『漆黒の西洋甲冑の怪物』

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜3lv

難易度:難しい

成功報酬:0 G 85 C

参加人数:13人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月28日〜08月03日

リプレイ公開日:2004年08月06日

●オープニング

 漆黒の鉄で作られた西洋製の甲冑を着込んだ怪物。西洋ではバグベアと呼ばれているそれは西洋ではヘビーアーマーと呼ばれる良質の鎧とヘビーヘルムと呼ばれる良質の兜を着込み、ヘビーシールドを左手に、そしてハルバードを右手に装備している。
 どこで手に入れたのか、トリプルヘビー装備とハルバードで武装した化け物は、オークを引き連れて村々を襲い、金品と食べ物を強奪し、若い娘を略奪して奪っていった。
 いつからはそれは、『漆黒の西洋甲冑の化け物』と呼ばれるように成っていた。
 彼らは過去に2度、冒険者と刃を交え、数匹のオークを失っていたが、西洋甲冑の化け物は生き延び、さらに村々を襲っていた。
「ずいぶん幅を利かせてるじゃねぇか、若いの」
 西洋甲冑に身を包んだバグベアに、オーガ語で語りかけるのは野太刀を携えた一匹のゴブリンであった。彼は2匹のゴブリンの部下を引き連れているゴブリン戦士だ。
 語りかけるゴブリンの戦士に無言を決め込むバグベア。
「人間如きに遅れを取って部下のオークを数匹失ったそうじゃないか? オレならもっとマシな戦いをするぞ。流石はつっこむしか脳がない猪武者と言う所か?」
 そう言ってバグベアに対してケタケタと笑うゴブリン戦士。
 それは、猪の顔にクマの身体を持つバグベアに取っては屈辱的な言葉に他ならない。
「ならば、試してみるか?」
 バグベアは重い口を開いた。それはゴブリン戦士への挑戦であった。
「オレはこれから村を襲う。村の人間達は冒険者を雇って俺を討伐に来るだろう。討伐に来た冒険者‥‥オレとオマエ、どちらが多く倒すか賭をしようじゃないか? 負けた方が勝った方に愛用の武器を差し出すと言うのは‥‥どうだ?」
 バグベアの愛用武器はハルバード。ゴブリン戦士の愛用武器は野太刀である。性能は五分。値段では野太刀の方が勝るが、ジャパンでのレア度はハルバードが勝る。
「良いだろう。だがな、バグベアの」
 そう言って野太刀を抜いて手近に有った瓦礫に太刀を振り下ろした。
バーストアタックの技を持って攻撃したその瓦礫は、文字通り木っ端みじんに粉砕される。
「オレはオマエと違って多少の技は使える。後でほえ面をかかせてやろう」
 そう言ってゴブリン戦士はケタケタ不気味な笑いを浮かべた。

 数日後冒険者ギルドへ依頼が入る。
 4匹のオークを引き連れた黒い鎧を着込んだ2mの魔物と3匹のゴブリンが村を襲い金品の略奪を行い、村長の家に住み着いてしまった。どうか魔物を退治して下さい。

●今回の参加者

 ea0073 無天 焔威(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0585 山崎 剱紅狼(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0914 加藤 武政(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0920 白夜 躯(29歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea1050 岩倉 実篤(37歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea1059 麻生 空弥(28歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea1289 緋室 叡璽(30歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1891 三宝重 桐伏(39歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2538 ヴァラス・ロフキシモ(31歳・♂・ファイター・エルフ・ロシア王国)
 ea2741 西中島 導仁(31歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea3874 三菱 扶桑(50歳・♂・浪人・ジャイアント・ジャパン)
 ea4035 星 不埒(32歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●策士の策
「さて、見張りの話では冒険者とやらが村の入り口にさしかかったようだ。ここに来るのも時間の問題だが、オマエさん準備の方は良いんだろうな?」
 ゴブリン戦士は2匹の部下‥‥いや、増強された6匹の部下を連れて万全の状態で冒険者の迎撃準備を行っていた。増えた部下を見つめ目を丸くするバグベアに対してニヤリと笑いながら彼‥‥、ゴブリン戦士は言葉を続けた。
「どうした? 兵士を増強しては行けないとは言ってないよなぁ? この戦いで負けた方がお互いの武器を相手に差し出す。その約束、忘れてないよなぁ?」
 そう言ってゴブリン戦士はケタケタ笑いながらバグベアを見つめた。
「無論だ‥‥。兵士の増強に問題無い」
 彼が指を鳴らすと、彼の後ろに控えていたオークが見慣れぬ武器を見せた。
 それは鉄で出来た弓鉄弓である。
 彼らは武装度を上げてその攻撃力を増しているのだ。
「ふん。タヌキめが‥‥考える事は一緒か‥‥」
 ゴブリン戦士は野太刀を構えると部下を引き連れ冒険者の迎撃へと向かった。

