超特急娘、ジェトへ往く

■ショートシナリオ


担当:なちか。

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 15 C

参加人数:7人

サポート参加人数:2人

冒険期間:09月07日〜09月12日

リプレイ公開日:2007年09月08日

●オープニング

●まだまだ元気な商魂逞しい少女、立つ!
 ある時は無謀にも遠距離恋愛に燃え、一人で国を越えようと。
 ある時は無謀にも身分を超えて玉の輿に乗ってしまったり。
 そしてまたある時は――。
 ともかくメイの国から飛び出して、先日までウィルで行商をし帰国したばかりのお騒がせなとある商人の娘カレア。
 ‥‥いや、今は騎士の妻。

 一応、新婚だ。

 今回もまたまた大きな荷物を荷馬車に詰め込んで、行商の旅に出るつもりらしい。
 新婚なのに旦那さんである騎士はどう考えているのだろうか?
 それはさておき。

 実は今回の行き先は何と海を渡って南の隣国であり同盟国であるジェトの国まで行くらしい。
 そこで、リザベからメイディアまでの陸路を冒険者たちに護衛してもらいたいという訳なのだ。
 ジェトの国への入港まで――つまり、船を降りないという条件でならばカレアと共にジェトの港まで同行する事が出来るそうだが‥‥。
 入国は正式な入国手続きが必要な為、冒険者たちには護衛という名目では降りられないとの事。
 ともかく、今回は船旅という訳だ。

 護衛とはいえ、これといって何か空前絶後の一大イベントが待ち受けている訳ではない。
 どちらかというと、とてつもなく地味な依頼となっている。
 何も無いのが一番であるし、下手な事をいうと、何も無い方が隊商側としてはありがたい。
 ともかく、何かあったとしても海の上の為、海賊が金品を狙ってくる程度で済みそうである。
 とはいえ。
 実は彼女が嫁いだ先はリザベのとある騎士の息子で、現在リザベ領国内は非常に治安が悪い。
 出発地点であるリザベ周辺ではカオスニアンらが活動している可能性を否定する事は出来ない。
 しかも本来利用すべき海路は特に注意が必要らしく、実はリザベ領−ステライド領間だけでいうと、現時点では海路よりも陸路の方が安全に移動出来るというのが皮肉なものだ。
 商人である彼女にとっては陸路でも海路でも問題は無いのだが‥‥。

●毎度おなじみゴブリン街道!
 もうすでにおなじみかと思われるかも知れないが、リザベメイディア間の街道にはなぜかホットスポットが存在する。
 その一つが、通称ゴブリン街道と呼ばれる冒険者たちにとっての名所であり行商や旅人、一般人には迷所だ。
 倒しても倒してもなぜか同じような地点で彼らが出現し、金品を狙って襲い掛かってくるという迷惑な場所である。
 毎回冒険者や護衛の人たちがぼてくり回して追い払ったりするのだが、本当に何度倒しても懲りないというか、ある意味定番のギャグというかお約束と言うか、つまりそんな定番エンカウントエリアだったりする。
 しかし集団でやってくる割にはとてつもなく弱く、あしらい甲斐の無さそうなゴブリンたちだが、荷物を持っていかれては元も子もないので真剣に対応してもらいたい。

 また、今回はメイディアから船での移動となる。
 海では海賊が船を襲ったりするという話をよく聞くが、リザベ西方動乱の件で海上騎士団もピリピリしているらしく特にメイの国南海、ルラの海上警備は厳しくなっているようである。
 しかしそちらに警戒を集中しているあまり、東海マイの海は手薄になっている可能性もある。
 そんな時にはやはり注意が必要であるといえた。
 なお、今回の移動用に使用される貿易輸送船はゴーレムシップではなく一般的な通常船舶である。

