猫の品評会

■ショートシナリオ


担当:

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月14日〜10月19日

リプレイ公開日:2004年10月22日

●オープニング

 『猫好き急募』

 そんな募集が冒険者ギルドに入ったのは、ある晴れた日のことであった。

「猫好きさんによる猫好きさんの為の集まりをやりたいと思ったの」
 ギルドの片隅でうっとりと夢見がちに語る娘1人。
 栗色の髪を肩下で切りそろえた、良家の子女といった風貌のその娘はピンク色のスカートをふわふわと揺らしながら依頼を語る。
 ただし。
 その口調はとてものんびりとして・・・・眠くなるほどだ。
「いつもは集まってお茶を飲みながらみなさんと語らうの。
 ですけど、そればかりではいつか飽きられてしまうのではないかと・・・・」
 そこで彼女が思いついたのは、各自の猫を競わせる品評会であった。
「あんまり猫達に無理なことはさせたくないの。
 でも見た目や血統だけ競うのも寂しくありませんか」
「それで、品評会での競技内容を考えて欲しいんですって」
 このままでは日が暮れると思ったのか。
 ギルド員の娘が言葉を引きついだ。
「依頼内容は競技内容を考えることと、当日の手伝い。
 依頼人はこの娘、ヴィオレットさん。
 考えた競技内容が全部実行できるとは限らないけれど、開催することになったら発案者にやってもらわないとね。
 それから・・・・」
 机をトントンと指で叩きながら、説明を続ける。
「あなた達の中で猫飼ってる人がいたら、当日は品評会に参加してみるのもいいんじゃないかしら。
 優勝した猫の飼い主には景品が出るんですって」
 そうよね? と確認するように問うと、ヴィオレットはにこりと微笑んで頷いた。
 どうやらこの2人、親しいようだ。
「最後に。
 今、彼女のところで買い取り先を探している猫が2匹いるの」
「貰うんじゃなくて買うのか?」
 問いかける冒険者に、ギルド娘とヴィオレット、2人が同時に頷いた。
「今回の品評会にお金がかかってるし、猫ってそんなに安いものじゃないもの。
 貰った後転売されたんじゃあげた意味がないし、猫の世話ができる甲斐性があるかどうかも見るために、ね」
 横ではヴィオレットが申し訳なさそうに頷いている。
「でも普通に買うよりは安いわよ。
 7G、払ってもいいと思うのなら買い取り手に立候補してみることね」
「応募者多数の場合は、熱意とか、お話とかでお譲りする方を決めようと思っているんです」
 小首を傾げてヴィオレットは冒険者を見たのだった。

●今回の参加者

 ea1668 ミサリス・クレプスキュール(18歳・♂・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea5506 シュヴァーン・ツァーン(25歳・♀・バード・エルフ・フランク王国)
 ea5779 エリア・スチール(19歳・♀・神聖騎士・エルフ・イギリス王国)
 ea5855 ジョエル・バックフォード(31歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea6284 カノン・レイウイング(33歳・♀・バード・人間・イギリス王国)
 ea6942 イサ・パースロー(30歳・♂・クレリック・エルフ・ロシア王国)
 ea7159 ルーチェ・アルクシエル(29歳・♀・ジプシー・パラ・ノルマン王国)
 ea7551 アイリス・ヴァルベルク(30歳・♀・クレリック・シフール・フランク王国)

