焼き払い作戦を阻止せよ!

■ショートシナリオ&プロモート


担当:大林さゆる

対応レベル:1〜3lv

難易度:普通

成功報酬:0 G 65 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:08月26日〜08月31日

リプレイ公開日:2005年08月28日

●オープニング

「妖精王国に用はない‥‥焼き払え!」
 ギャリー・ジャックの命令により、手下たちが夜の森へと紛れ込んでいた。

 生き残ったディナ・シーの騎士は、傷付いた身体を抱えながら、秘密のアジトへと戻った。
「‥‥ジャックの‥‥部隊が‥‥我が王国を‥‥焼き‥‥払うと‥‥」
「しっかりしろ!」
 仲間のディナ・シーが思わず叫んだ。騎士のディナ・シーは息も絶え絶えであった。
「‥‥5日後に‥‥前祝いの‥‥宴が開かれる‥‥狙う‥‥なら‥‥」
 それだけ告げると、息絶えた。
 仲間の死に、ディナ・シーたちは互いに身体を寄せ、声を殺して泣き崩れた。
 一人のディナ・シーが、ゆっくりと立ち上がった。
「‥‥おまえの死‥‥決して、無駄にはしない!」
 悲しみを取り払うかのように、涙を拭った。
 小さな妖精たちは、互いに腕を組み、決死の覚悟を決めた。

「どうか、私たちに力を貸して下さい」
 ディナ・シーの少女が、冒険者たちの前へと舞い降りてきた。
 事情を聞いた冒険者たちは、ディナ・シーのアジトへと行くことになった。
「焼き払い作戦の前に、宴とは、随分となめられたもんだな」
 悔しそうに、ディナ・シーの騎士が口を零した。
「我々が弱いからと油断している‥‥だが、その甘さが命取りになるってことを証明してやろうぜ!」

 翌日、偵察から帰ってきたディナ・シーが仲間たちにこう告げた。
「焼き払い部隊の数は、ファー・ダリッグ一匹とコボルト5匹‥‥」
 ジャックの手下たちは、すでに勝った気でいるのか、大いに盛り上がっていた。
「‥‥完全になめられてるな、俺たち」
「だからこそ、我々にも勝機はあります。連中を倒し、焼き払い作戦に使用される道具を破壊する‥‥それが、今回の狙いです!」
 ついに、初心者魂を見せつける時が来た!
 闘え、冒険者たちよ!

●今回の参加者

 ea8333 ティアナ・クレイン(30歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 eb0689 アクアレード・ヴォロディヤ(20歳・♂・ナイト・エルフ・ロシア王国)
 eb0888 マリス・メア・シュタイン(21歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb2756 桐生 和臣(33歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 eb3117 陸 琢磨(31歳・♂・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb3412 ディアナ・シャンティーネ(29歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)

●リプレイ本文

 ギャリー・ジャックの手下たちは、ディナ・シーたちの力を見くびっていたのか、前祝いと称して宴の真っ最中であった。冒険者たちは茂みに隠れたまま、機会を窺っていた。
 ディアナ・シャンティーネ(eb3412)は、初めての依頼ということもあり、やや緊張気味であった。
 だが、その緊張がかえってディアナの意識を研ぎ澄ませていた。ディアナは何故、ジャックの手下たちがすぐに焼き払い作戦を実行しなかったのか疑問に感じていた。
(「‥‥宴が終わった後でも、充分に間に合うと思っていたのでしょうか?」)
 そう思った矢先、桐生和臣(eb2756)が小声で告げた。
「ボクがディアナさんの武器にオーラパワーを付与した後、こちらの作戦を開始します」
 マリス・メア・シュタイン(eb0888)が通訳となり、他のメンバーに声をかけていた。
 夜の森は、月明かりに照らされ、どことなく不気味な気配を漂わせていた。ファー・ダリッグは酒で酔い潰れ、木に寄りかかっていたが、コボルトたちは何者かに操られているのか、殺気立った顔付きで、仁王立ちしていた。
 数分後、和臣がディアナのナイフにオーラパワーを付与すると、それが合図となった。
 冒険者6人とディナ・シーの騎士たちは、二手に分かれ、攻撃を開始した。
 後衛にいたマリスはスクロールを広げ、意識を集中させた。マリスの身体が淡い光に包まれたかと思うと、次の瞬間、前方15メートル先の地面から炎の柱が噴き上がった。
「‥‥いざとなるとやっぱり緊張するわね」
 スクロールとは言え、発動に失敗することもあるせいか、マリスは思わず呟いた。
 コボルト3匹はマリスが放った炎に巻き込まれたが、残る2匹は陸琢磨(eb3117)に狙いを定め、突進した。
 コボルトは剣を振り下ろしたが、琢磨は和臣から借りたライトシールドでなんとか受け流した。背後にいたティアナ・クレイン(ea8333)が弓で応戦し、矢はコボルトの右腕に突き刺さった。その拍子に、コボルトはバランスを崩した。その機を逃すディアナではなかった。
「琢磨さん!」
 ディアナはとっさにナイフを振った。
 琢磨は自分の名前を呼ばれたことに気付き、すぐに体勢を整えた。
「助かる」
 ディアナには琢磨の言葉は分からなかったが、彼の表情から今言った意味がなんとなく理解できた。2人は互いに目配せした後、次の攻撃に移った。琢磨はロングソードを構えると、背後に回り込んで素早く肉迫した。その攻撃により、コボルトは仰け反った。
 さらにレンジャーのティアナがショートボウで矢を放ち、マリスがスクロールを利用してマグナブローを解き放った。ディアナはミドルシールドでコボルトの剣を受け止めると、すかさず斬り付けた。最後に琢磨のスマッシュが命中し、コボルト軍団は倒れた。

