女冒険家レディ・マイラが行く!

■ショートシナリオ


担当:蓮華・水無月

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 15 C

参加人数:3人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月16日〜03月21日

リプレイ公開日:2009年03月24日

●オープニング

 その日、冒険者ギルドの受付嬢シシリー・トラスは朝から嫌な予感がしていた。何故なら体調が悪かったからで、なぜそれが嫌な予感に繋がるのかは聞いてはいけないお約束だ。何しろ女性のプライベートに関わる事なので。
 とまれ、彼女は体調不良に苦しんでいた。彼女の経験上、こんな時は絶対に何か悪いことが起こるものだ。そう思うと憂鬱がいや増し、普段の5割り増しで目付きが悪くなって、気の弱い依頼人が幾人かと、同僚のラグス・ディナン(下僕)とギルドマスター(若旦那)が彼女と目が合うと脱兎のごとく逃げ出したが、そんなのは些細な事だ。
 そう―――その依頼人の登場に比べれば。

「ここが冒険者ギルドね」

 その日、業務も折り返し地点を過ぎた頃に現れた依頼人は、とにかく非常に特徴的な女性だった。整った顔立ちに、魅力的なスタイル。ギルドを訪れていた幾人かの冒険者の視線がたちまち釘付けになる。
 彼女はぐるりとギルドを見渡すと、まっすぐシシリーの前にやってきた。ニッコリと極上の笑み。
 ああ、嫌な予感、最高潮。
 だが目の前に来た依頼人を無視するわけにもいかず、いつもの営業スマイルで尋ねる。

「ご依頼ですか?」
「冒険家になりたいの」
「冒険者志望の方ですか? でしたらあちらで受付を」
「冒険家になりたいの」
「いえ、ですから」
「冒険家になりたいの」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥冒険家をご希望ですね」

 シシリーは頬を引きつらせながら必死で営業スマイルを維持し続けた。内心、人の話を聞けやコラ、とぶち切れそうだがじっと我慢する。
 そうしながら視線だけで周りの同僚に助けを求めると、途端、全員が妙に忙しそうに書類をパラパラめくり始めた。‥‥見捨てる気満々だ。

(‥‥‥‥後で覚えてらっしゃい)

 シシリーはその場に居た同僚全員に口に出しては言えない報復をすることを固く誓った。そりゃあ気持ちは判るけれど。彼女だって逆の立場なら絶対に係わり合いになりたくないタイプの依頼人だけど、そんな事は関係ない。
 とは言え、まずはこの依頼人の対処だ。シシリーとて猫被りのプロ(?)、普段の倍の気合を営業スマイルに込めた。

「恐れ入りますがここは冒険者に依頼を出す場所でして」
「あら、もちろん存じてますわ。ですからこうして冒険家になる為に必要なことを伺いに来たんじゃありませんの」
「だから依頼をですね」
「だから依頼してますでしょ?」

 え、今の依頼ですか?
 ふふ、とシシリーは乾いた笑みを浮かべた。経験上、彼女はこういう人種を知っている。自分の言いたい事を言いたい様にだけ言ってこっちの話しは聞きやしない、この依頼人はそういう人種だ。勿論、その中に自分も分類されている事は気にしない。
 こんな人種を相手にする方法は、古今東西ただ一つだ。

「ではお名前からどうぞ?」

 事務的に対応してさっさと話を終わらせて、後でラグス辺りをいびり倒してストレス発散するのみ。
 依頼書を取り出しながらにこやかに微笑んだシシリーに、おっとりとその女性は頷いた。

「私はレディ・マイラと申しましてよ」
「(どこがレディ‥‥‥)ご依頼は冒険者に冒険に必要な事を教わる、で宜しいでしょうか?」
「良くてよ。ああ、それからわたしの初冒険にも同行して指導して頂けるかしら」
「初冒険?」
「町から2日ほど行った所にラージバットの住み着いた廃屋がありますの。ですからラージバットを退治して財宝を手に入れようと思いますのよ」
「ああ、あの‥‥あんな所に財宝がありましたか?」
「勿論ですわ。廃屋で魔物といったら財宝に決まってますでしょ?」

