【竜脈暴走】八俣遠呂智【怪盗3世】

■ショートシナリオ


担当:成瀬丈二

対応レベル:11〜17lv

難易度:難しい

成功報酬:5

参加人数:15人

サポート参加人数:9人

冒険期間:01月31日〜02月10日

リプレイ公開日:2006年02月08日

●オープニング

 あまりにも強く成りすぎて、冒険者ギルドでは後進の為に──と言われ、臍を噛みつつ心躍らせる、冒険者から英雄の域へと踏み出していった。冒険者達は富士山の麓で初春の、富士見物と温泉に洒落込んでいった。
 だが、彼等の目前で、今まで漬かっていた温泉のお湯がしっぽり抜けると、そうも暢気していられない。
 大地が揺れだしたのだ。
 かつてから、風水を使って富士を噴火させる陰謀が進んでいるという噂が流れ、その陰謀の源は九尾の狐という事であった。この富士の事がなれり、富士が噴火すれば大地震の呼び水となる。
 惨状は目に見えるようであった。
「しかし、本当にやるとはな──」
「九尾を甘く見過ぎてた?」
 そして、御殿場の付近の里々でその光景は顕著であった。
 大地が震撼し、人々は立っていられなくなる。
 山々に携わる修験者達も、確かに今までと違う空気を感じていた。
「あ、あれは?」
 狩衣に上げ底ブーツ姿の少年──12ばかりになろうか? 目の緑色だけが日本人した顔にそぐわなかった。
 彼はノルマンでは怪盗3世と呼ばれていた。
「うひゃ、ジャパンに帰ってきて、こんなものを早速見られる事になると思わなかったよ」
 そう、大地を揺すり、樹海を割って現れた異形は、全身を岩の様な鱗で固め。八つの頭を持つ体長だけ30メートルに及ぶ怪物であった。
「お袋が言っていたな、ありゃ、日本神話に出てきた八俣遠呂智。ノルマン風に言えば、ミドルヒドラだぜ」
 縁あり帽子を被った同年代の少年が同じく呟く。
「精霊か?」
「みたいだな。伝承でしか知らんから。五右衛門、お前にもうちょっと剣以外の事に頭を使えよ」
「五感を鍛え、武士道の何たるかを知る。大介、それが貴殿との違いだ」
 言って、白柄、白鞘の愛刀を片手に八俣遠呂智に立ち向かおうとするが──。
「ちょっと待った。八俣遠呂智って言ったら、神話では尾っぽから神皇家ゆかりの凄い剣が出てきたとか?」
「お、おい甲斐人‥‥って、もうやる気か」
「だって、早い者勝ちだろう」
「もう少し策を練れ」
「じゃあ、冒険者とかち合わせて、漁夫の利でトンズラかな?」
 そもそもあるかどうかが怪しさ大爆発なのだが。
 甲斐人はそれでオッケーの様である。
 八つの頭をもたげると、富士山麓を見据えて、八俣遠呂智は進み出す。
 目的地は樹海らしい。無論、その先も視野に入れているのだろう。
「富士の樹海で済めばいいけどな」
 子供たちが目の前で、自分をダシにすると宣言された冒険者は八俣遠呂智の行方を見守るばかりであった。


●今回の参加者

 ea0204 鷹見 仁(31歳・♂・パラディン・人間・ジャパン)
 ea0340 ルーティ・フィルファニア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea0447 クウェル・グッドウェザー(30歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea0489 伊達 正和(35歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea0509 カファール・ナイトレイド(22歳・♀・レンジャー・シフール・フランク王国)
 ea1661 ゼルス・ウィンディ(24歳・♂・志士・エルフ・フランク王国)
 ea2557 南天 輝(44歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea2731 レジエル・グラープソン(29歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea2741 西中島 導仁(31歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea3094 夜十字 信人(29歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea3693 カイザード・フォーリア(37歳・♂・ナイト・人間・ビザンチン帝国)
 ea4734 西園寺 更紗(29歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5062 神楽 聖歌(30歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea7050 ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(29歳・♀・神聖騎士・人間・ビザンチン帝国)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)

●サポート参加者

ロリア・バッドウェザー(ea0824)/ 李 雷龍(ea2756)/ アルヴィス・スヴィバル(ea2804)/ 大隈 えれーな(ea2929)/ レヴィ・ネコノミロクン(ea4164)/ リィ・フェイラン(ea9093)/ 瓜生 勇(eb0406)/ ベアータ・レジーネス(eb1422)/ 若葉 翔太(eb3293

