れなぽりん奮闘記?

■ショートシナリオ


担当:相楽蒼華

対応レベル:フリーlv

難易度:易しい

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:01月22日〜01月27日

リプレイ公開日:2005年01月23日

●オープニング

 平和な真昼のギルドに一人の青年が血相抱えて飛び込んできた。まるで大事な事が起こったかのように。
 ギルド員は少し緊張しながらも話を伺う為、席へと案内する。
「実は、れなぽりんがいなくなっちゃったんです!月道を利用してジャパンに旅行に来た途端いきなり迷子になったらしくて・・・・!」

ギルド員は緊張して損したようだ。そして、「れなぽりん」とは何なのか読み取れないでいた。
「れなぽりん・・・・とは?モンスター・・・・?」
「人の嫁をモンスター扱いしないでくださいっ!れなぽりんは人間ですっ!」
 勢いに負けて納得してしまう。青年は今にもまた飛び出していきそうなぐらいそわそわしている。
 どうやら、月道で旅行に来たのはいいが江戸で逸れてしまったのだという。きっとどこかで迷子になっているだろうから探して欲しいのだそうだ。

 が、ただの迷子探しといっても一筋縄ではいかないようだ。れなぽりんはどうやら一つの場にじっとしていられない挙句、珍しいものを見るとすぐに追いかけてしまう。
 つまり、ごろつき相手でもそれが珍しければ追いかけてしまうのだ。
「大きな事件になる前にはやくれなぽりんを見つけてくださいっ!俺よりこのギルドの人達の方が江戸の事よく知ってるでしょうから!」

●今回の参加者

 ea0012 白河 千里(37歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea0237 ハクト・ヴァルフォード(35歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea1569 大宗院 鳴(24歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2406 凪里 麟太朗(13歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea5480 水葉 さくら(25歳・♀・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea8809 カリン・シュナウザー(23歳・♀・ナイト・ハーフエルフ・フランク王国)

●リプレイ本文

 こうして依頼を受けた冒険者達はまぐぽりんと一緒にれなぽりん捜索へと向かったのだ、が‥‥。
「れ、れなぽんが見つからなかったら俺、絶対この江戸恨みますからっ!」
 ‥もう既にまぐぽりんは混乱の位置に立っているようだ。錯乱しすぎて迷惑かけなければいいのだが。
 心配になりつつも、白河千里(ea0012)はちょつとした物を作り始めていた。
「って!それ‥‥何なんです?」
「これは凧といってな。正月には空に揚げて遊ぶんだ。様々な凧に模様を描いて揚げればきっと目立つぞ。れなぽりんもきっと見つければすぐ来るだろう」
 楽しげに話す千里の話を聞いて、まぐぽりんはなるほどと頷くがやっぱり心配なのだろうか。そわそわし始めていた。凧作りを見ているのも新鮮だがやはりれなぽりんの事が気になるといった所だろうか。
「れなぽりんの仕草や口調とか、そういったものは分かりますか?」
 大宗院鳴(ea1569)がふと尋ねる。そう言えばれなぽりんの特徴を何も聞いていない事に気がついたのだ。まぐぽりんもそう言えば、と思い出し少し首をひねり始める。
「口調は…どうなんだろ。柔らかい物言いをする子だけど、時々何言い出すかわかんないところがあるからなぁ、れなぽんは」
 しみじみと浸りだすまぐぽりん。外見的特徴と言っても相手は外国人。しかも女性でふらふらと歩き回ってるのだからきっと見れば分かるというまぐぽりんの言葉を信じるしか他なかった。そんな彼が暴走しなければ‥‥の話なのだが。

 千里達が凧揚げの準備をしている間、やはり落ち着かないといった行動をとるまぐぽりんをカリン・シュナウザー(ea8809)が連れ出し、町を見回る事になった。
「ホントに!ほんっとーーーにれなぽん見つけてくれるんですよね!?」
「えぇ、だから私達ここに来たんですよ?れなぽりんを見つけたらもう迷子にさせちゃだめですよ?」
「迷子にさせたのは俺じゃなくて月道ですよ!」
 ‥遂には責任転換。まぁここまでは仕方ないとしておこう。暫く江戸の町を探すもなかなか手がかりは見つからない。そんな時ふわりといい匂いがしたのをまぐぽりんは見逃さなかった。
「そういや、この匂いって何なんです?」
「あぁ、お団子の事?ジャパンでは珍しくないお菓子なのだけど、外人にはきっと珍しいかも知れません。もしかしたら立ち寄っているかも知れませんし、お話でも聞きにいきましょうか?」
 カリンに連れられ、まぐぽりんはお団子屋へと足を伸ばす。近づく度にいい香りがどんどん広がっていく。こんな匂いをかいでいると、きっとお腹がすくだろう。
「すいません、このお団子屋にちょっと変わった外人の女性、来ませんでしたか?」
「変わった女?そーいや一人フラフラしてて団子見て目を輝かせてる変わったモンならいたねぇ」
 その言葉を聞いたまぐぽりんの様子が一気に変わった。元気になったというか慌てているというか。そんな感じである。
「れなぽんかも!?その子、何処にいきました!?」
「あんまり見つめてくるもんだから団子を一本やったら嬉しそうに走っていった記憶が‥‥」
「れなぽんに餌付けした!?餌付けしたのかっ!?」
 ‥始まった、まぐぽりんの勘違いによる暴走。きっと「あげた」を「餌付け」と勘違いしているのだろう。日本の言葉の意味をまったく知らない外国人であるが故に。
「カリンさん、この人斬っていいですかっ!?れなぽんに餌付けしようとしただなんて‥‥!」
「落ち着いてくださいっ!そんなんじゃ見つかるものも見つからないし失礼でしょう!?」
「これだからジャパンは怖いからやめようっていったのに、れなぽんってば‥‥」
 既に耳には届いていない様子。仕方がない。とりあえず千里達の所へ帰ろう‥‥手もつけられないし。カリンは心の中でそう呟いていた。

