【乱の影】決戦! 関ヶ原 1

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:11〜lv

難易度:難しい

成功報酬:14 G 11 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:11月23日〜12月01日

リプレイ公開日:2006年12月02日

●オープニング

●【乱の影】決戦! 関ヶ原 1
 近江、安土城。
 近江38万石の本拠地で安土の城があり、元々平織虎長の居城であったが、現在は浅井長政様がちゃっかり居座っているお城。
 天守閣が六角形してる所がトレンディ。

「殿! 大変です。一大事にございます! 所属不明の兵力が越前に入り、近江目指して南下しているとの事、大至急‥‥戦支度の準備をお願い致しまする」

 火急に伝えられたそれは、浅井長政の予期せぬ物であった。

 情報に寄れば、武田信玄が上洛するかもしれない。
 もしもの時には美濃から援軍要請が来るかも知れない。
 それに対応するために物見の忍びを各地に散らして居たのである。

「敵の兵力は分かるか? 相手は武田軍なのであろう? 誰か旗印を確認した物はいるか?」
 浅井長政が情報収集の為、甲賀忍軍を使って更なる情報を集める。
「敵の兵力はおよそ1000〜2000。旗印は『宮』の一字にございました」
 敵は越前から近江の北、琵琶湖の北岸への道を進んでいる。
 あと2日も有れば琵琶湖北岸にたどり着くだろう。
 時間さえあれば、近江に取って1000や2000の敵兵力などどうという事はないが、いかんせん時間がない。兵を集めている間に敵に攻められてしまうだろう。

「こちらの兵力も2000弱‥‥無駄に消耗戦をし、疲弊したところを伏兵に襲われては不味い。我が軍は兵を半分づつに分け、小谷城と安土城にて籠城を行う事としよう。安土城の総指揮は私が取る‥‥小谷城の指揮は‥‥東西南北・春夏秋冬(ひととせ・よもひろ)そなたに任せる。‥‥しかし、手をこまねいて見ているだけと言うのも興が削がれる。早馬を飛ばして大津の神楽坂紫苑に連絡せよ、兵を集め敵を強襲するように伝えよ」

 安土城からの連絡を受け、京都の守護の為に大津に兵を集めていた神楽坂紫苑に対し、浅井長政からの勅命が下った。大至急に兵力を集め安土城に近付きつつある敵を撃破せよとの事である。

「うむ、あいわかった。では京都に派遣していた兵もかき集め、冒険者の力も借りる事にしよう。冒険者ギルドに大至急連絡。早馬の用意はこちらでしよう」

 そんなわけで陸路を半時計回りに回って安土城を目指すことになる。

 所が京都を目指している敵の兵力は無駄な戦いを避けるために小谷の城と安土の城を大きく迂回して山道を移動している。
 山道がとぎれる一線。其処が決戦の場に成るであろうと早急に兵を移動させる神楽坂紫苑。

 近江の東側の山間の切れ目に存在する一つの決戦場‥‥そう、関ヶ原に向けて。

●今回の参加者

 ea0629 天城 烈閃(32歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea5062 神楽 聖歌(30歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea8384 井伊 貴政(30歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8545 ウィルマ・ハートマン(31歳・♀・ナイト・人間・ロシア王国)
 eb0160 黒畑 丈治(29歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb2483 南雲 紫(39歳・♀・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●【乱の影】決戦! 関ヶ原 1
 それは近江の東でのとある出来事である。
 北より攻め入ってきた五条軍を迎え撃つべく、神楽坂紫苑の遊撃部隊が兵を動かした。
 テレビゲームではないので相手のデータが簡単に手に入る訳でない。
 また物見が状況を確認してから連絡が入るまでにはタイムラグがある。
 さらに兵を動かす為の準備や移動でもタイムラグがある。
 思い通りに兵が動くとは限らないので予め何パターンか指示を出しておく。
 この時代の戦い方は現代の戦い方とはダイブ異なる。
 互いに兵力は1500程度、お互いに小高い山に本陣を張り、距離4キロほどでにらみ合う様な状況下にある。
 この時代の人口は1000万人に大きく満たない。
 故にその数は実際の関ヶ原の合戦に比べれば少なく感じるが、この世界からの目線で見れば決して少なくないことを分かって欲しい。

「兵を整えよ。開戦に向け、兵を整えよ」
 移動を終えたばかりの近江の兵力を纏める。
 移動と攻撃では並び方‥‥陣が異なるのは定石。
 先ずは相手の兵力を削る為の陣を張る。

「それでは先ずは私が敵陣の兵力を削ぎましょう。鷲羽、屠龍。今一度、お前達の力を借りるぞ」
 天城烈閃(ea0629)がそう言ってペットに声をかける。
 体長10mの可愛い小鳥が2匹歩み寄ってくる。
 小鳥というか若鳥の鷲羽と屠龍である。
「俺が空から弓で攻撃する。敵が乱れたらそれに合わせて攻撃してほしい」
 そう言って2羽の若いロック鳥を共に空に舞い上がる天城烈閃。
 いざ、戦闘開始の鏑矢の撃ち合いである。


