啓蒙チラ見せ研究会

■ショートシナリオ


担当:小田切さほ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月06日〜10月11日

リプレイ公開日:2008年10月17日

●オープニング

 【研究会参加規則】
 壱、定められた議題に従い、必ず一人一意見は出すべし
 弐、研究には、必ず実験を伴うべし
 参、研究成果は、とにかく公表しまくるべし
  


「それでは、研究会の開会を宣言いたします」
 ここは、とある料亭の奥の間。司会進行役の凛とした宣言が響き渡る。
 「コ」の字型に整然と並べられた机には、真剣な面持ちの人々が座っている。
 出席者には女性が多いようだが、男性も活発に意見を出しているようだ。
「すでにご承知のとおり、本日の議題は『秋に向けてのチラ見せの技法について』です。
 薄着が通用する夏と違い、秋になると露出度はどうしても控えめになってまいります。そこで、いかにして上品かつ大胆に「えろ」を演出するかが問題になってまいります。

 本日も『チラ見せ』についての議論と実験を活発に行い、世の文化に貢献いたしましょう!」
 と司会者の女性は弁舌さわやかに言い切る。
 そんなもんが文化に役立つとはついぞ聞いたことはないが。
「はい」
 一人の人妻風の女性が挙手をした。
「ご意見をどうぞ」
「はい、私はやっぱり谷間だと思います。襟の合わせをちょっと緩めて風通しをよくするのがコツです」
 と腰をかがめてみせれば、胸のふくらみが重量で布地を圧迫し、はりつめた白い肌との間に深い谷間を作る。
 そこで、うら若い女性から反論の声があがった。
「谷間は一部の恵まれた人たちの武器です。わたくしたち貧‥‥いえスリムな女性は、帯の締め方をとんぼか文庫にしてキュッと引き締まったおヒップを強調いたしますわ!」
「いや、僕たちの世代としては、谷間よりもむしろ襟を抜いてうなじから肩にかけての線を見せてもらいたいですな」
 口を挟んだのは、上品な紬を着こなした壮年の男性。
「一理ありますね。では男性陣のチラ見せテクニックについて、ご意見は?」
「はい、男はやっぱ褌ッス! 走ったときにチラッチラッと褌の色が見えるように、下着は真冬でも半襦袢ッス!」
 と、勢いよく語る若者に、熟年女性が諭すように言った。
「それは季節感を軽視した行為と思われます。太ももチラ見せは夏の風物詩ですわよ。秋にはふさわしくござーませんわ」
「いえ、女だってやっぱり男の太ももが見えたら悪い気はしないわ!」
「そうよ、引き締まった太ももを晒して走ってくれる男性はサービス精神旺盛で好感が持てます」
 女性出席者がかしましく反論する。
「ちょっと待ったあー! 下着を見せればイコールせくしーというのは短絡思考である! 男のせくしーは筋肉たるべし!」
 と袖をまくって「ふむっ!」と力瘤をみせつけるのは、ジャイアントの若者だ。
「そこの貴方。ご意見をどうぞ」
 司会者は隅にいる出席者を振り返った。
 この会合、何を思ったか冒険者を手助けに募集していた。隅にいたのは、まさにその冒険者だった。
「は」
 他の出席者たちが意見を戦わせている間、場違いなところに来ちまった、と全身で戸惑いを表現していたその冒険者は一瞬息を呑む。
 しかしそこは冒険者。いかなる状況も切り抜けて見せるという決意を固めたらしく。
「貴方なりの『チラ見せ』あるいは『えろ』について語っていただけますか」
 司会者のフリに、うなずき、口を開いた。
「それはですね‥‥」
 冒険者は、語り始めたーーー

●今回の参加者

 ea9502 白翼寺 涼哉(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)
 eb2404 明王院 未楡(35歳・♀・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb2919 所所楽 柊(27歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 eb6553 頴娃 文乃(26歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ec5265 桜司院 左近(29歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)
 ec5660 藻豪 すう(35歳・♂・忍者・河童・ジャパン)

