にゃーにゃーにゃーにゃー
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■ショートシナリオ&プロモート
担当:小倉純一
対応レベル:フリーlv
難易度:やや易
成功報酬:0 G 39 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月16日〜06月19日
リプレイ公開日:2006年06月20日
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●オープニング
にゃーにゃーにゃーにゃー。
にゃーにゃーにゃーにゃー。
1匹ならちっこくてかわいい鳴き声も、沢山集まると大変な事になるものである。
このにゃーにゃーいってるのは‥‥全部黒猫。
どうやらある家から脱走中‥‥‥‥?
「助けてください! 助けてくださいッ!!」
ギルドに走りこんできたのは20代中盤の男性。名をアルーゴという。
外見は案外身奇麗だが情けない表情をしている。
「ああああのっ! 猫がっ! 私のかわいい猫がッ!!」
どういう事なのかというと、室内飼いしていた黒猫達が、外に逃げ出してしまったらしい。
総数10匹。
そいつらをとにかく家に連れ帰って欲しい、というのがアルーゴの主張である。
「私のかわいい子猫に何かあったらと思うともう夜も眠れなくて‥‥!!」
じゃあ、自分で連れ帰れよ、と言いたいところだが、どうもアルーゴが近づくと逃げてしまうらしい。
「ああ、最近忙しくて遊んであげなかったから‥‥拗ねているのかな‥‥イライラしてたのかな‥‥このままでは私は寂しくて死んでしまいそうだ‥‥!」
ションボリと肩を落とすアルーゴ。
猫たちはアルーゴの住んでいる家の近くからはそれほど離れていないらしい。
「お願いですから猫達を連れてきてくださいッ! そして猫の気がすむまで遊んであげてくださいッ!!」
でも‥‥いくらある程度決まった場所にいるとはいえ、それだけでは他の黒猫と見分けがつかないのでは?
その言葉に対してアルーゴはこう返答した。
「いえいえ。わたしの子猫達には首輪の代わりに宝石や装飾品を施してあるのです」
‥‥いや、その場合宝石や装飾品を盗まれる方が心配じゃないのか?
「なななななっ! 猫は大事ですよッ! あの子達がいなければ私は‥‥」
その場によよよよ、と泣き崩れるアルーゴ。
どうやら、彼にとっては子猫達が最優先のようだ‥‥。
●リプレイ本文
●にゃー
ある昼下がり、ギルドの前には子猫対策本部がおかれていた。
「猫達は俺達が捕まえてきてやるぜ! ってなわけで、おっさん出す物だしな」
ヴィクター・ハント(eb5393)の言葉にアルーゴは大げさに驚いていた。
「えええ? 出すものって‥‥な、何ですかッ!?」
報酬だけじゃないんですか? と動揺するアルーゴ。
「何って、いつもあんたが与えている餌だ。そのほうが寄ってきやすいだろ」
「それににゃんこの好物を教えてくれるかな♪ そうすれば更に捕まえやすいと思うよ!」
ヴィクターの続けた言葉とルディ・ヴォーロ(ea4885)の発言に、にアルーゴは落ち着きをとりもどし、それもそうですね、と家から餌を持ち出してきた。
出してきたものは高級魚。人が食べるにしてもちょっといい品である。
「脱走した猫さんは何匹おるんや?」
首をかしげながら、手元の羊皮紙にメモを取ろうとする藤村 凪(eb3310)に10匹です、とアルーゴは答えた。
「ふむふむ、10匹か‥‥ぎょーさんおるなぁ」
そういう藤村の顔は少し幸せそうだ。
これからギルドの前は猫好きにはたまらない光景が広がる事になるであろう。
「猫ですか‥‥かわいいですね」
朝霧 桔梗(ea1169)も猫だらけになる様を想像したのか、淡々とした口調ながらも言葉の端々に幸せの色が滲む。
「ほっほっほ‥‥まずは実際に集めてから幸せな気分に浸ろうかのう」
小 丹(eb2235)は穏やかに微笑むと、ルディとともにギルドの前に柵を立て始めた。
●にゃーにゃー