●リプレイ本文

「わぁ、小さい」
 品評会の相談に集まった冒険者達は、ヴィオレットから件の猫を見せてもらっていた。
 それはまだ産まれてから日の浅い、小さな小さな仔猫達で・・・・バスケットの中にいる仔猫達をアイリス・ヴァルベルク(ea7551)は近づき覗き込んだ。
 金に近い茶の髪がバスケットの縁から中へと滑り落ちる。
「ちょっとでいいの、触らせてくれるかしら?」
 どうぞとヴィオレットの許可を得、アイリスは揺れる髪に興味を示し寄る仔猫達に触れた。
 柔らかく滑る毛は上質の布に触れているように心地良い。
 それが擦り寄ってくる仔猫なのだから尚更に。
「可愛いです」
 その様子を幸せそうに見守るのはイサ・パースロー(ea6942)。
 競技の相談をしていた時のクールな態度は何処へやら。蕩けきった微笑みは、女性が見惚れそうな程優しく華やかだ。
「男ですか? 女ですか?」
「白毛の子が男で、青灰色の子が女よ」
 返答を聞いてイサは男女両方の名前を頭に浮かべる。どちらにしても、呼ぶべき愛称は1つの名になるのだが。
「ただ、まだ小さいので・・・・お譲りするのはもう暫らく後になるの」
 親から離しても平気なまで育ったら譲るつもりなのだとヴィオレットはいう。
「じゃあ決まっても、今日は連れて帰れないのかな」
 ルーチェ・アルクシエル(ea7159)が問うと、ヴィオレットは頭を下げる
「ごめんなさい。その時まで無事に元気に育てますから」
「お留守番ができるのはもう少し先なんだね・・・・」
 ルーチェは猫に癒しを求めていた。
 誰も迎えてくれる人のいない部屋。冒険から、仕事から帰った時に迎えてくれる誰かがいたらなんて幸せなことだろう!
 ルーチェに猫を飼った経験はない。しかし彼女なりに1つの命を預かることについて考え、会場に集まってくる飼い主達に話を聞き、心構えをつけてから飼い主候補として立候補するつもりであった。
「でしたら代金の支払いはどのように・・・・?」
 シュヴァーン・ツァーン(ea5506)が静かに疑問をぶつける。
 猫が欲しい気持ちは純粋なものであり、お金が全てではない。
 しかし彼らは冒険者で様々な装備の購入や、移動の為にお金を使うことは当然ある。
 先払いであれば良いが、譲り受ける時までお金を残せと言われると・・・・その日が確実に決まっている訳ではない以上、難しい話のように思えた。
「あ、それでしたら心配しないで。
 お届けする時は余裕のある時にお伺いしますから」
 心配は最もだとばかりにヴィオレットは神妙に頷く。
「ですからお金は使って頂いて結構です。
 確実に何日にお渡しとも出来ませんから、先払いしていただくわけにもいきませんもの」
「わたくしを含め、皆様養う経済力はお持ちでしょうけれど、そのほうが宜しいですね。
 勿論、わたくしも立候補させていただきます。
 猫の気品は歌の紡ぎ手として学ばされることも多くございますから」
 物腰柔らかいシュヴァーンであったが、その言動は何処か艶めいて。
 ヴィオレットが男であれば負けてしまったかもしれないが、幸い同性な為公平に判断される。
「誰にあげるかはもう決まったのかな? 俺もにゃんこ欲しい・・・・小さいものとか可愛いもの大好きなんだよ。にゃんこも大好き!」
 と、澄んだ湖のような青い瞳を見開いて力説するのはミサリス・クレプスキュール(ea1668)。
「買わせてもらったら、今日みたいなお天気のいい日は一緒に日向ぼっこしたりするんだ・・・・」
 その瞳を夢見がちに空に向け、嬉しくてたまらないといった表情を浮かべる。
「ミサリスさん?」
 イサの呼びかけにはっと顔を赤くして。
「だ、だからよろしくお願いします!」
 頭を下げるミサリスに、ヴィオレットは小さく笑い、
「冒険者のみなさん以外の方からも立候補が来たの。
 その方も含めて、品評会の様子から選ばせて頂きますね」
 ヴィオレットの言葉に俄然やる気になる冒険者多数。
「猫の依頼なんだしね♪ しっかり癒されて、しっかり成功させよう!」
「にゃんこの愛らしさ爆発!させてみんなに幸せ気分を味わってもらう!」
 ルーチェとミサリスの決意表明に、全員が笑みを浮かべて成功を誓うのだった。


「受付がまだの方はこちらで受付を済ませてください」
 普段は漆黒の法衣を身に纏った身体だが今日は軽装に変えて、銀十字の印を持つ黒手袋に覆われた白い手は日に晒し。
「お名前は? はい・・・・32番になります。この札を持って競技受付へお進みください」
 問いかけ記録するのは猫と飼い主の名前、毛色、瞳の色、特徴、猫の年齢だ。
 てきぱきと事務的に、しかし何処か楽しそうに受け付けを進めるイサの姿に熱い視線を送るご婦人もちらほら。
 しかしイサの視線はというと、受付作業と猫を中心に注がれているのだった。
「わたくしには猫ちゃんがおりませんので参加できませんが・・・・やはり残念です」
 イサの隣で溜息を吐くのは、カノン・レイウイング(ea6284)。
 カノンは競技中曲を奏で、雰囲気を作り上げるのが役目である。
 青い瞳も憂いを帯びて飼い主と猫達を眺めていた。
「お店で購入できれば良いのですが・・・・」
「長く売り切れですからね」
 カノンは再び溜息を吐く。
 最近は吟遊詩人でも、冒険者でも稼げるようになってきた。
 だが・・・・売っていないものは買えない。
 動物が好きな弟や飼いたいと言っている妹の為にも、今回是非とも購入したいところだが・・・・
「カノンさん、猫誘導レースの準備が始まりましたよ」
 イサの言葉に我に返る。誘導レースはメイン競技の1つだ。
「ありがとう、行ってきますね」
 側に置いた竪琴を手に、カノンは走り出した。


