【黄泉人決戦】残党狩り・追撃戦

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:4 G 3 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月09日〜07月17日

リプレイ公開日:2005年07月18日

●オープニング

●【黄泉人決戦】残党狩り・追撃
 京都での熱き戦いは終わった。
 平織虎長率いる京都守護軍は正面から黄泉人軍勢を打ち負かし、大和の国に平和がもたらされた。
 だが、普通ならコレで終わるところだが、相手は不死の軍団である。
 ウチ漏らした敵も幾ばくか居るようである。そこで必要になってくるのが‥‥、残党狩りである。

 京都の外れに有るとある蕎麦屋にて、一人の男が盛りそばを頼んでいた。
 男の名は斉藤一。新撰組三番隊を任されている男である。
 そして、テーブルの対面に座る一人の女性。
 彼女の名は神楽坂紫苑。西近江の地を浅井長政から預かる領主であり、妖怪退治のエキスパート神楽坂家の当主である。
「取りあえずはお疲れさん。政治的駆け引きまで持ち出されて、合戦では大変だったでしょうに」
 斉藤一がぶっきらぼうに蕎麦を食べながら小声で話しかける。
 神楽坂紫苑も同じように盛りそばに箸をつけ、それを口に運びながら応える。
「ふむ。斉藤殿もまずまずのお働き、宴会に置いても場を盛り上げる大切なお役目ご苦労かと」
 そう言って梅雨に付けた蕎麦を一気に啜る。
「‥‥だが、今回の戦いで黄泉将軍の一人‥‥陸鬼一と名乗っていた奴を逃がしてしまった。それに大和の黄泉人‥‥まだ大和南部には多くの敵が残っているだろう‥‥。今後の残党狩り‥‥そして戦もまだ終わった訳じゃない‥‥」
 そう言って斉藤が蕎麦を啜り込む。

「ふむ。斉藤殿も考えておられる。しかし、源徳配下の新撰組と平織様直轄地、近江浅井長政様配下のこの私がこうして言葉を交わして居るなど‥‥、他の物が見たら何と思うかのう? 不義密通? それとも恋仲にでも映ろうか?‥‥」
 そう言って多少頬を赤らめ蕎麦を啜る神楽坂紫苑。
 神楽坂紫苑は策士である。地図上の色や地形、心理、戦略などもふまえた上で策を論じる。彼女の地図の中で大和は攻略地ではなく、攻略途中地になっているのだろう。
 そして、斉藤の心中を察した上で、話を進めている。

「そのためにこうして内々に会って居るんだろう? 残党狩り‥‥いや、追撃が必要な事はお互い承知の事だと思う。‥‥今回の戦がそうであったように、今は部署や所属という垣根にとらわれている時ではないからな。だが、新撰組は今京都を離れる訳にはいかねぇ。色々やらなきゃ行けないことが沢山残っている。そこで‥‥」
 そう言って斉藤は神楽坂紫苑をジッと見つめた。

「‥‥私を呼んだのはそれが理由か?」
 神楽坂紫苑は蕎麦を啜り込みながら斉藤に質問する。
「‥‥そうだ。3番隊はこれから河川敷の警備に当たらなきゃならねぇ。お前さんが言っていたように、黄泉人の一匹でも河の中を渡って京都に入られたら大変だ。被害は少ないかも知れんが、民の恐怖を煽ることになる。それだけは避けねばならん。‥‥だが、黄泉人の追撃‥‥とも成れば信頼出来るリーダーが必要だ。冒険者だけでは少々荷が重いだろう。しかし、京都の治安維持のため、新撰組や黒虎隊から人をさくのは好ましくない‥‥そこで無理を承知でお前さんにお願いしている‥‥と言うわけだ」
 そう言って蕎麦を啜りながら斉藤が応える。
「まぁわらわが黄泉人でも、残存兵力を集め、再度の攻撃に打って出るために力を蓄えるであろうのぅ。‥‥斉藤殿がこうして言葉を交えて、タダの女好きで無く、話の分かる御仁で助かった。てっきり逢い引きのお誘いかと思って追ったからのぅ」
 紫苑がそう言って笑いながら蕎麦を啜りこんだ。

