『闇』の鎖、その傷跡が見たもの
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■ショートシナリオ
担当:なちか。
対応レベル:8〜14lv
難易度:普通
成功報酬:4 G 15 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月05日〜04月10日
リプレイ公開日:2007年04月05日
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●オープニング
●傷跡は、深く――。
先日、突如発生したカオスニアンと恐獣による闘技場強襲事件。
事件は一応の終息を見たが、闘技場に残された彼らの暴力的な傷跡は深い。
場内整備の為、閉鎖まではいかなかったものの一時規模縮小していたが、この事件がきっかけで闘技場の再整備の案が急遽可決した。
元から老朽化の指摘があった闘技場の修繕案はあったが、案件としては地味に後回しにされてきた事もあり、ここに来て重い腰をあげたというのが現状でもあった。
増改築案なども盛り込まれた今回の再整備は最近めっきり大きな仕事がご無沙汰になっていた大工達にとっては、非常に不謹慎かも知れないが、一方では朗報でもあった。
何せカオスニアンが暴れに暴れまくってくれたおかげで仕事がもらえるのだ。
国としては喜ばしい事では決して無い。だが、一方では今回の事件で恩恵を得る者もいる、というのが皮肉にさえ見えてくる。
何にせよ、再整備案が可決された。
内容は増改築による闘技場参加者の待合室の拡大、客席の増加、メインとなるバトルフィールドの再整備、内外周の改装と結果的に見ると全面リニューアルという風の案件内容となった。
しかしながら、一気に全行程を行うには試合スケジュールとの兼ね合いで難しい。
そこで、通常開催の試合スケジュールを圧迫しない、夜間から早朝にかけての作業となったのだが、騒音対策までは考慮されていないのが問題だったりする。
一応今回の修繕作業の告知はすでに配布されてはいるが、一部の住民は反対の姿勢をとっていた。
今回はその改築前のバトルフィールドの再整備と一部崩壊した外周の瓦礫の撤去作業がメインとなる。
瓦礫の撤去作業には、短時間の借用に限定してバガン級ゴーレムを一騎急遽借り入れる事に成功。
パワーが自慢のゴーレムを使い、フィールド内に散乱した瓦礫と、外周の一部が崩れてしまった為、それを拾い集める事だ。
使用期限はフィールドの撤去作業に一日、外周の撤去作業に一日の計二日しかない。
それゆえ、今回は搭乗者の能力は出来るだけ高い方が望ましく、短時間に集中して稼動させる為、交代要員が複数人必要になる。
またフィールド整備の為多くの人員が必要となる。
撤去作業さえ終了すれば試合の再開が容易になるし、一時的にでもフィールドを整地すればコンディションに左右される事無く思い切り戦う事が出来る為、速やかに作業を終えたい。
●『ゴーレムの民間転用試験』
今回、都合よく‥‥というよりは、運よくゴーレムを借用出来たのには理由があった。
非常にレアケースではあるがその特殊性から、いくつもの要因がクリア出来たからこその運の巡りと言っていい。
通常民間にゴーレム使用などを認めるにはかなりの手筈を整えなくてはならない。むしろそんな程度の事では民間利用などと言って普段貸し出されることは無いの現状だ。
当然ながら、申請書類から何から何までたらい回し状態であり『貸してください』『はい、どうぞ』などというのはあり得ない。
先ほど特殊性と理由をあげたが、確かに今回は非常に稀なケースではあった。
闘技場が破壊したのは天災でもなく、かと言って人災でもない。カオスニアンと恐獣の襲撃によるものだ。
もっとも、今回の事件を元に更に首都の警備が強化された件で、まさか修理中に再来するとは思えないが、万全の注意が必要であったり闘技場利用者だけでなく、今後の運営にかかわる大事であった事、カオスニアンの来襲に対しての牽制という裏事情も今回の異例とも言える修繕案の可決とゴーレム借与のイレギュラーが通った理由でもあった。
こういったレアケースを含めると、彼らが闘技場を狙ってくれたおかげで異例の『ゴーレムの民間転用試験』という名目で申請許可を得たというのは国としての頭の痛い実情と恩恵を受ける者という皮肉がまたもや浮かび上がってくる。
何にせよ、慌ただしい事情があるにしてもあくまでもゴーレムの民間転用に対し『前例をつくった』という功績は大きいのではないか。
もちろん毎回同じ方法で許可が下るというのは難しいかもしれない。
しかし、首都内にまで侵入を許してしまった王宮側の責任や国民への不安感を緩和すべく、力の象徴でもある『ゴーレム』の動いている姿を多くの国民に見せつける事でメイディア全体に安心感を与えるという目論見も少なからず組み込まれているのも事実であった。
カオスニアンの裏には恐獣がおり、また、彼らの裏にはもっと深い『闇』が潜んでいる。
多くの国民はそれに気付く事無く日々の生活にいそしんでいる。
だが闘技場という、国の中でも比較的規模の大きい場所で騒動があった事に関して、カオスニアンや恐獣といった存在に関心や興味を持った。というより、今一度彼らの存在、そして彼らの動きがここに来て活発化してきている事を再認識したといった方が近いのかもしれない。
●リプレイ本文
●夜だけどー、寝ないで頑張るおー!