●今回の参加者

 ea9037 チハル・オーゾネ(26歳・♀・バード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ea9387 シュタール・アイゼナッハ(47歳・♂・ゴーレムニスト・人間・フランク王国)
 eb7900 結城 梢(26歳・♀・ゴーレムニスト・人間・天界(地球))
 eb8306 カーラ・アショーリカ(37歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)
 ec0844 雀尾 煉淡(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 ec3064 ゲオルグ・ヒルデブルグ(58歳・♂・ウィザード・人間・メイの国)
 ec3440 ユニ・ランシェット(25歳・♀・ファイター・人間・メイの国)

●サポート参加者

イェーガー・ラタイン(ea6382)/ トシナミ・ヨル(eb6729

●リプレイ本文

●彼女の理由
 カレアは、本来使うはずだったリザベからメイディアへの航路を、やはり自粛しておいて良かったと感じていた。
 リザベ自体にまで侵攻されていないものの、完全に分断されてしまっている状況のラケダイモン付近ではかなり激しい戦闘が続いており、リザベはそれに対し必死の抵抗を余儀なくされていた。
 コングルストのように落とされる事こそなかったものの、砦に取り残された兵たちは相当疲弊している事が予想される。
 未だにはっきりした報告が届いていない点から見ても凄まじい交戦が行われているのは容易に想像がついた。
 ちなみにコングルストが落とされたと表現したが、現時点では、どうやら落とされたというよりも、すでに『消滅』しているらしい事がいつくかの報告書で明らかになっている。
 生存確率はほぼ絶望的な数字であり、リザベに戻ってきていたカレアのところには、未だコングルストからの生き残りがこちらに戻ってきたという報告を受けていない。噂にも流れてこないという事で、『ほぼ』絶望的という訳だ。
 陸路での移動は貿易風を掴まえた船と比べるとどうしても速度の面で劣る。しかしカレアほどの商人だと陸路でのメリットを最大限に引き出しつつ最善の効果を得るような動き方を知り尽くしていた。
 また、担当する冒険者たち、今回は七名だが彼ら彼女らの方が陸地での戦いに慣れている性質上、そんな冒険者たちとの連携もスムーズに出来るのもひとつの理由だ。
 カレアたち貿易商人は、どうしても輸送に距離と時間を割けなければならない。
 一人旅というならそれこそすべて自分自身で責任を負えばいい。しかし彼女たち商人は国を支える流通を任されている『信用商売』でなりたっているのだから、どうしても、そこには様々な人間の物と金と思いが詰められているのである。
 積載されているのが――決して『モノ』だけでない事を――カレアは重ねてきた行商の中で何度も噛み締めてきた。

 ただ。
 ひとつだけ問題があった。
「また、ぎゅうぎゅうだね‥‥」
 苦笑いしながら振り返るカレア。
 貨物と一緒に狭苦しいスペースを分け合いながら座っているチハル・オーゾネ(ea9037)とカーラ・アショーリカ(eb8306)と雀尾 煉淡(ec0844)以外の四人はまだ晴れている空を見ることも無く、むんむんと妙な熱気に晒されていたのだった。
 護衛任務の場合、カーラやチハルの様にせめて通常馬などを用意しておいたほうが、今回のような状況になりにくいだろう。
「海に出たら、きっと晴れ晴れした気分になるだろうから、頑張ってね!」
 ――と、なぜか護衛を依頼したカレアの方が冒険者たちをねぎらっていた。
 しかし、待ち受けていたのは更なる困難だった。