●オークの策
 3匹のオークが戦槌を構え前衛へ、残り一匹のオークが鉄弓を構えて後衛へバグベアが中盤と言った陣形で裏口から外へと歩み出していた。
 ゴブリン達は表口から、オーク達が裏口から、先に敵を倒した方が相手に合流すると言う寸法である。これは館に火を放たれた時の為の用心の策でもあった。

「やっと会えたな、好敵手。お前を逃したあの日から、探していたぞ‥‥」
 オーク達の前に颯爽と現れたのは白夜躯(ea0920)巧みな動きを武器に彼らを翻弄させるのがねらいだ。
「オマエノ相手ハ‥‥(オーガ語)」
 弓を持ったオークと斧を持ったオークが彼の目の前に踊り出す。
 どうやらオーク2匹が彼の相手をするようだ。

「はぁーーーーー」
 西中島導仁(ea2741)が剣の闘気を纏いバグベアに突進する。
 二刀流から放たれる日本刀と短剣の一撃が、鎧の上からバグベアを襲う。金属と金属のぶつかり合う音が響く。その合間を縫って岩倉実篤(ea1050)が刀を抜いてバグベアに襲いかかる。鎧の隙間を縫うようにして、ブラインドアタックとポイントアタックの合成技が放たれるがそれを受け、バグベアの肩からうっすらと血がにじみ出す。
「ウガァ!!」
 西洋甲冑のバグベアのハルバードが唸りを上げて岩倉の身体に炸裂する。
 ハルバードの肉を切り裂く斧により一気に重傷を受けた岩倉はそのまま戦線を離脱する。

 傷を負ったそのバグベアの動きに合わせて無天焔威(ea0073)が後方から攻撃を仕掛ける。バグベアの楯に対してダブルアタックに寄る武器落としの攻撃だ。
 だが、バグベアの楯を地面にたたき落とすことは出来なかった。
「よし!! もらった」
 屋根の上に隠れていた星不埒(ea4035)が頭上からバグベアの脳天に向かって一撃を放つ。ハンマーの一撃がバグベアー脳天に直撃した。一応にもダメージは与えている様だ。
 そこへ麻生空弥(ea1059)が槍を短槍を持って突進する。バグベアは楯で槍を弾くと彼を囲む人間達を静かに見つめた。
「人間ニシテハ‥‥良クヤル‥‥ダガ‥‥(オーガ語)」
 バグベアはそう言ってハルバードを構えて対峙した。
 不意打ちの3発を入れてもまだ分が悪い状況である。

 戦いは劣勢を極めたが、何とかバグベアを村はずれの崖まで追いつめていた。
「屍ヲ‥‥晒ス位ナラバ‥‥」
 鎧を着たバグベアはそのまま谷底へと身を落とした‥‥。

●ゴブリン
「くっくっくっくっ」
 ゴブリン戦士は6匹に増量したゴブリンによって冒険者を血祭りにあげ‥‥バグベアのハルバードをその手中に収める筈だった‥‥が。上手く事は運んでは居なかった。

