ウタウタイの土

■ショートシナリオ


担当:なちか。

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 15 C

参加人数:6人

サポート参加人数:1人

冒険期間:09月25日〜09月30日

リプレイ公開日:2007年09月25日

●オープニング

●祭り終わって‥‥。
 村の音楽祭は終わり、ようやく村は落ち着きを取り戻し始めていた。
 後夜祭では武具として使われたものや、修復不能な楽器類を集めて焼く、いわゆる『焼納供養』が行われた。
 元々宗教的な意味合いが強いこの儀式だが、ユニウスは個人的に『音楽の神様』がいる事を信じている。彼の知っている唯一の方法で、最も楽器に対し礼儀と感謝の気持ちを祭りの最後にイベントとして設けられたのはユニにとって、非常に重要だった。
 特に機械化されておらず、自然の中にある木々や動物の骨や筋、角などを加工して作り上げられる楽器たちに対して行う事は、精霊崇拝が一般的なアトランティス、メイの国においても――結果的には――合理的なものだったといえた。
 火で焼き、灰を土に埋め、風に任せ、海に溶かす――。
『命』を預かって作り出されたものを、自然に返還するという事。

 ユニウスはその炎を見つめながら、自分の次なる『役目』を見据えていたのだろうか‥‥。

●第二楽章。
「そうか、その前に確かめなくてはならない事があるようだね」
 ――事の始まりは、前々回。そう、音楽祭の直前までさかのぼる。
 ウタウタイの弓こと、メイ式鳴弦の弓の完成から間もなくの事、最終段階として蟇目矢の製作の協力を冒険者に依頼した時の事だ。

 シカの角を必要としたユニは冒険者たちに協力を依頼した。そしてそのシカのいる付近ではクレイジェルの被害があったのである。
 冒険者らはそれを倒す事に成功したが、角だけを持ち帰ろうとしていた計画から、足を溶かされ動けなくなったシカを一頭捕獲する事になってしまった。
 もしあのまま放してしまっていても、おそらく長くは生きていられない事を、認めざるを得ないだろう。
 ユニウスはそういう事情があるだろう事を――あくまでも可能性としてだが、前もって懸念していた。そして、悪い予感が的中してしまったのだった。
 だが、逆にそのシカ一頭を持ち帰った事で祭りでシカ肉が振舞われたり、角弓を製作する事が出来たのだから『結果的に』見ると、命は救われた事になるのではないだろうか?

 さて、問題はここからだ。
 帰って来た冒険者が、妙な事を言っていたのである。
「ジェルに武器が効かなかった」
 一体何を言っているのかユニには正直理解出来なかったのだが、どうやら要約すると、本来効果があるはずの武器で攻撃したにも関わらずダメージを与えられなかったように感じたというのだ。
 その場にいなかったユニにはさっぱりな状況ではあるのだが、彼の証言をまとめると新種の可能性があるらしいとの事。
「銀の武器しか効果が無い魔物もいるらしいからね、特定の武器でないとならない魔物もいるとは思うけれど」
 それがクレイジェルにあてはまるのかは不明である。

 モンスター知識を学んでいる者であればある程度の種別を判別可能であるが、クレイジェルは『虫』だ。
 問題はそれはただの虫ではなく、スライム状の不定形の魔物である事。そして、『突く』攻撃を無効にするという情報だった。
 しかし不思議なのは、その時の状況では「ナイフで切り付けて効果があった」という点である。
 切って効果があるにも関わらず、同じ武器で突き刺しては効果が無い、などと言う状況が本当に起こり得るだろうか?

