夜回り戦隊見張るンジャー

■ショートシナリオ


担当:小田切さほ

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 35 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:04月23日〜04月28日

リプレイ公開日:2007年05月09日

●オープニング

夜の街に不安はつきもの。
 まして、京都の夜は町自体が様々な因果をはらみなにやら妖しい。
 人ならざるものも怖いけど、人の心の闇もまた、怖い。
 もろもろの欲求不満とか、どうにもならない現実への絶望とか、そういったものを弱い相手にぶつける奴らが出没する。
 京の闇を騒がすそいつらの名を、
「痴漢」
 と言う。
 彼らは困ったことに、春の訪れと共に増える傾向にある。
 多分、害虫が暖かくなるにつれ活発に作物を食い荒らすのと同じ理屈で。

 「キャーーーーッ!」
 今日もまた、乙女の悲鳴が闇を裂く。
 あ、失礼しました。
 ただ今のナレーションに誤りがございましたので訂正いたします。
 先ほどの悲鳴は珍しく「痴漢」さんのものでございました。
「暗闇から飛び出して、突然神聖な女性の体に‥‥しかも絶対聖域たる乳房を『むぎゅっ』するとは、不届き極まるわっ!」
 目つきは悪いし服装も崩れているが、まだ若いその痴漢さんの細腕をねじり上げているのは、イギリス王国出身の女騎士・レオナ=ラトクリフ。
「すっすみません、ごめんなさいっ! つ、つい出来心で‥‥彼女にフラれてむしゃくしゃしてたんでつい! 信じてください、今日が初めてだったんですぅ!」
 必死に哀願する痴漢さんの訴えには耳を貸さず、レオナは、
「大体ね、貴方のような男性がいるから、仕事の出来る女性が心ゆくまで残業も出来ず、社会経済に損失を与えるのよ、おわかり? 「夜道は危険だから早く帰らなくっちゃ」その思い込みがどれだけ経済発展の障害になることか」
「え、えーと」
 痴漢さんは視線を宙に泳がせる。が、それも無理は無い。
 レオナの信念、それは、
「強い女性は美しい。そしてその中でも
『 わ た く し 』
が一番美しいのよっ!!」
‥‥なお、この信念の中には、「男性よりも女性の方が優れている」という思いこみが内包されているので要注意である。
 というか、気が強すぎてモテないのを責任転嫁してる気配が無きにしも非ずなのだが‥‥
 なんだか理屈が通っているようでとっても強引な気もするレオナの理論展開を、痴漢さんが必死に理解しようとしている最中にも、レオナはとうとうと自説を述べ立てる。
 「いいこと? ちょっとむしゃくしゃしたからと言って女性の体をみだりに触れることでそれを晴らそうとするその短絡思考が、女性の社会での活躍を妨げ、ひいては社会全体の大きな損失を招くのよ。
 故に貴方は女性の敵、いいえ、社会全体の敵よっっ!
 自覚なさい!」
 と、自分の信念を語るだけ語ってしまうと、レオナは痴漢さんの襟髪をつかみ、歩いていたあぜ道の傍にあった用水池にぽーい、と放り込んだ。
「ふぎゃああぁぁーっ!」
 じゃっぼーんという水音と共に、なんともいえぬ悲鳴が‥‥またまた訂正いたします。痴漢さんが放り込まれたのは用水池じゃなくて‥‥考えるのも怖いので先行きます。ごめんなさい。

