男前美女を探せ!
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■ショートシナリオ
担当:小田切さほ
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 39 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:04月30日〜05月03日
リプレイ公開日:2008年05月17日
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●オープニング
その日、京都の冒険者ギルドを訪れたのは、お年頃の乙女‥‥の集団。
年頃の女性とくれば一人ひとりに向き合うなら好ましいのだが、集団になると一種異様なパワーがあって、受付係も一瞬引いた。
しかもその乙女集団、全員が全員、なんか夢見るような瞳をしており、一種の高揚状態にあるっぽいので、なおさらである。
やがて、代表格らしい三人がしずしずと進み出た。
「依頼を申し込みさせていただきたいの。よろしくて?」
「あ‥‥はい」
よろしくても何も、ここへ来りゃ依頼しかないでしょうと内心ツッコミつつ、受付係。
すると、桃割れに結い上げた黒髪も初々しい、14〜5ばかりの美少女が微笑み。
「私たちは、男装美女のゆかしさ美しさを研究し、日々探求している「すみれ会」と申しますぅ。
盛り上がるべき部分を晒しで締め付けた抑制の美、余計な装飾を排した省略の美、つまり男装美女こそ究極の美!!
‥‥というのがわが会の信念なのですぅ。
あ、私は実行委員のちとせと申しますぅ」
「‥‥はあ。実行委員‥‥」
「活動内容としましては、京都在住の男装美女のリストアップと、ファンクラブなどの支援活動。時には「いんたびゅう」を瓦版風にまとめ、会員に配布などいたして好評を得ておりますわ。
ちなみに私達のチェックリストには冒険者の方も大勢登録されておりますの。
あ、わたくし、「すみれ会」書記・水穂と申します」
と、人妻風の理知的な二十代の女性が説明。
「今の春、私達すみれ会は結成1周年を迎えるのよ。そこで記念式典として、
『男装美女コンテスト』を実行しようと思っているの。
ついては冒険者の皆さんにも、出場していただきたいのよね。
‥‥女性はもちろん出場者として。
審査員や男装着付けのお手伝いに、男性の冒険者にもご協力いただきたいの」
と、熟れた体つきも艶っぽい三十台の女性が流し目を送る。
居酒屋の女将か、芸妓といった仕事でもしていると思しい、素人離れした色っぽさの女性である。
彼女は「すみれ会」会長・常葉(ときわ)と名乗った。
「もちろん、優勝者には豪華商品を差し上げますぅ☆」
「依頼掲示、よろしくお願いしまーす」
と頭を下げる「すみれ会」の皆さんは、もはや理想の男装美女が目の前にいるかのごとく、ほややん☆と瞳を宙にさまよわせるのであった。
依頼を済ませてきゃっぴきゃっぴと去ってゆく「すみれ会」の皆さんの後姿を見送りつつ、きわめて健全な男性たる受付係は、呟く。
「‥‥何だ、あのみょーな熱気‥‥?」
その呟きは、春の風に儚くかき消されてゆくのであった。
●リプレイ本文
乙女とは、ある意味デビルよりもはるかに恐ろしい存在だと、誰かが言った。
「皆さぁん、鳳様、柳様、エレナ様がいらっしゃいましたわ!」
