ」
 その意見にこれまた喚起の声があがる。褌隊に足りないのはヒーローなのかも知れない。

「ここに赤色 青色 緑色 黄色 桃色 橙色の6色の6尺褌用意した。冒険者にはコレを付けて、さらにおなじ色の褌で顔を隠して、モンスター退治をしてもらう事にしよう。私はコレで顔を隠し、彼らが真のヒーローに成るための指導をしていこうと思う」
 そう言って彼女はブラック褌を出して自らの顔をそれで頭巾の様に覆った。
「おぉ、完璧です。分隊長。どこから見ても褌ヒーローです」
 ふんどし頭巾ブラックと化した分隊長は胸を反らしてかんらからを笑い声を上げていた。

 こうしてまたしても前代未聞の依頼が冒険者ギルドに送られてきた。
『6色の褌を装備して、褌戦隊に成って森に住む怪物共を退治してください』
っと言うものだ。

●今回の参加者

 ea0280 インシグニア・ゾーンブルグ(33歳・♀・レンジャー・人間・フランク王国)
 ea2081 範魔 馬斗流(41歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea3164 魅意亞 伽徒(31歳・♀・忍者・パラ・ジャパン)
 ea7062 阮 幹(20歳・♀・武道家・エルフ・華仙教大国)
 ea7148 柳川 卓也(30歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea7798 アミー・ノーミス(31歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)

●リプレイ本文

●褌ヒーロー誕生編

ちゃらららっちゃららら〜♪ (OPはまだありません)
「褌戦隊『シメテンジャー』は弱きを助け悪を討つ、地域の皆様に愛される正義の戦士達である。」
 っとナレーションが入った所でスタートする。

「さて、早速集まってもらった5人(一人欠席)の戦士達よ。まずは招集に応じてくれたことに感謝する。そしてこの用意した褌に着替え早速村の人達にアピールに行くことにするが何か質問は無いか?」
 褌ブラックの紫陽花がみんなに挨拶をしつつ、村はずれにてたき火を焚き、大きなお鍋で豚汁なんかを作りながら、集まった5人に挨拶をし、各員に褌と頭巾を手渡した。
そして、女性隊員には同系色のサラシも用意されている。
「隊長、チョット質問があります」
 インシグニア・ゾーンブルグ(ea0280)が紫陽花に話をかける。
「どうしたのかね褌グリーン」
 彼はどうやら褌グリーンの様である。
「普段から褌姿と言うのはどうかと思います。被る方の褌を手早く装着出来るように加工出来ないものでしょうか?」
 グリーンの言葉に紫陽花が首をかしげる。
「我々は褌姿で地域に貢献する。褌姿でどぶ掃除をしたり、落ちて居るゴミを拾ったり、落ち葉掃除をしたり、壊れている家や屋根を修理したり、それは様々な地域貢献である。っで、褌戦隊は特に褌姿で悪を蹴散らして正義を示してこその褌戦隊であると私は確信している。その褌戦隊が普段から褌姿で無くてどうする?」
 言ってることがまともかどうかは別にして凄い理論で話を進める紫陽花。
「えとでも、もう11月で寒く成ってきましたし、せめて上着くらいは羽織って良いですよね?」
 魅意亞伽徒(ea3164)が二人の会話に割り込む。流石に褌姿で一日中居たのでは風邪を引いてしまうだろう。
「ふむ。本来なら褌隊は褌以外は身につけることを禁止しているのだが、貴君らは雇われ隊員だし、まだ褌歴も浅そうだ。特別に一枚上に羽織るのは許可しよう。‥‥もし風邪を引いたのなら、私がお尻にネギを挿してあげるから、遠慮無く言ってくれ‥‥」
 ぎらりと光る銀色の目‥‥奴は本気だ。
「はーい、そういうだけで一枚はおりマース」
 そう言って阮幹(ea7062)が防寒具として取り出したのは『かいまきふとん』だった。
 インシグニア・ゾーンブルグはマントを羽織って寒さを耐える。
 魅意亞伽徒はどてらを借りて羽織る事に成った。
 流石にかいまきぶとんが飛び出したのは予想外で皆あっけにとられ言葉を失った。

