彼女の場合、彼の場合。

■ショートシナリオ


担当:蓮華・水無月

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 15 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月17日〜08月22日

リプレイ公開日:2009年08月25日

●オープニング

 つまり問題はあの、コップ一杯のワインだったのだ、とラウラは絶望的な気分で考えた。
 コップ一杯のワイン。または相棒が頼んだ、煮込み料理一皿のせいだろうか。どちらも同じ値段だったし。
 確かなことはあの、コップ一杯のワインもしくは一皿の煮込み料理のために、ラウラと相棒ヤレムは今、命の危険に晒されているということだった。
 ちら、と頭上のヤレムを見上げる。シフールの相棒がラウラの頭を定位置にしてもう長い。重さはあまり感じなかった――間違いなく、ラウラの万年肩こりの原因は彼だったが。
 口を開けば、ついて出るのは言い飽きた文句。

「どーすんのよ」
「どうしようもないな。だいたい、お前が懐具合も考えずにワインを飲みまくったのが悪い」
「じゃあ頼んだ料理を殆ど一人で平らげた上にお代わりまで頼んでたあんたは悪くないっての」
「お前があんなに飲まなきゃ十分足りた」
「あんたがあんな馬鹿みたいに食べなきゃお釣りが来たわよ」

 もう何度も繰り返した不毛な争いは、今度もまた不毛なまま終わった。何が不毛って、お互い不毛だと判りきっている辺りがもう、この上なく不毛。
 頭の上と下で顔を見合わせた二人は、同時に深いため息を吐いた。意識して、話題を変える。

「それにしても、いったいどうしたら良いのかしら」
「待つしかないね。俺はともかく、お前がゴブリンの群に突っ込んでも美味しく頂かれるだけだろ」
「あんたは飛べるから他人ごとよね‥‥あたしが美味しく頂かれてる間にあんたは悠々と逃げてどっかの可愛い子とこの世の春を謳歌する気ね。でも言っとくけど今は夏よざまあみろ!」
「意味がわからんわ!」

 ラウラの叫びに、ヤレムが律義に突っ込んだ。だが彼らは別に、漫才コンビというわけではない、念のため。
 ラウラとヤレムは旅から旅に、ヤレムの竪琴に合わせてラウラが踊り、各地を回って暮らしている。演目は、請われればなんでも。
 だから、彼らがその村に来たのも仕事だった。というより、恩返しか。
 つまり、コップ一杯のワインもしくは一皿の煮込み料理だ。そのために彼らはこの村に来た。
 簡単に言えば、前に居た町で入った食事屋で美味しく料理を頂いて、いざ財布を覗いてみたらそれだけのお金が足りなかった。すわ食い逃げか、と騒ぎになりかけた所を、居合わせたこの村の住人が気前良くも足りない分のお金を払ってくれて事なきを得たのだ。
 とは言え、勿論、タダで寄付してくれるような気前の良い話ではない。その村ではもうすぐ村祭が行われる。その祭で出し物を出してくれる芸人を探していた住人は、彼らの食事代を肩代わりする条件に踊りを披露してくれるよう頼んだのだ。
 別段、たいした事のない依頼。むしろそれで食事代が浮いて、報酬まで貰える(のだ、何と!)と言うのだから、むしろこっちから土下座して頼みたい位の好条件だ。
 かくて、コップ一杯のワインもしくは一皿の煮込み料理のために、ラウラとヤレムはその村へやって来て。なんともタイミング悪く、祭準備の賑やかな喧騒に惹かれてフラフラやってきたらしいゴブリンの群に、村人ともども身動きが取れなくなった、という訳である。

