十一匹いる!

■ショートシナリオ


担当:成瀬丈二

対応レベル:11〜lv

難易度:やや難

成功報酬:8 G 76 C

参加人数:11人

サポート参加人数:1人

冒険期間:01月14日〜01月21日

リプレイ公開日:2007年01月19日

●オープニング

 それは新春間もなくのことであった。
 江戸をしばし離れた村を腐臭を漂わせたジャイアントを凌ぐ巨体の鬼――人喰い鬼の集団が襲ったのだ。
 その数、十一匹。
「むう、支援を呼べ! 侍、志士、浪人、僧兵、僧侶──なんなら異国の助っ人でも構わないぞ!」
 村を預かった代官が悲鳴をあげる。もちろん、彼は真っ先に逃げ出したのだ。彼はその後、江戸城で真っ先に逃げ出したことを咎められ、腹を切ることになる。
 鬼の群れに襲われた村は、田畑を主体とした農業で身を立てているごく普通の村だ。取り残された住人およそ50人──彼らは米倉の中で、助けが来るのを待つのであった。
 十一人の勇者の冒険が始まる。

●今回の参加者

 ea0204 鷹見 仁(31歳・♂・パラディン・人間・ジャパン)
 ea0282 ルーラス・エルミナス(31歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea1628 三笠 明信(28歳・♂・パラディン・ジャイアント・ジャパン)
 ea1747 荒巻 美影(31歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea2175 リーゼ・ヴォルケイトス(38歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea2438 葉隠 紫辰(31歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea2741 西中島 導仁(31歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea3597 日向 大輝(24歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea7394 風斬 乱(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8191 天風 誠志郎(33歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea9916 結城 夕貴(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●サポート参加者

木下 茜(eb5817

●リプレイ本文

(邪悪な秘術によって動く死んだオーグラ達。
 そいつらから村人達を助け出すのが俺達の為すべき事だ。
 それにいくらオーグラとはいえ死んだ後に動かされるなど憐れなものだ。供養代わりに2度と動き出さぬようしっかり倒してやる)
「それが出来ないようではパラディンになどなれないだろう」
 鷹見仁(ea0204)は腐臭の漂う村で、桃色の淡い光に2度包まれ、己の手にした十握剣──墓から這いだしたものを討ち滅ぼすのにもってこいの剣──に更に同じ力を持つオーラパワーを重ねがけすることで、8倍もの破壊力をオーグラ達の亡骸に浴びせる事を意図していた。
 一同は村はずれにペット達を置いておき、何時でも彼らが逃げられるようにしておく。 ルーラス・エルミナス(ea0282)も同じ得物に、同じく淡い桃色の光に包まれ、破魔の力を付与する。更にオーラエリベイションを加えて人なれど鬼神の如き強さを見せる。
「まあ、死んだ人間の成仏は祈っても、文句は言いたくは無いですが、この状況を知っている人間が腹斬ったのは‥‥なぜアンデットオーグラが出てきたのかを知りたかったのですが、気持ちは良く分るだけ辛いです。
 まあ‥‥とにかく、村人の生存を信じて救出する為に万全を尽くします」
 三笠明信(ea1628)の言葉に頷く、荒巻美影(ea1747)。
「基本的な方針としては、集中攻撃でオーグラ達を減らして数的優位に立つ事を考え、偵察の結果によっては結集しているオーグラ達に対して『壱斑』と共同して当る等して柔軟に対処する事にします──結局これって壱班と一緒に攻撃するのとどう違うんでしょうかね?」
 言われながらも美影が桃色の淡い光に包まれて、明信の十握剣にも破魔の力が付与されていく。
「さて、厄介な仕事だけど何とかするかな‥‥」
(敵を発見次第殲滅、言うは易いが、状況にもよりけりだな‥‥‥」
 リーゼ・ヴォルケイトス(ea2175)が呟くと、気配をあえて現して、葉隠紫辰(ea2438)が現れる。
「どうやら、米倉の周囲を破壊しようとしている様である。米倉は一箇所、他は無し」

