お嬢様救出!

■ショートシナリオ&プロモート


担当:西尾厚哉

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 8 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月16日〜07月20日

リプレイ公開日:2008年07月23日

●オープニング

●悪戯好きのお嬢様
「あら?」
 アンナは床に落ちていた白いものに気づいて身をかがめた。
「これって確か‥」
 そう、これは確かお嬢様の小さな白い扇に使われていた薄い布。
 先に目を向けると、またもや白いもの。
 慌てて駆け寄り拾いあげる。間違いなくお嬢様のスカートの裾。この薄桃色の刺しゅうに覚えがある。
 彼女は視線を巡らせる。
 あった。やっぱり。これはお嬢様のし‥下着。白い花びらの刺しゅうはお嬢様のもの。
 このあたりから、額に青筋が浮き出てくるのが自分でも分かる。
 鼻から勢い良く息を噴出すと、彼女は大股にお嬢様の部屋に向かって歩き出し、おざなりにノックをして勢い良くドアを開けた。
「お‥‥お、じょーーさまーーっ!!」
 今日こそしっかりお嬢様に言って聞かせねば、と思って出した声が悲鳴になった。
 窓の端から部屋の中にぷらんぷらんと揺れる二本の足。
 彼女は叫び声とともにお嬢様に駆け寄って、小さな体にタックルした。
「お嬢様! ミリルお嬢様!」
 部屋の中にひきずり戻し、頬をぴたぴたと叩くと小さな手がそれを払いのけた。
「痛いってば」
 あっという間に起き上がって、少女は口を尖らせた。
「つまんないったら」
「何をしておいでです! 危のうございます!」
「だって‥」
 青ざめたままの彼女の顔を見下ろして、お嬢様は言った。
「今、あたしは悪者から逃げ出して来たの。お部屋まで逃げて来たところで、窓から落ちようとしているあたしを麗しき殿方がひしっと‥」
「何のことです?」
 アンナは目を細めた。その彼女の前でお嬢様は腰に手をあて、当然のことと言わんばかりに眉を吊り上げた。
「あたし、シゲキが欲しいのよね」
 シゲキ? 刺激? 殿方って誰?
 一発殴っていいですか、とはさすがに言えない。
 アンナはこぶしをぐっと握り締めて堪えるのだった。

●ちらりと優しいお嬢様
 ローザヴイ家は何隻もの船を抱える貿易商として名高い。
 グレーヴ・ユーリエヴィチ・ローザヴィは3代目にあたる若い当主で、色鮮やかな絹織物やパピルスの輸入について父親に劣らぬ商人としての才を発揮した。
 自らが買い付けのために船に乗り込む機会の多い彼は、大切な航海の無事のために何度もギルドに依頼を出している。ギルドのお得意様、と言っても過言ではない。
 そのローザヴィ家には彼の優しい妻と8歳になる娘のミリルがいた。
 数人の使用人を抱えるローザヴィ家だったが、アンナはミリルが赤ん坊の頃からここにいて彼女の身の回りの世話をサポートしていた。
 このお嬢様の元気が良すぎるのがアンナの悩みの種だ。時にそれは理解しがたい妄想とともに引き起こされるから厄介なのである。
 先日は、高価な皿を何枚も割り、せっかく畳んであったテーブルクロスをくしゃくしゃにした。
「晩餐会を開くの。あたしがおもてなしをするんだから、お皿とクロスを選びたかったの」
(「そんな話は聞いてないです」)
 アンナは言いかけた言葉を飲み込む。
 その前は、庭の花を全部摘んでしまった。
「だって、家中がお花でいっぱいになるとすてきでしょ? ほら、お花の精が飛んでいるのが見えない?」
(「じゃあ、庭はどうなるの。葉っぱだけになっちゃって」)
 夢多き少女と言えば聞こえがいいが、お嬢様が何かしでかすたびにアンナは胃がきゅっと痛む。他の使用人たちから怒られてしまうからだ。
「アンナ、あんたお嬢様のお守なんでしょ! なんとかしてよ!」
「奥様がお優しいのをいいことに、甘くし過ぎるのよ!」
 はー‥‥、と思わずため息がこぼれるのだ。
 実際のところ、物を壊したり庭の花を摘んでしまうくらいはたいしたことではない。
 問題は、
「行くぞ、ぺガサス! 我、姫を救う戦士なりー!」
 と叫んで、タックルも間に合わずニ階の窓から飛び降り、たまたま下に使用人がいたから受け止められたようなものの、慌てて飛んできたアンナに向かって
「戦士様に助けていただいたわ。うふん」
 には、胃が、キュ、どころか憤りを感じたのである。
 しかし、それでも。
 アンナは思い出す。
 庭のお花を全部摘んでしまったとき、お嬢様は一束だけを手に握っていた。
「これはアンナの分。アンナには特別に可愛いのをいっぱい選んだの」
 お嬢様はにっこりと笑った。
「アンナのこと、大好きよ」
 そう言って差し出された花束は、既にお嬢様の手の中で半分しおれかかっていたけれど。