「‥‥いつまでもじっとしてる訳には行かないわね」

 またしばしの沈黙の後、ラウラが重々しく、何かを決意した表情で言った。頭の上からそれを見下ろしたヤレムは、ん? と首を傾げる。
 一体、この相棒が何をする気なのか――大方ろくでもない事だろうと、考えたヤレムの想像は当たった。それを彼は、ガッシとラウラに掴まれた己の身体で思い知った。
 両手でしっかり胴を掴まれたヤレムは、妙に据わった目をして隠れている納屋の外に出ようとする相棒を、冷や汗を流しながら見上げた。

「‥‥をい、何をする気だ」
「うっさいわね。あんたの羽は一体何のためにあるってのよ」
「お前の考えてるような理由じゃない事だけは確かだな」
「じゃあ今度から付け加えときなさい」

 村の中をウロウロしているゴブリンたちに見つからないよう、そっと納屋から忍び出たラウラは、相棒の言葉にきっぱりそう言い切った。言い切って、空を見上げて大体の方向の見当をつけた。
 そして、ヤレムの胴を掴んでいた両手のうち、左手を放し。だがヤレムが逃げるよりも早く、しっかり右手に力を込めて。
 大きく足を上げて右腕を振りかぶり、全身をばねの様にしならせて、

「ちょ‥‥ッ、まッ、おまッ、流石にシフール虐待で訴えんぞコラァッ!?」
「つべこべ言わずに助けを呼んでこ〜〜いッ!!」

 叫び声と共に気合入魂、振りかぶった右腕を全力で、見るものが見れば涙を流しそうな美しい投擲フォームで振り切った。ラウラの手の中から、思いつく限りの罵声を上げながらヤレムがすっ飛んでいく。
 キラーン☆ と空のかなたで何かが光った。その輝きに、ラウラは目を細めた。

「信じてるわ、ヤレム‥‥あんたならきっと、助けを呼んできてあたしを迎えに来てくれるって‥‥」

 ――それがまるきり棒読みでなければきっと、感涙を誘う場面だった。

●今回の参加者

 ea2449 オルステッド・ブライオン(23歳・♂・ファイター・エルフ・フランク王国)
 eb0010 飛 天龍(26歳・♂・武道家・シフール・華仙教大国)
 eb2093 フォーレ・ネーヴ(25歳・♀・レンジャー・人間・ノルマン王国)
 eb6105 ゾーラク・ピトゥーフ(39歳・♀・天界人・人間・天界(地球))
 ec6278 モディリヤーノ・アルシャス(41歳・♂・ウィザード・人間・アトランティス)

●リプレイ本文

 冒険者達がその村に依頼人と共に辿り着いたのは、もうそろそろ昼を迎えようかと言う頃だった。
 遠くから眺めた限り、村は大きな混乱に見舞われているようではない。昼時にも関わらず煙の立つ家が一軒も見られないのは、やはり異常と言う他なかったが。
 冒険者ギルドに急を知らせたシフールのヤレムに寄れば、彼が村から投げ飛ばされた時点では、特に村人達に被害が出た様子はなかったという。それを聞いた飛天龍(eb0010)とオルステッド・ブライオン(ea2449)は、ふむ、と腕を組んだ。

「話を聞く限り酷い悪さをしている訳ではなさそうだが」
「‥‥祭前の村人にゴブリン退治の後始末をさせるのもな‥‥」

 ならば何も殲滅せずとも、驚かせ、痛い目を見せて追い払うだけで済むのではないか、と言うのが大方の意見である。確かにゴブリンは無抵抗の相手を集団でいたぶるのを好むあまり宜しくない性格をしているが、あくまで生物であって、カオスの魔物ではないのだし。
 と言って、追い払うだけでは勿論、いずれ痛みを忘れた頃に舞い戻ってくるだろう。それを防ぐ手立てがないか、とフォーレ・ネーヴ(eb2093)はゾーラク・ピトゥーフ(eb6105)と一緒にウィル王宮図書館に行き、関連の書物のある場所を図書館司書に聞きつつ、個人でも何か知らないか、と尋ねてみたのだが。