「ルールの説明をするからよく聞いて」
 猫誘導レースの会場では、ルーチェが大きな声を張り上げていた。
 18歳だがパラの特性の為幼く見える。いや、パラだと気づいていても子供のようと思っているかもしれない。
 彼女を見る飼い主達の視線は、どれも穏やかで優しい。
「食べ物での誘導は禁止、マタタビの使用も禁止」
「何?」
 どうやらマタタビを知らない人もいるようだ。
「キャットニップに似た効果の植物の実よ」
 その声は丁度通りかかった警邏中のジョエル・バックフォード(ea5855)のものだった。
 キャットニップは馴染みのあるハーブだが、猫が好む植物でもある。
「そのキャットニップも禁止。食べ物もダメだよ。他の猫さんが集まっちゃう」
 納得したように頷く飼い主達へ、小さな手で握り拳を作りルーチェは説明を続けた。
「途中に障害物もあるし簡単にはいかないからね。じゃ、始めるから順番に並んでね」
 移動し始めた飼い主達を見て、カノンが竪琴を奏で始めた。
 弦の上を指が滑ると、軽やかに駆け回る猫達のような楽しい曲が流れ出す。
 飼い主達は楽しそうに語り合いながらコースに順番に並んでいく。
「ジョエルさんありがとう!」
 巡回へ戻るジョエルに感謝の言葉を告げ、ルーチェはスタート地点へと急いだ。

 
「猫って見てても可愛いわ」
 会場に集まった猫達を見ながらアイリスが目を細める。
 会場内を案内、誘導するのかアイリスの担当。
 美しい蝶の羽をもち清楚なお嬢様といった風貌のアイリスは受けが良く。
 案内の途中で猫に触れる機会も多かった。
「本当に。どの猫も愛されているようで毛艶もよくて・・・・」
 受付の仕事を終え、競技のポイントを記入していたイサが同意して頷く。
 今回、競技に対してポイントをつけ、ポイント合計で総合優勝を決めようと提案したのはイサだった。
 提案者であるだけに、面倒なポイント集計も割り当てられてしまったのだが。
「手入れされてる猫の毛って手触りがとても気持ち良いのよね」
 長毛、短毛、毛色も模様も様々な猫達。
 ビロードや絹のような手触りから、硬くしっかりとした弾力をもつ毛まで。
 どれを撫でても触り心地は良かった。
 愛され過ぎたのか、ぷっくりおデブな猫もいたが・・・・それはそれで愛嬌がある。 
 思い出してうっとりとしていたアイリスだったが、ふと思い出したように、
「でも苛めは良くないわ。いぢめるならやっぱり・・・・」
「やっぱり・・・・なんですか?」
 耳に聞こえた言葉を聞き逃すことができず、イサはアイリスに問いかける。
「・・・・いえ、なんでもないわ」
 しばしの間の後で極上の微笑を返すアイリスに、問うのは危険と判断しイサは口を噤むのだった。


 会場を一回りしたジョエルは、再び猫誘導レースの会場へと戻っていた。
 メイン競技会場の側には、見物席兼休憩所が設置されている。
 様子を見ようと近寄ってみれば既に競技が終わったか、それとも順番待ち中なのか。
 見物席では人種も性別も年齢も様々に人々が会話を弾ませながら、競技を見物していた。
「順調なようね・・・・危ないわ」
 ミサリスが転びそうになるのを、間一髪ジョエルは支えた。
 体力の無いジョエルでも、華奢で軽いミサリスの身体なら大丈夫。
「ありがとう♪ 飲み物零したら大変だったよ」
 童顔のミサリスは年齢よりも幼く見える。身長のお陰でなんとか年齢通りの15歳と見られる容貌だ。
 そんな彼がせっせと飲み物を運ぶ姿は、なにか可愛らしい。
「こっちは順調だよ、ジョエルは見まわり中なのかな」
「ええ・・・・あら、これはお茶?」
 ジョエルの持っていた盆の上を見て、ジョエルは怪訝な顔をした。
 茶葉は高級品であり、易々と配れるようなものではない。
「うん♪ 飼い主さんが差し入れてくれたんだよー」
 言われて見れば護衛と思われる者を連れたご婦人の姿がある。
 何処かの貴族か、それとも裕福な商人の奥方か・・・・
 しかし今日はお祭り、詮索無用だ。
「私も1つ貰えるかしら?」
「けちったらダメなんだって。
 作り方が良くないって怒られたから、代りに沢山作ってもらっちゃった」
 だから大丈夫と笑顔で差し出されたカップを手に、ジョエルはそっと唇を近づける。
 立ち上る芳香はそれが代用品ではなく、昔学識の一環として口にした茶と同じことを彼女に伝える。
 一口飲めば・・・・なんと。
 甘いのだ。
 香りを邪魔しないそれは砂糖の甘さ。
「美味しいわ」
 思いもよらぬ楽しみに、ジョエルは優雅に笑みを零した。