●やっぱり暴走するお嬢様
 アンナは病床の母の様子を見に、一度実家に戻ることになった。
 母は重篤な病ではなかったが、最近はあまり状態がかんばしくないと聞いていた。
 お嬢様のことが心配だったが、奥様は一度家に戻ることを勧めてくれた。
「ミリルのことは気にしなくていいのよ。たまには親孝行もしなければ」
 奥様の笑みが心苦しい。でも、病床の母も気になる。
「それより道中は気をつけてね。森の中は魔物や賊が増えていると聞きますから」
 結局アンナは奥様の勧めに甘えることにしたのだった。

 翌日の朝早く、アンナは屋敷の外からお嬢様の部屋のあたりをしばらく見つめたあと出発した。
 アンナの村は森をひとつ抜けた先の小さな村だ。歩いてもほんの半日弱。それでも森の中は女ひとりで歩くには物騒過ぎる。特に今は森の中に大きな毒蜘蛛が巣を張っているとも聞く。
 彼女は森をぐるっと迂回することにした。
 途中、何度か後ろを振り返った。
 どうも何か気配を感じる。ちらりと尖ったようなものが見えたような気もしたが、気のせいかもしれなかった。

 一日がかりで村に戻ったアンナは早速母の看病に専念した。
 母の具合は思ったほど悪くもなく、娘の里帰りでさらに快方に向かっているようだ。
 時々お嬢様の声が聞こえたような気がしてふと顔をあげた。
 何だか寂しかった。
 振り回された出来事よりもお嬢様の可愛らしい仕草ばかりが思い出される。
 母親の様子も安定したのでそろそろ明日にでもお屋敷に戻ろうかと思ったある日、見知った顔の男が村にやってきたので、アンナはびっくりした。
 彼はお屋敷の馬番だ。どうしてここに?
「お嬢様は、こちらにお着きになられたか」
 アンナはそれを聞いて頭が真っ白になった。
「いないの?」
「心当たりはいろいろ探したが。あとはここだけだと奥様が様子を見るように僕を使いに出した」
 ああそういえば、とアンナは思い出した。
 前に村の話をお嬢様にしたかもしれない。お部屋の窓から外を見て、自分の村はあの森を越えた先にあるのだと。
 あんなことを言わなければよかった。
「いったいいつから姿が見えないの?」
「いなくなったことに気づいたのは今朝だ。外に出るときの上着と一番お気に入りだった靴が見当たらないと」
「まさか‥‥」
 恐ろしい考えが沸き起こる。
「お嬢様は森を直接抜けようとなさったのでは‥‥」
 思わず彼にしがみつく。
「助けないと‥‥! 早く助けないと‥!」
「ここにいないのなら、すぐにギルドに行けと言われた。アンナはここから動くなよ。」
「奥様は‥‥」
「奥様は気丈にしておられたよ。もちろん内心は穏やかではないだろうが。ふたりで無事に戻って来いとのお言葉だ」
(「あたし、シゲキが欲しいのよね」)
 前に聞いたお嬢様の言葉が甦る。
 お嬢様、なんてばかなことを。求める刺激が大きすぎです!
 馬に乗って走り去る男を見送って、アンナはへなへなと地面に崩れ折れた。