●リプレイ本文

 鷹見仁(ea0204)は八俣遠呂智の巨体を馬上で、目の当たりにして──。
「やれやれ‥‥まさか神話に出てくるようなバケモノと戦うかもしれん様な事態になるとはな‥‥どう思う? 建速‥‥ん? 嬉しそうだって? ふふ、分かるのか」
 と困ったように苦笑を浮かべる。
 事態の重さは知りつつも乱の中に我が身を置く事への喜びに、つい顔も綻ぶものだ、この実力が後進達に道を譲ってくれとギルドから懇願される所以かもしれない。
 しかし、胸中では──。
(とりあえず俺たちの方針は遠呂智と戦うという事になるのか?
 一応交渉を試してみるのか。
 話が通じればいいのだがな。
 とりあえず酒でもやろうか。
 ウワバミは酒が好きだと言うし遠呂智も酒に酔わされて討たれたという逸話があるくらいだからひょっとしたら好きかもしれん)
 と、穏やかならぬものがある。
 西中島導仁(ea2741)も、その発言に歩調を合わせて、
「久しぶりの依頼が大仕事だな‥‥。愛する人の想いに応えられる人間になるためにも、全力でいかねば。
 とはいえ、八俣遠呂智とは、戦いが避けられるならそれが一番だ。しかし、恐らくは戦わざるを得ない事になるだろうな‥‥。何にせよ、説得する仲間がいる以上、最初は様子見だ」
 そうだな、と仁。

 一方、ジャパンの実力者の噂も響く、ルーティ・フィルファニア(ea0340)は──。
「レジエルさん、ダークをお願いします」
「私だけでは間に合いそうに無いです」
 と、精霊を戒める結界を張る力のある西洋物の短剣を、同じくジャパンの実力者、レジエル・グラープソン(ea2731)に渡し、数に任せて、巨体を戒めるだけの大規模な結界を作ろうとしている。
(なんだか、いきなり八俣遠呂智とは‥‥今更驚いています。
‥‥というか、私は地のウィザードです。畏れ多く、でも同時に光栄です‥‥って、どんな事情があろうと全力を尽くすだけですけどね。頑張ります♪
 精霊さん‥‥同族討ちと嘆くなら、全てがどれも、手遅れにならない様にどうか力を。彼も仲間も、誰一人として失わずに済むための力を!)
 精霊は祈りに応えない、契約通りの力を貸すだけであった。
 一方、レジエルは──。
「あれがミドルヒドラ、初めて見たが、大きいな‥‥。しかし、一体何の冗談だ! 東方の神秘とでも?」
 ダークを用いて結界を張ろうとするが、進路を予想していない為、途方に暮れる。相手の意図も判らない。己の手にした9本のダーク全てを起動させるには四半刻は楽々有するであろう。
(く、無力)
「南天に輝くものの名において祈る、天空に輝く星よ俺に力を貸せ。俺の仲間や大切なものを守る為にも結界よ此処に成れ」
 一方、セブンスリーグで先回りしようとしても、明確なルートが掴めないため、同じくダークでの結界張りの儀式を勘で勤しむ南天輝(ea2557)も笑みを浮かべ。
「遠呂智か、面白いものがみれるな。
 ん、まあのんびりしている場合でもないんだが、それでもな。神話の剣に似た物があるなら俺が貰いたいものだ。漁夫の利はさせぬ」
「俺か?‥‥俺は夜十字信人‥‥流れの剣客さ」
 と、ジャパン最強の浪人の噂も流れている夜十字信人(ea3094)が南天に声をかける。
「声が聞こえたのでな」
「──まあ、いい。ダークの設置を手伝って貰えないか?」
「嫌だ‥‥いや、冗談だ。喜んで手伝わせて頂こう」
 助かる。魔力を異様に食うのでな、と輝。
「しかし、相手は八本の首を持つ。既に示現流の一撃必殺の定理は潰されているし、そう簡単に頭を捕らえられるとは思わん。頭では無く、首を狙った方が当たりやすいか?
 ‥‥そもそも、寄らなければ話にならぬが、地の上位精霊だ。どのような反則技を使ってくるか分からぬからな。
 重装備ゆえに動きも限られておる。死にに行くために積極的に前に出るような愚は冒さぬ。臆病者か? ふん。褒め言葉だ」
「いや、慎重だなって」
 輝はそうリアクションを返さざるを得なかった。
「やほやほ、おふたりさ〜ん」
 同じく、ダークの儀式に赴いていた『堅牢なる戦乙女』ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ea7050)は樹海に分け入り、リアナ・レジーネス(eb1421)の空中からの位置確認が出来ない事に苛立っていた。
「どこが正面? というより、どこを目指そうというのっ? 交渉と妨害工作を同時に行ったのは失敗〜♭ ひょっとして?」

