『謎の褌(たふさぎ)隊から温泉を守れ。』
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■ショートシナリオ
担当:凪
対応レベル:1〜3lv
難易度:普通
成功報酬:0 G 78 C
参加人数:13人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月22日〜06月29日
リプレイ公開日:2004年07月01日
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●オープニング
『謎の褌(たふさぎ)隊から温泉を守れ。』
江戸から2日ほど離れた筑波山近郊の山間で、謎の温泉教団は温泉を掘り当て、至福の時を楽しんでいた。
少しぬるめのお湯に数名の美女達が温泉を嗜んでいる。もちろん、謎の温泉教団の面々である。
「やっぱりお風呂上がりは焼き豚に限りますよねぇ」
焼き鳥の鳥の代わりに野生の豚の肉を使った特性の焼き豚。謎の温泉教団屋台部隊の自慢の一品である。
「何言ってるの、お風呂上がりにはやっぱり特性の鯨丼が一番よ」
牛丼の牛の代わりに野生の鯨の肉をふんだんに使った特性の丼。謎の温泉教団屋台部隊の自慢の一品である。
浴衣姿の娘達が、団扇片手に汗をかきながら、ハフハフと丼物や串物をほおばっている。
その右手には冷水で冷やされた蜜柑酒の杯が握られている。
夏の夜の風物詩と言えばこれだろう。
夜風で身体を涼ませ、食事を取ってまた湯に入る。
湯に入ることが神に近づく最も尊い行為であり、彼らはお湯に入るマナーにも気を使っていた。
特に、タオルを湯船に入れる事や、お湯を浴びずに湯に入るような行為、湯の中でタバコを吸うような行為は彼らに取ってタブーである。
それ以上に服を着て、タオルを巻いて湯に入る事など問題外なのだ。そんな彼らに敵対する組織があるそれは‥‥。
「天呼ぶ、地呼ぶ、人の呼ぶ、お湯に入れとオレを呼ぶ、謎の褌隊参上!!」
突然に月明かりの中、ずらりと岩場の上に現れた謎の集団!! なんと彼らはそれぞれがフンドシ姿での登場だ!! しかもフンドシはとてもカラフル。越中・六尺に留まらず、藍染めのやら西陣織の帯を使った物まで存在する。
「ふははははははは、我々もお湯に入らせてもらうぞ!! トウ!!」
言うが早いか謎のふんどし集団はお湯の中へと一斉に飛び込んだ。
すさまじい水柱と水しぶきが次々と上がってゆく。一体彼らは何を考えているのだろうか!?
「まぁなんてひどい、フンドシを付けたままお湯に入るなんて最低です!!
しかもお湯に入るときは静かに波を立てないように!! そんなことも守れないなんて!!」
温泉教団の面々がビシ!! っと指を指して教育的指導を行った。
「ふははははははは。我々の辞書にそんな物はない。西に温泉あらば、行って飛び込み!!東に海水浴場あらば、行ってそこに飛び込む!! 水柱が我々を呼んでいるのだ!!」
全裸の女性達と謎のフンドシの男達は論点のずれた謎の口論を永遠と繰り返していた。
「フン。まぁ良い、今回の所は引き下がろう。だが、次はこうはいかないぞ!!」
そう言って全裸でくってかかる女性胸を指でツンツンとつついてからフンドシをひるがえし、彼らは朝日の昇る山の中へと消えていったのであった。
「‥‥彼らあの姿でここまで来たんだ‥‥」
我に返って言葉が漏れる。
「また来るんだ‥‥」
なんだかとてもやり場の無い怒りを感じる温泉教団は、彼らが湯浴みの妨害を行う事を駆除するべく、またまた冒険者に依頼を出すのであった。
『温泉の平和を、マナーを守らない入浴者から守って下さい!!』
●リプレイ本文
●行商人と称して
奉丈遮那(ea0758)は褌隊を探すべく、聞き込みの為、山間を右へ左へ足を棒にして歩いていた。彼の考えでは普段からふんどしの集団を探せば、すぐに褌隊にぶち当たると思っていたのだが、その考えは少々甘かった。一つは人里離れた山奥で有るため、目撃者どころか、人が住んでいない程の山奥であること。そしてもう一つは、褌隊は普段からふんどし姿で町中を歩き回っていないことである。
