【異趣】裏・収穫祭
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■ショートシナリオ
担当:猫乃卵
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:9 G 4 C
参加人数:8人
サポート参加人数:1人
冒険期間:10月03日〜10月08日
リプレイ公開日:2007年10月14日
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●オープニング
秋は、実りの季節。木々の果実は鮮やかに色付き、誰もが新鮮な食料の収穫に心躍らせる。
オーガ達とて例外ではない。今宵もオーガ数匹が、今日の食料の収穫を祝い、醜汚なる祝宴を行っていた。
民家を襲い得た干し肉や果物や発泡酒などを目の前に広げ、食い散らかす様に貪り食う。
その傍らで、酒が効いたのか、荷物を地面につけ引き摺り回したかの様ないびきを立てて、オーガ戦士が眠りについている。
もう一匹のオーガ戦士は、からからに乾いている古いお下がりの腕の骨を、名残惜しそうに、表面によだれを塗りたくりながらしつこくしゃぶっている。
それを見ていた徒党のリーダー格であるオーグラが、目を細め、低くうなり声を搾り出す。
それほど遠くない昔に食べた、人肉の味を思い出したのだ。
お腹は空いていないが、口が寂しくなったのか、物を噛む仕草をしている。
(「にく、とても、おいしい。おれ、くいたい‥‥」)
骨を見詰めるオーグラの口の端から、泡の混じったよだれが溢れ始める。
(「おれ、くう‥‥つかまえて、くう‥‥」)
興奮を抑えきれないのか、オーグラの手が無意味に地面を引っかく。
他のオーガ達は、オーグラの興奮に気付くと、嬉しさと期待を込めた目で彼を見詰めた。
冒険者ギルドに、とある治安維持担当者から依頼が持ち込まれた。
オーガの群れの殲滅依頼である。
内訳は、オーグラ2匹、オーガ戦士3匹、バグベア3匹。
パリから徒歩で1日かかる山近くの村が2度この群れに襲われている。襲撃はより激しくなってきているので、奴らの最近の主な狩場となっていると思われる。
夜間に再度食料を狙ってくる事は大いにありえるので、襲撃にきたオーガの群れを囲い、殺してもらいたい。
これは絶対である。奴らは村の人間を喰おうとした。人肉の味を知っている生き物を生かしておく訳にはいかない。
手段は冒険者に任せる。村人の避難も可能だ。無人の村で奴らを囲い込むのが妥当だろうと私は思う。潜伏場所を探して叩くのは、逃げられるリスクを考慮しておいて欲しい。
受付嬢は、口を真一文字に結んで、依頼を貼り付ける。
その日の夜が終わろうとする頃。
オーガ達は祝宴に疲れ、全員眠りについている。
それを遠くから静かに見詰めるジャイアントオウルが1羽居た。
オーガを狙うべきか、オーガの食料を狙うべきか、身動きもせずじっと餌を狙うタイミングを見定めている様だった。
オーグラの雰囲気に、近日中に『収穫』が行われる可能性を感じ取っていたのである。
この鳥もまた、人肉の味を知っていた。
●リプレイ本文
●事前準備
依頼日二日目。
前日パリを発ち、昼前に村に到着した冒険者達は、まずは村人と接触した。案内されて村長に会えた冒険者一行は、モンスター襲撃の詳しい状況を聞き、村人を避難させたい旨伝えた。
村長は、オーガ達の襲撃があったのは突然の事だったので、どこから来たかは分からないが、帰っていった方向は覚えていると言う。
アウル・ファングオル(ea4465)は、村内部と周辺の地形について尋ねる。村長と冒険者一行は家を出ると、村長の指差しで村の地形やオーガ達が立ち去った方向などの説明を受けた。
村長と共に、村人にこの村から離れるよう告げる。村人達は、慌てて生活に必要な物資を一まとめにする作業を始めた。村人全員の準備が終わったのは昼をかなり過ぎた頃だった。井伊貴政(ea8384)と桐生和臣(eb2756)は老人など非力な村人の避難を手伝う。
それと同時に、残る冒険者達はオーガ達の移動範囲を狭める為の罠の設置の検討を始めた。
ガブリエル・プリメーラ(ea1671)は、戦い易い場所を見定める。結局、収穫の終わった少し広めの畑を使う事に決まった。土が軟らかいので、罠の設置がしやすく、餌の設置も不自然にはならない様に感じられた。
しばらくして罠の設置場所が決まると、ウリエル・セグンド(ea1662)、和臣、貴政とウィルフレッド・オゥコナー(eb5324)は罠の設置を始めた。これが機能すれば、オーガ達の退路は断たれる可能性が高くなる。四人は、網を仕掛けたり、穴を掘ったりと、ウリエル、和臣と中丹(eb5231)の持ってきた道具を使い、時間をかけて入念に罠を設置していった。
●誘引
その日の夜は、オーガ達の襲撃は無かった。村人から提供された食料は肉や干した魚など、オーガを誘い込む為の餌と同じ物であったが、貴政がそれらを美味しく料理し、皆でそれを食べながら時を待った。
次の日の夜。今日も村の家々から貴政が調理した料理の匂いを漂わせる。中が各家の灯りを消して回った。
月明かりの下、罠を仕掛けた付近に潜み、村長から聞いたオーガ達が行き来した方向を、皆で注意深く監視する。深夜になった頃、ガブリエルが村から少し離れた場所にうごめく生き物の影を確認した。