 初手の兵が陣を進める。
 敵数はこちらに互角する数‥‥1500〜2000は居るであろう。
 圧巻的な数字である。
 横に並んだそれは、有る物はウマに乗り、また有る物は歩兵で槍を構えている。
 山王牙(ea1774)が先ずは先陣を切って前に出る。
 敵の雑兵‥‥槍の一撃の一つを十手で受け流し、カウンターアタックでスマッシュソードボンバーを放つ!
 一気に敵を複数はじき飛ばす‥‥っと行っても巻き込んだのは2名。カウンターが適応されたのは手前の一名だけである。
 流石に射程3mでは短かった‥‥っと言う部分と、刀の重さが軽かったことが威力を半減させている。
 だが、それでも敵に驚きの色は隠せない。
「弓兵、山王殿を援護せよ! 囲ませるな!」
 敵の兵の中に孤立、もしくは敵の兵の波にぶつかると集中砲火を喰らう事になる。
 それをけん制するために兵で線を作りぶつかり合うのである。
 弓は味方が敵に呑まれない為のけん制だ。

「小太刀でも戦い方しだいで、戦えますよ」
 神楽聖歌(ea5062)が小太刀片手に山王の左側面に入る。
 右側面を一時的に弓で制したことで、左側面をけん制して2人は戦列にもどる。
 オーラパワーで強化された小太刀はかなり強力ではあるが、鎧を纏っている武者には効果が薄い。
 敵は農兵も混ざっているが、武士も少なからず存在する。
 正面からぶつかるのは不味いのだ。
「さあ、次の相手は誰ですか?」
 神楽聖歌が次の相手を求めて構える。
 それをサポートする井伊貴政(ea8384)。
 集団戦闘に慣れているか、慣れていないかでは、大違いである。
 例えば目の前の人間が斬りかかってきたとする。
 相手を倒すまで殴っていたら回りが全部敵だらけでした。
 なんて事は戦が不慣れな人間では良くある失敗だ。
 そして死に直結する。

 井伊貴政の斬馬刀の一撃が敵の武将の槍に阻まれる‥‥っが、敵の槍を破壊してなお敵を粉砕する。先ずは敵将一人を討ち取った。
 っが首を上げる暇など無い。
 だが、敵は彼の出で立ちに攻撃を躊躇している。
 その斬馬刀の破壊力。そして真っ赤な鎧に真っ赤な羽織、獅子の如きたてがみ。
 敵を威圧するには十分あ格好である。
 それでも敵を前にして逃げ出す事は出来ない懸命に攻撃を仕掛けてくる敵を神楽聖歌や山王牙が蹴散らし蹴散らし、いちばんやりを死守している。

「敵の兵力は大体、事前の情報通りだな。増援や別働隊はいない、か?」
 ウィルマ・ハートマン(ea8545)が敵襲団の後方から攻め入ろうと陣地を大きく迂回する。
 しかし、戦場は広い。
 敵に気づかれぬままに敵の陣屋の後ろまで回るにはかなりの時間と労力が必要だ。

「良し、敵は陣形を崩して居るぞ、今は狙い時じゃ! 進め! 進め!」
 神楽坂紫苑の命で兵が正面から殲滅へと入る。
 黒畑丈治(eb0160)がそれに合わせて前に出る。
 両手に金属拳を付け、群がる敵に鉄拳を繰り出し繰り出し制してゆく。
 息をつかせぬ戦いが彼らの前に立ちはだかる。
 倒しても倒しても敵が減らない。そんな錯覚さえある。
 最前線では戦況全てを把握することは出来ない。
 だから後方に司令官が居るのだ。
 だが、神楽坂紫苑は大将でありながら前に出る。
 そうすることで部隊の士気が大きく向上するからである。
「私は無益な殺生は好みません。だが、無益な殺生をする者には容赦しない!」
 黒畑丈治が何人かの敵を打ちのめすに連れ、彼もまた敵の的にされる。
「お気をつけなさい。敵は正面だけじゃないのよ?」
 南雲紫(eb2483)が霧刀で敵の武将の首をはねとばす。
 返り血に染まりながらニヤリと微笑む南雲紫。
「5人目‥‥6人目‥‥7人目‥‥」
 敵の攻撃を次々に避け、敵をカウンター+シュライクで次々切り裂きながら突き進む南雲紫。
 抜群の剣の腕と、卓越した回避能力があればこそ、そして他の冒険者が作った道があればこその戦術である。

 ビキ!

 鈍い音が霧刀から発せられ折れる。
 30人を斬った所で刀が限界へと達していた。
「南雲殿。わらわの刀を使われよ」
 そう言って自らの刀を投げて寄こす神楽坂紫苑。
 霧刀より軽い。霧刀より切れ味がある。
 それを借りてザクザク斬り進む南雲紫。

 戦が始まってから2時間。いよいよ雌雄が決しられた。
 近江武士団が、敵の大将首を上げたのである。
 結局冒険者全体の倒した数の半分は彼女が切り捨てたことになる。
 いや、他の冒険者の倒した数は少なくとも彼らのおかげで近江の被害は最小限に抑えられた。
 少ないながらも冒険者が戦況に与えた影響は大きい。

 一番大きいのは空から弓を放ち、翼を羽ばたかせて戦場を攪乱に攪乱させた天城烈閃の
貢献に寄るところかも知れないが。

「ありがとう。刀返すわ‥‥」
 南雲紫が刀を返そうとすると、神楽坂紫苑が首を横に振る。
「それはそなたに差し上げよう。戦勝の褒美じゃ。大事にいたせよ」

 陣太鼓を叩きながら下知を飛ばす神楽坂紫苑。
 戦いは終わった後は残党殲滅であるが、深追いはしない。
 徐々に敵の戦力を削ぎながら、北へ北へと追いやるのだ。
「戦の勝ちは成った。後は消耗戦だけじゃ。皆良く戦ってくれた。先に城に戻って熱い風呂に入り、飯を食って待っておれ、数日後れでわらわも大津に戻るゆえ」

 そう言って馬を貸し出す神楽坂紫苑。
 関ヶ原の合戦はこうして日没を迎えるのであった。