「‥‥あいわかった。冒険者を募って黄泉人の残党追撃戦を行おう。逃げ延びた黄泉人が大和南部で合流する前に、出来るだけ数を減らす‥‥それが主な任務と受け取って良いな? この貸しは‥‥いずれ返してもらうことに成るぞ?」
 神楽坂紫苑の言葉に斉藤は首を縦に振り、冒険者ギルドへの依頼料を手渡した。


 後日冒険者ギルドに神楽坂紫苑から依頼が入る。

『我と共に大和へ行き、黄泉人残存討伐および追撃戦に手を貸してくださる者募集。野山を巡回し、敵が潜伏してないか調査し、逃げ延びた敵を倒すのがメインである。敵に遭遇出来るか出来ないかは分からぬが、一応に気合いを入れたし』

 っだそうである。

●今回の参加者

 ea0352 御影 涼(34歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1170 陸 潤信(34歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea2046 結城 友矩(46歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea2266 劉 紅鳳(34歳・♀・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 ea3108 ティーゲル・スロウ(38歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea3207 ウェントス・ヴェルサージュ(36歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3988 木賊 真崎(37歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea6114 キルスティン・グランフォード(45歳・♀・ファイター・ジャイアント・イギリス王国)
 ea7049 桂照院 花笛(36歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ea8247 ショウゴ・クレナイ(33歳・♂・神聖騎士・人間・フランク王国)
 ea8820 デュランダル・アウローラ(29歳・♂・ナイト・ハーフエルフ・ノルマン王国)