 ほどなく‥‥
 冒険者ギルドに依頼を持ち込むレオナの姿があった。
「えっと‥‥もう一度おっしゃっていただけます?」
 前髪姿も初々しい受付の若者は、おずおずと言った。レオナは「しょーがないわねー。まっ一般人がわたくしの頭脳の回転の速さについていけないのも無理はないわねっ」的微笑を浮かべ、一言一言を強調するように言った。
「わたくしと志を同じくする仲間を集めていただきたいのよ。つまり、夜の街を巡回し、出没するすべての『痴漢』を撲滅して、働く女性の帰途と残業を保証する熱い志を持つ仲間を! そうね、さしあたり、わたくしを含めて、
『夜回り戦隊見張るンジャー』
 とでも名乗ることにするわ」
 (「ださっ!!」)
 新人受付係の握る羽ペンがひくっと痙攣した。
「さしあたり、色違いの揃いの羽織を用意するからそれを着て。‥‥決め台詞も欲しいわね。
 『神聖なる女性の体を玩弄物に見立てる悪のやからを打ち滅ぼす、夜回り戦隊見張るンジャー参上!』とかね」
 べきっ。
 羽ペンが折れた。
受付係は震える手でずいぶん苦労して依頼掲示を書き終えたようだ。
が‥‥
 そんなことは一切知ったこっちゃない状態の得意満面のレオナが依頼を終えると、マントをひるがえし、定宿としている旅籠へと意気揚々と引き上げたのは言うまでもない。


【依頼概要】
●夜の京都に出没する痴漢さんを撃退しようという依頼です。「夜回り戦隊見張るンジャー」と名乗りながら。痴漢さんに会ったら取り押さえつつ、レオナがやったようにその心得違いを説教して諭してあげましょう。痴漢さんの今後のためにも。態度によっては赦してあげるのも可ですが、レオナが承知しないかもしれないし‥‥女性から見りゃ痴漢になっちゃった時点でアウトって意見もわりと多いですので要注意です。

 ●見張るンジャー戦隊員となった方は、怪しい奴とか敵をみたら、特撮ノリで名乗りを上げてください。おそろいの羽織をレオナが用意するらしいので、何色がいいか希望してください。
 例:「腿チラキックで男心とボディをノックアウト! テクニカルファイター・ミハルピンク!」

 ●当然、小物は個々で倒してOKですが、ボスキャラぽい強そうな痴漢は全員で、合体技(得意技を同時に繰り出すだけでもいいので、技の名前をつけておいてください。そしてその技名を叫びながら倒します)でやっつけてください。
 依頼主の趣味ですよ、多分。

●今回の参加者

 ea0314 エレナ・アースエイム(34歳・♀・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea6215 レティシア・シャンテヒルト(24歳・♀・陰陽師・人間・神聖ローマ帝国)
 ea7662 焚 雅(24歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb3848 ラーズ・イスパル(36歳・♂・ジプシー・人間・エジプト)
 eb7343 マーヤ・ウィズ(62歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ec2195 本多 文那(24歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ec2236 石田 雨竜(28歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ec2303 ロブスター・パンチ(24歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