 その言葉を咀嚼しつつも、西中島導仁(ea2741)は──。
「う〜む、代官は既に切腹になっているのだな? 事が済んでから、責任を取って切腹という気がするのだが。取りあえず生きてれば、詳細な情報を得るためにも同行してもらいたいたかったものだ。その代官にすれば、切腹は免れないとしても汚名返上の機会にもなっただろうしな」
 そして眦を引き締め。
「ともあれ、だ。今の俺には生きる目的がある。まだやられる訳にはいかん」
「導仁、それは無いだろ? 武士が民草捨てて逃げるなんてとんでもないな、真っ先にってことじゃ生きて救出の機会にってわけでもないだろうし。
 まずは村人の安全を確保しないといけないか」
依頼を出した代官に村の地図を書いてもらって地図から人が隠れていそうな場所の目星をつけておく。
 日向大輝(ea3597)が検地の際の地図を取り出して、作戦を立て始める。
「高所でであったな」
 と紫辰の現場を直に見てきたフォローも入りつつ、作戦は煮詰められていく。
 そんな中、風斬乱(ea7394)は──。
「今年始めの運試し。
 腕が鈍っていないか、勘が鈍っていないか確認したい。
 生き残れば儲けもの、死ねば運がなかったね」
 両手の得物の重みを確認しつつ、手早く軍議が終わるのを期待する。
 しかし、真っ直ぐな志を持つ大輝少年を見るとつい手助けしてしまうと言う、自称致命的な欠陥を発露。
 長評定になりそうな所を天風誠志郎(ea8191)が一括。
「十一匹のオーグラか‥‥・確かに不自然だが。やらねばなるまい」
 そこへ巫女さんに女装した結城夕貴(ea9916)は──。
「現世を彷徨う亡者に挑む巫女さん。シチュエーション的に何かこう、出来すぎって思いません?」
 彼はゾクゾク興奮しながら、自分だけの感慨に酔いしれていた。。
 戦いは嵐のように済んだ。
 木偶のように攻撃を受け通しのオーグラーのズゥンビは仁の両翼からの一撃で確実に仕留められる。
「不浄なる者、本来の眠りにつけ、『白い戦撃』」
 ルーラスも奥義を発動『白い戦撃』! しかし、事に相手がズゥンビであり、よけをしなかったため、ルーラスの破壊的な一打は返す剣で文字通り棒きれをへし折るかのように、斬砕。
 それに対し、明信も相手の腐臭のする一撃を兜割りで受け止めながら、十握の剣で、確実に仕留めていき、相手を打ち倒す。
 美影は苦労しっぱなしであった。無手の技の悲しさか、その跳び蹴りでの一打は決定

なものにならないものの、地道に羊守防でダメージを削るのであった。
「我が拳は守りに秀でた羊拳。そう簡単には打ち崩せません!」
 紫辰がそんな彼女のフォローに回り、相手を攪乱していった。
「十一匹いるとは偵察の必要が省けた物で」

 一方で、リーゼは、誠志郎、乱と連携を取って動いていた。く。一人が斬ったら次が連続して攻撃で確実に潰す。まさしく鎌鼬の如し。
「さっさと黙りなさい。後がつかえてるんだから──助けに来たから、もう少し待ってね! 突然来て信じろって言っても無理かもしれないけど、もうすぐ終わるから!」
 しかし、乱の破壊力はオーラ魔法の付与と、得物の大きさにかかっていた。
 技を取得していないと、こういう体力莫迦には相手しづらい。
 閑話休題、誠志郎は一剣を浴びせ、倉の中に更に声をかける。
「討伐は間もなく終わる。それまでしばし待て」
 その別戦線で、導仁は大脇差しと十手でオーグラズゥンビを翻弄していた。
 しかし、決定打がない。
 だが、相手の攻撃を見きった瞬間、返しの刃が敵を襲う。
 返しの刃は破壊力が倍増する。
 ようやくに相手を仕留めたのであった。
 大輝少年は相手を確認すると、距離をとって、淡い紅い光に包まれて、自らの士気を向上させる。
 もっともそんな事はせずとも、相手の攻撃は余裕で避け、相手のしたたかな一打を浴びせるのには十分な実力を持っていたが。
 体重を乗せた一撃でズゥンビを大切断する。
「目標発見! とっかーん! やっぱり、こういう輩はせ・い・ば・い☆」
 勇気凛々な勇気が霊剣片手に巫女さんルック+完璧な女装、声音で突っ込んでいく。

 それとは裏腹な佐々木流の華麗な剣裁き、一歩舞っては、一の太刀。二歩翻っては二の太刀であった。
 こうして、冒険者はオーグラを殲滅した。
 倉は開放され、人々が出てくる。乱があらかじめ『惑いのしゃれこうべ』でアンデッドの気配を感知したのだ。

 しかし、美影が倉の周囲で、石の中の蝶というマジックアイテムの指輪の力でデビルの存在を感知したが、デビルがどこにいたかまでは判らず、レンジアウト──。

 大輝少年は退治が済んだら安心して出てくるように伝えて周り、あとは建物の補修の手伝いとか、人喰鬼の死骸の片付けとか原状回復の手伝いに入る。
 そこで村長に、領主への援助の願いとかを出すなら、うまく引き出す方法(出す相手、文面など)も教えてやるぞ、と話を持ちかけるが、子供然とした小柄な体では信用して貰えなかった。
 しかし、具体的に大輝少年がこの辺りの地勢、領主の具体的な繋がりを挙げるに至って漸く実力を認めて貰えたようだ。
 村長も涙を流して今までの非礼を詫びた。しかし、大輝少年は──。
(いつまで、『いつまでも子どもじゃないぞ』って言ってればいいんだろうな──)
 中には仕事が終わると愛する者へのもとに江戸へ速攻で帰るものもあり、帰りはそれぞれにばらばらとなった。
(デビルがいたらしい? ──これも皇虎宝団の仕業か?)
 大輝少年の疑問を余所に冒険の舞台は幕を閉ざすのであった。
 ちなみに乱的には末吉だったらしい──今年の運命は。
 これがオーグラーを巡る冒険の顛末である。