 野村小鳥(ea0547)がゴブリンの斧の攻撃を軽く避け、ゴブリンに蹴りを打ち込む。
 オークには有効打を与えなかった蹴りだが、ゴブリンには適度に効果を与えていた。
 数発の軽傷を与え、徐々にゴブリンの動きが鈍くなって行く。
 そこへとどめの鳥爪撃(ちょうそうげき)が炸裂した。
 顎を蹴り上げるようにして入った一撃がゴブリンに瀕死のダメージを与える。
 その攻撃力の凄さに、一番ビックリしているのは小鳥本人であった。
「オークに比べると、ゴブリンは全然弱いんだ‥‥」
 小鳥はモンスターによってその強さが大きく異なる事を実感した。
「やるじゃないかお嬢さん。見くびっていたよ」
 山崎剱紅狼(ea0585)が剣を抜いた状態で動きを止めて居た。
 ボーラで足止めし、そば粉で目つぶしをし、さらに小鳥とふたりで一匹を倒すと言うのが彼の計画だったのだが‥‥、まさか彼女が一人で一匹を倒すとは予想外だったのである。
 山崎が右手の日本刀、左手の短刀でのダブルアタックを使ってゴブリンへと攻撃する。
 彼らが思っている以上に、ゴブリンは脆い存在だった。
「チェストー!!」
 加藤武政(ea0914)がゴブリンの首を切り落とそうと一撃を放つ‥‥が、首にめり込むだけで流石に切り落とすまでには少々ダメージが足りないようだ。
「ならば普通に切るまでだ」
 日本刀を振り回し、ザクザクと攻撃を与える加藤3人で合計3匹のゴブリンを撃破殲滅した。
 緋室叡璽(ea1289)が2匹のゴブリンを同時に相手にする。
 すり抜ける様にして、ゴブリンの斧の攻撃を避け、カウンターで一撃を放って手傷を負わせると、返す刀で横に居たゴブリンにも更なる一撃を放っていた。
「カモォ〜ン、ゴブゴブちゃ〜ん」
 ヴァラス・ロフキシモ(ea2538)が両手のナイフを使って攻撃をしかける。
 ジリジリとした攻撃を仕掛ける事は出来るが決定打にかける。それでも手数の多さが幸いして何とかゴブリンの一体を葬る事に成功した。
 増量された6匹のゴブリンは音を立てて崩れ去っていった。

●ゴブリン戦士との死闘
 三菱扶桑(ea3874)が囮と成ってゴブリン戦士の前に踊り出る。
 ゴブリン戦士の野太刀が三菱に襲いかかる。それを三菱は刀で受け止めた。
 ビシっとイヤな音がする。刀が刃こぼれを起こしているのだ。
「逃がさないぜ、くそやろう」
 三宝重桐伏(ea1891)が渾身の一撃をゴブリン戦士に放つ。
 剣の重さが加重された渾身の一撃は、鍔迫り合いをしていたゴブリン戦士の肩を袈裟懸けに切り裂き、舞い散る血しぶき三宝重の顔が真っ赤に染まった。
 ゴブリン戦士が苦痛で顔をゆがませる。その胴体へと三菱と三宝重の剣が突き刺さった。
「まさか‥‥こんな若造共に‥‥負ける‥‥とは‥‥(オーガ語)」
 口から血を吐き出し、よろよろと後ろに下がっていくゴブリン戦士。
「賭は‥‥オレの負けだ‥‥な」
 ゴブリン戦士は自らの死を悟りニヤリと笑うと、野太刀を大きく振りかぶり、建物の柱に一撃を放った。
「だが‥‥人間なんぞに屍は晒さぬ‥‥(オーガ語)」
 ゴブリン戦士の一撃が柱を破壊し、建物の入り口部分が崩壊し、ゴブリンは建物の瓦礫の中に埋まってゆく。後に残ったのは、瓦礫と一本の野太刀だけであった‥‥。

●あみだくじ
 ゴブリンを倒した7人はあみだくじを行っていた‥‥。ゴブリン戦士が持っていた野太刀、それをバグベアが回収しなかったため、彼らの誰がもらうかと言うあみだくじである。
「アミダクジ〜♪ アミダクジ〜♪ あっ‥‥」
 予想外の人物にそのアミダは当たった。
「小鳥さん野太刀獲得おめでとう〜」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとう」
「えっ、私なの!?」
 武道家の彼女は自ら使うことは無いであろう使い込まれたずっしり重い野太刀を手に入れた。スマッシュ使いなら泣いて喜ぶ一品である。彼女に使い道が有るかどうか分からないが。