【乱の影】新撰組三番隊 強襲

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:14 G 11 C

参加人数:9人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月23日〜12月01日

リプレイ公開日:2006年12月02日

●オープニング

●【乱の影】新撰組三番隊 強襲
 急速に京都の治安が悪化している。
 長州兵が京都の至る所で、ゲリラ的な破壊活動を行っているのだ。
 一部では京都に火を放たれるのでは無いかと言う話さえ上がっている。
 噂が根も葉もない噂であれば良いのだが、どうやらそうでも無いらしい。

「腕に覚えのある者を集めろ。出来るだけ精鋭で行きたい」
 新撰組三番隊組長。斉藤一はいつになく真剣な顔で組長補佐・夏草薫に声をかけた。
「嫌ですよ斉藤さん。新撰組三番隊は実戦組織。人を斬ったこと無い人なんて居ませんよ〜。ましてや長州派を恐れる者など誰も居ません」
 そろばん片手に帳簿の調整を行う夏草薫組長補佐。

 新撰組三番隊には1人の組長と2人の組長補佐、約15名前後の平隊士(伍長)と数名の隊士見習いが存在する。

 夏草薫は小春と並ぶ組長補佐だが、剣の腕はそこそこ、主にそろばん仕事がメインである。

「その中でも精鋭を集めろ、長州の息のかかった人間が何人いるかわからん。20や30は斬って捨てれるだけの班を作りたい。こちらの被害を最小限に止めて‥‥な」
 斉藤の言葉にそろばんを弾く手を止める夏草薫。
「っとなると‥‥斉藤さんと小春さんの他には‥‥手の空いてるのは4名ですねぇ」
 新撰組三番隊は超実戦部隊である。志士だろうと浪人だろうと、腕が立ち、忠誠を誓える者なら入隊させている。その中でも精鋭と言うと、達人の手練れである。

「6人か‥‥少し少ないな。後は冒険者の中から腕を立つのを集めよう。軍資金を用意してくれ。それと羽織と鉢金‥‥鎖帷子もだ。‥‥これから屯所に顔を出して、土方副長に挨拶してから冒険者ギルドに向かう」

 そう言って斉藤が宿屋から外に出ると、一人のサムライ(志士)が斉藤の行く手を止めた。
「斉藤殿、話は聞いた。是非私も‥‥私も連れて行ってくだされ」
 そう言って頭を下げるのは近江武士団百人隊隊長の京極鹿之助である。
「お前、自分の部下達はどうする?」
 斉藤の問いに京極鹿之助が答える。
「心配ご無用。神楽坂紫苑様が兵を連れて東へ向かうとの事。我が隊は神楽坂様の兵に合流することに成っております」
 そう言って頭を下げる京極鹿之助。

「お前人を斬ったことは有るのか? 腕は立つのか?」
 斉藤の言葉に首を縦に振る京極鹿之助。
「ならば、刀の中子(なかご)が血で腐るほど人を斬らせてやる。その代わりお前は今回は新撰組三番隊仮隊士の扱いだ。羽織を羽織って俺の命令には従って貰うぞ?」
 斉藤の言葉に笑みを浮かべ大喜びする京極鹿之助。

 かくして新撰組三番隊の超超精鋭部隊は京都大火阻止の為に強襲することとなった。

●今回の参加者

 ea1057 氷雨 鳳(37歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea2175 リーゼ・ヴォルケイトス(38歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea2988 氷川 玲(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7468 マミ・キスリング(29歳・♀・ナイト・人間・フランク王国)
 eb0711 長寿院 文淳(32歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 eb1528 山本 佳澄(31歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb2905 玄間 北斗(29歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 eb3532 アレーナ・オレアリス(35歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)

●リプレイ本文

●【乱の影】新撰組三番隊 強襲
 剣林弾雨の嵐のなかで血風渦巻き業火が走る。
 参加者全員分の羽織と鉢がねが貸し与えられ、斉藤さんも服の下に鎖帷子を着込んでいる。
「やれやれ、可愛いお嬢さんが居るというのに、尻を撫でる余裕すら無いとはなぁ」
 そんなぼやきをあげながら、彼らは夜の京都の巡回へと入っていった。

「新撰組御用改めである」
 怪しい風体の浪人数名を前に小春が提灯を照らして声をかける。
 相手は長州浪人の輩であることに間違いはない。
「ちっ、しゃらくせぇ」
 浪人の一人が腰の刀を抜く。
 っと同時に一気に距離を縮める斉藤一。
 相手が腰の刀を抜き、斬りかかると同時に、目にも止まらぬ居合い抜きを決める。
 相手の右手と刀が血しぶきと共に中に舞う。いつのまにやら左手で刀を抜きはなっていた斉藤。
「なっ、貴様!」
 もう一人の浪人が刀を抜いて斉藤に斬りかかる。
 っと今度は右手の抜刀術で脇差しを抜き、その刀を受け止めると、カウンターの一撃で左手の刀で浪人の逆どうを薙いでいた。
「かまわん。切り捨てろ」
 斉藤の声が夜の闇に響く。

「新撰組十番隊隊士氷雨鳳‥‥参る!」
 氷雨鳳(ea1057)がそう言って刀を抜いて斬りかかる。
 浪人の一人を刃が切り裂き血しぶきが舞う。
 夢想流の技の冴えを言う奴である。


リーゼ・ヴォルケイトス(ea2175)と氷川玲(ea2988)が同時に一人の浪人に襲いかかる。
「斉藤組長、一番隊隊士の玲。手助けに回らせてもらう。」
 パリーイングダガーを抜いて敵の正面に回る氷川玲。
 その間にリーゼ・ヴォルケイトスがオーラの念じて盾を構成させる。
 敵の刀が振り下ろされる。
 氷川玲がそれを正面からダガーで受け止め、リーゼ・ヴォルケイトスが側面から刀で斬りつける。
 2対1。十分に敵を倒すことが出来る殺法である。