「『強烈な匂いが嫌い』と言う事でしたけれど‥‥」
「にーちゃんも詳しくは知らないみたいだったしねー」

 読書家、と言うより読書狂の図書館司書は、学術論文から子供向けの御伽噺、今日の夕飯に至るまで、かなり幅広いジャンルに目を通している。それが実践知識に結びつくかはまた別の問題として、その彼がそれ以上知らない、と言うのであれば、彼が念の為にと勧めた書物を調べてもあまり有益な情報が出てくる筈もなく。
 三日三晩強烈な匂いのする干物をあぶり続けた結果、ゴブリンは近付かなくなったが、村の人間もまた半数以上が家に染み付いた匂いに耐えかねて移住した、と言う報告はあったが――住めなくなると駄目だろう、さすがに。
 そんな訳でゴブリン対策は一旦棚に上げ、まずは村からゴブリンを追い払う事に集中する事にした。
 モディリヤーノ・アルシャス(ec6278)がステインエアーワードで辺りの空気に話が聞けないか試みる。当初、仲間からフライングブルームを借りて移動する予定だったので魔力が心配だったのだが、結局ゾーラクの魔法の絨毯で交代で運転しながら移動する事になったので、想定よりは余裕があった。
 他にも、馬で移動する予定の飛が魔法の絨毯で移動に変更になったりと、どうやら久々のカオスもデビルも関係ない依頼にいつもと勝手が違う様子。こちらは他にも、ゾーラクが地上を走らせた軍馬の背を借りたりもして、軍馬は主の命令を聞き礼儀正しくシフールの冒険者に背を預けたものだ。
 閑話休題。
 ステインエアーワードに寄れば、ゴブリンによって空気が汚されたのはかなり最近だと言う。と言う事は頻繁に村を出入りしているのだろう。
 静かに村から少し離れた、ゴブリンに見つかりにくそうな場所まで移動し、ペットと共に隠れて待つ。その間にフォーレが単身、村へと忍び込んだ。あちらこちらに見えるゴブリンを慎重に避け、忍び足で村の建物の位置や周辺の様子、ゴブリン達がネグラにして居る場所がないかを確認する。
 まずは位置関係を完璧に把握した所で、手近な民家に忍び込み、驚く住人に『助けに来たよ』とにぱっと笑った。

「これからゴブリンを追い出すからちょっと騒がしくなるかもーだけど」

 心配せず、騒がずに待っていて欲しい、と告げると村人達は無言でこっくり頷いた。幸い、幾人かが寄り集まって避難していたようで、すべての家に入らずに済んだのでさほど時間も掛からない。
 もちろん納屋で疲れた表情をしていた踊り子も含む全員に伝え終わり、再びゴブリンに見つからないよう慎重に村を抜け出して仲間達にその旨を伝えると、聞いたヤレムはさすがに少し心配そうな表情になった。必ず助けるよ、と力強く請け負ったモディリヤーノにはそっけない素振りを見せてはいても、やはり相棒、気にはなるのだろう。
 そのヤレムと、連れてきたペットのうち戦闘に向かない者にはそのまま隠れていて貰う事にして、冒険者達はゴブリンから村を解放すべく、それぞれの役目を果たしに動き出した。
 まずは、事前に村を偵察しておいたフォーレの手引きで、ゾーラクがこっそり村に潜入。その間に飛が空から村の反対側に回り、モディリヤーノが身を隠して攻撃魔法が放てる場所に移動する。
 全員が配置についた事を確認し、オルステッドがウルの弓を引き絞った。まず目に入った1体に狙いを付け、溜めた弦を解放する。シュッ! と耳元を抜ける風切羽の鳴る音。
 彼の中には、ゴブリンとは言え全力で打って掛かろう、と言う気持ちもあった。だが鍛錬を積み重ねが冒険者が、強化に強化を重ねた武器で全力を出せば、ゴブリンは勿論、勢い余って村そのものも破壊しかねない。
 それは流石にマズイだろう、という仲間達の引きとめもあり、当初の予定通りゴブリンは追い払うのみに留める事になった。故に今の彼の射は威嚇。ドスッ、と地面に刺さった矢にビクリと怯えるゴブリンに、続けて腕を狙った二射目。
 ザワ、と突然の攻撃に村中のゴブリンがざわめき立ったのが、空気で感じられた。それに乱れる気持ちを深呼吸して落ち着かせ、モディリヤーノはウィンドスラッシュを唱える。幾度かの実戦経験を経て、彼も随分と戦いには慣れてきた。
 だが命を奪うまでは――と思い、出来るだけ致命傷にはならないよう祈りながら魔法を放つ。ギャッ! と目に見えぬ風の刃にゴブリン達が悲鳴を上げ、ますます混乱を深めた。
 事前に知らせておいたおかげで、村人達は家の中に閉じこもったまま誰も出てこない。無人の村の広場で、集まったゴブリン達だけが見えない敵を必死に捜し求めた。
 そこに、不意に現れた影がある。ギリギリまで気配を消して集団に近付いてきた飛だ。
 一見、ゴブリン達の半分も背丈のない、武器すらない無防備なシフールの姿に集団の緊張が緩んだ。だがそれは間違っていた事を、ゴブリン達は武装の隙間を縫って腹に叩き込まれた小さな拳で思い知った。
 形は小さくとも、彼は立派に歴戦の冒険者である。先にゴブリンに追われて逃げ惑ったシフール(ヤレムの事だ)とは比べ物にもならない。