 効果がなかったように『見えた』のは、ナイフではなくラージハンマー(大槌)だったらしいのだがその時は他に誰も突く攻撃をしておらず、彼が唯一「叩く」攻撃で違和感を覚えたというのである。
 最後に振り下ろしたハンマーの一撃を防がれたように感じたという。
 結果的にはその一撃で倒したらしいのだが、一体どういう事なのだろうか‥‥。

●ユニの次なる目的とは?
 クレイジェルの被害はまだ完全には終わっていないらしい。単体ではなかったのだろうか?
 ジェルの件もさる事ながら、ユニは自身にとってのメイにおける『役目』を一段階シフトアップしていく事になる。
「今回は、土を持って帰ってきてもらいたいんだ」
 彼の意図はまだ明かされていない。だが、問題はメイの国では『掘る』という事がある種のタブーとされている事だった。
 今回はしかし、実は、この大きな問題をクリア出来る状況にある。
 そもそも、掘りに行って欲しいという訳では無いのである。既に掘ってあるところから粘土質の土を持ち帰ってもらいたいという事なのだ。
 そしてその土がある場所にもクレイジェルがいるらしいとの事。
 ――『再戦』するには、絶好のチャンスではないだろうか?

 ジェル退治はともかくとして、問題はその粘土質の土を彼は何のために使おうとしているのだろうか?
 ウタウタイの第二楽章が、今、はじまろうとしていた‥‥。

●今回の参加者

 ea1919 トール・ウッド(35歳・♂・ファイター・人間・イギリス王国)
 ea6109 ティファル・ゲフェーリッヒ(30歳・♀・ウィザード・人間・フランク王国)
 ea6382 イェーガー・ラタイン(29歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 eb9949 導 蛍石(29歳・♂・陰陽師・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ec0844 雀尾 煉淡(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 ec1201 ベアトリーセ・メーベルト(28歳・♀・鎧騎士・人間・メイの国)

●サポート参加者

シュタール・アイゼナッハ(ea9387

●リプレイ本文

●土との対話
 冒険者たちが粘土質の土を採取しに出発した頃、依頼者であるユニウスもまた、出発の時を迎えていた。
「さて、用意するものは『出来て』いるかな」
 どうやら、彼は、魔女のいる村へと向かう様子。一体、何をしようというのだろうか?

「粘土なんか集めてどうするんだ?」
 出発前に、トール・ウッド(ea1919)が問い掛ける。
 目的が不明瞭という事は、危険な依頼をこなすのは非常にリスクが高いからだ。
 勿論、今回集まった冒険者たちは、皆同じ思いだった。特にユニウスは今まで目的を告げてから依頼を出して来た経緯がある。
 にも関わらず今回、突然、土を集めてきてくれだなんて依頼だけを突きつけて来たのだ。怪しい、とはいかないまでも、どういう事か位は話してもらえないか、問い掛けたという訳だ。
「疑っている訳ではないんです。皆さんと協力して、ユニウスさんの為に「上質の粘土」を手に入れるというのは既に決定している事項ですし」
 イェーガー・ラタイン(ea6382)も敢えて、聞いておきたいと言う。
 ユニウスは彼らの言う事はもっともだという風にして、深く肯いた。
「初めて会う方もいるようだし、少し説明が不足していたようだね。もう皆も気付いているようだけど、確かに僕は『楽器』を作ろうと思っている」
「楽器作りの人が粘土を欲しがるっていうのはちょいと面白そうな話やね。うちの居たジ・アースでは粘土で作った楽器いうとオカリナなんていうのがあったな〜」
「粘土と楽器の関係ですか? 素焼きの笛や鈴のイメージなのですよ〜」
 今回、ユニウスの依頼をはじめて受ける事になったティファル・ゲフェーリッヒ(ea6109)、ベアトリーセ・メーベルト(ec1201)は興味津々といった感じで返した。
「ただ、その前に僕も色々とやっておかないとならない事があってね。それで今回は君たち冒険者の皆に材料である土を持ってきてもらいたかったんだ」
「やっておかないとならない事、ですか?」
「そう、だから君たちが帰ってくるまでに、僕は一仕事。という訳さ」
 導蛍石(eb9949)も雀尾煉淡(ec0844)も見合わせながら、それなら護衛を、と言いかけるがユニはそれを制止して。
「ああ、そうそう。せっかくだから、君たちも挑戦してみるかい? 楽器作り」
「えっ――」