●今回の参加者

 ec3096 陽 小明(37歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ec4124 オデット・コルヌアイユ(20歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 ec4664 マリナ・レクシュトゥム(32歳・♀・神聖騎士・人間・ビザンチン帝国)
 ec4855 十七夜月 風(35歳・♀・忍者・人間・ジャパン)

●リプレイ本文


「地図が欲しいのです」
 屋敷の前でローザヴィ夫人にそう尋ねたのはオデット・コルヌアイユ(ec4124)だ。
 それなら馬番のレフが書けるかもしれないと、夫人は彼を呼んだ。
「お屋敷と森と村の位置が分かるといいです」
 オデットの言葉に馬番は緊張した面持ちで持ってきた白い布に炭で地図を描き始めた。
 それをオデットと共に陽小明(ec3096)が見守る。
 十七夜月風(ec4855)は夫人に向き直った。
「お嬢様の物を何かお借りできないでしょうか。私の犬たちが力になると思います」
 夫人はうなずいて一度屋敷に入っていくと、小さな布を手に戻ってきた。
 高価そうな布にマリナ・レクシュトゥム(ec4664)が小さな感嘆の声を漏らす。
「お分かりになりますの?」
 夫人は少し嬉しそうにマリナの顔を見たあと、すぐに顔を曇らせた。
「せっかく夫が娘に買ってきた扇だったのに‥あの子ったら破いてしまって」
 扇を破く?
 マリナと一瞬顔を見合わせたあと、十七夜月は布を受け取った。
「書けました」
 馬番の声がしたのでふたりは振り向いた。
「何をするのです?」
 オデットが受け取った地図を地面に置くのを見て小明が尋ねる。
「燃やします」
 せっかく書いたのに? と小明が再び口を開く前にオデットの体が束の間ぽうっと赤く淡い光に包まれ、一瞬のうちに地図が灰になった。
 マリナと十七夜月が近づく。
「うーん‥」
 灰を見つめるオデット。
「森の中央より少し西を通って村に抜ける道があるみたいです」
「道はどんな状態ですか?」
 マリナの問いに馬番はかぶりを振った。
「人が踏み分けた跡です。でも最近は人が通っていないので見えなくなっているかと」
「誰かが先に村に行って、アンナさんがお嬢様を探しに森に入らないようにしたほうが良いかもしれません。下手をすると二次遭難を招きかねない‥」
 考え込むように言う小明にオデットが顔をあげる。
「じゃあ、私が‥」
 しかしそれは夫人の声と重なってしまった。
「レフ、あなたが先に馬で村へ行って」
 不安そうな顔のオデット。華奢な自分が皆の足手まといにならないかと心配になる。
 それを察したのかマリナが彼女にささやいた。
「あなたが一緒に行ってくださるととても心強いのですが」
 オデットは彼女を見上げてうなずいた。
「分かりました。頑張るのです。私も冒険者です」
 連れている犬の背に手をかけながら言うオデットにマリナは微笑む。
 小明は馬番に顔を向けた。
「お嬢様が無事だったときの準備をお願いします。それと‥」
 小明は彼が腰につけている銅の大きな鈴に目をやった。馬番がそれに気づく。
「これは獣避けです。みなさんにもお渡しします」
「では行こう。日が暮れるのは早いぞ」
 十七夜月の声に4人は出発した。