「さて、それでは熊を探しに行きましょうか?」
 褌ブラックの紫陽花の言葉でマズ村人に褌姿で挨拶、そして村の裏山に出没するという熊退治に出かけることになった。
 村人達も褌姿の6人に対して拝む物。陽気に挨拶をする物様々だが、熊退治を任されると言うことで凄く喜ばれている事だけは確かである。
 魅意亞伽徒がコウモリの術を使って熊を探す。アミー・ノーミス(ea7798)がそれを元に足跡を探し、そしてそれを追跡するという作戦で熊を探していた。
「臭う。臭いますよ。熊さんは案外近いかも知れません」
 予定通り熊を発見すると全員は高台に昇り出す。そう、正義のヒーローは高台から登場しなければ成らないのである。
「はっはっはっはっはっ、熊さんには罪は無いけれど、村の人々の平和の為に倒させてもらいますよ」
 柳川卓也(ea7148)が赤い褌なびかせて、陸の上から熊をビシっと指さす。熊も何の事か分からずにあっけにとられているが、このまま倒される訳にも行かず、縄張りを荒らす相手を放って置くわけにも行かず、立ち上がり雄叫びを上げる。流石にそれがビリビリと大地を揺るがすため、6人の戦士達はチョット尻込みをした。
「ひるむな!! いくぞ」
 柳川卓也が忍者刀を抜き熊の前に踊り出す。正々堂々正義の味方、真っ向勝負である。
 熊の攻撃を避ける避ける。ぶんぶん音を立てる熊の爪の攻撃をかろうじて避ける。
「唸れ必殺 褌アロー!!」
 褌命と書かれた前垂れを付けたロングボウを使って、インシグニア・ゾーンブルグが弓を放つ。
「らびっと・せいんと・あろぉ! 褌しゅぅと!」
 阮幹(ea7062)が弓を放つ。オーラで強化した矢が熊を襲う。
 アミー・ノーミスや魅意亞伽徒が遠巻きに攻撃を仕掛ける中で、ジリジリと矢が突き刺さる熊そして、レッドは回避を優先して熊の攻撃を避けまくって行く。次第に動きが鈍くなって行く。
「何とか行けそうだね」
 阮幹(ぐえんかーん)がにっこり微笑む。初勝利。そして熊という強敵を倒したことは彼らに胸に熱く残る想い出となるだろう。
「良くやった。流石褌戦隊。見事な褌振る舞いだ。コレは成功報酬だ受け取ってくれ」
そう言って褌ブラックは熊を倒した面々に大量の六尺褌を差し出した。
各々はそれを受け取り、どうした物かと困惑の色を隠せなかった。

●アイキャッチ (CMはありません)

 倒した熊を大八車に乗せてガラガラと村へと運ぶ。村人は熊を退治した褌戦隊6人をたいそう褒め称え喜んでもらえた‥‥っが、紫陽花を除く当人達は鳥肌を立てながらぶるぶると身体を震わせていた。
「それでは、こちらで熊鍋で作りましょう。どうかゆっくりしていって下さい」
村人のその言葉にぱぁっと明るくなる面々。紫陽花はそんな彼らにきびすを返す。
「せっかくの村の人の温かいおもてなしをむげに断っては行けない。皆おなかが破れるまで頂くように」
 紫陽花の言葉に各員顔を見合わせて温かいご飯に喜んだ‥‥。

 グツグツと煮込んだ熊のお肉。ネギ、白滝、焼き豆腐。褌姿でチョット寒いけど、温かいおもてなしを受けて囲炉裏を囲んでのご飯ご飯。温かいご飯。
 ほかほかと身体が温まる料理。ほかほかと身体が温まるお酒。そして囲炉裏の温かい炎。
5人の褌戦隊に取ってこれほど嬉しい物は無かった。
「日本の料理は奥が深いです」
 エジプトからやってきたジプシーのアミー・ノーミスが熊の料理を興味津々に食する。
彼女の母国では熊を食べるという風習は無いのかも知れない。
 褌戦隊の暖かな食事はしばらくの間続いた。

「さて、皆さん今回の戦いではご苦労様。次回はいつになるか分かりませんがまた地域貢献の為のモンスター退治は必要に成ってくると思います。その時が来たら、また褌戦隊を結成して地域貢献の為に闘ってもらいたいと思います。その時まで精進しておいてください」

 最後に褌ブラックの紫陽花の言葉によって締められた褌戦隊だった。
 彼らの戦いはまだ終わらない。がんばれ褌戦隊。負けるな褌戦隊。