「お前達の足元にも及ばぬ相手が居る事を忘れるな」

 そう言いながら立て続けに、目にも留まらぬ速さで2〜3体が拳を叩き込まれ、腹を抱えて苦痛に呻いた。その辺りでようやくゴブリンにも、これはどうやら勝手の違う相手だ、と理解が出来た。
 さらに追い討ちをかける様に、低く空気を震わせる唸り声の様なものが響いた。それに、ギクリ、と青褪めて振り返ったゴブリンを恐怖に陥れたもの。それは突如村の広場に現れた竜の姿だった。
 これは、実はゾーラクがゴブリン達にこっそりイリュージョンをかけて見せている幻影だ。ゾーラクの姿が竜に見える様に。騒ぎに気付き、最初は仲間が何を見ているのか判らず、ただ広場に立つ女の姿に首を傾げたゴブリン達も、イリュージョンに掛かるや否や現れた竜の姿にパニックに陥る。
 中にはしゃにむに、破れかぶれに竜に切り掛かろうとする勇敢なゴブリンも居たのだが、それらは総てゾーラクの傍で彼女を守るフォーレの縄ひょうによって撃退された。ただでさえ竜に気をとられ、幻相手で目測が誤っている所に、この遠距離攻撃も中々有功だったようだ。さらに、威嚇射撃を終えて白兵戦に参戦したオルステッドが、ローズダガーで脅しかかる。
 こうなれば、生来は臆病なゴブリンだ。1体がほうほうの体で逃げ出すと、それに続けとばかりに一斉に雪崩を打って村の外へと逃げ出した。その中の、恐怖に駆られて無茶苦茶に振り回したゴブリンの剣が、連続の魔法の行使で若干動きの鈍っていたモディリヤーノの腕を切り裂くが、幸い軽傷だ。
 念の為ゴブリン達が残っていないか、村の周辺にまだうろついていないかまで確認して、冒険者達はようやく一息ついた。ゾーラクが家々の扉を叩き、もう大丈夫です、と声をかけて回る。
 その呼び声に応え、そろそろと家の外に出てきた村人達は、広場に並び立つ冒険者達を伺う様にじっと見た。代表するように中年の男が一歩進み出る。