 少し出遅れてマミ・キスリング(ea7468)が日本刀を抜いて斬りつける。
 オーラを構成するのに時間がかかっていたので。
 アレよアレよと言う間に、地面は真っ赤に染まり、斉藤達も返り血の中に赤く染まる。

「京都大火断固阻止するべし、他にも長州浪人は居るはずだ、見つけ次第たたっきるぞ」
 斉藤の言葉に士気を向上させる一同である。

「新撰組御用改めである。神妙にしろ!」
 小春が本日‥‥7度目の声をかける。
 相手はそれに合わせて刀を抜く。
 刀を抜いた相手は切り捨てゴメンが適用される。

 長寿院文淳(eb0711)が大薙刀を持って敵に斬りかかる。
 振り下ろされた一撃に飛ぶ血しぶき。
 既に幾度もの戦いを得ており、新撰組のメンツは殆どが返り血を浴びている。
「破邪! 一騎当千!」
 京極鹿之助が十字槍を持って正面の敵を貫く。
 大薙刀と槍との波状攻撃である。
「伏兵が居ます! 気を付けて!」
 リアナ・レジーネス(eb1421)がブレスセンサーで敵の数を知らせる。
 フライングブルームで上から確認し、ブレスセンサーで敵の数を数える必勝の策である。
「伏兵には私が!」
 山本佳澄(eb1528)がライトニングソードを作り阻止に向かう。
 抗う敵にいかづちの刃が繰り出される。
「長州の好きにはさせません」
 剣と剣との火花が飛ぶ。多少苦戦しているのが見て取れる。
 物陰に隠れていた玄間北斗(eb2905)が、不意の火遁の術を放つ。
 炎に焼かれ、雷の剣に斬られ、敵も流石に苦戦を強いられる。
 その横を斉藤の刃が交差し、敵を見事に倒し作る。
 アレーナ・オレアリス(eb3532)が上空からペガサスで地に降りる。
 屋根の上に潜んでいた族を倒したのである。
 返り血で頬が染まっている。

「ご苦労‥‥他に敵は居ないか?」
 斉藤がアレーナに確認する。
「えぇ、どうやら倒せたみたいだな」
 彼女はそう言って地に足をつける。
 今回提灯持ちの約で余り人を斬っていない小春以外は、殆どが返り血にまみれている。
 6名前後の浪人達を7〜8組‥‥40人は斬ったろう。
 刀も刃こぼれが目立つ物もいる。

「ふむ‥‥では一息ついて風呂にするか? ‥‥熱いうどんもご馳走しよう」
 そんなわけで京都大火断固阻止、長州浪人滅多切りも終え、彼らは一路近江屋向かうこととなる。

 銭湯‥‥今で言う銭湯なそれは、男女混浴の温泉銭湯である。
 血の塊に成っている服を脱ぎ、斉藤が湯に入る。
 それに続いて小春が風呂に入って行く。
「ふむ‥‥小春‥‥後でなにやら美味い物でもつくってやろう」
 氷雨鳳が服を脱ぎ、湯を浴び、湯船に入る。
 小春は『美味しい物』っと言う言葉に目が無く夢中で反応している。

 リーゼ・ヴォルケイトスは混浴に抵抗が有るのか、手ぬぐいで前を隠して風呂へと入る。
 本当なら手ぬぐいは湯船に入れてはいけないのだが、もはやそんなつっこむをスル元気の有る物は居ない。
「こうしてみると‥‥新撰組一番隊や十番隊の物の居たんだな」
 斉藤が改めてメンツの確認をする。
 氷川玲がそれを見て苦笑する。
 湯船の縁に使って、半ば眠っているようか感じに成っている。
 マミ・キスリングが湯に入り、西洋女性2人が裸体での御入浴に、斉藤君はご満悦。
お尻を触ろうと手を伸ばした所を、氷雨鳳に制されていると言う始末ではあるが。

 今回沢山の浪人を斬ったことで、大きく情勢が変わるだろう。
 だが、話によると、これから騒動は陽動で、三種の神器を盗み出す事が、長州の最大の目的であった‥‥っと言う話も聞こえてきている。それが本当なら大変なことだ。
「やれやれ、また仕事が増えちまうな‥‥近藤局長も大変な事だ」
 斉藤がぽつりと、そんな言葉をつぶやいている。
「斉藤さん、お背中流しましょうか?」
 リアナ・レジーネスがそう言って斉藤を手招きする。
 もちろん女性の誘いを断れない斉藤はサクサクとそれに従う。
 ‥‥背を垢擦りで擦られながら、今日一日の疲れでこっくりこっくりと船をこぎ出す斉藤。
 普段の斉藤からは決して見ることが出来ない油断した彼の一面である。

「戦って‥‥戦って‥‥刀の中子が血で腐るまで戦って‥‥新撰組と言う物を軽視していたが、これほどまでに強いとは‥‥私は君たちに感動したよ」
 京極鹿之助がそう言って皆を見つめた。
 男装の麗人京極鹿之助。彼は女で有ること捨て、武士と成った志士である。
 故に女性の恥じらいなど持ち合わせていないが、武人の誇りと誉れはわきまえている。
 ゆえに新撰組をごろつき浪人の集まりと見ていたのだが、その鬼神の様な強さに、半ば惚れるほどであった‥‥っと後に伝えている。

 湯にはまり、拭いきれぬ血を拭いならが
 一人の怪我人も無く、事を済ませることが出来たことに
 一同は神に‥‥仏に感謝せずには居られなかった。
 そんな静かな湯屋での一夜であった。