 二人が千里達の所へと戻ると、凧揚げは既に始まっており珍しい周りに観客までもが集まっていた。
「あれが、凧ですか?」
「そうだ。この凧を使っての勝負もある。喧嘩凧、という奴だ」
 そう言って凧の紐をクイッと一度引き寄せ、凪里麟太朗(ea2406)が作った凧へと仕掛ける。その瞬間、周りの観客からは歓声があがっていた。やはり喧嘩凧は江戸の風物詩。こうやってお祭りみたいに騒ぐ事もあるのだろう。まぐぽりんも珍しそうに見上げてぽーっとしていた。
 童心に帰って遊んでいる者達を他所に、ハクト・ヴァルフォード(ea0237)と水葉さくら(ea5480)が辺りを見回し、れなぽりんを探していた。
「あ、あの‥‥れなぽりん様は‥‥見つかる、でしょうか?」
「俺にもそれは分からないが‥‥あれ?凧のとこ‥‥」
ハクトが千里の凧を見上げると、そこには見慣れぬ人影が張り付いている。何時の間に張り付いたのだろうか、キャッキャッと遊んでいるようにも見える。それを教えようかどうか悩むハクトを他所に、さくらがまぐぽりんにそっと耳打ちで報告をする。
「まぐぽりん様‥あの、あそこに誰かいます‥‥けど?」

 その時、まぐぽりんの目がくわっと見開かれた。そう、そこにいたのはなんとれなぽりんだったのである。
「れなぽーーーーーーーーん!そこでなにしてるんだあぁぁぁぁっ!?」
「あ、まぐさん♪お空はいいですよー飛んでるですよー♪」
 もうそこは不思議な世界が展開されている。千里は慌てて凧を降ろそうとするも焦っているのでなかなか降ろせない。流石に弓で射抜いて落とすのも危険だ。とりあえずさっさと降ろさなければと紐を手繰り寄せるも‥‥。
「い、一体どうやってあんな所に‥‥確かに大凧なら飛び移れるが‥‥」
「と、とりあえずれなぽりん様を‥‥お、降ろしませんと‥‥!」
「まぐさーん♪この物体楽しいですよー♪ちょっぴりバランスがとれないのがたのしーでーす♪」
「まさか君達がれなぽんをあんな所へ!?な、なんて可哀想な‥‥今助けるからな!」
突然紐を切断しようとするまぐぽりんを必死にカリンが羽交い絞めで食い止める。そんなに力はないのだろうがこんな時だけはお約束。
 やっとの事で降ろした時には既に日が暮れており、れなぽりんも疲れたのかうとうとしている。散々人に迷惑かけての結果がこれ。どっと疲れた気しかしなかったのである。

「あはー♪とっても楽しかったのですよー♪お団子とかいうのも美味しかったですよー♪」
「れなぽん!怪我とかさせられてない!?大丈夫!?」
 そんな彼等の傍らには疲れきって座りこんでいる千里達の姿があった。息は既に肩でしており、くたくたの状態。お嬢様タイプである鳴にとっては一番疲れた所だったのかもう立ててもフラフラである。
「何はともあれ‥‥こ、これで依頼は解決‥‥か?」
「でも、れなぽりんさん。どうしてあんな所にいたんですか?」
「んっとですねー。なんか大きなのが楽しそうにふわふわしていたので飛び移ってみたら意外に落ちなかったのでー‥‥」
 そう笑顔で答えるれなぽりんに一同は溜息。それが冒険者の凧だったからよかったものの、違った時の事を考えると冷や汗ものだった。そして、凧にへばりついた後も遊んで貰っているという感覚だったのだから驚きである。どう見ても外見は大人なだけに、中身は丸っきり子供なのだからまぐぽりんも大変だろう。と初めて冒険者達は同情した。
「本当にれなぽんを見つけてくれてありがとうございます!これでまた江戸観光が出来ま‥‥」
「あ、あの‥‥れなぽりん様は‥‥?」
 さくらが言う頃にはうとうとしていたはずのれなぽりんの姿はなく、また珍しいものに走っていったと思われる。‥‥そんな現状を見て、また一気に疲れる冒険者達であった。
「あの‥‥!また探すの‥‥手伝ってくれます、よね?」
 その時のまぐぽりんも流石に呆れたのか、肩をがっくりと落としていた。

 余談として。冒険者達は最後までまぐぽりんに付き合ったものの、合計三回同じ事を繰り返され。最後にはまぐぽりんも迷子になって二度手間になった‥‥とか。