●夜回り戦隊・熱き誓い!
 集まった冒険者達の顔ぶれを見渡した依頼人‥‥女騎士レオナ・ラトクリフは、女性5人に囲まれて黒一点といった形のラーズ・イスパル(eb3848)に目を留め、満足げに言った。
「あたくし達の活動に、一人でも男性の理解者がいるとは嬉しいわ。しかも夜の活動に備え忍装束とは用意がいいわね。貴方、お名前は?」
「ラーズ・イスパルです。でもレオナさん、いくら犯罪に立ち向かうためとはいえ、美しい方に怒り顔は似合いませんよ‥‥わたくしも貴女が笑顔で居られるよう力を貸しますからね」
 ラーズは、白い歯をキラリーンと輝かせてかっこよく台詞を並べたが、いかんせん相手が悪かった。レオナは青筋を立てた笑顔でわしっとラーズの胸倉を掴み。
「あ〜ら、では何か? 女性はいつもヒラヒラのおよーふくを着てニコニコしていろとでも言うのかしら〜?」
「いや違っ‥‥わたくしがレオナさんに少しでも男性は信じてもいい存在だと知って貰いたいと‥‥っ」
「いーえっ! 痴漢に関する限り情けは無用よっ!! それとも貴方、まさか痴漢をかばうおつもりなのっ!?」
 ゴゴゴゴ‥‥と黒いオーラを吹き上げてるレオナを、レティシア・シャンテヒルト(ea6215)とエレナ・アースエイム(ea0314)、マーヤ・ウィズ(eb7343)が慌てて止めた。
「まあまあ‥‥痴漢さんのおかげでどれほど女性が傷つくか、ラーズさんも今回の仕事で目の当たりにするうちに分かってくださることでしょう。ラーズさん、男性としては心苦しい面もあるかもしれませんが、痴漢さんに、女性は恐い存在だと教えてあげるお手伝いをしてくださいね? ‥‥ああ、もちろん死なない程度に、ですから」
 クスクス笑いながらマーヤが年の功で説得すれば、
「そうですよ、考えても見て下さい。暗がりで突如見知らぬ人間に襲われた被害者の心の傷を。控えめでも加害者の社会的抹殺は譲れないですよ」
 おっとり風のレティシアさえもが、ちょっぴり過激な意見を述べる。
「そう、痴漢そのものももちろんけしからんが、問題は被害者の心の傷なんだ。考えても見てくれ、いきなり男性の暴力をこうむった女性が、男性そのものを恐れるようになってしまったとしたら? 恋すら出来ない状態に追い込まれてしまうんだ」
 そうそう暴力に屈しそうに無いエレナまでもがそう繊細な女心を明かすと、
「む‥‥そ、そこまでは考えたことがなかったですね‥‥」
 ラーズは目をしばたたく。
「いいわね皆っ! 許すべからざる痴漢どもを、ひいては女性に不条理な暴力をぶつけようとする男性達を、『人生やり直しますっ』と言わせるほどにぶちのめしましょうねっ!!」
 がっくんがっくんと力いっぱい握手の手を揺さぶりながら、レオナはマーヤ達と(やや無理矢理気味に)熱い誓いを交わした。
「レオナさんの意見もどうかと思うな‥‥なんだか男性をボコボコにやっつけたがってるみたいなんだもの」
 と、本多文那(ec2195)は誰にも聞こえない位の小さな声で呟くのだった。