「エリアさんお帰りー」
「戻りましたわぁ」
 エリア・スチール(ea5779)はミサリスへのんびりした口調で答えると、近くの席に座り込んだ。
「さっきの女の子、お父さんは見つかった?」
「えぇ早寝レースの側でぇ、お父さんも探してましたわぁ」
 早寝レースというのは飼い主が猫を撫でて早く寝かせる競争である。
 出来るだけ静かな環境を用意するべく、この競技は会場の端で行われていた。
「お疲れさまー、お茶貰ったから飲んで休憩してね」
 ミサリスはお茶の入ったカップを渡すと、見物客へ飲み物を配るべく離れていく。
 カップを手に取り一口飲んで、エリアは競技会場へ目を向けた。
「あ・・・・白い猫さんですわぁ。ふわふわぁの毛がかわいぃ♪」
 エリアの視線は、その猫に固定された。
 銀の髪、白い肌、紅の瞳を持つエリアは兎に例えられることが多い。
 そのせい・・・・という訳ではないかもしれないが、彼女は白いふわふわしたものに興味を強く示すのであった。
 可愛いものなら尚更だ。
「少しぃゴールまでぇ見に行ってきますねぇ」
 カップを持ってエリアは席を立った。


「神の導きは風となって現れ、風に押されたボールがミアの側を転がり、そのボールは飼い主様の元へ一直線に!
 リボンからボールへと興味の移ったミアちゃん。飼い主様の呼び声にも後押しされ、元気にボールを追いかけております。
 そして!・・・・ミアちゃんと飼い主様は無事再会を果たしてございます」
 シュヴァーンの実況が終わるのと同時に観客から拍手が沸き起こり、ゴールしたばかりの猫を抱えた飼い主は少し照れくさそうに頭を下げる。
 そんな様子を見て、シュヴァーンは側で演奏を続けるカノンと顔を見合わせ、微笑を浮かべた。
「シュヴァーンさまぁカノンさまぁ、おつかれさまですわぁ」
「エリア様もお疲れ様でございます」
 たおやかに微笑むシュヴァーンからは、先程の実況の力強さは消えている。
「なんだかぁ聞いているだけぇ楽しそうですぅ」
「ありがとうございます。そう言って頂けますとわたくしもやった甲斐があるというものです」
「様子を見ながら聞いてると、もっと楽しいのよね」
 曲を弾き終えたカノンは、竪琴を手にくすりっと笑う。
 状況の語り方や声の使い方等、シュヴァーンの表現方法はカノンにとって勉強になることが多い。
「カノン様の奏でられる曲が良いからですわ」
 またシュヴァーンも、竪琴での音の表現や技巧はカノンに一目置いている。
 2人の吟遊詩人はお互いに学びあいながら、メイン競技を盛り上げているのだった。
「でもぉ今のでぇこのレースぅ終わりですねぇ」
「わたくしは気高さ勝負の審判へ参りますわ」
 気高さ勝負とは呼ばれても来ない猫が勝利するという、今のレースとは逆のような競技である。
 ただ呼ぶのは飼い主ではない。
 飼い主以外の者に呼ばれて易々と靡くようではならないと、その気高さを競うものだ。
「カノン様は如何なされます?」
「わたくしは表情競技の開始まで休憩を取るわね。
 弾き続けでしたから弦も見ておきたいし・・・・エリアさんは?」
「わたくしはぁ・・・・あらぁ」
 エリアの紅の瞳が散っていく参加者達の中、泣く幼子の上に止まる。 
「ちょっとぉ行ってきますねぇ。これぇミサリスさんにぃお返ししておいてくださぁい」
 シュヴァーンへ空になったカップを押しつけるように渡すと、エリアは人込の中へと消えていった。


「無事に終わったわね」
 表情比べに外見と一芸を競う人気投票、高飛びといった競技を終えて、発表がすむ頃にはすっかり日が暮れかけていた。
 優勝はただ1人。けれどもどの飼い主達も楽しそうに家路を急ぐ。
 ふと、ジョエルは空を見上げた。
 沈む朱金から紫の空へ、そして夜闇の濃紺へと色の変化が美しい。
「スノー・・・・」
 老衰で死んだ猫のことを思い出す。
 真っ黒だったのに雪が降った日に来たからスノー。スノーが死んだ時、もう猫は飼わないと誓ったのに。
「寿命の長い、エルフという種族の宿命、かしら」
 命が長ければそれだけ親しい者、愛した者と死に別れ残される悲しみを背負う。
 けれど。
「出逢うことの楽しさも数倍多いわね」
 得意とする炎そのままに。
 夕日に照らされたジョエルの瞳は、赤く美しく煌く。
「また・・・・」
 夕日に向かって唇だけで言葉を紡ぐと、微笑を浮かべて仲間の元へと戻ったのだった。