●リプレイ本文

●【黄泉人決戦】残党狩り・追撃戦
 黄昏の舞い降りた。心のラビリンス。
 京を離れて早3日、大和に深々と切り込んだ一行であったが、思ったほど距離は稼げず、されど移動速度を上げることも出来ずに休息時間を切りつめ、睡眠時間を切りつめて、進軍していた。
 理由は説明する必要も無いほど簡単に、重装備な者達が多く、移動速度が予定の半分しか出ていなかったためである。
 一部の物は馬に荷物を預けている者もいる。
 馬に乗って進軍している者もいる。
 神楽坂紫苑も戦闘馬にまたがり、お供の者に口を取らせている。
 だが、進軍とは最も歩行速度の遅い者に合わせて行われる。
 そして、人間や動物の体力と言うのは無限ではないのである。
「よし、今回の休息は少し多めに取ろう。明日の進軍の為に、今日は身体を休めて下され」
 小高い丘の上にて、神楽坂紫苑がそう言って馬を止める。
 身長140cmの彼女は共の者の手をかり、鐙から降りる。
 見た目以上に小さく小柄に見えるの身体、ツインテールに束ねた黒髪は光の加減によっては紫にも見える特徴的な娘である。
 とても一軍を率いる将には見えない。
 だが、その実は、今なお修行中ではあるが、オーラ戦闘の専門家である。
「やっと、息が付けます‥‥な」
 御影涼(ea0352)がそう言って額の汗を拭い馬から下りる。
 紫苑の口取りであった白髪初老のドワーフが荷物の中から瓢箪を数個取り出して差し出す。
「冷やし飴でございます。甘味が疲労を和らげてくれましょう」
 冷やし飴とは水飴を水で薄めて生姜で味を付けた物である。
 水飴と言っても砂糖は使ってはいない。
 米から取ったデンプンを煮詰め、大根汁や麦の麦芽でデンプンを糖に変えた物だ。
 些少の蜂蜜が入れられており、疲労回復薬として関西では夏に良く口にされる物である。
 瓢箪の冷却効果でほどよく冷えた冷やし飴が各員に振る舞われた。
 御影涼はそれを口にすると。七支刀を持って(鞘に入らないため)野営に付いた。
「大丈夫、罠は張られていないと思います。伏兵の類も見受けられません」
 陸潤信(ea1170)が猟師としての技を用い、待ち伏せが行われていないか警戒する。
 特にそれらしい動きも無く、それを紫苑に報告していた。
「ふむ。不意打ちを食らわぬ程度に身体を休められよ。出来れば‥‥油断しているように見せてな」
 彼女は含みを込めながら陸潤信にそう言った。
「油断しているように?」
 陸潤信が質問を繰り返す。
「人が飯を食らう様に、黄泉人が人間を食らうので有れば、敗軍の彼らは食事も取らずに移動している事になる。死者の群れに疲労や空腹が有るかは分からぬが、知性を持ち、人を襲う事をよしとする物が、人を襲わずに逃げておる、その鼻先に人間が群れを為して追いかけてくれば、彼らの方から手を出したくもなろう?」
 神楽坂紫苑はそう言って微笑を浮かべた。とても14才の少女とは思えない仕草である。
「では、まずは拙者が歩哨に立つでござる」
 結城友矩(ea2046)がそう言って、馬を木に繋ぎ茂みの中に入る。
 歩哨とはキャンプの回りを歩いて巡回する偵察である。
 あくまで敵の接近を感じ取るための物である。
 結城友矩はオーラパワーの使い手だ。
 アンデットとの接近戦では、これほど有利な技はない。
「俺も付いていこう。一人では術の発動の為に念を練りきれないだろう?」
 ウェントス・ヴェルサージュ(ea3207)が桃の木刀を片手に結城友矩の後を追う。
 2人とも実は革鎧で身を固めており、音がしづらくそれで居て防御力に高い。
 歩哨にはうってつけの装備なのである。
 木刀は鞘に収まっていないため、いきなり殴れるメリットを有している。
 敵が刀持ってたら真っ二つなのだが。
「黄泉人の将軍様とやら‥‥。こいつを何とか出来ればこの騒ぎも収まるんだろ? ここは一つ、しっかり気合入れてやろうじゃないか」
 劉紅鳳(ea2266)がそう言って握り拳を作る。
 木賊真崎(ea3988)が彼女にゆっくりと付き従う。
 木賊真崎の装備は木刀。劉紅鳳のサポートをするべく付き従う。
「2人が行くのは食事の後で良いだろう?」
 ティーゲル・スロウ(ea3108)が2人に食事を勧める。
 大きな鉄鍋を火にかけ、持ち込んだ干し肉と干し納豆、それにぶつ切りの野菜と米を味噌で煮込んでいる。
 限りなく豚汁に近い粥だが、みそ味の雑多煮である。
 火の番をしている初老のドワーフ‥‥ガン・サイがお椀に盛り、皆に差し出す。
 ティーゲル・スロウはそれを受け取り、皆にそれを配った。
 ガン・サイはモクモクと火の番をしている。
「自分には大盛りで頼むよぉ」
 キルスティン・グランフォード(ea6114)がティーゲル・スロウにそう言うと、ガン・サイは具だくさんに粥を盛った。
「ありがとな‥‥えーと‥‥」
 粥をさらさらと食しながら、キルスティンがガンを見つめる。
「それがし、ガン・サイと申します。紫苑様の下で弓を預からせて頂いております」
 そう言って彼は背中に背負った浅井長政様から預かり受けた鉄弓を見せた。
「ガン・サイか自分はキルスティン・グランフォードだヨロシク」
 キルスティンはそう言ってにっこり微笑んだ。
 大鎧に烏帽子兜。巨大なクレイモアを装備した彼女は、戦場の鬼のようである。
 240cmの巨大な身体と1mを越えるであろう巨大な胸に、ガン・サイの視線は釘付けである。そして彼女もそれには気づいている様子だ。
「なら、キルスティンはガンとコンビを組むと良い」
 ティーゲル・スロウはそう言って苦笑した。