●ユニウスの真意。
 世界には多種多様な生物が存在する。天界ではあり得ない生態系であり、逆に言えばアトランティスから見た天界の生態系が信じられないようなものだが、つまり、『地球』とも『ジ・アース』とも違う『世界』がアトランティスなのである。
 何が似ているのか、或いは同じなのか。または違うのか、という相違点についてはあまりにも多すぎてここでその全てを列挙する事は不可能だろう。
 だが、ただ一つだけ言える事はまるで違う、という部分はそこまで多くない。単に技術レベルが追いついていないだけで、天界で当てはめられる時代――時間軸――で見れば、アトランティス、メイの国は知識としてはかなり高い水準で持ち合わせている。
 これは現代の天界(地球)などの知識がメイディアの冒険者ギルドに集まる天界人らのおかげで広く広まっているからだ。
 だから、ユニも自分自身が持っている『天界の技術』をメイという世界に落とし込んで『復元』する事に成功している。
 結果的に言えば、やってやれない事はない、という事だ。

 さて、畑などを耕した時に出たある意味廃棄物扱いである粘土質の土。畑などにとっては非常に難儀な土質の粘土であるが、用途によっては実用可能な代物になる。
 メイで使用される食器類を見れば、ある程度は伺える。
 基本は木製、或いは希少ながらも銀など金属製のものがあるが、その他にも、陶器なども使われる事がある。
 そう。
 土をこね、成形し、焼き上げて完成させる類のものだ。皿や壷、焼成されて出来上がる土器類だ。
 ちなみに焼成方法や土質や上薬などの使用の有無などなどで様々に分類されるこれらだが、総称すると『陶磁器』と呼ばれる事がある。
 トール、ティファルの二人が浮かんだ『オカリナ』も広義でいえばこの陶器(土器)類に当てはまる。
 楽器と踏んでいたベアトリーセやイェーガーも正解だ。
 だが。
「土を使うとなると、最初に思いつくのは焼き物とかですが‥‥実際はどうなんでしょう?」
 今回の依頼者の意図を、過不足無く一番適当である正解に導いたのは雀尾のこの一言だった。
 楽器だろうが皿だろうが、『焼き物』というカテゴリの一部に過ぎない。そういう意味ではもっとも的確な認識だろう。
「どちらにしても、土を持ち帰ってみればわかる事です。それに‥‥」
 ベアトリーセはやや苦笑しながら、あくまでも聞いた限りで、彼がそういう意図で求めた訳では無いと思いつつも。
「お肌にいいというのも地球の人から聞いたことがあるのですが、まさかユニウスさんが使うわけないですし」
 確かに泥パックというのは天界にはある。
 が――それは採れる場所にもよる。土壌汚染されていない土地であれば、ミネラル分などを多分に含む上質なしっとりとした粘度の比較的ゆるい泥を使うことで保水し、毛穴の汚れを除去し、くすみなどにも効果があり肌のきめを整え、アンチエイジング効果もあるからだ。

 アンチエイジング。
 その言葉と、とある人物がこの依頼に関わっている事に気付き、はっとなったのは――。
「どうしたんですか?」
「あ、いえ‥‥何でもありません。気のせいでしょう」
 まさか、と思いつつも導は一人、魔女の元に向かったユニの事を考えていた。