●見張るンジャー、捜査開始!
「お嬢さんたち、夜道で困ったことはありません? 体を触ってくる無頼の輩とか‥‥まあ‥‥そんな被害にあわれたのですか? それはどの辺りで?」
 マーヤが趣味の人間観察を兼ねて、茶店で甘味を楽しむ若い女性たちから話を聞きだす。
「痴漢に遭ったことってある? ‥‥あれって許せないわよね、男はみんな豚なのよ。でも安心して。報いは必ず受けさせるわ‥‥実は今度の仕事がね、痴漢退治なの。協力してくれる?」
 レティシアも冒険者養成学校の友達や、バードとして立ち寄る酒場などから情報を集める。
「どうした、今日はピッチが早いな? もしかして、夜道で嫌な目にあったんじゃないか?もしや痴漢とか‥‥やっぱりそうか。よし、嫌なことは全部吐き出してしまえ。そしてじゃんじゃん飲んで忘れるんだ。私もとことん付き合うぞ!」
 エレナは生業である酒場店員の立場を生かし、憂さ晴らしに酒を飲みに来る女性達から話を聞き出し‥‥ついでに酔い潰した(マテ)。
 こうして情報を集めていくと、立ち木と廃屋に挟まれた細い道に、よく痴漢が出没することがわかった。痴漢が身を隠して待ち伏せしやすく、ひどい奴は廃屋に連れ込んで暴力を加えるらしい。
 レティシアが囮を志願した。
「さすがレティシア‥‥『最後の盾』の称号に恥じないわっ!」
 とレオナが大喜び。心配しろ。
 レティシアはレオナから、やや挑発的な衣装を貸し与えられ、夜道をうろつくことに。もちろん、彼女以外のメンバーは、いつでも飛び出せるように「夜回り戦隊」の羽織を着て廃屋の影に潜む。
 白い太腿がはみ出す程短い皮製のスカートと、胸の谷間がちらつきそうな胴衣を着て、恥ずかしそうに歩くレティシアの後姿を見守りながら、
「あたいも、大人の色香とかを使えるようなぼんきゅっぼんなぼでえなお姉様だったらいいのじゃが」
 焚雅(ea7662)が自らの発展途上の胸に手を置いてため息をつく。
「そんな、男に媚びるような存在にはならんでよろしい!」
 レオナが叱り飛ばした。
「しっ、今木陰で何か動きましたよ!」
 ずば抜けた視覚を持つラーズが低い声で注意した。確かにレティシアの背後から、忍び寄る影がある。彼女の華奢な腕を、後ろからがしっと掴み、胸を揉みにかかる不逞の輩。
 レティシアは怯えて立ちすくむ様子を装うが、目でしっかり仲間達に合図を送っている。
 夜回り戦隊、出動!
「おやめなさい、女性には親切にしなくてはいけないんです。その様な蛮行は私たちが許しません」
 と、先頭を切ってラーズがぐっと痴漢氏の腕をつかんだ。
「ふぉ!? な、なんだお前達はっ!」
 揃いの羽織と、揃いの鉢巻‥‥共に7色の色違い‥‥に身を固めた人影に驚く痴漢氏。
「じゃじゃっと参上! りりかるまじかるくノ一レッド! なのじゃ☆」と雅。
「いつも前向き見習い志士、脱いだら(何を?)凄いアヤナイエロー!」と文那。
「ご近所の女性の平和を護る夜回り戦隊、サイレントグリーン・ラーズ」とラーズ。
「異国のバードさんがお月様に代わってお仕置きよっ! ムーンパワー・プリンセス、ミハルブルー! ‥‥うぅ」と(赤面しつつ)レティシア。なぜか右腕に左腕を交差させたポーズである。
「いつも心に勇気と酒樽! 希望の戦士・ミハルホワイト!」とエレナ。
「白銀に輝く髪をなびかせ裁きを下す者、シルバーウィズ!」とマーヤ。
「そして働く女性と美少年の味方、ミハルパープル!」とレオナ。
「7人揃って、『夜回り戦隊見張るンジャー』っ!」これは7人声を揃えて。
「ま、待てっ! 戦隊というなら、なぜ名乗り方が微妙にバラバラなんだ!?」
 まあ確かに打ち合わせ不足により、6人の名乗りは統一されていなかったのだが。
「名乗りはバラバラでも、女性を弄ぶなんて許せない気持ちは一つです! 「ふわふわナックール!」」
 驚きに力の抜けた痴漢の腕を振りほどき、振り向きざまにレティシアが子猫のミトンとふわふわぐろーぶをはめた手で、パンチを放つ。
アイテムのせいで「ほわんほわ〜ん」な感触で、痴漢の顔も「ほわん」と脱力状態。そこへ、レオナが思いっ切りの平手打ち。
「何和んでるのっ! まず彼女に謝りなさいっ!」
「うわ、何をするんだ女の癖にっ暴力振るうなんて!」
 痴漢さんはうろたえて、いらぬことを言ってしまった。バキッ、とエレナが指を鳴らした。
「ほほう‥‥女の癖に、と言ったか? お前こそ女を貶める資格もないと体で思い知れ!‥‥カメロンズ・キーーック!」
 がしっ!! 痴漢氏の顎に見事な前蹴り命中。このエレナの華麗な蹴りを称え、後に同名の酒が開発されたという‥‥噂です、噂。
「わわっ!?」
 逃げようとする痴漢に、文那がしゃきーん! と日本刀を抜いた。
「卑怯者は許さないっ! 必殺アヤナブレイド!」
 まだ初級の腕前とはいえ、若いだけに勢いが凄い。ぶーんと迫り来る刃に痴漢は腰が抜け、
「だっ、だずげで‥‥」
 よれよれ状態のまま、一番年かさでもあり、落ち着いて微笑を浮かべつつ状況を見守っていた、一番物分りよさげな(風に見えただけだが)マーヤに、すがりついた。
 ‥‥だが、とことん日ごろの行いの悪い痴漢氏と見え、マーヤの熟れきった乳房にその指がかかってしまい。マーヤが聖女のごとく微笑んだ。
「まあ、こんな年上の女にそんなことをするなんて、物好きな痴漢さんもいるものだこと‥‥破廉恥な痴漢者に捌きの砲を! グラビティーキャノン!!」
 ドガガガッ!
 ‥‥痴漢氏、ご臨終です。
「すばらしいわっ! このことが噂になって広まれば、正義のヒーローを恐れて痴漢はいなくなるわね」
 レオナが拍手しつつ、皆の働きを称えた。
「その通り、どうだ正義の鉄槌! ‥‥ってだから私はヒーローでもお兄さんでもなくてヒ・ロ・イ・ンだ!」
 ちょっぴり赤面してエレナが強調した。
「っていうか‥‥このハデハデな羽織、もう脱いでもいいですか?」
 レティシアはレオナの熱い志には共鳴しつつも、ちょっぴりワンダーなセンスにはついていけない風情であった。
 今回は参加した冒険者達の多忙により合体技が開発できなかったが、「夜道を見回る七色の正義の味方がいるらしい」との噂で、かなり痴漢の出没が抑えられた。
またそのためか、さらなる暴力に訴える凶悪な痴漢‥‥いわば「ボス格」の痴漢‥‥と対決する機会はなかった。
依頼期間満了を持って、「夜回り戦隊見張るンジャー」は一時活動停止となった。
「次の機会までに、お互い鍛錬を怠らず、次こそ華麗な合体技を完成させましょう!」
 とレオナはやけに熱く、ぶんぶんと握手を交わしたのだった。