「考えが甘かっただろうか‥‥」
奉丈遮那がそう言って大きくため息をついて、木の根本に腰掛ける。そんな彼に話しかけてきた一人の女性の姿が有った。
「貴方ですか。私たち褌隊を探しているというのは?」
そう言って奉丈に話しかけてきたのは、色白でかなり細身の女性である。年の頃は10代後半から20代前半と言ったところであろうか。着崩して胸元がはだけた着物と、その着物から溢れんばかりの大きな胸にサラシを巻き、腰まで届く長い髪を頭の後ろで束ねている。髪は結っては居ないが、まるで浮世絵にでも出てきそうな、並の人間なら一発で一目惚れしてしまいそうな絶世の美女である。
「えと、アンタが褌隊の人か?」
奉丈はあっけにとられながら彼女に質問した。
「えぇ、褌隊第一分隊分隊長の紫陽花と申します。隊の皆さんは私のことを親しみを込めて紫姉さんと読んでくださいます。何なら見せましょうか? ふんどし‥‥」
そう言って着物の足下をスッとはだけさせた。色白な足とその奥にまるで西陣織の様な艶やかな柄のふんどしがチラリと顔を覗かせた。
「いっ、いや、そんな、滅相もない」
表情には出さないが、かなり動揺しながら彼は彼女の行動を止めた。
「わっ、私は褌隊の方にふんどし用の生地をお勧めしたくて参りました行商人でございます。どうでしょう。一つ商いをしたいんですが」
ぺこぺこ揉み手しながら奉丈は紫陽花に語りかけた。
「なら生地の見本か生地そのものを持ってきてくれないと困るね。商売の鉄則だろう?」
紫陽花はそう言って奉丈の申し出を丁重に断った。だが、これで奉丈の任務は完了している。彼の目的、それは褌隊の頭目の顔と名前を調べる事なのだから。
●墓穴を掘らずんば、墓地を得ず。
「全く何を考えて居るんですか貴方は。勝手に土を掘り変えそうだなんて、お天道様が許しても、この彩花ねぇさんがゆるしませんよ」
謎の温泉教団の彩花ねぇさんは、阿武隈森(ea2657)に対して激怒していた。
彼の作戦では、温泉の隣にもう一つ油を張って火を付けた温泉を作ろうと言う物であったが、鍬を片手に穴を掘ろうとしてた所を、温泉教団の面々に見つかり、厳重注意を受けていた所である。
「景観を損ねることに成りますし、何と言っても温泉に住む神様に対して不義理を働いたらあきまへん。今に天罰がくだりますよ」
彼女はそう言って阿武隈に対して温泉教団の教義について色々と説明を始めた。
●対決 温泉教団VS褌隊
「時は来た。行動を開始する。」
紫陽花率いる褌隊は夜の闇に紛れ、行動を開始した。
「先頭は私が、私にやらせてください」
いつの間にやら褌隊に仮入隊したエルニーニョ・レアル(ea2660)がふんどしにサラシを巻いた格好でその参列に加わっている。仮入隊の彼女の褌は単一色、ピンクだ。
方やその後ろに控えるのは分隊長の紫陽花。着物を脱いだその身体は細くしなやかな身体に、溢れんばかりの胸を白いサラシで覆い隠している。彼女の褌は流石に分隊長だけあって色取り取りのアジサイ模様。縦に円錐螺旋巻きの殻を背負ったカタツムリまで絵描かれている。
エルニーニョ・レアルも豊満な身体つきではあるが、流石に紫姉さんと比べると見劣りする。無論それは彼女の身体が貧そうだからではない。分隊長がグラマラス過ぎるのである。
「まっ、負けません。こんな事では負けませんよ」
大きな胸を張って大いばりのエルニーニョ・レアル。
こんな時の為に習得していたライトの魔法で光源を背負い、たかだかと岩の上に堂々と登場する。
「をーほほほほ! をーっほほほほっ!!」
まるでそれを待っていたかの様に鳳刹那(ea0299)が釣り糸と釣り針を使ってエルニーニョの褌に釣り針を引っかけ一気に引っ張る。彼女はグイグイ竿のしなりで引っ張られてゆく。そして、動きの止まったエルニーニョのふんどしにチョキとチョキとはさみを入れる静月千歳(ea0063)
「くすっ‥‥」
彼女はそして微笑を浮かべる。
褌を切られて全裸に成ったエルニーニョ。名乗り終わらぬうちにそのまま温泉に向かって一気に墜落してゆく。
ドボーーーーーーーンと大きな音と水柱を上げて温泉に沈むエルニーニョ