 陽小明は森の手前で地面に膝をつき、何かを探るようにしばらく顔を巡らせたあと一方向を指し示した。
「わずかに小さな足跡が残っています。最初は道に沿って入ったようですね」
 十七夜月は犬たちの鼻先に扇の布を差し出した。
「疾風、嵐、先に行け」
 二匹は元気よく吠えると一気に森の中へ駆け出した。
 そのあとから4人も森に入ったが、小一時間もしないうちに犬たちは迷うようにうろうろと動き始めた。
「お嬢様は道を逸れてしまったようだな」
 二匹の様子を見てつぶやく十七夜月。
「妙な気配がします。小さな獣の類ではない」
 小明も3人を振り向く。
 オデットは不安そうにボルゾイの首にしがみついた。
「心配なさらずに。私が後ろを守ります」
 マリナは彼女にそう言うと、すらりと剣を引き抜いた。
「誰かを守ること、それが私の天命なれば」
「とにかく日が暮れるまで探せるだけ探しましょう」
 小明の声に3人はうなずいた。
 しかし、お嬢様がつけたとおぼしき痕跡があちらこちらにあるにも関わらず、日が暮れてきても彼女の姿は見つからなかった。
 犬たちも迷っているように動き回る。
 時折何かの気配を感じて低い唸り声をあげたが、結局手掛かりを見つけ出せないまま夜を迎えた。

 マリナは野営の見張りの役を自ら申し出た。
 小明は灯りをともしたランタンのそばに立つマリナに声をかけた。
「お嬢様は好奇心が強いようですね。花などの綺麗なものや見た目が珍しいものに気を引かれてまだ動き回っているのでしょう」
 マリナは腕を組んで暗い森の奥を見つめている小明に目を向けた。
 その視線を辿って森に目を向けた時、何かの小さな唸り声が聞こえた。
 犬たちが吠える。
「なに?」
 オデットが慌てて十七夜月の張ったテントから飛び出してきた。
「野性の獣の類だろう」
 テント脇に立っていた十七夜月が言った。
「夜が明けたら早々に出発したほうが良さそうだな」
 4人は最悪の事態を感じずにはいられなかった。


 翌朝、日の出前に4人は出発した。
 しばらくして犬たちが唸り声をあげた。陽小明が前に走り出る。
「気をつけて! 大蜘蛛の巣があります!」
 4人の目の前に広がっていたのは朝露を含み、木々の幹を基点に大きく張られた巨大な蜘蛛の巣の壁だった。
 それだけではない。その一部にひっかかっている白い塊に全員の緊張が走る。
 ちょうど子供くらいの大きさの塊‥。
「これじゃ魔法が使えないです。火を起こすと糸を伝って一緒に燃やしちゃいそうです」
 困惑したようにオデットがつぶやく。
「巣の主はどこだ」
 十七夜月の声にオデットははっとした。
 そうだ、蜘蛛!
 背後に気配を感じてぎょっとして振り向くと、マリナの持つセントクロスソードの銀色と毒々しい黄色と黒の色が視界をよぎっていった。
「きゃあ!」
 声をあげるオデットをすばやく自分の後ろに庇うマリナ。
 十七夜月が巣に向かっていった。
「私が糸を破ってお嬢様を助ける。援護を頼む」
「了解!」
 答えるマリナと小明。しかし蜘蛛の姿はさっきの一瞬から見えない。
「蜘蛛の巣の縦糸はくっつきませんから!」
 オデットが叫んだ。
「心得ている!」
 そう答えつつ糸を崩していく十七夜月だったが、強い糸に絡まった塊がなかなか落ちてこない。
 巣を壊されまいと再び大蜘蛛が姿を現した。
 小明が攻撃態勢になった瞬間、マリナは背後に別の気配を感じた。
「小明様!」
 オデットを庇って身を伏せながらマリナは叫んだ。
 はっとして身をかがめる小明。その頭上を太い金棒が通り過ぎ、蜘蛛に一撃を与えた。
 振り返りざまに赤褐色の巨体が見え、再び金棒が蜘蛛に打ち下ろされるのを小明は見た。
「オーガ‥」
 歯を食いしばる小明。一度に両方を相手にせねばならないのか‥!
「違う! お嬢様じゃない! 中は獣だ!」
 巣から離れた十七月夜が叫んだ。すばやく小明と共に攻撃態勢をとる。
 しかしオーガの攻撃が効いたのか、蜘蛛は木の上に引き上げていった。今度は全員がオーガに身構える。
 オーガはそれを見て大きな頭を勢いよく横に振り始めた。両腕もぶらんぶらんと振っている。まるで子供が駄々をこねているような仕草だ。
「オワゥ‥オオゥ‥」
「なんだ、こいつは‥」
 つぶやく十七月夜。
「戦いたくないみたいなのですよ」
 オデットが言うと、それを聞いたオーガは嬉しそうに首を縦に振った。そしてしきりに森の奥を指し示した。
「ついて来いということではないでしょうか」
 マリナが言った。
 十七夜月は犬たちに目を向けた。
「犬たちも静かだ。敵ではないようだな」
 オーガはこくこくと首を振ると先に立って歩き始めた。