水穂の言葉に、既に会場で待ち構えていた乙女達が黄色い声を上げる。京都在住で男装の機会が多い女性冒険者は既にほぼ全員「すみれ会」にチェックされていたらしい。
「おかしな依頼が出てると思ったら、キミ達だったんだ」
所所楽柳(eb2918)は見知った顔を見つけて苦笑する。以前にも「すみれ会」の連中につけまわされたことがあったらしく。
「柳様、ふぁんくらぶ公認の件、ぜひこの機会に前向きに‥‥」
「それは困るよ‥‥悪いけど、あっ、泣かないで」
「何やら独特な雰囲気だな。気づいてみれば、妙な熱気に押されて入ってしまったが‥‥」
と、冒険者ギルドの受付嬢あたりに懇願されて出場したらしいカノン・リュフトヒェン(ea9689)は呟く。
「まあまあ、男装美女のコンテストなんて、誰が考えたのかしらないけれど、楽しそうだから精一杯楽しみましょう」
むっちりボディを晒し等で抑え、男性用礼服を着込み妖しい色気を漂わせたユリヤ・エフセエフ(ec4830)は余裕の笑み。カノンとユリヤはハーフエルフだが、それぞれウィングドラゴンヘルムと髪で耳を隠し配慮しているのはさすが。
「まあ暗い話題の多い昨今、こういう仕事も大事と思って尽力するまでだな」
来迎寺咲耶(ec4808)が頷く。本来艶っぽい容姿の彼女だが、若衆髷に結い上げ晒しで胸を押えてあるためか、魔物が美しい若者に化けてきたような、濃い〜色気が漂う。
が、「男装美女コンテスト」と聞きつけて小鳥遊郭之丞(eb9508)が不機嫌になった。江戸から所要で京に来てみれば、美女比べの噂。夢想流の使い手たる郭之丞だが、ひそかに乙女らしいものに憧れており、京都ならば知り人も少なかろうと応募したのだが、男装美女コンテストと知り、がっかりしているのだ。
「やはり私は、このような場所に出てくるべきではなかったようだ」
帰りたそうにする郭之丞を、
「いいえ、その凛々しさを埋もれさせてはいけませんわ!」
乙女達がこぞって引き止める。
「そうとも、めったにない機会だし、楽しむが勝ちさ」
とエレナ・アースエイム(ea0314)。彼女の場合、どっちかというと閉会後の打ち上げ(酒)が楽しみなのはあきらか。
さていよいよコンテスト開会。審査員の常葉たちに並び、紅一点ならぬ黒一点の和久寺圭介(eb1793)がコメンテーターとして席を占める。
まして圭介は色男とあって、羊の群れに狼が飛び込んだような、食い放題の状況じゃないかと思われそうだが、実情はどうかというと。
「圭さま、開会のコメントをお願いしますわ」
とか言いながら常葉がさりげに肩に手をかけたり。
「滅多にない機会だからね、贅沢な事だと思って楽しませて頂くとするよ」
微笑しつつこれまたさりげにその手をはずす圭介くんだが、すると今度は
「お茶でございますぅ」
とか言いながらちとせがもたれかかってきたり。それもさりげなく避けると、三人はひそひそ相談を始めた。
「ねぇ、男装の麗人の皆様もすばらしいけれど、圭様の女装って見てみたいと思わなくて?」
「まあ、常葉さまったらステキなご提案。萌えますわ〜」
「‥‥聞こえてるよ、君達」
まあそのなんだ、言わば食うか食われるかのスリリングな状況。
くじ引きで決まった順番に従い、トップにクールビューティ・カノンが出場。出場者は各自共通課題と自由課題で自己PRを見せる。共通課題は「酒場で客同士の喧嘩に遭遇した際どう対応するか」。
「貴様ぁ!」「上等だ、表へ出やがれ!」
舞台上で迫真の酔っ払いバトルを展開するのは、すみれ会から依頼を受けた役者達。さてカノンの対応やいかに!?