●陸路×海路
「そうそう、西方動乱で私の夫も出撃したのは話したと思うんだけど、まだ戻っては来ていないの。あの人の事だから無事だろうけど、どうやら攻めて来ていたっていうカオスニアンと恐獣の数が‥‥ちょっと想像つかないんだけどね。四桁はいたらしいのよ」
「四桁って‥‥本当に戦争じゃないですか」
 メイの国、いや、むしろアトランティスという『こちらの世界』の情勢や情報を多く得る為に、商人という最も多くの引出しを持っている商売を営んでいる彼女の依頼に参加したという結城 梢(eb7900)は、思わず声を上げてしまう。
「わしの若い頃は、おなごは港で家を護ったものじゃったが、時代が変わったということなんじゃろうなぁ」
 ゲオルグ・ヒルデブルグ(ec3064)はうんうんと唸るように腕を組んだ。
 とはいえ――。実は騎士道の確立しているウィルや天界などのようにいわゆる『レディ』というのは一部の上層階級の、言ってみれば貴族のみの考え方だったりする。
 メイの場合、女性の立場というのは非常にタフでパワフルなのが特徴だった。言い方は雑になってしまうが、メイの国自体、男尊女卑というような認識は古い時代からほとんど見られない。
 その為、女性が冒険者になる事も、鎧騎士になる事も、官憲になる事も、フロートシップの艦長になる事だって、男女の境なく実力さえあれば充分にこなす事が出来るのである。
 そういう背景もあるので、『女は港、男は船』というある種の海賊らしい彼の考えも否定はしないが全てがそう、という訳でもない事を一言加えておく。
「こういう時だからこそよ。リザベが圧されているなんて冗談でも思われてみなさい。カオスニアンは増長して士気を高めてしまう。更に追撃してくるに違いないわ!」
 西方動乱に増援依頼がないのはリザベの意地なのか――果たして。

「あら‥‥メイディアを出発した時はまだ晴れていましたのに」
 チハルはどんよりと分厚い雨雲を見上げながら、嘆息する。
 港町というのは、天気の変わりやすい海上と同じく意外と天候の変動が多く、大きい。
 陸路で横断する場合の街道だとやや内陸部を移動する為天候はかなり落ち着いているのだが、港町だとそうはいかない。山の天候の変わりやすさと同じ位、様々な表情を見せるのだ。
 とはいえ、比較的穏やかなのがメイの国全体の印象か。メイディア付近でも、激しい雷雨などはそこまで頻繁には訪れたりしない。
 今回は船旅であるから、出来れば波立って欲しくないところだが、どうやら‥‥。
「あまり激しいなら、船も出ないかも知れないのら」
「メイディアで雨宿りって形になるかも知れないな」
 チハル、カーラ、そして雀尾の三人は荷馬車の幌が外れないか確認すると、徐々に雨足が強まっていくメイディアに向けて慎重に歩を進めた。
 結局メイディアに到着する前に降られてしまい、何とか到着した頃には相当濡れてしまった。
 しかし雨に濡れた三人も肌に張り付く服の感触に微妙な思いだったが、荷馬車でぎゅうぎゅうになっていた冒険者らもまた更にむわっとまとわりつくような熱気に厳しい状況だったのである‥‥。
 にも関わらず。
「ユニ、ユニ。大丈夫? のぼせちゃったのかしら」
「――いや、問題ない」
 メイディアに着き、港に直行した冒険者たち。船に積む為に荷物を整理しようとしてユニ・ランシェット(ec3440)を揺り起こしたカレアは、ただの熱気にやられたように見えない位の、まるで悪夢にうなされたような嫌な汗を浮かべる彼を心配していた。
 ほとんど会話というような会話を交わさない寡黙なタイプのユニだが、リップサービスの代わりに、無言実行を心がけているようである。
「眠っていた?」
「‥‥少し」
「そう、ぎゅうぎゅう詰めで疲れたわよね。外は雨で冷たいから体を壊さないようにね」
「ああ、問題、ない」
「カレアさん、やはり午後の便は見合わせるそうだ。明日の朝まで無理そうだな‥‥」
「了解。じゃあ、倉庫に一時保管して雨宿りしましょ。それにしても――」
 改めて思う。
 船で来なくて正解だったと。
 もしリザベからメイディアまでの行程も船だったら、相当荒れていただろうし、逆に到着は遅れていた可能性がある。
 船旅で船酔いの心配をしていたチハルだが、悪天候の時の船旅ほど危険な事はない上、気分も相当悪化する事は間違いなかっただろう。
 陸路でさえユニがこの調子だったのだ。ユニに加えてチハルまでダウンしようものなら一気に戦力が削がれてしまっていた。
 商人の、こういう時の『カン』の鋭さは、ある意味、運を引き寄せる強さを見せる事がある。今回は悪天候に見舞われてしまったものの、荷物が濡れたりゴブリン街道でゴブリンたちに襲われる事も無かった辺り、かなり幸運だった。
 多少の事では『アンラッキー』である事を『認めない』ポジティヴさも、商人には必要な要素かも知れない。
「まあいいわ。酒場にでも行きますかー! 明日は晴れるように、カミサマだかホトケサマだかにお祈りしておいてよ。雀尾」
「そういう神頼みはどうですかね‥‥旅の無事は祈りますが」
「はは、運のよさなら自信はあるんだけどね。それに、幸運の女神様チハルもいてくれるし」
「え、あたしですか?」
 無茶振りもいいところだが、カレアの直感は意外とよく当たる。旅の中で人を見る目は相当養われているが、慌てて頬を赤らめるチハルの肩にふれると、軽くウインクしてみせる。
「私のカンはよく当たるのよ。明日は晴れる、絶対晴れる。だから、今夜は宿でゆっくり休んで明日の航海に向けて体力を充分に回復させておいてちょうだい」

