季節外れの仮装大会?

■ショートシナリオ


担当:相楽蒼華

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや易

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月07日〜12月12日

リプレイ公開日:2004年12月16日

●オープニング

 慌ただしいギルドに、一つの話題が繰り広げられていた。
 それは、年に1度あるかないかと言われているとある村で行われる仮装大会の事である。
 去年もあったらしく、とても楽しい仮装大会になっていたのだが‥‥どうやら今年は問題がありそうなのである。

「今年も無事に行われるといいですね、仮装大会?」
「それが、そうもいかないみたいなんですよ‥‥」
 ギルド員の言葉に項垂れる青年はどうやらその村からの使いらしい。
 溜息混じりの落ち込んだ声でポツポツと話し始めた。
「ここ最近、変な泥棒の集団が数人住み着いているらしくて‥‥村の中に潜んでいるっていう話なんです。
 狙いは多分、村長の娘さんなのだと思うんですが‥‥」
「娘さん?村長に娘さんなんていましたっけ?」
「どうやら、大事な一人娘らしく、可愛すぎて表に出せないと言うんですよ」
 青年が苦笑を浮かべると、ギルド員は首を傾げた。
 その村の村長に娘がいるだなんて聞いたことがなかった為である。
 色々な村から仕事を請け負うギルドには初耳。

「それで?その泥棒の団体というのは何人ぐらいなんですか?」
「それが、噂では6人という事でして。どれも美人にはめっぽう弱いという噂らしいのです。
 しかし、村長がそれを聞いて自分の娘が危険だと言い張りまして‥‥で、捕まえて貰おうと伺った次第です」
 つまり、今回の依頼は泥棒を捕まえる。ただそれだけでいいのだ。
 そう思って、依頼書に書き込んでいると、青年が思いついたように口を開く。

「表沙汰にして捕まえられては祭りも中止にしざる得ません。どうか、内密にお願いします。‥‥あ、それと。泥棒の団体もどうやらその仮装大会に出るらしいんです。何かの手立てを打てる情報になりませんかね?」
 青年は、最後に「お願いします」と呟いて、また項垂れるのであった。

●今回の参加者

 ea3610 ベェリー・ルルー(16歳・♀・バード・シフール・イギリス王国)
 ea6963 逢須 瑠璃(36歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea8535 ハロウ・ウィン(14歳・♂・ウィザード・エルフ・フランク王国)
 ea8626 風月 蘭稜(39歳・♀・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 ea8703 霧島 小夜(33歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea8799 ジャン・グレンテ(24歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●リプレイ本文

 泥棒を捕まえてくれという依頼に参加した冒険者は6人。どの冒険者達も仮装大会を楽しみにしながらもその目的の村へと出発する。
「そういえば、村ってどういうとこなの?」
 ベェリー・ルルー(ea3610)が先導してくれている村人に尋ねる。村人は少し笑いながら
「普段はとても明るい村なんですよ。人と人との繋がりを大事にしているというか。そういう感じなんです」
「ふぅん。じゃあ、仮装大会は絶対に成功させなきゃだね!」
「その為には泥棒を捕まえなくてはならないがな」
 冷静な口調で霧島小夜(ea8703)が呟く。それには皆、同意している‥。

 村についた冒険者達は手分けして情報を集める事にした。
 ベェリーとハロウ・ウィン(ea8535)は早速村長の家へと向かった。狙われているという村長の娘さんに会うために。
「おぉ!お前達が私の大事な一人娘、真弓を守ってくれるという冒険者か!」
「うん、それでその娘さんに会わせて欲しいんだ」
「顔が分からないと護衛の対象にならないもんね」
 ハロウがそう言うと、村長はうんうんと頷きながらも嬉しそうに二人を見る。
 何故だろうか。ベェリーの心に何か嫌な予感が感じ取れた。
 村長は、二人を部屋の奥へと案内し、一室の戸を開けて見せた。
「‥‥‥」
「‥‥え?」
 何を見せられたのかは二人は多くを語らなかった。見れば分かる。もうそんな感じで‥‥。