 樹海の外では、ジャパンの実力者の誉れも高い、ゼルス・ウィンディ(ea1661)は冷徹に分析。
「大地の異変を感じて出てきた‥‥というところでしょうか。妖狐が富士に何かしたのだとすれば、放っておくわけにもいきませんね。頼みましたよカファール」
 真っ赤なシフールの、小さな勇者、カファール・ナイトレイド(ea0509)はスクロールを広げ、風に靡かせるままにしながら、精神集中、銀色の淡い光に包まれる。
(蛇さん‥‥おっきいね。おいら、ジャパンに来てちょっとしか過ぎてないけど‥‥ジャパンのモンスターって皆あんなふうに大きいの?)
「止まってくれる?」
 カファールの思念を八俣遠呂智は無視して進んだ。
「どうしてお山を目指してるの?」
 以上同文。
「名前はなんていうの?」
 巨体は止まった。
(面白いことを聞く。聞いて何とする?)
「あ、やっと話を聞いてくれた、おいらカファール、カファール・ナイトレイド」
(富士の守護者、勇護(ゆうご)という)
「お酒あげるから樹海や富士山を壊すのを止めてってお願いできるかな?」
(断る。そもそも富士の守護者が富士を傷つける所以があるだろうか? それに精霊は酔いたい時に酔える。そもそも、この巨体に見合った量の酒をどこから持ってくる? ええい喋っている間も惜しい!)
「駄目みたい──」
 再び動き出す八俣遠呂智を見て、カファールが空中でゼルスに左右の手を交差させ×印を示す。
「ならば、敵はでかいが、負けられねえ。」
「皆さん、オーラで強化しないと」
 勝つ気になって、一生懸命頑張って必死で戦いの火蓋を切ろうとする伊達正和(ea0489)の日本刀に、桃色の淡い光に包まれながら神楽聖歌(ea5062)がオーラパワーを付与する。
 無論、クウェル・グッドウェザー(ea0447)が予め白く淡い光に包まれながら施した、グッドラックで成功率は安定している。
「うちも頼むや」
 聖歌に長巻を差し出す西園寺更紗(ea4734)。
「ヤマタノオロチと言えば神話のあれやねぇ‥‥あるんやろか? 大蛇も大きかったけど、それに輪をかけて大きいなぁ」
 聖歌がオーラパワーを施す間に、更紗は疑問を口に出す。
 その間にも八俣遠呂智は身体をくねらせて、雄叫びをあげる。
 見る見る内に褐色の淡い光に包まれて、全身を更に堅固な岩で被ったようだ。
「導仁さんも、聖なる母の祝福を!」
 クゥエルがグッドラックを施すが、さすがにいきなり全開で導仁がオーラパワーを発動させるのは荷が勝ちすぎた。
 更紗の方も順調に行っている様だし、己の分だけで手一杯という所であろう。
「いや、無理をしなければ、鷹見殿にも出来るか」
「よし、頼む。色男に相応しい、戦いぶりを見せないとな──さすがに両手に野太刀は無謀すぎたか」
「しまった出遅れたか!?」
 カイザード・フォーリア(ea3693)が八俣遠呂智に呑ませようという酒の調達に手間取り──というより、20Gで八俣遠呂智が満足できる酒量はどうひいき目に見ても調達できるものではなかった。まあ、金を出せば手に入るか、と言えば、そんな量の酒を常備している街など江戸、京都などの大都市でもなければない存在しないだろう──遅参せざるを得なかった。
「偉大なる地の精霊よ。どうか我等が言葉を聞き届け給え」
「断る」
 皆が地脈の乱れを治す為に、色々と手を打っている事。
 九尾が地脈を乱そうとしている事。恐らくは富士山頂には貴方の為に狐めの罠が張られている懸念。等を話すカイザード。
「現在、我等以外の者達も全力で乱れを止めようと挑んでいる。
良ければ一旦、その歩みを止めて話を聞いては頂けまいか?」
「もう一旦止まった。故に罠があれば嚼み破るのみ、邪魔をして竜脈を乱す儀式までの時間を削るのも惜しい、行くぞ」
 八俣遠呂智はそう言って、カイザードを無視して前進しようとする。 そこへリアーネが残り少ない魔力を振り絞り、ライトニングサンダーボルトを撃ち放つ。しかし、遠方で状況が確認できなかった為、クレイアーマーの効果で、威力は完全に削がれる。
「分が悪そうですね。魔法合戦では」
 ゼルスはウィンドスラッシュを放つ。大気が揺らめき、鎌の様な影を浮かび上がらせる。
 些か手傷を負わせたものの、出血などが無いため負傷度合いを判断しかねる。
 しかし、これで相手が高速詠唱などを行わない事がはっきりした。
 ゼルス級のウィンドスラッシュの使い手はそうはいない。それに対し、地の攻撃魔法で相殺や、ストーンウォールで妨害などに入らない所を見ると、一同はそう判断せざるを得なかった。