●遂に出航!
 その夜。
 シュタール・アイゼナッハ(ea9387)は友人たちの力を借りての情報収集をまとめておいたものをレポート代わりに、カレアと冒険者たちに伝えることにした。
 メイの南海でもあり、非常にナーバスな領海情勢とカオスニアンや海賊の動きが激しいルラの海、メイディアとセルナーを結ぶ海域であり、今回の船旅のルートでもある東側に広がるマイの海の事を中心にまとめてくれていた。
 なお、現時点でも比較的安全な海域はメイの国北部、セルナー領ほぼ全域を囲んでいるウドの海についても結城が調査していた。
 ――ウドの海といえば、最近少々怪しい動きがあるらしいがセルナー側はその事実を否定しているのだとか。
 今回の依頼では北海に移動する訳では無いので問題は無いのだが、少々気になるところではあった。
「問題はマイの海ですね。状況的には風をうまく掴めるならかなり早く到着する事が出来るとの事です。少し遠回りになるかもしれないけど、沖に出たほうが波も穏やかでいい風ももらえる。らしいですねえ」
 本来は目視での航海が常である為、船旅は陸地沿いに比較的浅い部分を航行する事が多い。その為、中型や大型船舶だと座礁したりする事が少なからずある。
 そういう要注意ポイントを避けながら航海するのが航海士などの仕事なのだ。天界に置いてはコンパスというものがあるが、メイの国には――というよりアトランティスという世界そのものに――コンパスを正常に表示出来るような場所は存在しない。
 コンパスに代替するようなアイテムを開発する事が可能なら、今以上に海や空の旅が快適になるだろう。
 だが、今のところ、そういったアイテムの発明や開発、調査研究している個人や施設はないらしい。

「依頼人の友人と食事をする約束を果たすというのが依頼の主旨だったんですが‥‥その友人というのが魔物の多いところでサバイバル生活を送ってる方で、しかもカオスニアンに間違われるほど‥‥その、ちょっと人間離れした容姿をしておりまして」
 苦笑を交えながらの雀尾の体験談にカレアはほうほうと感心して話を聞いていた。
 実際、メイの国にもカオスニアンではないが『鬼姫』と呼ばれた、オーガに育てられたと見られる超怪力の少女が出没したという報告書(【燃える瞳の鬼姫】を参照の事)が上がっているし、天界でもオオカミに育てられた少女が実際にいたというのだから実の親でなく、全く別の種族が育て上げるという例はゼロではない事を物語っていた。
 上記のような事情かどうかは別として、人の暮らしから離れサバイバル生活を送っていたというからには、相当の生存技術を会得した人間だったのだろう。
 カレアはそういうワイルドなライフスタイルは嫌いじゃない。騎士の嫁になってからは常にレディでいる事を半ば強要されていたが、本来は彼女自身、相当な冒険心と好奇心の塊みたいな女性なので今もこうして行商を続けているのだ。
 お金の問題なら夫が解決してくれる位は持ち合わせているらしいが、カレアはそれ以上に『人の思い』を大切にしていた。