ウィルフレッドの唱えたブレスセンサーは、幾匹かのモンスター達の呼吸を捉えた。荒く乱れる息遣い。今宵の食料への期待に興奮している様だ。
モンスターが村の入り口に迫って来ている。ウィルフレッドは闇を切る様に歩き出した。前衛に近づき背後から小声でモンスターまでの距離を伝えると、下がり、後方支援組に合流する。
ウリエルは、モンスターとの位置関係を知ると、独りでモンスターに向かって行く。罠へと誘導する為だ。アウルは家の陰に隠れながら、モンスターの背後に回り込む機会をうかがっている。
間も無くウリエルがオーガの群れを確認する。
向こうもウリエルの姿に気付いた。距離を置いてウリエルとオーガ達が対峙すると、オーガ達の中に張り詰めた空気が満ちる。逃げるか、襲うか。オーガ戦士達が鋭い眼つきでウリエルをにらみながら考える。
そしてオーガ戦士達は決断した。襲って食う。目の前の無防備な人間、それはウリエルの作戦であったが、その姿が食欲をそそったからだ。
オーグラの頷きを合図に、オーガ達が一斉にウリエルに襲い掛かる。先頭に立って攻撃を始めたバグベア達の方がウリエルよりも足は早い。後退するも追いつかれる状況ではさすがにオーガ達に背中は見せられない。ウリエルは終始バグベアの攻撃を受け止めながら後退して罠の方に誘導していく。
中は、武器にオーラパワーをかけ、戦闘の準備を始める。
貴政は、太刀を抜いて月明かりに照らす。鍔に映る鬼の姿を見詰め、ニヤリと微笑んだ。
やがてウリエルとオーガ達は、冒険者達が罠を仕掛けたポイントに着く。無事にオーガ全員を誘い込んだ。
冒険者7名とオーガ8匹の戦いが始まった。
●それぞれの戦法
前に出てオーガ達を囲い込むウリエル、アウル、貴政と中が盾となり、後方支援役のガブリエル、和臣とウィルフレッドをモンスターの攻撃から守る。
和臣は中以外の三人にオーラパワーをかける作業を終わらせると、後方支援の二人を守る為に後方に下がる。
中はバグベアを引き付ける。バグベアの攻撃をかわすと、威力は軽いが、手数でバグベアを攻めていく。ストライクでバグベアを狙うと、威力は出るがかわされ易くなる。一長一短であった。また、龍飛翔はすぐには使えない。三匹を相手にしている限り、確実に龍飛翔の出し終わりの隙を狙われるからだ。
ウリエルはオーガ戦士を狙う。フェイントアタックをかける必要も無く、ウリエルの剣はオーガ戦士の皮膚を切り裂く。
貴政は片方のオーグラに立ち向かう。オーグラの攻撃を受け止めると、太刀でオーグラの皮膚を切り裂いていく。オーグラの顔が苦痛に歪む。
ガブリエルは、シャドウバインディングをもう一方のオーグラにかける。オーグラが抵抗した為か、オーガ達が密集したのでオーグラの影が無くなった為か、2度とも失敗した。
和臣はオーラショットをオーガに向けて撃ちたがっていたが、味方に当たる危険が有り、躊躇していた。前に出て戦っている冒険者にしても、魔法を撃つ人の事まで考えての位置取りは出来ない。
アウルは、オーガの攻撃をランスで受け止めながら、慎重に相手の出方を見ている。チャージングは使えない。助走をつけて突撃する為にモンスターの周辺を空ければ、そこから囲い込みが綻びるからだ。
アウルはオーガ達にプレッシャーをかけたがっていたが、装備の重さが災いして手数が稼げない。オーガの攻撃を盾やランスで確実に受け止めていると、そこからの反撃が追いつかない。
ウィルフレッドは、近くの家の屋根に登って身を潜めていた。上方からライトニングサンダーボルトを撃つ為だ。味方に当たる可能性を減らす為には、敵の体と味方の体が重ならない所から撃つ必要がある。
ウィルフレッドは、どのオーガにライトニングサンダーボルトを撃つべきか、戦況を見極めようとする。しかし、4人もの冒険者が一斉に戦っているこの忙しい状況をしっかりと把握するのは難しかった。ウィルフレッドは、少し考え、膠着しているアウルのサポートから始めた。
電撃に驚き、アウルに対するオーガ戦士の攻撃が一瞬止んだ。この機を生かそうと、アウルはオーガ戦士にランスを突き刺した。それを見たもう一匹のオーガ戦士が隙を狙って即座にアウルに殴りかかってきた。アウルはその攻撃を盾で受け止める。その時、機をうかがっていたオーグラが、アウルに力一杯武器を振り下ろす。
鈍い音がした。アウルは声低くうなり、いったん後退する。一瞬遅れてウィルフレッドの電撃がオーグラの動きを止める。アウルは自分のポーションで回復すると、またオーガに立ち向かった。
その後も三個のポーションを回復に当てながら、冒険者は戦い続けた。
弱いオーガから地面に伏し始める。逃げようとしても、罠にさえぎられて逃げられない。また一匹倒れる。それに冒険者の武器が止めを刺す。
やがてオーグラのうなり声が途絶えるのを最後に、静寂が村に戻ってきた。
●漁夫の利
次の日の夜。村の近くに焼いて埋められたオーガ達の肉を、ジャイアントオウルがほじくり返そうとしていた。
ジャイアントオウルは冒険者とオーガ達の戦いを遠くからひっそりと見ていた。ジャイアントオウルにしてみれば、人間達がオーガの肉を食べ易くしてくれたくらいに思っているのだろう。
明日になれば、村は徐々に元の活気を取り戻す。村の安全は、冒険者によって取り戻されたのである。