●アトランティスにおけるクレイジェル生態調査
 今回、土を持ち帰るという任務の他に、冒険者はやらなければならない事があった。それがクレイジェルの掃討作戦であり、生態調査である。
 以前、クレイジェルと戦った時明らかに違和感があったという経緯があり、今回はそれを確かめるべく調査に乗り出したという訳だ。
 前回はやや微妙な状況で対峙したという事もあり、出来るだけクリアな状況で調査を進めていきたかった冒険者たち。
 慎重さを重ねて怠らぬように、充分に警戒して近付いていく。
 スライム状のこの魔物は、単細胞生物なのかどうなのかすら、未だにはっきりとした生態がわかっていない。単細胞生物であればアメーバに非常に近い存在ではあるのだが、アメーバというのは目視出来る大きさでもここまで巨大には成り得ない。
「駄目かもしれへんけど先ずはブレスセンサーやね」
 ブレスセンサーは文字通り範囲内の『呼吸』を探知する魔法である。しかし、この呼吸というのは生命であればどんな生物も呼吸する。
 細胞レベルでも、である。流石にそこまで微細な呼吸までを全て把握することは実際困難で、状況的には完全な『外呼吸』以上のものを指していると思っていい。
 単細胞生物のような『内呼吸』つまり、酸素を取り込んで二酸化炭素を排出するというものとは違うエネルギーを置換するという意味における『呼吸』に対しては多くは期待できないだろう。
「あかん、わからへん。次や次。地面にいる限りバイブレーションセンサーだったら掛からんはずあらへん!」
 ティファルと雀尾の二人で注意しながら展開していく。
 ちなみに、対象が虫であるから、という理由なのか――それとも距離が合っていないのか――デティクトライフフォースは見事なまでに感知していなかった事を付け加えておく。
 だが、逆に振動感知には気持ちいいくらい引っかかってくれていた。
「かなりいますね。こちらでわかる範囲で、すでに四体」
「こっちもや。大きさは‥‥両手を広げた位」
「では、矢を放って見ますね」
 イェーガーが、きりきりと静かに弓を引いて――この時の弓の反りは芸術的なまでに美しい――風を切って一矢放たれる!

 ヒュオッ

 土のようにしか見えない場所に、矢が激突した。
 だが。
「どういうこっちゃ? 動かへんやん。動くもんに反応するっちゅうのはデマか?」
「もう一度試してみましょう」
 しかし。やはり二度、三度と撃ちこんでみるも、反応がないように見える。
 動いたものに襲い掛かる習性があるのであるのでは無かったのか? 妙な違和感を感じる冒険者たち。
「だったら、今度は‥‥」
 ベアトリーセが囮になって、ホーリーフィールドに反応させようと試みる。
 まるで動きの無かった土の山に、そこではじめて動きが現れたのである!
 遠めで見るとわかるが、『何か』に反応したクレイジェルたちが近付いたベアトリーセに向かって動き出していたのだ!
「矢では無反応だったのに‥‥!」
 バイブレーションセンサーでは全部で六体。すでに動き出している相手を注視していれば、これ以上の不意打ちは受けない筈である。
 雀尾によるアグラベイションと導のコアギュレイトのコンビネーションは非常に強力だった。
 だが――その範囲外からも静かに侵攻する影に対して、地面に当たると効果を失う雷撃からシフトして放ったティファルのファイヤーボムがこの直後、様々な憶測を呼ぶことになった‥‥。
「射程ギリギリ、いけるやろ!」
 火球が形成されるや、ぐんぐん近付いてくるクレイジェル。拘束されている数体はともかく、まだ健在な二体は更に活動的に迫ってくる!
 巨大な火の玉が着弾し、それにもろに直撃した二体はそのまま形がわからなくなる位に飛び散ったのか、溶けてなくなったのか、とにかくそのままえぐられた地面と共に消滅した。
「こっちだって!」
 武器を持ち替えてイェーガーとトールは拘束させたクレイジェルの内二体に殴りかかる!
 完全に動きを抑制されているジェルは避ける事も出来ず、もろに力任せの一撃を喰らう事になり――そして。
 イェーガーの持つメイスとトールのフレイルの凄まじい振り下ろしに耐えられずに弾けるように爆散していく!
「行ったか!?」
 そのままコアギュレイトを喰らったジェルにロングソードを突き立てようとしたその瞬間――!
「な‥‥」
 あの時と同じ違和感を覚えるトール。
 貫く事が出来ないのである! これがコアギュレイトによる拘束で強制的に肉体が保持されているせいなのか、ジェルの特性として『突き』が効かない事から来るのか、一瞬わからなかった。
 だが、答えはすぐに明らかになる。
「せやァ!!」
 囮になっていたベアトリーセが切りかかった瞬間、バターを切るようにそれを切り裂いたのである!
 トールも同じく、突きから姿勢を切り替えて切り払うように薙ぐと、ジェルはそのまま自身の形状を維持できなくなったのか泥のように流れ落ちて、そして朽ち果てた。