「えっえー、それではー。みなさーん頑張ってもりもり働いてくだくき」
キィーーーーン ボッ ガゴ
以上が、調子に乗って最初の挨拶は元気にやろうと決めていたらしい現場監督の第一声である。
もちろん、もう陽は落ち、すっかり夜のとばりが降りたり降りなかったりしている中での、空気を読まない元気な一言だ。
そして、彼女は――現場監督とは思えない程、ちまっこい。
監督の風格というものがまるでない。
現場に集まったメンバー全員が、その瞬間、硬直したのは言うまでも無い‥‥か?
それはともかく、今回こうして集められた面々を見回すと、どいつもこいつもガタイのデカそうな奴らばかりである。
不敵な笑みを浮かべ、今にも闘技場に飛び出し、修理どころかその場で一戦交えようかと考えているんじゃないかと思えるほどに血の気の多い一癖も二癖もある連中だった。
腕に覚えある冒険者たちはもちろんの事、大工なんて商売をやっている人間は技術と度胸と根性で飯を喰ってきた屈強な男達ばかりである。汗臭い事この上ない。
そんな汗臭い泥臭い中にちらほらと、女性陣の姿が見える。
一見、少女に見える現場監督もだが、フォーリィ・クライト(eb0754)、リューズ・ザジ(eb4197)、カーラ・アショーリカ(eb8306)らも、その数少ない女性陣である。
むさ苦しい男どもに囲まれている彼女たちだが、対して気にもしていない様子である。男どもは、というと、彼女たちを「女のくせにでしゃばってくるんじゃねぇ」といったような感覚で睨みつけている。
とてもじゃないが、メイドの格好をして『癒して』あげられそうもない。
カーラは残念そうな表情を浮かべながら、妙な緊張感に包まれた闘技場控え室で一人、うな垂れていた。
「初日の今日はー、ゴーレム使用による大きな瓦礫の処理でーす! 夜中だから、本当は大きな音を立てたくないんですけどー、あんまり大きすぎるのは、砕いて運んでしまいまーす! その代わり、破片が飛散しないように充分注意するようにー。あー、ゴーレム稼動中はゴーレムの近くに行ったら踏み潰されちゃうから近付かないようにー」
言っている事はとても親切で、丁寧で、要点はきっちりと盛り込まれている。が、肝心の口調がこうでは、まるで説得力がない。
やる気まんまんの冒険者らだが、なぜかこの微妙に間の抜けた口調に脱力感を覚えてしまうのだった。
「それではゴーレム班のみなさーん、用意はいいですかー? それじゃあ頑張ってもりもり働いてくだくき」
ガゴボッ ガゴンッ
●刻み付けられた深い傷跡。
初日と二日目のハイライトといえば、やはりゴーレムの勇姿が見られた事に尽きるだろう。
今回の再整備についての、最も大きな実績の伴う『前例』作りの為にも問題なく稼動させたいところである。
さて、今回借り入れる事に成功したのは、バガン級ゴーレム一騎だ。
実はゴーレムそのものについて、敢えて説明する必要はほとんどない。
今回用意されたゴーレムに装備された武装を解除してある事を除いて。ただし、鎧は装備している。
鎧騎士たちが、一瞬バガンの姿に違和感を覚えたのは、通常装備である剣や盾を持っていない、ゴーレム単体の姿だった事にある。
ところが、以前にも使用された事があるのか巨大な『つるはし』をゴーレム班が持ってきていた。
「これならー壊れそうなところにガツッと一発キめれば、簡単に破砕する事ができますねー」
どうやら監督はつるはしでスキルを駆使し、大きな瓦礫を細かく砕く事を想定しているらしい。もしくは、言葉通りに解釈するなら、スマッシュ辺りで一撃粉砕か。
どちらにせよ、鎧騎士にとっては、正確さとパワーを要求されるややテクニカルな作業になりそうである。