「バステト! 行くデスぅ〜!」
エンデール・ハディハディ(eb0207)がペットの猫、バステトに声をかけるとその言葉に対応するかのように、バステトはにゃぁ♪ と鳴き走り始めた。
彼女らが向かった先の塀の上には一匹の黒猫が。
アメジストがはめ込まれた金細工の首輪をつけている。
間違いなくアルーゴの猫だ。
エンデールの‥‥いや、バステトの姿に気づくと猫は慌てて逃げ出した。
それまでバステトに乗っていたエンデールは背中の羽を動かし、空へと浮かび上がる。
「バステト! そっちよろしくデスぅ!」
猫の正面にまわりこむとエンデールはバステトに声をかける。
驚いたスキに、バステトが猫の首根っこを噛み、持ち上げた。
「成功デスぅ!」
エンデールはバステトに乗り、意気揚々とギルドへ戻る事にした。
小丹は愛用の付け髭をカイゼル髭に替えていた。
「これなら子猫もからまんじゃろう」
「しかし‥‥傷つけずに、速やかに、となるとそれなりに手間がかかることになるでござるな」
御堂 康祐(eb5417)が眉根に皺を寄せ、ううむ、と唸る。
「まあ、あまり気負わずにやったらいいんじゃよ」
御堂の様子を見て小丹はほっほっほ、と楽しそうに笑う。
メアリー・ペドリング(eb3630)の伝言で、まだ誰も猫を連れてきていないのを知り、御堂と小丹はギルドの周囲に猫が居ないかを探してみることにした。
近くの木の枝に一匹の黒い子猫が眠っている。
「あれが依頼人殿の猫でござるか?」
御堂は目を凝らし猫の姿をしっかりと見る‥‥アクアマリンがあしらわれた首輪をつけている。
「どうやらそのようじゃの」
小丹と御堂は顔を見合わせ頷き、小丹は大振りな黒色の勾玉をしっかりと握り、力強く念じる。
彼の気配が消えたのを確かめ、御堂も隠密行動を活かし、猫がいる木の裏側へとまわった。
そこまでは気づかれてはいなかった‥‥だが、木に登ろうとした瞬間、枝が僅かに揺れた。
猫は、みゃっ! と鳴くと飛び起き、周囲を見回す。
気配は消えても、姿は消す事ができない。
2人の姿を認めた猫は慌てて逃げ出そうとしたが‥‥。
「遅れを取るわけにはいかんでござる!」
一声叫び素早く木に登ると猫に飛びつく御堂。
疾走の術、だ。
「‥‥獲ったッ!!」
枝から勢いに任せ飛び降り、空中で体勢を立て直しシュタリと地に足を付く。
「ふふ‥‥拙者にかかればこんなものでござる」
彼の手には首根っこを捕まれた子猫が。
「拙者は次の猫の捕獲に向かうでござる」
「それではわしはギルドの前に行っておるよ」
御堂は住宅地に向かい素早く走り去り、小丹は猫を抱えギルドへと歩む方向を変えた。
ギルドの前ではルディが柵を立て、スペースをとっていた。
「これでにゃんこ置き場ができたねー♪ 遊ぶ人はここに入って待っててよー」
そこに小丹が1匹の猫を連れてやってくる。
それを見て藤村は目を輝かせた。
「わー、黒猫さんやー‥‥まず1匹やね」
手元の羊皮紙に書き付けつつも、黒猫にそっと手を伸ばす。
ふわふわで暖かい感触が心地よい。
「ただいまデスぅ!」
エンデールも捕まえた猫を連れてやってくる。
が、バステトが離した瞬間に猫は逃げようと身構えた。
しかし猫は逃げるよりも目の前を飛ぶメアリーに興味を示した。
にゃ、と猫はメアリーに前脚を伸ばし、彼女はひらりとかわす。
猫はさらにジャンプしてメアリーを捕まえようとするが、彼女は更に高度を上げて飛ぶ。
メアリーの作戦は猫を跳ね回らせて疲れさせる事、だ。
(「私のほうもくたくたになりそうではあるが、これも仕事だ」)
自分にいい聞かせ飛び回るメアリーを見て、小丹が大変そうじゃのう、と座り込んだ。
そのとき彼の肩の上に何かが乗った。
更に肩に乗った何かは小丹の髭に小さな前脚をのばす。
乗っていたのは、1匹の黒猫。
ムーンストーンがはまった首輪をしている。
他の猫がいるのに気づいてやってきたが、それ以上に小丹の髭が気になったのだろう。
「長い髭じゃったら子猫が絡むところじゃったのう」
小丹は肩から猫を下ろし、腹の辺りを撫でてやる。
猫の前脚は何度も小丹の髭にのびたが届かずに空を切る。