「他の者に迷惑だ、やめよ!」鞘のままの聖剣をドン! と床に打ち付けて叱咤する。が、それでもやめない酔っ払い。剣が流れるように動き、酔っ払いの喉元に突きつけられた。
「目障りだ、立ち去れ。‥‥二度とは言わぬぞ」
無駄のない動きと台詞、抑えた声に乙女達のため息が漏れる。続いての自由演技は、剣の演舞。スマッシュEXの動きを披露してカノンは舞台を降りた。早足で駆け去る背中で、漆黒のコートが翻った。
すかさずちとせがお茶を差し出す。
「あの‥‥演舞、素敵でした。もっと拝見したかったですわぁ」
「ありがとう。来た以上は、と頑張っては見たが、やはりこう衆目にさらされるというのは落ち着かなくてな」
ハーフエルフの宿命を負うカノンは寂しげな微笑を浮かべ、乙女達のハートをきゅんきゅんさせ‥‥い、いかん、鼻血が。落ち着け記録係。
続いて、江戸からの刺客(?)郭之丞登場。喧嘩遭遇の課題に挑む。男装美女比べという心構えがなかったため、
「ええい、大和撫子たる者内面で勝負だ。普段着で構わぬ!」
なんていっていたのだが、すみれ会メンバーに無理やり男性用礼服を着せられ、もとより赤面症なため頬がばら色で初々しい。
「江戸から参った小鳥遊 郭之丞だ。好きな物は甘味と可愛い‥‥コホン、好きな物は特にない。嫌いな物は風紀を乱す者。昨今は西洋の影響か、妄りに殿方を刺激するような服装をした者や、人目を憚らずいちゃつく男女が目に付く。お集まり頂いた御婦人方には、今一度大和撫子とは如何様にあるべきか思い起こして頂きたい!」
熱く風紀について語り、自由課題披露の時間が減ってしまい、居合い抜きを披露するにとどまってしまったのは残念。
さて共通課題。喧嘩に果敢に割って入る。
「周りに迷惑を掛けるとあらば喧嘩両成敗だ、問答無用!」
「なんだとてめぇ! ‥‥おごっ!?」
対する郭之丞が熱いため、つい役者も熱くなってつかみかかってしまい、本気のスタンアタックを食らうハメに。役者一名が気絶し、以降交代。
続いて日本酒を引っさげ男前美人利き酒師エレナ登場。ノリのいい彼女は「レオン」という源氏名まで用意して、乙女達を騒がせまくる。
「レディの皆様、私レオンが乙女の心を癒す美味しいお酒をチョイスさせていただきました。お酒が苦手なお嬢様には飲み易い弱めのお酒も容易してありますので、今宵は共に素敵な時間を過ごしましょう」
酒に花びらを浮かべて薦めたりなんかして、金髪をかきあげて微笑。へぶっ‥‥べ、別に記録係はヨダレなんか垂らしてないんだからねっ。
「どうしましょう、レオン様のお酌だとつい飲んでしまいますわぁ〜」
「ってゆーか私、レオン様の酒杯になりとうございます」
乙女達は酒を飲み干しては、桜色に染まった顔でうっとりとエレナにまた杯を差し出す。利き酒師たるエレナの面目躍如といったところだが、乙女達もまた酔ったふりしてしなだれかかるチャンスを逃さない。乙女とは結構狡猾なナマモノである。
次は共通課題。おもむろに暴れる男の襟髪を掴み、座らせて、
「こらこら! 待たないか。酒場は楽しく飲むところだ。何があったのかは知らんが、暴れていては君たちだけではなく他の客も楽しめない。せっかくの酒の席なんだ、美味しく食べて楽しく飲んで、腹を割って話してみたらどうだ? 何なら私も付き合うぞ?」
問答無用で酒をどぷどぷと注ぐ。なぜか断れずに飲んでしまい、役者が酔いつぶれてまたも交代する騒ぎ。
「皆様とても個性的な男前ですわね。圭様、コメントをどうぞ」
と、水穂。