 つまり根拠はない。純然たるレディの思い込みだ。
 ああもう、何か本気で頭痛いんですけど、この人。

「はい、魔物退治に財宝ですね、見つかると良いですね。じゃあそう言うことで。そうそう、レディの使われる武器もお伺い出来ますか?」
「剣ですわ」
「タイプは?」
「タイプ?」
「レイピアとか大剣とか」
「どれが良くて?」
「‥‥は?」
「これから買いに参りますわ。あなたのお勧めを教えてくださる?」
「‥‥‥‥‥‥」

 思わずギルド職員にあるまじき愕然とした表情で、正気を疑う眼差しを向けたシシリー。そして大真面目に、にこやかに答えを待つレディ・マイラ。
 ‥‥マジで!? これから剣をご用意なさっちゃって初冒険とか仰っちゃう訳!? あの馬鹿のシリトーでもその程度の事は出来たのに!?
 咄嗟に二の句が紡げず、頭の上に被った猫も任務放棄して珍獣を見るような目付きになってしまったシシリーを、だがレディは寛容な心でお許しになった。

「ああ、そうですわ。せっかくですから剣も冒険者に選んで頂けて?」
「‥‥大変恐れ入りますが防具は」
「ま、必要かしら」

 とっても必要だと思います。

「ええと、じゃあご依頼はレディの武器と防具を選んで、簡単に稽古をつけて、冒険の心得をレクチャーして、初冒険に同行と言うことで」
「そうですわね、最初はその辺りでお願いするわ」
「最初は?」
「何度も教わらなくては上達しませんでしょ?」

 レディはあくまで謙虚だった。方向、かなりずれてるが。

「はい、じゃあ、最初はそれで! ご依頼ありがとうございました!」

 かなりやけくそ気味だったものの、どうにか最後まで対応し切った自分を褒めてやりたい。しみじみそう思った、とある昼下がりの出来事であった。

●今回の参加者

 ea3475 キース・レッド(37歳・♂・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea5989 シャクティ・シッダールタ(29歳・♀・僧侶・ジャイアント・インドゥーラ国)
 eb4199 ルエラ・ファールヴァルト(29歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)

●リプレイ本文

「‥‥まあなんだ、一服の清涼剤というかなんというか」

 その日、依頼人との待ち合わせの場所に向かいながらキース・レッド(ea3475)は複雑な心中で呟いた。何しろ世の中ではお家騒動やら地獄への侵攻やらカオスの魔物の跳梁跋扈やら、不穏な空気が掃いて捨てるぐらい漂っている。その最中、冒険家になりたい、という理由で冒険者ギルドの門戸を叩くとは、何とも呑気と言うか、マイペースと言うか。
 そんなキースの言葉に同意とも相槌とも取れる頷きを返したのはシャクティ・シッダールタ(ea5989)だ。

「そうですわね。若干、現実が見えていらっしゃらないようですが根気良くお付き合いしてゆきましょう‥‥シリトーさんよりは幾分と扱いやす‥‥げふげふ。物分りの良さそうな方ですし」
「ああ‥‥」

 シャクティの言葉に、思わず目を遠くするルエラ・ファールヴァルト(eb4199)。従妹への(歪んだ)愛の為、冒険者の言う事も聞かずナイフで恐獣に突っ込み足を引っ張りまくった変態、もといシリトー・トラスの事は、トラウマになりそうな勢いで記憶に鮮明かもしれない。
 双方、ちょっと視線を彷徨わせて懐かしさと厭世感に似た複雑な感情を語り合い。

