変態老人現る!〜江戸にいらぬ荷物?〜
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■ショートシナリオ
担当:相楽蒼華
対応レベル:1〜4lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 0 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:02月16日〜02月21日
リプレイ公開日:2005年02月20日
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●オープニング
「ちょっとちょっと!大変なの、たーいーへーん!」
シフールの男の子がそう言ってギルド員の頭の上を飛びまわる。
少しうっとおしそうに目をやると、シフールの少年もしゅんとしてギルド員の頭の上に座る。
「で、何が大変なんですか?」
「名物お爺ちゃんがコボルトに襲われてたんだよ!安産の仙人の危機!」
その言葉を聞いて、ギルド員は持っていた書類をドサドサッ!と落とした。そしてギギギと音が鳴っているかの如くシフールの少年を見上げる。
「名物お爺ちゃんって‥‥あの人、ですか?」
「そーだよ!多子爺ちゃん!あの人がさっきコボルトに襲われてたの!」
「‥‥それで?助けろ、と?」
「だってそうしなきゃ君が江戸中の女性にしばき倒されちゃうよ!!」
シフールの少年の言葉にそれを想像するギルド員。ありえそうで怖いと思ったのか身震いをする。
多子爺ちゃん。年寄りにも関わらず多くの種を持つ爺ちゃんで有名であり、安産の仙人と世の女性達から崇められているそうだ。‥‥ほぼ盲信に近いのだが。
多子爺ちゃんに触るとなんでも子供に恵まれるのだとか。
「‥‥分かりました、依頼に出しますよ‥‥?」
「うんっ!冒険者の女性達は気をつけた方がいいと思うけどね!爺ちゃん、女を断って一週間でヨボヨボってるから」
「‥‥貼り出した後で何でそれを言うんですか」
ギルド員の目からは滝のような涙が溢れていた。
●リプレイ本文
「なぁ?本当にその爺さん助けてもいいのか?」
黒部忠(ea1054)がそんな事を突然言い出す。
男としては確かにそんな爺さんが羨ましいだのとか思えるかも知れない。
「助けなきゃ大変じゃないですか!しっかり助けましょうね?」
ラティエル・ノースフィールド(ea3810)もそう言うものの不安が残る。
自分がその老人の傍にいないと守りきれないかも知れないからだ。
とりあえず冒険者達はシフールの男の子に教えて貰った場所へと急いだ。
「こりゃっ!か弱い老人に何するんじゃいっ!」
街道付近に来ると、そんな威勢のいい声が聞こえた。
まるで何かに説教をしているというか怒鳴りつけているのである。
その声の方角へ行って見ると、一人の老人がまだコボルトに囲まれていた。
老人は少し小さめ。多分外見からしてパラなのだろう。
「むぅっ!無礼なコボルト達じゃのっ!それはワシの大事な荷物じゃってのに!」
どうやら狙われているのは荷物のようである。
パラの老人にしてみればでかい荷物。
そして、その荷物の持ち主は今にも倒れそうな程ヨボヨボ。
ふと辺りを見回した老人は冒険者達を見つけると急に目が活き活きとし始めた。
「そこの若いモンッ!こんなカ弱い老人が襲われておるんじゃっ、助けても罰あたらんぞっ!」
「…なぁ。本当にあれを助けるのか?」
綾辻隼人(ea5061)が忠と同じ質問をボソリと呟く。
それは皆思っている事である。
助けないと自分達が世の女性方にシバキ倒される可能性があるのだから。
「とりあえずまずは僕の出番ですよね」
ゲオルグ・バンガード(eb0188)はそう言うとコボルト達にチャームを施していく。