●リプレイ本文

 司会者である女性が澄んだ声を張り、冒険者たちを紹介してゆく。
「本日は冒険者の方々をお招きし、秋に向けてのちょいえろ談義をお送りして参ります。それでは医療活動に従事される一方で、褌評論家としても著名な白翼寺涼哉(ea9502)先生のご意見を伺いましょう」
 咳払いを一つして、部屋の中央あたりに席を占めていた涼哉がおもむろに立ち上がる。
「あー、では俺からは三十路漢のチラリズムについて語ろうと思う」
 褌という言葉を聴いて、壮年の出席者が眉をひそめた。
「しかし、白翼寺先生ほどの方があまりに大胆な露出をされると、青少年への影響が懸念されますな。無差別エロ行為への暴走とか」
 しかし涼哉は動じず、愛用の扇をぱちりと開閉しつつ、理路整然と切り返す。
「まずこれだけは言っておく。露出だけで色気出す時期は終わった。これからは内面磨かんとな。‥‥つまりだ。褌でいえば、ただチラつかせることが重要なのではない。たとえば配色でセンスを魅せる。秋の長着は濃色を選ぶ事。補色効果で肌の色を際だたせる事が出来る」
 出席者たちが感銘の表情で深く頷いた。 
「長襦袢は褌の色を引き立てる事だ。着流しの時は前垂れを垂らす訳だな。‥‥俺の長襦袢の色を見てくれ」
 ひらりと無造作に着物をめくれば、長襦袢は草色。竜胆色の着物と半襟の赤と、古の竜胆襲にも似た優雅な対照を成している。
「こ、これは」
「さすがは白翼寺先生、心憎い配色の妙ですな」
 人々は感嘆の声を上げる。いっそのこと全部脱いでくれんかなーという期待に満ちたささやきも混じっていたようだが。
「そ、その下の、ふ、褌はいかがな配色になっておられますの?」
 若い女性が頬を染めつつも挙手とともに裏声で質問。
「もちろん褌の配色にも気を抜いとらん」
 ほれっとばかりに涼哉が着物のすそを自ら割る。
「ひいぃ〜っ!」
 女性たちから悲鳴が上がるが、褌を見せられた憤慨の声にあらず、配色センスと引き締まった腿を魅せられた歓びの声である。人々は竜胆の衣の下から、純白に紅葉を散らした典雅なる褌という、配色の妙と見えぬ部分にこそ季節感に気を配る文化的配慮に完全に魅了されていた。多分人々の大半は、さらにその下をめくったらどんなに鮮やかな配色になるんだろうと想像‥‥いや、なんでもない。
 満場の拍手と共に、涼哉は再び座した。
 次に意見を求められたのは、所所楽柊(eb2919)である。
「白翼寺先生、ありがとうございました。続いて冒険者さんの深遠な美意識を聞いて参りましょう。所所楽柊さんは、えろと美についてどのような持論をもっておられますか?」
「そんな大層なもんじゃないんだけどな。ここに出席したのは、面白そうって〜理由じゃだめか? 俺が自分で美を追求しようとしても、正統派には‥‥ちぃと無理があるしなぁ?」
 と笑いながら立ち上がる。
 さすがに今日の柊は牡丹模様の小袖に若草色の帯を可憐な文庫結びに結い上げ、いつもより格段に女性らしい。ぽきぽきした男性的な物言いとその姿とのアンバランスに、女装の美少年みたいな倒錯的な美を感じると、通な出席者は語っていたものだ。ちなみに柊本人に美少年趣味はないらしい。
「秋って〜と肌出すにも肌寒くなってくるから、重ね着をするな。
 気候の読みを外してつい多く重ねちゃったり、どこか屋内に移動したら急に暑くなったり‥‥そういうときはあれだ、羽織やら、脱ぐよな?
 脱いだ瞬間に下の衣が着崩れたり、その着崩れを直す仕草っていいな、って俺は思うんだが‥‥」
 相変わらずの少年ぽい口調で説明しつつ、柊は持参した羽織を着込み、続いて脱いで、そのつど衣服の乱れを直す仕草を披露する。