 その間に小夜は変装の準備を一通り施し、怪しい人物がいないか警戒に当たる。
 それを行っているのは風月蘭稜(ea8626)と逢須瑠璃(ea6963)そしてジャン・グレンテ(ea8799)も同じである。
 仮装大会は既に始まっており、様々な仮装衣装に身を包んだ人々が集まり始め、広い場所は既に人ごみ状態。
 この状態の中、怪しい人物を探し出すというのは、難しいと思われていたが‥‥。
(「ん‥‥?なんだ、あの挙動不審者は‥‥?」)
 小夜が見つけたのは一人の女。小柄で少し背が小さめの女性だ。まるで何かを探しているかのように辺りを見回しては舌打ちをしているように見えた。
 ビンゴかも知れない。小夜はとりあえず女性に近づくと声をかける。
「どうかしましたか?何か、探し物でも?」
「へっ!?あ、いえ!あの、人を!そう、人を探してまして!!」
 明らかに挙動不審なその態度。どうしてこうも簡単に見つかるのだろう‥‥。しかし、同性愛者でもある彼女にとっては好都合‥‥なのだろうか?
にっこりと優しい笑みを浮かべて、一緒に探すのを手伝おう。と申し出る。女は少し焦りながらも断り切れず結局頷いてしまった。

 しかし、これも泥棒達のショーの始まりだったのかも知れない。

 もう片方の地域を担当していた蘭稜が怪しい男二人を確認したのは丁度それと同時刻だったろうか。
 とりあえず、瑠璃を応援として呼び男二人を誘惑に入る。
「楽しそうだけど、もっと刺激が欲しい?そうね〜私ともっと良い事する?やるなら、ここじゃ駄目‥別の場所でゆっくりと相手してあげるわ‥」
 瑠璃のその言葉に既に男二人の鼻の下はでれーっと伸びきっていて、蘭稜が色仕掛けをするまでもなく男二人は二人にひょろひょろとついていく。

 後二人は見事に二人の女性にあっけなく捕獲される事となる。
 この時点で残りは男1と女3だ。女3のうち一人は小夜がなんとかしている頃だろうとは思うが多分言わずもがなお楽しみ中であろうと推測。ほうっておくことにする。

 しかし、そこで事は大きく発展してしまう。
 いきなり大きな音が響き渡ると、広場一面が煙へと飲まれてしまう。
「ちっ‥‥!しまった、煙‥‥!?」
「さっき何かが焦げた匂いがしたとは思ってたけど‥‥まさか、これの為だったの‥‥?」
 仕掛けておいたクス玉も、煙のせいで下手に発動が出来なくなってしまっていた。もし、ここで発動させたならば驚くのは村の人達。泥棒達も驚いたとしても引くことはないだろう。ずる賢くもバカの集まりだから。
 しかし、そんなことも束の間。村長の家の戸を蹴り開け、二人の男女が入ってきた。
 片手には武器である短刀。顔などはいかにも悪党!といった様子である。

「さぁ、ここまでだ!殺されたくなかったらアンタの娘を出しな!」
「分かってるんだ!ここの娘は美人だっていうじゃないか。なら、それを人手に売れば此方とら儲けれるんでね!」
「じっ、人身販売!?そ、それだけはやめたほうが!特にここの娘さんは‥‥!」
「こらっ!人の娘をバカにするつもりか!?」
 村長の言葉に、ハロウはあわてて自分の口を閉じて沈黙を保つ。
 ベェリィは既に苦笑の区域。もう何もいえないっといった様子だろうか。‥‥そして、初めて口を開く。それは、その泥棒達にとっては悲劇的な結末になるだろう。

「連れて行けるものなら連れていってみるといいですよ?」
「へっ?」
 男が拍子の抜けた声を出す。女は目をパチクリさせて冒険者達の後ろで開く戸に目をやる。‥‥そして訪れる沈黙と絶句。
 村長の娘というのは、どうやらオカマさんと言われるものらしく。可愛いピンク色の着物に身を包んだ‥‥どうみてもガタイのデカイにーちゃんである。
 泥棒二人は絶句と想像していたものと違う娘を見てヘタリと座り込む。
「ど〜したの、ぱぱぁ?この人達がアタシを攫おうとしてる人達カシラ!?やぁん、アタシ怖い〜!」
 ‥‥冒険者達にとっては、二度と聞きたくない声になるかも知れない程のオカマボイスだった‥‥。


 結局、あの煙幕は主催者側の演出だという事で説明を終え、無事に泥棒も捕まえられ、娘さんも守られた。
 一部の冒険者にとってはある意味楽しめたものとなったろう。小夜とお楽しみをしていた女も結局小夜の色香に負けて御用となった。
「そういえば、私達は村長の娘とやらを見てないが‥‥どのような人だったんだ、ベェリー?」
「‥し、知らないほうが‥きっと幸せだと思うよ‥?ははっ‥‥」
 しかし、ベェリーとハロウは他の冒険者達に村長の娘さんの事は話さなかった‥‥。