『真夏の褌隊・海へゆく』

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや難

成功報酬:0 G 71 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月14日〜07月20日

リプレイ公開日:2004年07月23日

●オープニング

 どこまでも抜けるような青い空。ドーンとそびえる白い雲。夏の暑い照りつける太陽。
そして、どこまでも突き抜けるような筋肉美の漢達と、どーんとそびえるふんどし。夏の照りつけるような太陽と暑苦しい砂浜の光景。
 謎の褌隊は夏の強化合宿の為、海へ山ごもりに来ていた。
「ファイトー!! オォーーー!!」
 むさい筋肉マッチョでふんどしな兄ちゃん達総勢40数名が朝の海岸線をザッカザッカと走ってゆく。
有る意味絵になるが、有る意味夢に出そうな集団である。
 彼らは、越中褌、六尺褌で身を固めたマッチョダンディ総勢40数名。自己主張の表れか、褌にはカラフルな刺繍が施されている物もある。
 謎の褌隊には規律と階級があり、位が上の物ほど良い褌を装備することが出来る。
それはまるで西陣織や藍染めにさえ相当する艶やかで雅な物だ。
 彼らの統括を行っているのは真っ白な肌と細身の身体の艶やかな女性、名を紫陽花。
黒く艶やかな髪を紙縒で頭の後ろで結び、その細身の身体からは想像も付かない様な自己主張溢れる豊満な胸をサラシで固め、黒地に金銀の糸で刺繍された紫陽花と螺旋状のカタツムリの図柄が入った何とも雅な黒猫褌を装着している。
 どうやら彼女がこの男どもの統括をしているらしい。
「褌隊第一分隊、コレより沖の小島への遠泳に入る。各員備え改め」
 彼女の号令で皆褌をきつく締め直し、一斉に海の中へと入ってゆく。
 古式泳法の横体の伸(のし)を用いてゆらゆらと進んでゆく褌隊。
 はたから見るととても異端な集団ではあるが、地元の漁師や村人からは人気がある。
この時期だけ仮入隊して水泳を楽しむ者、古式泳法のスイを教わる者なども居るほどだ。

 遠泳を楽しむ‥‥もとい、遠泳で鍛錬する謎の褌隊の足下を巨大な魚が泳いでいるのが分かる。
その魚頭には鋭い剣の様な物が生えてる。この辺では見かけない魚だ。
「分隊長!! 大変です巨大な魚型モンスターが!!」
 及ぶ褌隊のふんどしめがけてその不思議な魚ソードフィッシュは襲いかかった。
鋭い切っ先が急所を直撃しつつ、さらに褌を引き裂いてゆく。
「全員退避!! 丘にあがれ」
 褌隊は一目散に丘にあがった、命の次に大事なふんどしを切り裂かれては大変だ。
「分隊長、我々は一体どうすれば良いでしょう?」
 褌を引き裂かれて泣きそうな顔をする部下達に静かに微笑を浮かべて紫陽花が答える。
「餅は餅屋と言う言葉もある。モンスターには冒険者を当てようじゃないか」
 紫陽花はそう言って冒険者への依頼を行うのであった。


 冒険者の皆さん。沖合に出没する謎のソードフィッシュを倒してください。お願いします。

●今回の参加者

 ea0063 静月 千歳(29歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea0861 緋邑 嵐天丸(25歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea1289 緋室 叡璽(30歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1774 山王 牙(37歳・♂・侍・ジャイアント・ジャパン)
 ea2391 孫 陸(31歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea2482 甲斐 さくや(30歳・♂・忍者・パラ・ジャパン)
 ea2948 如月 妖乱(34歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4039 宗像 透徹(35歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea4141 鷹波 穂狼(36歳・♀・志士・ジャイアント・ジャパン)
 ea4568 錬 金(64歳・♂・僧兵・ドワーフ・華仙教大国)
 ea4734 西園寺 更紗(29歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea4761 御神苗 崖(53歳・♂・忍者・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●おとり部隊
 青い海、白い砂浜、溢れんばかりのふんどし。
 褌隊の依頼を受けた面々は有る者は彼らが用意した船に乗り、有る者は海へと入り自力で泳ぎなら、沖の小島へと向かっていた。
 小島へ向かう途中でその問題の魚は褌めがけて襲いかかってくると言うのである。
そして彼らはその魚を倒すために雇われたプロの冒険者なのだ。
 おとりと成る3人の男達が魚をおびき寄せ、残りのメンツで魚を捕縛する予定らしい。
初の水中戦で流石のプロフェッショナルな彼らも浮き足だっているのが分かる。
 緋邑嵐天丸(ea0861)がオニューの六尺褌を相手にもぞもぞと着替えをしている。出来るだけひらひらさせながら泳ぎたいらしく、そのために出来るだけひらひらした縛り方を行いたいのであるが‥‥。
「仕方ないですね。私が手を貸してあげましょう。」
 まごついている緋邑嵐天丸に対して救いの手を差しのべたのは紫陽花であった。
 褌隊の紅一点にして第一分隊分隊長。すらっとした細身で華奢な身体にその身体とか似つかわしくない溢れんばかりの胸をサラシで固め、長い黒髪を頭の後ろで紙縒で縛った女性である。
 彼女は嵐天丸の前にしゃがみ込むと、褌をテキパキと整えてゆく。
「やっ、えっ、あの、えと」
 嵐天丸は耳まで真っ赤にしながらしどろもどろと言葉を紡ぐ。だが上手く言葉が出てこない。
「大丈夫恥ずかしがらないで、ほら、動かないでね」
 女性に褌を締めてもらうことなど嵐天丸に取っては初めての経験である。しかも、視線のアングル的に彼女の胸元が強調して彼の目の中に入ってくる。目のやり場に困りながら、されるがままに褌を締めてもらう。彼女の仄かに良い香りが鼻をくすぐった。
「はい、これで良いですよ」
 ばりっと、そしてだらっと褌を締めてもらった嵐天丸。いよいよ作戦開始である。