 ほおっと周囲から吐息が漏れたのは、柊が羽織を脱ぐ際、いつもは猫背気味な背中をぐっと伸ばしたため、ふくらみが意外に豊かなのが見て取れたせいだ。次いでうつむいて広がってしまった着物の合わせ目を寄せる際には、鎖骨がちらりとのぞき、細身の体のしなやかさを想像させる。
「た、確かにこれはいやら‥‥いや、素晴らしい」
 研究会の面々が息を呑んだ。
 だが、そんな周囲にはおかまいなしといった様子で、柊はさばさばと続ける。
「で、立ち上がった時に緩んだ帯を締めなおすとかだな」
 続いて、くるりと背を向けて、柊は帯を締めなおすしぐさをする。文庫結びの下のおヒップが、帯の締まりと共にきゅっと強調され、出席者たちは息を呑む。
「おお、まさに稲光のきらめきを見るがごとき瞬間の美っ!」
「チラリズムにおける一大ジャンル、『ナマ着替え』の重要性を再認識させられましたな」
 侍と思しい、身なり正しい若者が囁きあう。
 「では、桜司院先生。今までのチラ見せについて、まとめていただけますか」
 司会者は、ふいに隅っこの席にいる冒険者に意見を求めた。
 やせぎすの体と表情に知性を漂わせたその男は、先ほどからしきりに冷や汗をぬぐうような仕草をしていたのだが。
「は」
 やや神経質そうなその男ーー桜司院左近(ec5265)は息を呑む。が、いかなる事態も乗り越えてみせるという決意も露に、男は意見を述べた。
「あー私が思いますに‥‥着物の色目合わせによって、視覚に色気を訴える事は可能かと存じます。
例えば‥‥着物の裏地に凝ってみるとか‥‥風に靡いた際に見える裏地に風情を感じますね」
「なるほど、ではどちらかというと先生は『下半身えろ重視派』でいらっしゃる?」
「そ、そういうわけでなくて、風に煽られた裾を慌てて押さえる女性のたおやかさも‥‥良いものですよね。私はあくまで肌の露出を期待するものではなく、仕草の美しさを重視しているわけで‥‥視覚的効果という観点からなら、腰巻の色柄に凝ってみるのもよろしいかと存じます」
(「何故私が下着の話なぞしているのだ!何と恥晒しな‥‥!」)
 内心忸怩たる思いを抑えつつ、桜司院は表面上、分析的口調でなんとか意見を述べた。
 チラ見せのちょいえろのというのは桜司院の理解を超えた世界であった。
(「これも学問と呼べるのだろうか‥‥実体験も学問のうち、と思えば‥‥思えぬ、思えんぞ!
だ、だが‥‥これは依頼だ、依頼なのだ…遂行しなくてはならない事なのだ‥‥!」)
 男、桜司院左近はひたすらに耐えた。
 一方、そんな彼の思惑をよそに、司会者は会を進行させてゆく。
「主に下半身の醸し出す『えろ』について検討してまいりましたが、やはり見逃せない谷間の権威であられる頴娃文乃(eb6553)先生をお招きしております。頴娃先生、どうぞ」
 司会者が、自らの立っていた部屋の中央に、その女性冒険者を招いた。
 尼僧で動物の医師たる身分とて、文乃は地味な墨染めの衣を着ているが、その下に包んだ豊かな膨らみは隠しようもない。その、収まりきらぬほどの量感を持つ白い果実は、着物の合わせ目からちらりと裾野を覗かせるのだった。
 立ち上がった文乃が一礼すると、その果実も共にぷるんとお辞儀をし、出席者たちをして、「おお‥‥」と感嘆の声を漏らさせた。
 だが本人はいたってさばさばと語る。
「‥‥えーと。なんだかものすごい紹介のされ方ねェ。確かに普段の格好からしてこういう話にはピッタリだけど、大層な信念がある訳でもないんだよねェ‥‥」
「いやぁ、そのようにご自身のプルンプルン効果に対して謙虚なところが、頴娃先生の凄いところです!」