コボルト達はすんなりと魔法にかかり、ゲオルグの方へと走り出す。
サラ・エレーラ(eb1170)の後方支援を貰って、ゲオルグは出来るだけ遠くへと逃げる。
「とりあえず、今のうちネ。お爺さん、此方に来るいいヨ‥‥」
宗祇祈玖(ea8876)が多子爺ちゃんにそう呼びかけると多子爺ちゃんの様子が一変した。
「おにゃごーーー!?おにゃごじゃーーーー!?」
「うわっ‥‥!何なんだ、この爺さん!?」
「おにゃごーーーーーーー!」
冒険者達の予想通り。
多子爺ちゃんはありえないぐらいのスピードで走り出し、コボルトすらを掻き分けて祈玖と九十九刹那(eb1044)の方へと向かう。
その光景は流石に怖いものが見てとれる。
男性陣は流石に呆れかえっているご様子。
「おにゃごー!おにゃごじゃー!一週間ぶりじゃー!」
「種…お爺サン‥‥。何の、種‥‥?」
「種?おーおー‥‥お前さんもワシ目当てじゃったか、かわゆいのぅ♪」
爺さん何かを勘違いしているぞ。
‥‥隼人達が戦っている間、ジジイは祈玖を草むらに物凄い勢いで引っ張りこむ。
名目は「種というものを教える」だろうが‥‥。
「コラ、爺ッ!人が助けてやってんのにんなコトしてる場合かッ!?」
「煩い奴じゃのー‥‥ちょびっとぐらいええじゃないか〜」
「この爺、いい加減大人しくしてろって!」
ちぇっと舌打ちすると老人は拗ねてしまう。
それを心配そうに見守りながらもラティエルと逢須瑠璃(ea6963)がコボルト退治に参戦する。
「はあぁぁっ!」
刹那の日本刀をまともに受けて、コボルトがよろめく。
それを好機と隼人が走り出す。
「いい加減にしろよ、この爺がぁっ!」
‥‥恨みが増してるのか。それとも何なのか。
凄いコボルトにヤツアタリしているように見えるのは記録者だけか。
隼人のイジメにも近いヤツアタリの所為でコボルトは退散。
そこには息切れした隼人と、のんびり茶を啜る爺。
そしてそれを苦笑して眺める冒険者達の姿があった。
「とにかく、お爺さんが無事でよかったですね」
「えぇ、本当に。お爺さん、怪我はありませんか?」
「心が怪我をしとるんじゃ〜〜‥‥」
と、のたうちまわりながら刹那の胸をムギュリ。
これには流石の刹那も少し慌て始める。
「…あ、あの…できれば落ち着いて…って!何処触ってるんですかッ!?」
「おー‥‥ええ乳しとるー‥‥極楽、極楽‥‥」
「素直にそのまま極楽にいっちまったらどうだ?」
忠がボソリと呟くのを聞いて、ゲオルグ、隼人も同感だというかの如く頷く。
しかし、被害はそれだけじゃ収まらない。
「おー!?こっちのねーちゃんはぼいんじゃ、ぼいんっ!」
「き、きゃ!?な、なにするんですかあぁぁっ!?」
爺の意識は完全にラティエルに向けられている。
その様子を呆れながら見ている隼人に祈玖が尋ねる。
「種って‥‥何カ?」
「お前、知らずに‥‥?」
コクンと頷く祈玖を見て、隼人はガックリと肩を落とした。
爺ちゃんを江戸まで護送するまでに色々な道のりがあった。
ラティエルは錯乱している隙をつかれ、連れこまれそして<絶倫>な状況に陥ったりもした。
その時もコボルトやら敵の襲撃はきたものの、隼人のヤツアタリによりそれを撃退。
江戸についた頃にはもう薄暗くなっていた。
「あ、多子爺ちゃんよ!遅かったじゃないっ!」
「心配してたんだからー!」
江戸の女性達が一気に多子爺ちゃんを取り囲む。
ここまで女性が群がるという事はかなりの猛信なのだな、と思う。
「俺は世の女性の目が覚めることを願うよ‥‥」
忠がうわごとのようにポツリと呟く。
後、冒険者達は江戸の男性陣に憎まれながら。
女性陣に感謝されながら帰路へとつくのである。
「‥‥俺の初仕事‥‥本当にこれでよかったのか?」
思いっきり疲れた者の一人、隼人がそうごちっているのが記録員の印象に残っていた‥‥。