●深夜の強襲
 陸、ヴェルサージュ、劉、木賊の4人が偵察に走る深夜。
 木々がざわめく、女性の悲鳴が聞こえる。
 神山明人(ea5209)が木の上から確認する。
 一人の女性が1人の黄泉人と2匹の死霊侍に追われ走って逃げてくる。
「アレは‥‥死人憑きでは有りませんね‥‥もっと強さを感じます」
 桂照院花笛(ea7049)が僧侶として見聞する。
 どうせ黄泉人の部下は死人憑き‥‥っとタカをくくっていたりすると痛い目を見る。
相手は将軍クラスなのである。死霊侍クラスの大物を釣れていてもおかしくはない。
「魔剣!! トデス・スクリー!!」
 中級に強いはずの死霊侍を閃光一閃胴薙ぎに真っ二つにする男がいる。
 シュライクの乗った刀の一撃をデッドorライブで相殺し、一撃で瀕死ダメージをたたき込む男が居る。
 軽傷を受けるも、なお彼は敵と退治する。デュランダル・アウローラ(ea8820)、鋼のハーフエルフである。
「くっ、このような所に武装集団が居るなど、きいておらんぞ!! ひけ、一度引くんだ!!」
 黄泉人が死霊侍に撤退を命ずる‥‥無論逃げるのではない。戦いながらの撤退である。
「奴が黄泉将軍かもしれん。追うぞ!!」
 ティーゲル・スロウが合図を送る。
 劉紅鳳と木賊真崎が先行して黄泉人を追う。
 ティーゲルスロウとデュランダル・アウローラが死霊侍を相手にしながら敵を追う。
「大丈夫だ。もう心配ない」
 キルスティン・グランフォードが村娘を抱きしめ落ち着かせる。
「あの‥‥ありがとうございます」
 娘はキルスティンの胸の中(寝ていたので大鎧は脱いでいる)で震えている。
 キルスティンは冷やし水を彼女に飲ませ、落ち着かせると、粥の残りを碗に盛って差し出した。
「腹が空いて居るんだろう、良かったら食べな」
 キルスティンがそう言って指す出した碗を村娘が受け取る。
「ありがとうございます。‥‥でも、出来れば‥‥貴方の‥‥精気が吸いたいです」
 彼女はにやりと笑うとキルスティンの首に手をかけた。
 彼女の人間の外見がはがれ落ちる。
 彼女で有った彼も、黄泉人であったのだ。
 それと同時に左手で印を結ぶ。
「くっ!?」
 首の手から一気に精気をすわれる感覚が彼女を襲う。一分も触られていれば、死に至る程の強烈な物である。
 キルスティンはその手を振り払おうとした。‥‥が予想以上にその手は力がこもっている。
 桂照院花笛は大声を上げて仲間を呼ぼうとした‥‥が、声が出ない。
 いや、声だけではない。耳も聞こえなくなっている。
 黄泉人の身体がキルスティン・グランフォードへと変貌する。
「我々が風の術を使うのは知っているのだろう? ならば不意打ちでサイレンス‥‥っと言うのも予想範囲内か?」
 偽キルスティンはそう言ってキルスティンの右胸に左手と爪を食い込ませる。首と胸同時に精気を吸収しているのである。
 キルスティンの視界が大きくゆがみ始める。
「僕とスレイは一心一体。必殺のランス&チャージング!!」
 ショウゴ・クレナイ(ea8247)が馬に乗りランスチャージの一撃を放つ。
 偽キルスティンはとっさにキルスティンを離し、後方へ飛ぶ。
 ショウゴ・クレナイの武器にオーラパワーはかけられていない。
 当たっても黄泉人にダメージを与える事は出来ないが、それは相手には分からない。
「これを使え、ショウゴ」
 神楽坂紫苑が一降りの日本刀を投げて寄こす。