温泉には三人の女性達が湯を楽しんでいる。そのうちの一人佐上瑞紀(ea2001)がにやりと笑って水柱の発生した地点へと近づいた。
「このときを待っていましたわ」
そう言って佐上がエルニーニョめがけてソードボンバーをたたき込んだ。
水と空気が渦を巻いてエルニーニョを吹き飛ばす。
サラシもはがされ、褌も切られ、生まれたままの恥ずかしい姿を下がるエルニーニョ。
「きゃあああ! 何であたし全裸になってんのーー!? 見るなー!! このロリコン冒険者どもぉ。おまいらなんか大ッ嫌いだー! えぇぇん、隊長〜! 酷いんですのよぉ〜」
エルニーニョが隊長と呼ぶのは無論紫陽花である。
彼女は長巻きを構え、エルニーニョの後を追うようにして岩の上から温泉へと飛び込む。
それに近づくのは東儀綺羅(ea1224)。上半身ゆるめのさらしで相手を油断させて、隠し持った短剣で紫陽花のふんどしを切り落とすのが目的だ。
そして白河千早(ea2091)もそれに近づいてゆく。
「あんた達が褌隊? あたしは別に他人の趣味に口出しするほど野暮じゃないけど‥‥人が楽しむ温泉の邪魔をするのは見逃せないよ!」
そう言ってけりを繰り出そうとする千早。彼女のけりを長巻きの柄で受け止める紫陽花。
「奥義!! 空螺旋!!」
ソニックブーム+ソードボンバーの一撃を女性陣3人へとたたき込む紫陽花。
綺羅のサラシがはだけてあられもない姿が露出されるが、波に襲われ皆温泉に水没する。
ぷっかり浮かぶ水面に全裸の女性が4人浮かんだ‥‥4人!?
「ひどいです隊長〜」
その4人の中にエルニーニョも混じっていた。
●戦闘2 ふんどしにはふんどしを
「やいやい待ちやがれ!てめえらが褌で温泉に飛び込む不届き千万な奴らと聞いちゃあ黙ってられねえ!俺にゃあ、お前らの褌が泣いているのが聞こえるぜぃ!褌とは、美しい筋肉を見せるため、いや美しい筋肉で魅せるためにあるのさ!怖気づいていねえんだったら、この嵐山虎彦とその褌をかけて勝負しやがれ!さあ、かかって来いやぁ!!」
一応の名乗りを上げ、そして服を脱ぎ捨て、褌一丁で筋肉誇示のポージングをして挑発する嵐山虎彦(ea3269)それに対して対決するのは紫陽花ねぇさん。
「良いでしょう。その申し出受けて立ちましょう。」
そう言って長巻き片手にズズズイっと前に出る紫陽花ねぇさん。その隙をついて、ファルク・イールン(ea1112)の放ったウィンドスラッシャーがピンポイントに紫陽花ねぇさんの胸元と直撃する。その威力に寄ってサラシははだけ、今まで強引に押さえ込められていた巨大な胸がサラシをはじき飛ばし、ボボボンっと露わに成る。彼女はそれにコンプレックスを持っているらしく。カーッと頬を真っ赤に染めて嵐山の方を見つめた。
「いや、違うんだ。コレは誤解、誤解なんだ」
ボディ勝負で裸体を晒されてしまった紫陽花。
「こっ、今回は引き分けにしておこう」
嵐山はそう言って彼女の肩に自分の着物を掛けて、露出した身体を隠した。
大将を押さえたからといって戦闘が収まるワケではない。他の褌隊との交戦は未だに続いている。それに三人の娘達が応戦していた。
「温泉に入るならやはり着物での入浴は行けないと思いますわ」
山浦とき和(ea3809)がそう言ってソニックブームを使って褌隊を迎撃する。何発かは避けられている物もあるが、何発かは確実に彼らの身体にヒットしている。有効射程の長い必殺技である。
「それ以前にあなた達が温泉に飛び込んだら私たちが温泉を楽しめないじゃないですか」
コルセスカ・ジェニアスレイ(ea3264)と設楽葵(ea3823)も言うこと聞かない悪い子達に実力行使を行っている。
「野郎ども。今日は引き上げるよ!!」
そんな彼女に一瞬目線を送った後紫陽花ねぇさんは着物で胸をかくし、長巻き片手に温泉を後にした。褌隊もそれに続いて温泉を後にする。
「ありがとうございます。皆さん。これで温泉の平和は守られました。」
そう言って皆に礼を述べるのは彩花。だが、その笑顔は引きつっている。
「後かたづけの方もお願いします‥‥‥‥ね!!」
彼らの闘った後は無惨な状態になっている。温泉を掃除して修繕して治してとなると何日もかかることになるだろう。彼らの仕事はまだまだ終わりそうも無かった。