●陽動
 孫陸(ea2391)は褌隊に仮入隊して六尺褌を借りると嵐天丸よりも先に海に入り、ゆらゆらと褌を漂わせながら、海岸と島の間を泳いでいた。ソードフィッシュが姿を現したときに、海岸まで誘導して浅瀬での戦いに持ち込むのが彼の仕事である。
 宗像透徹(ea4039)も孫陸の後ろにくっつくようにしてゆらゆらと泳いでいる。
 ふたりのゆらゆらした泳ぎが、刺激を与えて、それは姿を現した。ソードフィッシュである。
体長約1m程の巨大な魚は、ゆらゆらと泳ぐふたりを追いかけるようにして付いてくる。
「よし、作戦は成功だ!!」
 緋室叡璽(ea1289)がふたりを尻目に叫ぶ。確かに魚を呼び出すことには成功している。後は奴を倒せるかどうかである。
 ふたりはそのまま海岸の浅瀬の方にソードフィッシュを誘導する。‥‥が、流石に水中では魚の方が動きは機敏力パワー共に圧倒的に有利、ましてや格闘戦を挑もうものならそれは圧倒的に不利なのは言うまでもないだろう。
 ふたりのゆらゆらと流れる褌とソードフィッシュの距離が一気に縮まってゆく。

「ここは私の出番ですね。」
 そう言って船の中から躍り出たのは如月妖乱(ea2948)である。彼女は申し訳程度に胸に薄布を巻き、腰も同様にそれに準じた服装‥‥、ほぼ裸に近い状態で船に乗り込んでいた。
 いつ船から振り落とされても良い様に、軽装で船に乗り込んでいると言うが、男性陣の視線の的に成っている。
 大きな胸と色っぽい身体、それに白い髪が太陽の光で輝いて色っぽさを増している。
「妖乱さん、恥ずかしくないのか?」
 船の上で日焼けを楽しんでいた御神苗崖(ea4761)が妖乱に質問する。
「別に‥‥恥ずかしくないよ‥‥身体には、自信あるからね‥‥」
 そう言って薄布に透ける淡い肌を露出させ船縁へと身を乗り出した。

 御神苗崖が泳いでいるふたりに魚が襲いかからないように、船上から手裏剣を投げて行動補正を行う。だが、相手は水中に居る魚である。海面の、ましてや船の上から投げた手裏剣が効果を与える訳がない。
「水中に居る相手に手裏剣ではダメでしょう?」
 如月妖乱が短刀を抜き、海面に向かってソニックブームを放つ。威力は半減されるが真空の刃が水を切り裂いてソードフィッシュを襲う。
 ソードフィッシュはそれを右へ左へと避けながら器用に泳いでゆく。だが、ふたりの行動で確実にソードフィッシュは浅瀬に追い込まれてゆく。

 山王牙(ea1774)が命綱をつけ海へ飛び込む。
 水中からウィンドスラッシュを放ってソードフィッシュを一刀両断にするのが目的だが‥‥。
「だいじょうぶか? にいちゃん」
 命綱を引っ張りあげられて船の上に大の字になる山王牙。どうやら海に潜って魔法を唱えるにはちょっと問題が有ったようである。大量の水を飲んでぐったりとしている。
 彼を助けたのは 西園寺更紗(ea4734)
 豊満な胸にサラシをきつく巻き、下は袴姿で膝辺りまでたくし上げて色っぽい姿を露出している。船の上はお色気4人のおかげで鼻血が絶えない状況である。

