踊る猫耳巫女2

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜4lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 10 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月30日〜11月05日

リプレイ公開日:2004年11月08日

●オープニング

●猫耳!! 猫耳モード!!
 江戸から北東に3日ほど。小さなお山がありまして。猫神様を祭っている祠が有りました。
 お山は猫神様に守られている‥‥と、地元の村々の人は、そう口を揃えて言います。
 山は村人達に沢山の幸を与えてくれます。木の実、魚、キノコ、薪、そして‥‥。
 山の麓には猫神様を信仰する小さな神社が存在しました。そして、そこには一人の美しい巫女が存在しました。
 彼女の名は五月(さつき)。猫神様を信仰する猫耳巫女です。
 猫神様の声を聞くことが出来る唯一の存在です。
 今日も今日とて五月さんは神社で飼っている黒猫のミーコちゃんと御神酒を飲んでほろ酔い気分で猫耳音頭を踊っています。神様から御神託が下るのを待っているのです。
 黒猫のミーコちゃんも腰ミノと猫サイズの褌を付けてフリフリ踊っています。
 これだけでも村の名物に成るんじゃないかと言うくらいの一芸です。
「猫耳♪ 猫耳モ〜ド♪ 猫耳音頭♪」
 黒鯛のお刺身を肴に御神酒を飲んで踊る猫耳の巫女様と黒猫のミーコ。
 真っ赤に袴に扇子片手にほろ酔いで踊る巫女様。
 そんな一晩の神楽舞(?)の後に静かに巫女様は御神託を村の長老達に卸す。
 コレが彼女のお仕事であり、日常なのだ、決してうらやましがっては行けない。

「猫耳巫女さま。ご相談がございます」
 ある日いつもの様に猫耳巫女様が踊っていると、村の長老が思い詰めた顔でやってきた。
「実は御山で松茸狩りをしておりました所、村人が巨大な熊に襲われまして、何とかその場は逃げ出して、事なきを得たのですが、このままでは熊が怖くて御山に入る事が出来ません。これからどうすれば良いでしょうか?」
 村長はそう言って猫耳巫女に相談を持ちかけた。
 巫女はしばらく沈黙して考えた後に神社の奥に消えた。
 そしてパタパタと走って戻ってくるとジャラリとお金の入った麻袋を差し出した。
「このお金で冒険者を雇って熊を退治してもらうと良いでしょう。この時期は松茸やシメジの他にも柿も山芋も収穫期です。御山に被害を出さないように注意してもらってくださいね」
 そう言って猫耳巫女は耳をぴくぴく動かしながら、お金の入った麻袋を手渡した。


『冒険者の皆さんへ、御山に被害を出さないように熊を退治してきてください』

●今回の参加者

 ea0957 リュカ・リィズ(27歳・♀・レンジャー・シフール・イギリス王国)
 ea4475 ジュディス・ティラナ(21歳・♀・ジプシー・パラ・イスパニア王国)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea5979 大宗院 真莉(41歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea5980 大宗院 謙(44歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea6656 ラヴィ・クレセント(28歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea7662 焚 雅(24歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●踊る猫耳巫女2

「たらりらったりったらったらったった〜♪」
「ひゃほー♪ ひゃほー♪ ひゃほー♪」
 スキップを踏む、スキップを踏む、元気に陽気にスキップを踏む。
 兎耳の娘っこが飛び回る。そしてタップダンスならぬ兎ダンスを踊り出す。
「兎のダンスですぴょん。熊さんを誘い出すダンスですぴょん」
 熊を誘い出す囮役のラヴィ・クレセント(ea6656)が兎のダンスを踊り出す。
 バニーな衣装にバニーなウサギミミ、そしてムチを片手にちぃぱっぱ、熊が出てくる様踊りをおどる。それに釣られて猫耳巫女様も踊り出す。
 踊りながら猫耳巫女様の耳がぴくぴく。お尻に生えてる尻尾がぴくぴくと動く。
めざとくそれを見つめるラヴィ・クレセント。思わずそれに飛ぶ付いてみたりする。
「これは直接お尻や耳から生えてるのデスぴょん?」
 作り物じゃない耳や尻尾にビックリのラヴィ・クレセント
「そうですよ〜♪ これはミミクリ〜と言う魔法で耳と尻尾を生やしているのですよ〜♪」
 猫耳巫女様もにっこり笑ってラヴィの質問に答えてくれる。
「ミミクリー‥‥。耳くり〜ですか、それは耳が生えるとっても便利ですばらしい魔法なのですぴょん♪」
 分かってるのか分かってないのか不思議な返事をするラヴィ。そして二人はステップを踏みながら熊さん出ておいで音頭を踊っている。釣られて猫のミーコちゃんも踊っている。
 ウサギミミと猫耳の夢のデュエットが今誕生した‥‥のかもしれない‥‥