 と、なんだか研究会の面々は文乃のあっさりした態度に、かえって熱を煽られた様子。とにかくチラ見せについて語れとそんな人々にせがまれて、文乃は苦笑を浮かべつつも歯切れよく語り始めた。
「まあ、脚か谷間かって言われれば、アタシなんかだと胸の谷間が主戦場だね。あとは服飾品とか小物なんかで雰囲気を引き立たせるとかかねェ。見え過ぎず見えなさ過ぎず。見えそで見えないあの部分はどうなってるのか? って相手の想像をかきたてる工夫も必要だとは思うわ」
 というコメントに沸いているのは、男性達もだが、まだ育ちきらぬ胸のふくらみをなんとか誇張しようと工夫している少女たちの一団。どうやら文乃を目標に、明日の谷間クイーンを目指しているようだ。
 紅顔の美少年が挙手して質問した。
「先生。女性の谷間チラは基本ですが、僕は男性だから、肩の肌脱ぎで筋肉チラを心がけています。これは健全なえろの観点に照らして、いかがなものでしょうか」
「いいんじゃない? アタシが思うに、身体の線‥‥つまり凹凸を活かしたチラ・エロは男女共通の基本かなァと」
 文乃が認めてもらった安堵感か、美少年はうれしげな笑顔で頷く。
 続いて、谷間クイーンを目指す少女たちが怒涛のように質問を繰り出した。
「あのう、先生のようなお椀型が理想なんですけど、わたし釣鐘型なんですぅ。どうしたら矯正できますぅ?」
「寄せて上げる帯の締め方は?」
 ちょっと待ったと文乃は制し、ゆっくりと噛んで含めるように聞かせた。
「これは男女双方に言えることだけれど、やっぱり肝心なのは己を磨く事かも。だらしの無い体つきでチラチラ肌を見せてても魅力ないだろうし、心が荒んでても同じ事。健全な魂は健全な肉体に宿るってね。それと自分のキャラクターを弁えるというのも大事かなァ。人には似合う似合わないってのもあるし。そのギャップがいいって場合もあるかもだけど‥‥よく鏡を見て自分に合った仕方を考えるってことかな」
「なるほど、『常在戦場』の心がけですな」
 出席者一同、めもめも。 少女たちは口々に賛同した。
「私は、先生のように豊かな谷間を育てるべく、今日から腕立て伏せ百回始めます!」
「私、もし先生みたいな谷間が持てるようになっても、谷間は平和のために使います!」
 もはや宗教的恍惚にも似た熱気が文乃を中心に広がってゆく。
 かくして仏教徒から派生した「ぼいーん教」は信者を集め全国的な広がりを見せ隆盛を誇るのであった(嘘)。
「続きまして、本研究会が誇る『うなじ研究家』の皆様のご推薦によりお越しいただきました、明王院未楡(eb2404)さんに伺います」
 『うなじ研究家』とは、日々女性のうなじの美しさとその鑑賞法を世に啓蒙している、チラ見せ研究会のうちの有力派閥である。
 未楡は、静かに語り始めた。
「肌を露にした着こなしではどうしても身体を冷やして、張りや肌理に悪影響を出しますし‥‥季節に併せた着こなしで如何に見せるかを考えた方が、長い目では綺麗で居れると思いますわ」
「それでは、未楡先生のあるべき『チラ見せ』とは?」
 司会者が興味津々といった様子で水を向けた。
「そうですね‥‥家庭的な仕草に織り交ぜてみては如何でしょう?
例えば‥‥お料理や洗濯の際に上げた袖や裾、そこから見える腕や足元の色香とか‥‥
家事で少し乱れた髪を直そうと、そっと櫛梳く仕草にあわせて、うなじを効果的に見せると言うのも良いかもしれません。殿方は‥‥家庭的な女性に弱いそうですし」
 ぜひ実演して教授してほしいという出席者の熱烈な声を受け、未楡は紫綬仙衣に軽い毛皮の胴衣に着替えた。華国衣装特有の体の曲線がぴたりと出る仕立てで、それだけでもはや会場の空気はピンク色。