だが、それは馬に乗った彼からは手に届かない距離に思えた。
‥‥っが、彼の腕がにょきにょきと伸びて、それを受け止めた。
右手が3mに伸びて一気に日本刀の振り下ろしの一撃を偽キルスティンに与える。
 あまりの事に言葉を失う黄泉人。
 本当のキルスティンは既に瀕死のダメージを受け、立ち上がることがやっとで有る。
 それでも愛用のクレイモアに手を伸ばし、それを杖代わりに立ち上がる。
 斬られた偽キルスティンの刀傷がみるみるウチに再生してゆく。
「必殺神風ボンバー!!」
 神楽坂紫苑がオーラソードでソードボンバーを放つ。
 右手にはオーラソードを、左手にはオーラシールドを纏っている。
「ティーゲル殿は勘違いしておられた。わらわの真の実力は攻撃力ではない。この絶対のオーラシールドなのじゃ」
 そう言って紫苑は盾を構え、黄泉人が放った3発の攻撃を全て盾で弾いた。
「ガン・サイ、空に向けて鏑矢を放て、先の黄泉人を追いかけていった奴らも、音で事態の急変に気づいて戻ってくる筈じゃ。それまでは、わらわが盾で時間を稼ぐ」
 そう言って紫苑は偽キルスティンと対峙する。
「‥‥待て‥‥自分の尻ぬぐいは‥‥自分でする‥‥」
 血の気が引き、真っ青な顔に成りながら、キルスティン・グランフォードがクレイモアを構えるが、彼女は既に瀕死の状態である。
「死にたいか‥‥小娘。ならば望み通り黄泉の国へ送ってやろう。我らが受けた昔年(せきねん)の怨み‥‥思い知るが良い!!」
 地を蹴り、一気にキルスティンへと間合いを詰める偽キルスティン。だが、彼女はそれを避ける力を残しては居なかった。
 偽キルスティンの右手が、キルスティン・グランフォードの胸に深々と突き刺さる。
だが、それと同時に、彼女が放ったカウンターの一撃により、偽キルスティン・グランフォードは上半身と下半身が真っ二つに切り裂かれ、二つに分断されていた。
「お‥‥おのれ‥‥黄泉将軍である‥‥私が‥‥こんな‥‥ところ‥‥で‥‥」
 キルスティンの胸に刺さった偽キルスティンの腕がずるりと抜け、既に黄泉人の姿に戻ったそれは地面に落ちた。
 ット同時にキルスティンの胸の傷口と口から血が噴き出す。
「‥‥だが‥‥これで勝ったと‥‥思うな‥‥。いずれ‥‥我らが同胞が‥‥おまえたちを‥‥滅ぼすだろう‥‥黄泉‥‥大‥‥」
 そう言って土に帰る黄泉将軍。
 瀕死の本物キルスティン・グランフォードはヒーリングポーションを飲み、身代わり人形に傷を肩代わりさせることで、命を取り留めた。
 だが、大量の精気を吸い取られ、しばらくは動けないだろう。
「ガン・サイ、おぬしキルスティンの面倒をみてやれ、気があるのじゃろう?」
 彼女の言葉にガン・サイが頬を赤らめながら首を縦に振った。
「あは‥‥あはは‥‥アイツ‥‥私の事‥‥小娘だって‥‥」
 キルスティン・グランフォードがそう言って笑みを浮かべる。
 黄泉人追撃部隊が彼女たちと合流したのは、それから半刻ほどの後のことであった。

●そして‥‥
 黄泉将軍を倒した評価として、キルスティン・グランフォードは一降りの日本刀を受け取った。
 神楽坂紫苑がショウゴ・クレナイに貸し与えていた物だ。
 敵を退けた彼らは‥‥ボロボロに疲れながら、京都へ戻るのであった。

 追伸‥‥。キルスティン・グランフォードが子持ちであることなど、ガン・サイには知るよしも無かった。