「それじゃあ、僕も行ってくるね!」
皆に一声かけると、ルディは街へと走り出した。
●にゃーにゃーにゃー
朝霧とヴィクターの目の前には2匹の黒猫が仲良くひなたぼっこをしていた。
目の前と言っても場所は屋根の上だ。
「お、いたいた、そこで待っていろよ〜子猫ちゃん。って、しかしまたなんであんなにたくさん貴金属なんて身につけるかね〜」
ヴィクターの言葉どおり、猫はそれぞれエメラルドとトパーズがはめ込まれた首輪をつけていた。
「まずは、わたくしが鳴き真似をして呼び寄せてみますね」
朝霧が数度、にゃーと鳴きまねをすると、猫の1匹が興味を示したようで、起き上がりこちらに歩いてくる。
しかし、もう一匹は警戒したのか降りてこようともせず、周囲を見渡し更に上へと上がっていく。
「よし、高所は俺に任せろや!」
朝霧に声をかけ、ヴィクターはアルーゴから渡された餌を手に屋根へと上がる。
餌をそっと置くと、離れて様子を見守った。
「ヴィクター様、こちらは確保しましたわ」
朝霧の手には首根っこをつかまれた猫がさげられていた。
無言で頷くとヴィクターは屋根の上にいる猫の様子を見る。
猫は様子を伺いながら、餌にそっと近づいていく。
そして、餌をがつがつと食べ始めた。
「じっとしていてくれよ‥‥」
ゆっくりと近づいていくヴィクター。
「捕まえたぜ! ってぇぇッ!」
捕まえた拍子に引っかかれた。
どうも気の強い猫だったらしい。
「これで2匹確保ですね‥‥ギルドに一旦戻りましょう」
朝霧とヴィクターは猫を届けに戻る事にした。
ルディのペット、鷹のファーンが上空を旋回しつつ、鋭利な鳴き声を上げた。
どうやらこのあたりに目的の猫がいるらしい。
注意をしようとした瞬間、近くの小さな茂みががさり、という音を立てた。
ルディが注意深くその茂みを覗くと、暗闇の中で黄色の目が爛々と輝いている。
猫の瞳、だ。
ファーンに警戒して茂みへと飛び込んできたのは確かだ、という事は‥‥。
ルディは持っていたお手製猫じゃらしを茂みの前で振る。
みャ、という小さな鳴き声とともに、オパールのはまった飾りを身につけた黒い子猫が飛び出してきた。
「そろそろ、おうちに帰ろうよ?」
声をかけつつ、必死に猫じゃらしに絡みつく子猫をつまみあげる。
その言葉に反応したのか、子猫はみャ、と一声鳴いた。
●にゃにゃにゃにゃにゃ!
ギルド前子猫対策本部は猫だらけになっていた。
何とか全ての猫を集め終わり、全力で遊んでいるところであった。
「あああ、ホントにぎょうさんおるなぁ〜名前つけてしまおかなぁ〜」
藤村は1匹の子猫の前で煮干を振りながらそんなことを呟いた。
「藤村殿‥‥流石に名前はまずいのではないか?」
先ほどから猫にじゃれつかれていたメアリーは疲労気味である。
残りの猫は藤村のペットである猫の風と戯れている状態で、風が尻尾を振ると、子猫が皆じゃれつく、といった感じだ。
たまに朝霧が猫の鳴き真似をして子猫の注意を引いたりした。
他のメンバーは猫集めに翻弄され、へとへとになったのか座り込んでいる。
「みなさんお疲れ様です」
依頼人のアルーゴがへらりと笑いながらその姿を見せた。
「なあ、おっさん」
ヴィクターがアルーゴに声をかける。
「は、はいっ! なんでしょうッ!?」
びくり、と身を震わせるアルーゴ
「あんた、馬鹿だろう。豪華な装飾品や宝石なんか身に付けて喜ぶのって人間くらいの物だろう? そんな物無理やり身に付けられて、鬱陶しがっているんじゃないの?」
猫にとっては重いだけだろう、とヴィクターが注意する。
「そ、そういわれるとそうかもしれませんッ!」
萎縮するアルーゴ。
「今後は逃げずに満足できる生活ができると良いな」
猫の背を撫でながら、メアリーがぼそり、と呟く。
「ははははいっ! 誠心誠意努力させて頂きますッ!」
アルーゴの裏声の叫びがキャメロットの街に響き渡る。
そんな飼い主の様子をよそに、疲れ果てたのか子猫達は風の腹に皆して倒れこみ、眠り始めた。
こんな大冒険をやってのけた子猫達は、きっと丈夫な成猫に育つだろう。