「では、ご主人を見送る時などに‥‥『いってらっしゃいませ』と‥‥」
 未楡が軽く頭を下げると、胸のあたりに入った切れ込みから、母性の象徴たる二つの膨らみがぷるりんと深い谷間を形成する。はらりと黒髪が流れて、白いうなじが噛み付いてくれと言わんばかりの艶やかさでさらけ出されるのも見逃せない。
「こ、これは家庭円満効果あらたかといったところですな」
「井戸での水汲み姿などにも、期待できそうですな」
 うなじ研究家たちが鼻血を抑えるためか、天井を見上げつつ感想を述べ合う。続いて未楡が紅絹の装束での、匂い袋を胸元に忍ばせての、夫に羽織を着せ掛ける仕草などを実演するにおよび、一同は視覚と嗅覚を同時に刺激され酔いしれた。
 一人の若者が頬を赤らめつつしゅびっと挙手し、質問。
「そのような家庭的色気の効果として、『たまには朝もいいじゃないかハニー』とかいって早朝に押し倒したりといった現象はありうるでしょうか」
 と、出席者の一人が質問をした。
「そのような質問は‥‥お答え‥‥できかねますわ」
 未楡が白い頬を真っ赤に染めて、視線を外した。
 そのためかあらぬか、質問した青年はうなじ研究家の一団によりスマキにされ、人知れずいずこかの川底へ沈められた模様である。
 このように熱心なうなじ研究家の手によって未楡の品格は世界遺産として保護鑑賞されている訳です(嘘)。
 宴たけなわといったころ、司会者が声を一段と張った。
「最後にスペシャルゲストご登場です。なんと河童の視点から、チラ見せを語っていただきます。藻豪すう(ec5660)さん、どうぞ」
 紹介された小柄な河童の男は、照れながらも語ってゆく。
「ん〜‥‥いきなりだけど自分は、腰から太ももにかけてがイイな。
そのラインが綺麗に見えている人って、たとえ胸が小さくても格好良く見えるって言うか‥‥。浴衣着ていても腰のラインは判るしね。わかりやすく言えば、シルエットで綺麗な人って事でもあるな」
 司会者が口を挟んだ。
「藻豪さんのご意見に反対の方はいらっしゃいませんか。ちなみに反対すると尻子玉を抜かれます」
「いや、抜かないからっ」
 藻豪の意見を最後の締めにして、研究会は閉会の時を迎えた。
「それでは今日は、所所楽 柊さんに俳句で〆ていただきましょう」
 進み出た柊が、即興ですらすらと一句。
 衣重ね まつかさなりて 落葉まち
 その意は、夏から秋へと向かい、涼しくなって重ね着をするようになりました。松の実のように衣を重ねながら、葉や松かさを落とす風を待つ日々を過ごしています。と淑やかなもの。
「あの〜〜深読みするとつまりこれは、衣を脱がしてくれるのを待ってます、ばっちこ〜い、というすんごい色っぽい句では‥‥??、(ゴッ)ぐはっ!」
 いらぬ深読みをした出席者約一名が、柊の鉄拳制裁を受けた。
「今日もチラリとえろに、かんぱ〜〜い!」
 ともかくも、研究会は盛況のうちに終わりを告げた。

「依頼というものは大変なのですね‥‥楽しげな方々が理解できませぬ‥‥」
 秋風吹き抜ける通りに出て、汗を拭った桜司院左近は呟く。妙な依頼から解放された今、一刻も早く長屋に戻りいつものように書物に埋もれたかった。そんな彼を、
「左近先生〜」
 チラ見せ研究会員たちが呼び止めた。
「失礼ながら、腰巻フェチ同好の士とお見受けしました。今から腰巻品評会をするんですが、ぜひご一緒に!」
「ち、違う、私はただ新興の学問があると聞いて勘違いで参加しただけで‥‥!」
 狼狽し、青ざめた左近がうまく逃げられたかどうかは、‥‥‥‥
 食欲の秋ですねえ(なぜ話をそらす)。