 同じ武器であっても、攻撃方法によって効果が出る出ないという事だけははっきりした。
 少なくとも、イェーガーの持つメイスとトールの持つフレイルの効果ははっきりと現れた。ベアトリーセがダマスカスブレードを使って切りかかった時も確実にダメージを与えていたし、ロングソードの薙ぎ払いも決定的なダメージとなった。
「だが、最初の突きだけはまるで通った気がしなかった‥‥」
 手応えでわかる。突き通せない、何か不思議な感覚。手に伝わる、明らかな違和感。
 だが、それでも、切り裂く事は可能だった。同じ武器でありながらも扱い方一つでこんなにもレスポンスが違うとは‥‥。
「それよりも、矢にはまるで反応しなかったのが気になる」
「でも私には反応しました‥‥」
「気のせいやろか? ファイヤーボムにもやたら反応してへんかった?」
 バイブレーションセンサーによって安全が確保された冒険者たちは粘土を詰め込みながら、新たなジェルの謎の反応に対して頭をひねっていた。

●いなかったけれど
「やあ、おかえり。どうだったかな」
 冒険者がユニの村に到着した時には彼はもう帰ってきており、さっそく『作業』をはじめていた。
「これは‥‥」
「見てのとおり、といってもまだまだ完成には程遠いけれど。これは、そう、窯さ」
 野焼きしたレンガを積み上げながら、たっぷりとかいた汗を拭うユニ。どうやら、魔女の家でレンガを作っていたらしいのだ。
 ちなみに魔女本人はセルナー領にまで遠出したらしく、結局会う事が出来なかったらしい。レンガ作りの為に場所を提供してくれていたのだ。
 それを持ち帰って、窯つくりをはじめていた、という訳である。
「本格的に焼き物つくりをするつもりですか? ユニウスさん」
「まあ、ね」
「泥パックをする訳ではなかったのね」
 やっぱり予想が外れた、という表情で切り返すベアトリーセに、ほうほうと納得してみせるユニは、それもいい考えだね、と返す。
「魔女さんも昔はそういう美容について取り組んでいたというから、もしや、と思っていたのですが」
 導は魔女との事を知っている数少ない人物だ。以前の事を考えてついつい深読みしてしまっていたのだが。
「でしたら、ユニウスさんはこの土を使って何をするんですか?」
「ふむ。そうだね、君たちの予想通り、先ずは笛‥‥君たちでも簡単に作る事が出来るオカリナを作ってみようと思うんだ。だが、今回は思った以上に窯の完成が遅れていてね。すまないが、窯が完成するまでまたしばらく待ってもらう事になりそうだ」
 窯が完成すれば、次は本格的なオカリナ作りが待っている。
 ユニウスは彼だけでなく、誰でも自由に、簡単に作ることの出来るオカリナを村の名物にしようと考えたのである。
 音楽祭だけでなく、村から発信される新しい村の名産品を、と。

 ユニの――ウタウタイの窯は間もなく完成するだろう。
 その完成記念パーティを兼ねて、近いうちにオカリナ製作会が開かれる事になる。
 ユニは機会があればぜひ、オカリナを手づくりしていって欲しいと帰還する冒険者たちに提案する。
 そして遠くに見えるまでユニウスは手を振って見送っていた。