「きっとシシリーさん、『ちょっと困ったお客様』担当なのでは」
「そうですね」

 そう結論付け、力強く頷き合う2人。ここにシシリー・トラスが居たとしたら、盛大に顔を顰めて『冗談じゃないわ』と心底嫌そうに呟いた事だろう。





 依頼人レディ・マイラは、メイのとあるお屋敷の庭で冒険者達を歓迎した。

「皆様、よろしくご指導下さいませね」
「お初にお目にかかります。鎧騎士のルエラと申します」
「シャクティ・シッダールタですわ」
「ま」

 同じ女性の冒険者に喜んだものか、レディは2人の手をキュッと握り締める。続けて名乗ったキースにも同じ動作。と、何故か感極まった様子で、レディの傍らに陰の様に控えていた初老の男性が深々とお辞儀した。

「おぉ、あの引っ込み思案のマイラ嬢ちゃまに、こんな立派なお友達が‥‥皆様、どうか嬢ちゃまを末永くお願い申し上げます」
「ま、セバスチャン。私の事はレディ・マイラとお呼び、と言ってますでしょ」

 突っ込む所はそこなのか。友達になった覚えもないし、そもそも依頼期間5日なんですけど。
 だが、感極まって男泣きに泣く老人と「仕方ない人ですわね」とニッコリ微笑みながら涙を拭うレディはすでに、何か違う世界を展開させている。冒険者の話は聞いて貰えそうにない。そもそも割り込みたくない。
 この依頼、ソレはソレで前途は多難、なのか?





 その後、ようやく落ち着いたセバスチャンを半ば追い払い、冒険者達による冒険講座が始まった。

「心構え、というかものすごく基本的な所でだ。まずは冒険を完遂する為の準備は怠らない事だね」
「ま、どういう事ですの?」
「例えば日数分の保存食の用意や、寝袋や毛布といった野営道具の準備とか。後はたき火用の着火道具や万が一の回復薬や解毒剤の用意などなど‥‥だね」
「そうですね。今回は保存食も進呈しますが、今後依頼に向かう際は保存食や油等、冒険期間中に消費するアイテムの在庫には気をつけて下さいね。足りないまま出発すると、向かった先で行商人から高額で買わなければならない等、困った事になりますから」

 キースの言葉に頷くレディに、横から保存食その他冒険に必要な最低限を渡しながらルエラが補足。中にはレディが依頼していた、剣や防具も含まれている。本来なら一緒に買いに行く予定だったのだが、その分訓練に時間を取れそうだ。
 ま、とレディは嬉しそうにそれらを受け取り、何より真っ先にショートソードを鞘から抜いて目を輝かせた。得物は剣、と断言した事から見ても、どうやら彼女は剣が好きらしい。キースが腰に下げるレイピアにもちらちらと視線が向けられていたりする。その割に種類は詳しくないらしいのが、アンバランスと言うか。

「ありがたく使わせて頂きますわ‥‥で、どうやって着ますの?」

 あ、うん。防具の着け方から判らなかったみたいです。
 さすがにこれはキースが指導する訳には行かないので(レディは構わなさそうだがこちらが構う)、その辺りは女性2人に任せる事にする。場所を屋敷の中に移し、提供したルエラが防具の着け方を教えていると、きょろきょろと辺りを見回したシャクティが男性の影がない事を確かめた。

「キースさんがいらっしゃらないうちに、私は女冒険者の身だしなみについてお教えしますわ」
「身だしなみ?」
「ええ。冒険が長期に渡ったり、過酷な環境での冒険では、まともな身だしなみはまず行えませんわ。体臭や口臭、お肌の衰えに枝毛に切れ毛、その他のもろもろ‥‥」
「ま!」
「ですから、いざ冒険を終えて街に帰った時の我が身の穢れぶりはもう‥‥!! 水も入手出来るか分かりませんし身を清める事も出来るかどうか」
「ま、なんて事でしょ!」