「そうだね‥‥人によってある程度の相違はあるとしても、私は言動、行動において気軽さや余裕があると好適だと思うね。酔った人間に理屈は通用しないし‥‥実際問題、難儀なものだからね」
とエレナにしなだれかかる酔いどれ乙女達をやんわり視線で制止する。
「参考までにお聞きしますが、圭様には婚約者がいらっしゃるとのこと。もし婚約者の方に別な女性が圭様の愛をめぐって決闘を申し込んだら、どう仲裁されます?」
「ノーコメントだね(爽笑)」
蝶のように舞い、川のように右から左へ受け流すコメンテーターであった。
次の出場者は赤い髪の新星・咲耶。
共通課題では、男二人の頭をがっしと抱え込み気さくなおかつ姉御肌風にびしっと言い渡す。
「何があったか知らないし興味もないけど、あんたらここにわざわざまずい酒を飲みに来たのかい? 殆どの人間はここに美味い酒飲みにきてんだ。まずい酒が好きならよそへいく、美味い酒が好きなら喧嘩する事はない、違うかい?」
「へ、へい‥‥い、今は、喧嘩どころかなぜか幸せな気分です」「俺もっす」
晒しで押えてあるとはいえ、柔らかな胸に抱え込まれて男二人は魂が抜けかけたようにほやーんとなっている。恐るべし谷間効果。
自由課題は、
「桜にちなんだ出し物でもと思ったけれど、目の前にこんな綺麗なすみれが咲き誇ってたんじゃ、いくら桜でも霞んでしまいそうだね。お題の出し物も済んでるし、ここは潔く散る桜らしく、飽きられる前に退散しようか」
すみれ会の面々をうまくおだてて、あっさり舞台を降りる。
「あぁん、咲耶さまぁ〜!」風のような去り際に、乙女達の哀惜の声。
続いて新撰組の隠れた麗人・鳳が登場。
「私の名は氷雨鳳(ea1057)‥‥新撰組十番隊隊士だ」
髪をきりりと一つ結びにし、豊かな肢体を晒しで押えて真青の鎧姿。まずは共通課題。座ったままで鳳が声を投げる。
「良い大人がこんなところで騒がしいな‥‥そんなに遊びたければ私が遊んでやろう」
「なんだとう!?」
色めきたつ酔っ払い。鳳は動かず、ただ親指で剣の鞘をわずかに持ち上げて一言。
「だがその身その魂、朝日が拝めなくなる覚悟ができているのであろうな‥‥?」
一分の隙も無し。酔っ払い達は気おされて動くこともならない。その身に積まれた修練と「気」の差というものであろうか。続いての自由課題、愛用の横笛を取り出し静かに一礼。
「今回は皆さんに楽しんで頂けるよう、一曲奏でようと思う‥‥」
やがてその唇から澄んだ音色が流れ始め、審査員席で、常葉と水穂がささやき合う。
「まさに文武両道の男前ですわね」
「ってゆーか私、鳳様の横笛になりとうございます」
で、出来れば記録係も‥‥いやなんでもない。
続いてユリヤが舞台上に。男性用礼服一式をきちりと着込み、ウィンク一発。
「お嬢さん方、気軽にユリーと呼んでくれな」
銀の髪に碧い目、長身でクールそのもののユリヤだが、意外とお茶目なのか終始なりきって演技。
酔いどれ相手の共通課題では、つかつかと歩み寄って肩をぽんぽん。
「ま、無駄な喧嘩はやめときな。僕が一杯ずつおごってやるからさ、この酒に免じて‥‥」
爽やかに仕切る。続いての自由課題では、理美容の手腕を披露するとて、すみれ会のメンバーの一人に声をかけ、舞台に引き上げる。
「そこのお嬢さん、首筋の後れ毛がそそるね。でも違う髪型も試してみたくないかい? 今よりもっと綺麗にしてあげようか?」
「きゃっ、わ、私?」
はしゃぐ乙女の髪をほどき、束ねて巻いて、シンプルだが粋な兵庫髷に結う。ユリー、碧い目でじっと乙女を見つめて一言。
「‥‥綺麗だよ」
「あ‥‥あ‥‥ほあぁ‥‥」