 一夜明けて。
「お祈りが通じたのかな?」
「カレアさんの運が良かったからじゃないですか」
 あの重苦しい、灰色の絨毯みたいな分厚い雲は抜けきったらしい。風は強いことから波は高いだろうが、嵐に直撃するといった最悪の状況は避けられそうである。
「でも、この調子だと今ごろリザベ側に雨が来てるかもね」
 時折見せる、カレアの遠くを見つめる瞳。口では心配はしていないと言ってはいてもやはり騎士ダインスの事は心配で仕方ないのだろう。愛する夫の帰りをじっと待つ、というのは彼女の性分ではなかったが、だからといって気にしていないというのは嘘だ。
 カレアにはカレアなりのやり方がある、というだけなのだ。

●ジェトってどんな所?
「実はジェトについて、同盟国って事以外、あまり詳しく知らないのよね」
 実際、メイの国でも王宮レベルでは国交は成されているものの、一般レベルではそこまで詳細を知る者は多くなかった。ジェトの国自体、メイの国からすると現時点で敵対国家であるバの国との地続きである島の半分を分かつ大国であるので、かなり大きな力を持った国であろうという見方は強かった。
 同盟を結んだ事でライフラインを獲得したとはいえ、未だに滅びることの無いタフネスな国というイメージはある。
 ジェトの実情は不明だが、首都付近の港であれば、バとの影響は少ないだろうと見ていた。もしそんな状況なら、メイが応援に来ているだろうからである。

 空は晴れているが、やはり風は強かった。
 それでも、結城が得た漁師のアドバイスの通り、沖に出た辺りから波は安定し、強い貿易風を掴まえることが出来たのである。
「これ位でしたら、問題ありません」
 出航した直後は馬車の揺れ方とはまた違う、妙な浮遊感のような感覚にバランス感覚を奪われそうになって激しい船酔いの前兆が見られたチハルだったが、波が穏やかになると強い風が心地よくなり気分もかなり安定していた。
 ユニを気にしていたカレアだったが、今度は甲板に出て外の空気を吸っているうちに楽になったのか、彼もどうやら船酔いはしていないようだった。
「帰りは具合が悪くなったら他の人たちにちゃんと言うのよ。冒険者同士、仲間なんだから、遠慮なんかしちゃだめよ」
 まるでお母さんのような口ぶりで話し掛けるカレアに、ユニも黙ってこくりと肯いてみせる。

「途中で雨に降られて一時はどうなるかと思ったけど、何事も無く到着して本当良かったわ! お祈りしてくれた雀尾に幸運の女神チハル、それに航海での色々な知識を教えてくれたゲオルグ‥‥あんまり悪い事をしちゃだめよ。それから結城、シュタール、二人の情報はかなり助かったわありがとう。カーラもあの時ウィルにいたなんて知らなかったわ、今回の航海で一緒になったのも偶然じゃなかったのかもね。ユニ、君はもう少し多くの人と旅を続けるといいわ、何でも自分で解決しようとしないで仲間を信じて頼ってあげなさい」
 港に着いた船から、一歩も出ることの出来ない冒険者たちにカレアは挨拶した。
 港から見えるジェトの地は、メイの国とはやはりどこか空気が違うような気がする。

 カレアのジェトでの行商の成功を祈りながらも、冒険者たちは折り返しで帰還する運びとなった。