 そんな色物路線な事は右斜め45度にほっといて、リュカ・リィズ(ea0957)は釣り竿の先に括り付けられていた。いわゆる釣りをするときの餌の立場である。
 竿を持っているのはジュディス・ティラナ(ea4475)。リュカを使って熊を一本釣りしようと言うのが今回のねらい目である。
「おいしいおにくがたべたいな〜♪ くまさんのおにくがたべたいな〜♪」
 スキップスキップで森の中をずんずん突き進むジュディス・ティラナ。
「さぁきょうはおっきなくまさんをつりあげてくまなべにするです」
 熊退治の筈なのに何処でどう話が違ったのか熊を一本釣りして熊鍋にして食べる話になっていた。そして一緒に行動するリュカもそれを否定しない‥‥。それどころか沖鷹又三郎(ea5927)が熊鍋の準備をして待っていたりするのだからしょうがない。取りあえず今回のお話は熊を一本釣りして熊鍋にして食べることに変更である。

 一方そのころ沖鷹又三郎は鍋の準備をしていた。
 鰹だしと昆布だしで味付けして、ネギにゴボウ、山芋と山で取れたばかりの松茸を惜しげもなくスライスして‥‥熊のお肉の到着を待ち望んでいた。
「さぁ後は肉でござる。猫耳巫女様の為に、ひいては猫神様の為に料理を作るでござる」
 猫神様と弥勒様の為に包丁を研ぎ、肉がくるのを待つ沖鷹又三郎。彼もどこか間違ってる。

「おてんとさまのおぼしめし〜。くまさんはどこですか?」
 ジュディス・ティラナが太陽に向かって質問を投げかける。
 太陽は金貨を受け取り静かにその質問の答えを指さした。ちなみに熊さんは何処ですか? とか言う質問を本当にすると熊は世界中に複数居るのでこういう場合はお天道様は『分からない』と答えますので注意しましょう。この場合は本当は『一番近くに居る熊さんの方向を聞いて教えてもらいました』本当に太陽が指さした訳では有りません。念の為。

 ジュディス・ティラナとリュカ・リィズがご機嫌で熊を探して西へ東へ歩いていると、突然におっきなおっきな熊さんが現れました。(ここからチョットシリアスに)

 熊の大きさはおおよそ2.5m程、静かに大きくそびえる岩の様にゆっくりと近づいてくるそれはリュカとジュディスに圧倒的な威圧感を与えた。
 リュカの身長が40cmジュディスの身長が96cmである。倍以上の巨体が唸り、凍てつく様な低い声を上げて二人を威嚇しているのである。身震いさえ起こる、そんな戦慄が奏でる戦闘のお時間なのだ。が‥‥二人はてんでそれを意に介しては居なかった。

「くまさんはっけんです〜♪」
 熊に向かって釣り竿を差し出す。釣り竿の先には釣り糸がそして釣り糸の先にはリュカが括り付けられている。もちろんリュカは羽でパタパタと飛んでいる‥‥が。
 空を切る熊の豪快な一撃その一撃が身を掠ればリュカやジュディスでは一撃で中傷ダメージを被るであろう猛烈熊パンチを左右同時に2発づつアタックしてくるのだが、リュカはそれをひゅるるんるんと軽々しく避け、熊の頭めがけてハリセンでぺちぺちと攻撃を与えている。それが熊を猛烈に刺激しているのは言うまでもない。
 ちなみに彼女の回避は達人クラスなのでブラウンベア(羆)の攻撃などまるで涼風の如く軽々しく避けている。
「つれたつれた、もってかえるよ〜」
 ジュディスが釣り竿をひくとそれに釣られてリュカが引っ張られていく。そしてそれに釣られて熊がついて行く。文字通り『熊を釣り上げた』のかも知れない‥‥。