 その最後のお色気娘は静月千歳(ea0063)
 サラシに褌姿で肌を露出していた彼女であるが、泳いでいるソードフィッシュを見るや否か、突然に懐から短刀を取り出すと、一気に海に飛び込み、いちもくさんにソードフィッシュへと短刀を突き立てた。それは改心の一撃にも近い攻撃だった。
「やった、後は魚の泳ぐ勢いでソードフィッシュは真っ二つに‥‥」
 彼女はそう言って満面の笑みを浮かべるが、そう簡単に魚は真っ二つには成らない。
背中に短刀を刺されたソードフィッシュは暴れながらにして浅瀬方向へと泳ぎだした。
「きゃ〜〜〜」
 背中に刺さった短刀ごと静月千歳は引きずられるようにして‥‥いや実際引きずられているのだが、そのまま浅瀬へと引っ張られていった。
「おい、手を離せ、そのままじゃ、あなたも危ないぞ!!」
 山王の言葉に静月千歳が返した言葉は意外な物だった。
「実は私泳げないんですよ〜」
 その言葉に山王はにっこり分かってロープを水面に投げ込んだ。
「大丈夫だ!! 私も泳げない。このロープに掴まれ!!」
 しかしそのロープの長さは3m とても静月千歳の手に届く物では無かった。

●一本釣り
 短刀突き刺し暴れながら浅瀬を踊り泳ぐソードフィッシュ+千歳。
 そしてそれを待ち受ける存在がそこには有った。
 甲斐さくや(ea2482)と錬金(ea4568)である。
 ロープの先にかぎ付きフックを付けて待ちかまえるさくやと同じくしてムチの先端にかぎ付きフックを付けて待ち受けている錬金。ふたりはソードフィッシュを一本釣りするために待ちかまえているのである。
 浅瀬を動くソードフィッシュに対して構えを取るふたり。ロープの長さは約3m
 最も近づいたときにねらいを外さずに一気にヒットさせるしかない。
 浅瀬とはいえ、水中を動く魚を、腰まで水に浸かって捕まえようと言うのである。
 緊迫感があがる。緊張感が高まる。間合いが詰まる‥‥そして!!
「チェストー!!」
 ふたりのかぎ付きフックが一つの目標物にヒットする。手応えアリだ。ふたりは力を合わせて一気にそれを一本釣りの要領でつり上げる!!

 だが!?

 つり上げたのは、ソードフィッシュにしがみついていた静月千歳であった。
彼女の褌とサラシにそれぞれかぎ付きフックが引っかかる形でつり上げられたのだ。
 ソードフィッシュの方はスイスイと浅瀬を泳いでいく。
「おろしてくださーい」
 魚を釣り上げるつもりで女の子をつり上げたふたりは完全に硬直している。
 そんなふたりに助けを求める静月千歳。
 ビリビリと音を立ててサラシと褌が裂け、静月千歳は何とか浅瀬に降りることが出来た。

 そして‥‥ソードフィッシュは‥‥

「をっ? そっちは無事だったか?」
 鷹波穂狼(ea4141)が氷付けになったソードフィッシュを引きずって戻ってきたのは、甲斐さくやと錬金が静月千歳にしこたま殴られた後であった。
 3mの至近距離に相手をとらえなければ成らないが、傷を負わせ、泳ぎ疲れさせ、弱ったところへのアイスコフィン。相手を凍り付けにして固めてしまう荒技である。
 通常使えば抵抗されることが多いが、傷を負わせ、疲労させたおかげで、辛くも凍結させることに成功した。
 1mの巨大な魚は、チームワーク(?)と連携プレイ(?)とによって、何とかその身体を捕縛することに成功した。そして‥‥。

●あっぺんでぃすく
 夕日を浴びて赤く輝く海。(注海に太陽が沈んでいるわけではない)
 浜辺に用意された巨大なテーブル。解体され、刺身にされて配られるソードフィッシュ。
わさび醤油で美味しくいただかれているソードフィッシュの和名は後で分かったことだがカジキマグロであった。
 1mの巨大な身体は、12人の冒険者と20人+1名の褌隊の胃袋の中に瞬く間に消えてゆく。わさび醤油で生で美味しく頂いたり、たき火でさっと炙って叩きされたそれは美味しく頂かれる事になった。酒も振る舞われ、それはたき火を囲む宴へと変わっていった。
「あの、ちょっと良いですか?」
 宴の途中で如月妖乱が紫陽花を人気の無い所へとそっと呼び出す。
「何か様かな? 妖乱‥‥さん?」
 紫陽花の言葉には応えず、無言のままに紫陽花の胸に巻いてあるサラシを短刀で斬る如月妖乱。
 今までサラシに押さえつけられていた、紫陽花のたわわに実った胸がプルルンと反動を付けて露わとなる。今度は如月妖乱が自分自信の胸の布を取って自らの胸を露わにする。
 ジーッと紫陽花と自らの胸を見比べる妖乱。そして彼女は無言の敗北感を味わっていた。