● つはものどもが後始末
 残る仕事は被害にあった女性達のケアと、痴漢氏の更正だった。これもまた、それぞれの特質を生かして‥‥
 レティシアは痴漢の被害者達に、
「このあたりに痴漢はもう当分出ないわよ。正義の味方が懲らしめてくれたから」
 と語りかけ、春のそよ風を思わせる旋律をメロディーの魔法で奏で、安心感を与えた。
 さて、痴漢氏はといえば、生死の間をさまよった挙句、傷の痛みに自分の罪を思い知ったのか泣きながらざんげしてきた。
 ラーズが同性のよしみか、倒れた痴漢氏を介抱しつつ、
「貴方は好きな方はいないのですか? もしその方に貴方のような痴漢行為をした者が居たとしたら彼方は如何思いますか? その様な者は許せないですよね。その事がわかればもう出来ないでしょう? 理解出来なければわたくしがその不埒な腕を落として差し上げます覚えて置いてくださいね」
 と、説いたこともあって、心から自分の痴漢行為を後悔したのだという。
 レオナは、
「いまさら泣いて詫びても罪は消えないのよっ!」
 と不満げだったが、マーヤは人生経験からくる貫禄でゆったりと告げた。
「でもね、レオナさん。いい女は厳しいだけでもないでしょう? ‥‥この人にはもう一度機会を与えて見ませんか」
 優しく許したのち、女性をいかに扱うべきかを教え諭した‥‥そりゃもう、ビシバシと。
 エレナはといえば、痴漢の被害者達を行き着けの酒場に招待し、
「一緒に飲めば皆仲間だ! 仲間がいれば男もモンスターも怖くはないっ! 被害に懲りず恋も仕事も前向きになろうではないか」
 と盛り上げて‥‥全員酔い潰したのであった(マテ)。