 オーガは大きな木の洞の中を指差した。
 覗き込んだ4人は横たわる少女の姿を見て目を丸くした。
「眠っているようです」
 小明は彼女に顔を近づけて言った。
 その気配に気づいたのか、少女は目を開いた。
「オーちゃん?」
 目をこすりながら身を起こし、自分を覗き込んでいる4人に気づいた。
 ぐるりと顔を巡らせ、
「すごーい! かっこいいー! 戦士様ぁ?」
 思わずため息が4人から漏れる。
「ミリルお嬢様、怪我はありませんか」
 尋ねる小明に彼女はかぶりを振った。
「怪我はないわ。でもお腹減った」
「じゃあ、これを」
 オデットが差し出したのは『かすていら風味の保存食』。
 ミリルは顔を輝かせた。
「おまえがお嬢様を守っていたのか?」
 十七夜月はオーガに尋ねた。こくこくとうなずくオーガ。
「オーちゃん、優しいのよ」
 もぐもぐと口を動かしながらミリルは言った。
「オーちゃんて、これ?」
 オデットが不思議そうにオーガを指差すと、ミリルはうなずいた。
「オーオーって言うから」
「お母様がお待ちです。帰りましょう」
 小明の言葉にミリルは口を尖らせた。
「あたし、もう歩きたくない」
「分かりました。私がおんぶしてさしあげます」
 マリナが苦笑まじりに言った。
 他の3人が呆れたように顔を見合わせる。
 このお嬢様は本当にわがままだ。


 屋敷に戻った4人は、泊まっていって欲しいと言うローザヴィ夫人の申し出を丁重に断り、報告のためにギルドに戻ることにした。
 思い出すとまだ失笑が浮かぶ。
「お嬢様!」
 ―パァン‥!
 村に着き、マリナの背から滑り降りたミリルはアンナの絶叫と共に彼女の平手打ちをくらったのだ。
 アンナは泣き出したミリルに動揺していたが、周りにいた誰もが彼女の行為を咎める気にならなかったのは事実だろう。
 ローザヴィ夫人などは
「皆さんにお礼をおっしゃい」
 優しい表情とは裏腹にミリルのお尻を力強くつねりあげたのだから。
「これに懲りて無茶なことは控えてくれればよいのですが」
 屋敷をちらりと振り返って小明はつぶやいた。
「そうだな。少しは周囲の苦労にも気づいて欲しいものだ」
 そう答えたのは十七夜月だ。
「あのオーガにまた会いたいって言いそうです。でも今度は‥」
 オデットはそう言い、くるりと3人を振り返る。
「お嬢様救出、以外で」
 マリナが言った。
「あって欲しいですね」
 十七夜月と小明が続く。
 やれやれというように4人は笑った。