 ルーティーが全力でグラビティキャノンを撃ち放つ。黒く伸びたラインが直撃するが、まるで効果はなかった。
「完全に精霊力が利かない──そんな!」
「効果なし? 私では打つ手無しか‥‥」
 レジエルが言いながら、愛馬ジオットの馬上から矢を射るが、傷を負わせた様なリアクションは八俣遠呂智の側からは無かった。
 しかし、仁が噛みつきの最初の一打を盾で捌きつつ、逆撃を浴びせる。野太刀の重量を十分に乗せた一撃は首の1本にしたたかな一撃となる。
 しかし、次々と浴びせられる4連発に仁は死亡寸前まで追い込まれた。
 そこへ、輝が続けてその傷口に聖剣での一撃を浴びせる。しかし、傷口を狙いすぎた一撃、オマケに相手は魔力で全身を覆っているため、狙った分、相手に回避の隙を作る。
 しかし、信人は近接してクレイモアを叩き込み、その過剰な重量で胴体部分に深傷を負わせる。
 同じく銀髪を月光に煌めかせながら、更紗が長巻を叩きつける。しかも連発。普通の人間には長巻を持っては出来ない荒技である。闘気が地の精霊力を突破した。
 ピアレーチェもメイスを振りかざしながら、全力で叩き込む。生憎と、カウンターを咬ますには、相手からの攻撃が無かった。仁を守れなかった怒りも纏めて叩き込む。
「ハハハハ!」
 月光の中、八俣遠呂智は笑い出した。
 この唐突な展開に一同は呆気にとられる。
 ゼルスは交渉に出る。
「偉大なる地の精よ、私達の無礼をお許し下さい。ですが、これは貴方とこの大地を思ってのこと。今、この地を汚そうとする悪しき者は、私達が貴方に代わって必ず打ち滅ぼします。今はどうか大地にお戻り下さい」
「そうするとするか。強いな、べらぼうに強いな。気に入ったよ、これだけの強さを見せつけられたら、お前(言ってカイザードの方を指す)の言葉を信じてもいい。実際、この深傷では録に動けぬしな、良いだろう、富士の事は人の子に任せた。そうそう褒美とは違うが──」
 言って尻尾を横に出す。
 その先端には星光りを受けて煌めくものがあった。
「人の子の神話の草薙とは関係ないが、吾も偶然に以前に人の子から尾に刀を刺された事がある。記念にでも持っていくが言い、我が身を傷つける事の出来るからには霊力の籠もった品だろう」
 一斉に走り出す一同。しかし、続けて甘いテノールの声と爆炎が立ち上り、一瞬の内に尾っぽの元に緑色の瞳の少年の姿を現した。
 微塵隠れの術であろう。
 仁はその姿を見ると──。
「怪盗? やってる事は火事場泥棒じゃないか。怪盗って名前は恥ずかしいか?」
「はずれ、怪盗3世だよ」
 クゥエルが白い淡い光に包まれ、コアギュレイトを発動するが、怪盗3世は耐える。
「体力がない分は根性でカバーしてるからね、あまく見ないでよ」
「くっ」
「八俣遠呂智の許可があったとはいえ、それを受け取れるのは強さを認められた者というのが筋では?」
 ゼルスが誰何する。
「いやぁ、泥棒だしね。まあ──やっぱりこの刀は諦めた。野太刀っぽいからね、こんなもの持っていては忍法も使えないや。それに予告状出していないしね」
「拘りますね」
 そこへ更紗が口を挟む。
「漁夫の利というわけどすか、やることがえぐいどすなぁ」
 笑って返す怪盗3世。
「代々の美学って奴?」
「利用したくば利用しろよ。欲望に正直なやつは嫌いでは無いぞ?」  信人はその言葉にニヒルな笑みを浮かべる。
 如何にもやる気を削がれた顔をする怪盗3世。
「宝はやらぬよ、苦労した俺達のものだからな」
 言いながら、そこへ輝が駆け寄り、一閃するが、怪盗3世の逃走に使った微塵隠れの爆風に巻き込まれ火傷を負う。ともあれ、無銘の野太刀は冒険者達の手に帰した。
 八俣遠呂智もアースダイブの精霊魔法で再び大地に帰り、未来の有事に備える。
 そして、冒険者一同も事を未然に防いだ事で、ひとり5Gの報酬を受け取り、再び平和になるであろう富士山を眺めるのであった。身体を温め直すと、そこそこに帰路につくのであった。
 その最中で聞いた噂は──。

七星祈祷
 京、鹿島間での祈祷は七箇所共に成功したらしい。

江戸近辺の便乗勢力の動き
 各地の冒険者により未然に阻止したが黒幕の完璧は期せなかったらしい。しかし、大きな被害の心配はない模様。

富士決戦
 九尾一派の妖怪も冒険者により撃退。富士の火山活動はまだ予断を許さないものの、湯治から帰る冒険者は、山頂の冒険者を信じる事しか出来なかった。

 結局、日の本は無事だったという事らしい。
 これが冒険の顛末である。