そこで初日はスキルと操縦技術の高いリューズとバルザー・グレイ(eb4244)の二名で大まかな撤去作業を急ピッチで行う事が決められた。
それにしても、と。神妙な面持ちで闘技場と、ゴーレムを見比べるように見回すリューズ。
「これがカオスニアンと恐獣の襲撃の爪痕、か。派手にやられたものだな」
あれだけの騒ぎである。その被害は闘技場内外に及んでいた。
それでも試合スケジュールに支障をきたしていないというのが奇跡にも思える。
これがもし全壊していたとしたらさすがに中止か延期になっているところだったが、実はメインとなるフィールドそのものにはほとんどダメージが無かったのが幸いした。
ただ、外壁の柱の一部が闘技場の内側に落ちてきて、それが横倒しになってフィールド外周部分のごく一部に掛かっていた。
そしてフィールドと観客席を隔てる内壁がカオスニアンの襲撃と卑劣な罠の前に脆くも崩れ去ってしまっていた。その為、メインフィールド中央は実はほとんど痛んでいなかった。
理由は単純だ。
カオスニアンたちはその『フィールド中央』で戦っていたからだ。
これは事件後に判明した事だが、襲撃したとみられたカオスニアンは何とたった三体によるものだったという。
事件当初はカオスニアンと恐獣による強襲と伝えられた今回の事件、恐獣はただの張りぼてで、大人数と伝えられていた死亡したカオスニアンは確認されただけで、たったの一体。
カオスニアンと見られていた多くの黒い人影の正体は、何と、普通の人間であった事が判明した。
そして、直接闘技場を襲撃した残り二体のカオスニアンはメイディアから脱出し、西側へと逃亡したと見られている。近く、そのカオスニアン二体を追撃する部隊が結成される事になっているらしい。
●砕け! その熱き拳で!!
たいまつとランタンの炎に浮かび上がる――巨人。
たった一騎のゴーレムだが、独特の起動音と共に立ち上がったその勇姿はまさしく巨大な鎧を纏った勇者であった。
瓦礫の撤去作業という一見地味な作業にあって、異様なまでの存在感を放出している。
「さすがゴーレムさんですねー。でっかいですねー」
「ふふ。地味な作業もコツコツと、だ」
微笑を浮かべながら、ぐるりと闘技場を見回すリューズ。先ほど確認した石柱と崩落した内壁、どれも闘技場の広さを感じさせるほど巨大なものだが、倒れてきた拍子に半分位は砕けていた。
しかしそのままだと確実に運び出せないほどのサイズである。
「それじゃあ、そのつるはしでー、どばーっと。ごわーっと」
「‥‥どばっと、ごわっと?」
相変わらず気の抜ける指示ではあるが、先ずは観客席にかかってしまっている石柱の撤去作業がはじまった。
内側に倒れてきた石柱は合計三本。そしてフィールドに直接かかっているのはその内一本の先端あたりである。フィールド整地も急を要するが、主な闘技場の収入は観客の入場料である以上、その収入源を脅かす因子は取り除かなければならなかった。
そういう意味での、『早急な作業』である。
一先ずは石柱全てをフィールドに引きずりおろして、それから大きいものは持ち運べるように砕く。
その後リューズとバルザー、朝方にハルナック・キシュディア(eb4189)と奥羽 晶(eb7896)、そしてカーラ・アショーリカ(eb8306)が交代で作業を続行した。
作業初日だけあって、若干の作業の遅延はあったものの、監督通りの指示を実行できたように思える。
成果は上々といったところか。
そして、砕かれた石柱はフィールドの外側のほとんど使用される事の無いポイントに配置され、初日のゴーレム稼動は終了する。
ゴーレム稼動が終了すると、今度は本格的な撤去作業だ!