 一方そのころ焚雅(ea7662)は大宗院謙(ea5980)と大宗院真莉(ea5979)と共に落とし穴の付近で待機していた。リュカ達が熊を釣ってきたら落とし穴に落として上から攻撃を仕掛けようと言う寸法である。落とし穴の深さは約2m。よく考えると熊の胸までしか入らないのは抜群に問題があるのだが、落とし穴の中には泥が練り込まれており、ちょっとやそっとでは抜け出せないドップリ田んぼ状態なのである。動きを封じてみんなでたこ殴りさくせんなのだ。そしてその落とし穴の脇では猫耳巫女さまと兎耳のジプシーが踊りを踊っていた。飽きないというのか凄いというのかタフさを感じる‥‥。

 そして、とてつてたてつて二人と一匹が落とし穴へやってくる。落とし穴の上をすたすた渡るジュディス。パタパタ渡るリュカ。そしてバリバリを音を立てて穴の中へ沈んで行くくま。きっと熊はこのとき『こんな筈では‥‥』っと思ったに違いない。
 身体半分埋まった熊にここぞとばかりに焚雅が忍者刀で襲いかかる。
 そしてさらに大宗院謙のオーラソードが熊を襲う。
 とどめとばかりに後方からアイスブリザードが熊を襲う。
 喧々囂々とした戦いの末に、五分と立たぬうちに熊は静かに成仏した。
そして‥‥沖鷹又三郎が熊の皮をはぎ、熊皮を取ると、熊の肉をしっかり捌いて熊鍋に作り出す。猫耳巫女様は大きな熊の毛皮に上機嫌。さらに余ったおなかの革を使って猫耳を縫いだす始末である。ラヴィ・クレセントも猫耳づくりのお手伝いをする。鍋がグツグツ煮込まれている間に、猫耳の髪飾りは完成した。

 猫耳の髪飾りをそっと真莉の頭に付ける大宗院謙。
「まだまだ似合うな」
 彼の殺し文句に真莉が頬を赤らめる
「わたくしはもう三十路ですよ」
 そう言って彼女は照れくさそうに頬を赤らめ微笑んだ。

「熊肉煮えたでござるよ〜」
 又三郎の言葉に8人と一匹(猫含む)はとてつてたてつて鍋に集まった。
松茸スライスたっぷりの熊のお肉のお鍋である。
「鯛の次は熊なのです。猫神様は、なかなかグルメなのです」
 リュカ・リィズが最大の功労者と言うことで一番箸(一番に一回だけ食べることが出来る)を付けた。それと同時に皆もお鍋をつつき始める。
 美味しく煮えた熊の肉と松茸スライスは何とも言えない味わいであった。
「しかも、クマを狩った後のクマの毛皮で今年の冬もぬくぬくです‥‥あっでも、クマの毛皮を巫女様が羽織ると、クマ耳巫女さまですね?」
 ハフハフと口の中でお肉と白滝を踊らせながらリュカが猫耳巫女様に話しかける。巫女様もハフハフとお肉とやきどうふをお口の中で踊らせながら
「大丈夫私はいつでも猫耳モード。お耳ぴくぴく、尻尾ぴくぴくなのですよ?」
 よく分からない回答をもらっているがそれで納得してしまってるリュカ。熊の毛皮でぬくぬく、熊鍋でぬくぬく。猫耳巫女様幸せいっぱい状態である。
「その猫耳とやら‥‥可愛いのぉ‥‥あたいにも欲しいのじゃ! 」
 焚雅が猫耳巫女様の耳や尻尾を見つめてそんなことをのたまわってみる。猫耳巫女様はにっこり笑ってその問いにも答えてくれる。
「さっき作った猫耳でしたら、踊りを踊るときだけ貸してあげても良いですよ? 貴方も一緒に猫耳巫女に成りますか?」
 雅の心を擽る言葉‥‥猫耳忍者踊りへの道に成るのであろうか‥‥謎が謎を呼びながらお鍋のお肉はサクサクと減っていった。しかし熊一匹は流石に食べきれなかったので半分くらい塩をふって干し肉にして、町の市場で売ることにした。
 思いのほか収入麗しく、一人頭小判3枚の臨時収入を得ることとなった。
猫耳巫女さまと猫のミーコちゃんも熊鍋をごちそうになり、熊の毛皮を頂き、さらにはお肉まで頂いてしまって、ありがたいことこの上ない状況となった。

 こうして松茸山に出る熊退治のお話は、熊を一本釣りして美味しく頂いてしまう話になってしまったが誰一人損をせず、そればかりか、臨時収入まで入ったのだから良しとしようではなないか。


どっとはらい。