 あくまで真剣なシャクティの言葉に、レディも真剣に目を見張った。同じく女冒険者のルエラもそっと目を逸らす。冒険者である以上、依頼を遂行する為に命をかけて戦う戦場で、身だしなみになど気を使っている場合じゃない――が、そう言うものだと割り切ってしまえるかと言うと。だって女の子だもん(ぁ
 その体臭を誤魔化す為にはポプリを刻んだ香り袋や香水が必需品であるとか、ご不浄も色々気を使わなければならないとか、かなう限りの女の心得を伝授するシャクティに、いつしかレディのみならずルエラも真剣に頷いている。時には自身の体験や工夫も話したりなんかして。
 男性諸氏にはぜひ、女性は影で苦労しているのだ、という事を胸に留めて置かれたい。





 さて、実践訓練である。とは言え

「可能な限り手を抜いて戦闘訓練に当たってくれ。当の本人が満足すればいいんだ」
「解りました」

 頷き合うキースとルエラ。剣も知らなければ防具の付け方も知らないレディに、まともに戦闘訓練を施すのははっきり言って苛めである。レディは「どんな厳しい訓練でも構いませんわ」と微笑んでいるが、多分本気でやったら10秒で逃げ出す方に全財産賭けても良い。
 魔法戦を主体とするシャクティは見学。まずは実力確認で剣と盾を構える様に言うと、頷いてレディはショートソードをすらりと抜き、水晶の小盾を構えた。その姿はなかなか様になっている、のは良いが、

「レディ‥‥それはレイピアの構えだ」
「ま。剣はこうではありませんの?」

 コクリと首を傾げるレディ。通常、盾と片手剣を装備する場合は盾を持つ左半身を前に剣を構えるものだが、レディは右半身が前で盾は後ろ。しかも剣は地面と水平に肩の高さで刺突の構え――つまりキースの言った通り、レイピアの構えなのだ。
 だったらいっそレイピアにしようよ、と誰もが心の中で呟いた。試しにキースのレイピアを持たせて見る。その状態で全力で突き出した、レディの刺突たるや。

(‥‥飛ぶ鳥も欠伸しそうな速度ですわね)

 見ていたシャクティが思わずそう考えたのも無理からぬ程、実になっていなかった。構えがちょっといけてただけにそのギャップたるや凄かった。いや、武術の心得がなくてももうちょっとマシなんじゃないかと。
 何とも言えない沈黙の向こうで、レディは何度か「えい、やあ、とお」と気の抜ける掛け声と共にレイピアを突き出す。あ、虫が止まった。春だなぁ(ぉ

「どうかしら?」

 しばらくして、凄く良い笑顔で冒険者達を振り返ったレディに、ルエラがポン、と肩を叩いた。手からレイピアを取り上げてキースに返し、代わりにショートソードを握らせる。

「‥‥打ち込みから練習しましょう」
「ええ、宜しくお願いするわ」

 レディは前向きな笑顔で頷いた。そんな彼女にちょっと、既視感を覚える。自分も冒険に出たばかりの頃は、先輩冒険者達にこんな風に迷惑をかけていたのかも知れない。
 今、その気持ちが判ると言う事は自分が成長したという事なのだ、とルエラは自分が良く使う戦法なども模範として見せつつ、基本的な剣の握り方から教え込む。
 訓練2日目にはようやく何とか基本の構えが様になり、剣を振れるようになってからは、キースも混ざって簡単な打ち合いをした。勿論手は抜きまくりだが、それでもレディは10本に1本も取れはしない。でもだんだんマシになって‥‥来てたら良いですね。
 いずれにせよ、廃屋探検への出発はもう明日だった。





 不安てんこ盛りで出発した一行とは裏腹に、レディは終始ご機嫌だった。ルエラの乗っているペガサスを羨ましそうに見たり、シャクティの持参したテントと譲り受けた寝袋のどちらで寝るか迷ったり。
 やがて到着した廃屋で、嬉しそうに剣の柄に手を置いて目を輝かせているレディにキースは釘を刺す。