ようやく出番が回ってきた響 清十郎(ea4169)、フォーリィらの実働部隊は妙に張り切っていた。
「バーストアタック! バーストアタック! これよ、これしかないわ!」
燃えるような赤い髪を揺らし、透き通る青い瞳をきらきらして叫ぶフォーリィ。
「そんな事して、大丈夫か?」
今にも手短なものを片っ端からぶっ壊していきそうなフォーリィを止めようとする響だったが。
「いいですよー。でもー、周りに充分注意して、せっかく砕いてくれても作業員の方々がー怪我したら大変ですからねー」
監督は何故かにこにこと快諾してくれていた。
「いやっほー! 使ってみたかったのよねー、バーストアタック!」
「いや、おいらもバーストアタック使えるけど‥‥あ、フォーリィ‥‥!?」
突貫の騎士の異名は伊達じゃなかった。微妙にスキップ風のステップを踏みながら、軽々と身をひるがえして闘技場に踊り出る彼女は昼夜関係無しでいつもこんな調子なのだろうか。それとも、待機中の待ち時間が耐えられなかったのだろうか。
ともかく、赤毛の少女は喜び勇んでぶっ飛んで行ってしまった。
●二日目は外壁退治だおー!
初日とはうってかわって、ぐったりとしているのは、フォーリィだった。どうやら、やりすぎたらしい。
カーラはそれを見ると、はっと我に返る。いそいそと着替えると、彼女の前に姿を現し、一言。
「お帰りなさい、お嬢様、だんな様がプレゼントを持ってお待ちです。なのら」
だ ん な 様 っ て 、 誰 。
一瞬その場の全員が硬直したが、次の瞬間にはあまりの脱力感に和んでしまっていた。
「疲れた人たちを迎えると活力が回復すると聞いたのは間違いじゃなかったのら! すごいのら!」
自分でやっておきながら、やった自分が一番驚いているカーラ。予想以上の効果に大満足の様子だ。
実際に回復したかはさておいて、一か八かであったのは、間違いじゃなかっただろう。カーラの秘密メイド服大作戦が成功したのは、彼女以上に気の抜ける例の現場監督あってこそ、という気配もあったのかも知れない。
さて二日目の作業は実は昼間からゴーレムを稼動させる事が可能となった。
事前の説明では夜間中心との話しだったのに? と思われた方は多いかも知れない。
これにはギルド側の説明が不足していた事は否めなかった。というのも、夜間から朝方までの作業というのはゴーレム作業以外の部分を指していたのだ。つまり、闘技場の試合スケジュールに関わる作業は夜間に行われるという意味であったという。
二日目となる今朝からは、ゴーレムは闘技場から外周の作業へと移行する事になり、試合スケジュールとは関係ない作業になる為『真昼間から』ゴーレムを動かして作業する事が可能となった、という訳だ。
仮眠を取りつつ、結局場所を移したものの、ぶっ通しの作業になり、鎧騎士たちはさすがに疲労の色を隠せない。
作業そのものは単純だが、気を使いながら、そして極度に緊張した作業を、こつこつとこなさねばならないのだ。
初日のリューズ・バルザー組とはローテーションを変更して、ハルナックや奥羽、メイド服からまたまた着替えなおしたカーラたちがメインパイロットとして持ち回りしての作業が続く。
朝から昼、そして夕方になり、完全に陽が落ちる。
そして。
夜がくれば――。
そう、今度は、彼らの独壇場だ!