乙女一名、頬を染めて幸せそうな表情のまま石像状態で硬直したため担架で運ばれ退場。ユリーは颯爽と手を振り歩き去る。‥‥ほあぁ‥‥い、いかん、記録係、仕事放棄するとこだった。
そしてラスト、柳が舞台に。共通課題では、涼しげに笛を奏でつつ、微笑と共に観察。だが、暴れてるうちに、役者たちが本気の喧嘩になってしまい。
「何すんだ!」「やかましい!」
すっと柳が動いた。鉄笛が唇から離れ、殴りかかろうとしていた酔漢の拳をぴたりと押さえ込んでいる。
「曲のタネになるかと、観察させてもらっていたけれど‥‥これ以上雑音に、調をかき消されたくないからね‥‥借りを返すよ」
「な、何しようってんでい!」
「大丈夫、店も人も、そしてこの笛も汚したくないから、血を流すことも流させることもしないよ」
微笑と共に鉄笛一閃。
「ひゃはっ!?」
はらり。鉄笛が酔漢達の帯を解き、帯ひろはだかの酔漢達は慌てて逃げ去る。
自由課題では無駄のない細身の体がしなやかに、涼やかに舞う。バーニングソードで鉄笛の先に揺らめく紅炎をまとわせ、黒いコートに青いスカーフだけのシンプルな装いと見事に対照させる。笛の動きを追いやすくするようにとの配慮もあって、日が傾き始めた夕映えの中、蛍を見るような幻想的な雰囲気を感じさせた。
乙女達の拍手が上がる。
「やはり柳様は優しくて強い頼れるお兄様といった雰囲気で憧れてしまいますわぁ」
「いーえ、豪放磊落なエレナ様こそ男前美女の鑑ですことよ!」
「あら、カノン様の憂いを含んだ魅力こそ、男装美女の真髄、抑制の美ですわ」
「鳳様よ、鳳様! 物静かで動じずそれでいて誠に溢れたご様子‥‥ため息ものですわよ」
乙女達が瞳を潤ませ延々と論じ合う。つか、早よ審査せい。圭介が咳払いで乙女達のとめどない議論に釘を刺す。
「さて、一番を選ぶのももったいないが、そろそろ結論を出すとしようか。いずれの男前美女も、女性特有の華やかさは失われないのだから実に素晴らしいものだ」
と自身華やかな色気漂う微笑で場をまとめた。
「はい、では投票、開始〜」
さて気になる審査結果は!!
●最優秀男装美女賞‥‥カノン
●優秀男装美女賞‥‥鳳、柳(同数票)
次点‥‥ユリヤ、咲耶、郭之丞
※ 集計不能‥‥エレナ(ファンが大半酔いつぶれた)
演舞があればいい線いってたはずの咲耶、郭之丞は「次こそぜひ演舞を見せてくださいませえ」と乙女達にせがまれる。
「次、あるの?」
「やりますぅ! やってみせますぅ!」
と、宣言する鼻息荒いちとせ。
いけてる男装と裏腹に、女らしいセンスと気遣いを見せたユリヤも注目の新人として人気急上昇中。
でもって、会場が料亭なので、そのまんま場所を変えずに打ち上げに以降。
「柳様ぁ〜葛餅を作って来ましたの。いかが?」
「やあ、ありがとう‥‥水穂嬢」
「いいえっ、私の落雁が先よっ!」
と水穂とちとせが柳を奪い合う傍らでは、鳳を囲んだ乙女達が、鳳が婚約者と結婚する日を思ってさめざめ涙を流し、鳳を困らせている。
その片隅で、レオン様の返杯を奪い合い、乙女同士が血を見る程の喧嘩中。
「わらひが頂きまひゅ! ヒック」
「いえ、わらくひ! ウィッ」
そして黒一点の圭介はといえば?
「圭様ぁん、すみれ会の特別顧問に就任してくださいませんこと?」
「ん? お誘いは嬉しいが‥‥この会は女性限定ではなかったのかな?」
「ですから女装していただきまして‥‥お化粧と着付けは私が」
常葉と、乙女軍団が妖しい瞳で迫る。危うし圭介!
さしも色男の圭介も、婚約者がいることとて、スリープの魔法をかけてからがら脱出したとか。
乙女とは、ある意味デビルよりもはるかに恐ろしい存在だと、誰かが言った。