「あなた方が、あのゴブリンを?」
「‥‥ギルドの依頼を受けてな‥‥」
「だが、誰が‥‥」
「ヤレムーッ!! 遅いじゃないの、このバカッ!」
「ッだあぁぁぁッ!? ふざけんなラウラこの馬鹿、人をぶん投げといてどういう了見だコラッ!?」
「うっさいわねッ! たまには飛んで役に立ちなさいよッ!!」
「あぁッ!? テメ、マジにシフール虐待で訴えんぞッ!! なぁ同士ッ!!」
「‥‥って、俺を巻き込むなッ!」

 突如始まった言い争いに、村人達と冒険者の視線が一斉に注がれた。そこに居る、救出された1人である旅の踊り子と、ギルドに助けを呼びに来たシフールの楽士の姿と、同じシフール仲間だと強引に腕を掴まれている冒険者を見て、思わず無言になる。
 モディリヤーノがしみじみ言った。

「ヤレム殿、ラウラ殿‥‥美しい友情だね!」

 それは何か違うような気がしたが、彼らが実に息の合ったコンビ(トリオにあらず)だと言う事は、誰の目にも明らかだった。





 中断していた村祭りの準備は、そこから急ピッチで進められた。何もこんな時にと言う意見もあったが、こんな時だからこそ祭りを開いて盛り上がろう、と言う意見の方が強かった。何より、誰もが村祭りを楽しみにしていたのだ。
 村の広場に簡単な櫓の様なものを組み上げる傍で、モディリヤーノがゴブリン対策に村を囲う柵を作ってはどうかとアドバイスする。腰ほどの高さの柵はあったのだが、それはゴブリン達が壊してしまったし、次に助けを呼びに行く時間を稼ぐ為にももう少ししっかりしたものを、というわけだ。さらにフォーレが強烈な匂いの件も一応耳に入れておいたが、三日三晩の行になるとやはり複雑な表情で、検討してみましょう、と頷くに留まった。
 家々ではお料理上手の飛が祭に出す料理を一緒に作り、長らく畑に出られなかったおかげで蔓延っていた雑草を大まかにだけでも抜いてきた男達の胃を刺激する。ゾーラクは丁寧に村人達の様子を見て周り、しばらく閉じ篭りきりの生活を強いられた人々が体調を崩していないか確認した。幸い病気になった者は居なかったようだが、偏った食事しか出来なかったせいで若干倦怠感を訴える者には滋養強壮の効果のある薬草を煎じて飲んでもらう。
 オルステッドも力仕事を手伝って欲しいと頼まれ、ゴブリン達が壊していった柵を片付けたり、櫓を組むのを手伝ったりと忙しく働いた。そうして1日が過ぎ去り、陽精霊の光が影を潜め、月精霊の光が辺りを支配し始めた頃、村の広場の四隅に置かれた灯篭にも火が燈された。
 やがて櫓の上から、ピィン、と一音。竪琴の弦の震える音に広場に集まる人々が静まり返り、それを待って踊り子の衣装を身に着けたラウラが艶やかな化粧を施し、櫓舞台の上に躍り出た。
 宙を舞うように飛ぶヤレムの竪琴に、併せて人々を鼓舞するように激しい踊りを披露するラウラ。ゴブリンの災難なんかふっ飛ばせば良いのよ! と舞台に上がる前に強気に笑っていた。
 激しい舞は盛況のうちに幕を下ろし、次いで飛の披露した十二形意拳の演舞は、村人達を勇気付けた。彼らは窓板の隙間からこっそり、彼が素手でゴブリンを撃退した所を見ていた。インパクトも強かったのだろう。
 飛のみならず、冒険者達は概ね英雄扱いで祭の上座に据えられ。美味しい料理と、賑やかな楽と踊り、何よりそれを取り戻してくれた冒険者達への感謝を込めた村祭りは、例年にない盛り上がりを見せたのである。





 ――そして翌日、盛り上がり過ぎて二日酔いに苦しむ村人達に、ゾーラクと彼女を手伝うモディリヤーノが薬草を配って奔走した事は、また別の物語だ。