「へっ……鎧騎士様だか何だか知らねぇがな。ここは俺らの現場だ。ゴーレムだか巨大ロボだかビッグダイクーンだか知らねえがそんなもんにしか頼れねえお前達に任せられるか! どいてな、邪魔だ」
口も態度も悪くって仕方がないところだが、先日までのゴーレムの大活躍に対して、自分達も負けてられないという気持ちが全面に出てきた格好だ。
ゴーレムの稼動については賛否両論あったものの、結果的には大工たちの心にも火を付けた。
午前中は闘技場の作業は行えないが、二日目はゴーレムの稼動があった為、仮眠を取りながらの作業が進められる。
ゴーレム操縦は先の通りだが、地上では一般人に被害が及ばないように初日よりもナイーブな作業が求められた。更には一部の反対住民たちがゴーレム作業に対し抗議デモが発生したのだが‥‥。
今まで頼りなさげだったあの現場監督が、ここにきてその才能を発揮した――!
●反対住民への対応は大変なんだおー!
時は若干戻り、二日目の午前中の事――。バガン級が二日目の作業の為崩落した外壁や石柱を初日同様に崩していく作業をこなしていた。そこにぞろぞろと集まってきたのが、以前からゴーレムの製造や軍事利用に強く反対していた住民たちだった。
これの対処に乗り出したのが、ゴーレム搭乗者を除いた面々。
つまり、現場監督と冒険者サイドからフォーリィ・響組、そして各作業担当長たちだった。
「ゴーレムの市街地利用反対、ですかー」
「随分嫌われちゃったねぇ」
フォーリィも参ったな、という表情で両手を上げてみせる。
「でもですねー、実はこの法案、もの凄い支持を得て達成したんですよー」
監督が言うには圧倒的な支持を得ていたらしい。ゴーレムの使用に賛成したかどうかは不明だが、舞台が闘技場だったという事が今回のスピード可決に貢献したのは間違いない。
つまり、目の前にいる反対住民は、文字通り、少数意見の最たるものと認識した方がよさそうだ。
「わずかな日程であることを伝え、申し訳ないがご協力願いたいと、あくまで冷静に対応する。これが一番誠実な姿勢であると思うが」
後から対応に加わったのは、バルザーだった。
相変わらずマイペースな口調で、だが、初日の挨拶の時とはまるで別人みたいに自信に満ち溢れた少女が微笑む。
「そうですねー。やんわりとーはんなりとーしんなりとー」
「し、しんなり‥‥?」
作業を中止にさせる事無く、のほほんとした口調の中に要点を飲み込ませる会話術。あくまでも好戦的な反対住民たちに対し、ゴーレムの安全性と重要性を盛り込んだ説得は数時間にも及んだ。
当初は圧倒的に不利かと思われた説得交渉だが、監督だけでなく、後から参戦したメイド服のカーラやハルナック、奥羽も応援に駆けつけた辺りで遂に形勢逆転。
最終的には二日目のゴーレム稼動終了まで搭乗していたローテーション最後のリューズが戻ってきた頃には完全に沈静化していた。
●闘技場――その後。
二日間という短い期間であったゴーレム借り入れによる集中作業は一応の成功を見た。
その迅速且つ正確、そして圧倒的なまでのパワーは今回の作業内容において最大の功績を得られただろう。
今回のゴーレムの民間転用試験は、無事、成功したといっていい。またこれにより、災害時の緊急作業などを考慮した特別編成のゴーレムレスキュー部隊の提案書が提出されることになるのだが‥‥それはまた、別の話。
作業は二日目の夜から朝にかけて、フィールド内の瓦礫の撤去が完成。
そして闘技場外周に落ちた瓦礫の撤去は三日目から四日目でほぼ完成。その後は修理工らの活躍で順次修繕がされていった。
完全にリニューアルを終えるのはまだまだ先の事になりそうだが、ともかく修繕法案の最初の山場を何とかこうして切り抜けることが出来たのである。