「レディ。戦闘は手段であって目的ではない。それを忘れないでくれ」

 勿論ですわ、と頷いた。パッと剣から手を放す。基本的にこちらの言う事は聞く素直な女性だが、いかんせん発想が普通じゃないのが玉に瑕。だが取りあえず、どっかの馬鹿のように前言翻して敵に突撃はしないだろう。
 件の廃屋はかつては貴族が別邸として使用していたと言う事で、確かにそこそこ探索しがいのある広さを誇っていた。が、ラージバットの羽ばたく音が、その空間を一種近付きがたい場所に変えている。
 探索にはレンジャーのキースが戦闘に立つ事になった。正直、宝は期待していない。ていうか期待する要素がない。だがこの廃屋を探検するのがレディのご希望なら、彼女を満足させるのが彼の仕事である。

「皆、レディをガードして進むぞ!」
「お任せ下さい」
「私はキースさんを援護します」

 小声で囁き合う冒険者達。勿論最初からレディには期待していないキースの言葉に、スクロールを用意したシャクティと表情を引き締めたルエラが頷く。
 ちなみに現時点でのレディの戦闘力、ようやく止まっている案山子に打ち込んだ剣が当たるようになりました(ぇぇ
 そんな訳で

「気をつけろ、ルエラ君。あちらから4体ほど飛んでくるようだ」
「了解です! ルケーレ!」
「ま、あれ、見せて貰った技ですわね。やってみたいわ」
「修練あるのみですわよ‥‥と、ムーンフィールド!」
「罠‥‥はないようだけど、床板が腐っているようだ。皆、気をつけて進むぞ」

 辺りの様子を探りながら進むキースに、飛んでくるラージバットを次々と打ち伏せるルエラ、防御魔法と攻撃魔法のスクロールを使い分けてレディを守るシャクティに、守られている当のレディも一緒に冒険をしている気分になれたらしい。
 そんな風に彼らは一部屋ずつ中を確認し、やがて屋敷の2階の最奥の部屋まで辿り着いた。ここまで勿論、宝らしきものの発見はなし。辿り着いたこの部屋にも、ぐるりと見渡してみてもそれらしきものは見当たらず。
 シャクティの後ろからひょいと顔を出したレディも、それを確認してさすがにちょっと残念そうな表情になった。

「ま。財宝はありませんのね。廃屋に魔物ですのに」
「廃屋に魔物が居れば、必ず財宝がある、とは限らないさ。レディ、君は未開の地を踏破して希少価値の高いアイテムや伝承を探索したくて、冒険家になりたいのか?」

 それであれば彼らのようなレンジャーに近い志向だ。もっとも、こうして冒険してみてもまだ、彼女からその意志をうかがい知る事は出来ないが。
 キースの言葉にレディはニッコリ微笑んだ。

「祖父が冒険家でしたの。祖父は私に後を継いで欲しいと願ってましたわ」
「‥‥それで冒険家になりたいんですか?」
「ええ。遺言でそう言われたからには、叶えるのが孫の務めですわ。 そして冒険家というものは冒険し、財宝を手に入れるものでしょ」

 だから冒険家を目指し、財宝を手に入れようとしたのだ、と。それ以外の理由はないらしい。
 それはそれで立派に目的の一つと言えるのか、返答に悩む冒険者達に、またニッコリ微笑んでレディは言った。

「財宝は手に入りませんでしたけれど、とっても楽しい冒険でしたわ。皆様、またご指導下さいませね」

 ちなみに貴女、何もしていませんが。
 そういって良いモノかどうか悩む冒険者達に、気付かずレディは上機嫌に「心ばかりのお礼ですわ」と報酬とは別に金一封を手渡した。屋敷に帰ったらセバスチャンと、次の冒険の場所を探して見る、と言う。





 そのうちまた、彼女は冒険者ギルドに現れるのかも、知れない。