 一方、アクアレード・ヴォロディヤ(eb0689)と和臣、ディナ・シーたちは、円陣を組んでファー・ダリッグを包囲していた。森の中ということもあり、多少の時間がかかったものの、互いにフォローし合うことで取り囲むことができた。
「年貢の納め時だぜ?」
 アクアレードはおどけた口調で言ったが、スピアを握る手には力が籠っていた。
「おのれーっ!!」 
 ファー・ダリッグは奇声を発すると、その身体が輝いた。上空にいたディナ・シーは急に眠気に襲われたが、気迫を込めて抵抗していた。
「‥‥くっ‥‥仲間の‥‥ためにも‥‥」
「お、なかなかやるじゃねぇか。さすが騎士」
 アクアレードの励ましに、ディナ・シーたちの意気込みが高まった。それが癪に障ったのか、ファー・ダリッグは怒りを顕にして、さらに魔法を唱えた。
「ならば‥‥これでどうだっ!!」
 ファー・ダリッグが放ったムーンアローは、和臣の身体さえも弾き飛ばした。
「和臣?!」
 思わず、アクアレードが叫んだ。
「‥‥ボクに構わず‥‥ファー・ダリッグを‥‥」
「すまねぇ‥‥ヤツに魔法は使わせないようにするつもりが‥‥」
 アクアレードの動きよりも、ファー・ダリッグの方が素早かった。
「気にしないで‥‥下さい。こうして‥‥包囲することができたのも、アクアレードさんたちのおかげですよ」
 和臣は左肩を押さえながら、ふらりと立ち上がった。
「そう言ってもらえると、こっちもやる気になるってもんだぜ!」
 アクアレードはそう叫びながら、スピアを振り回した。ファー・ダリッグは上空に飛び上がったが、ディナ・シーたちが小さな剣で追い払っていた。ファー・ダリッグが地面に着地した瞬間、和臣はとっさに毛布を被せた。
「チャンス到来!」
 アクアレードは待ってましたと言わんばかりに、ファー・ダリッグを押さえつけた。和臣は左肩の痛みも気にせず、とっさにロープで縛り上げた。ファー・ダリッグは毛布の中で暴れていたが、さすがに魔法を使い過ぎたのか、疲労で動けなくなってしまった。
「念のために、スリープです」
 味方のディナ・シーには、魔法使いもいた。彼がスリープを唱えると、ファー・ダリッグは抵抗する暇もなく、眠りについた。
「和臣さん! アクアレードさん!」
 ディアナたちが異変に気付き、駆けつけてきた。
「和臣さん、怪我したのか?」
 琢磨が心配そうに声をかけると、ディアナが和臣の肩に手を当て、リカバーの魔法を唱えた。
「ありがとうございます、ディアナさん」
 和臣の言葉に、ディアナはうれしそうに言った。
「お役に立てて、光栄です」
 そんな2人の様子を見て、琢磨は安堵の溜め息をついた。

 生け捕ったファー・ダリッグに関しては、マリスと和臣、ディアナの意見により、ディナ・シーたちに任せることになった。琢磨が思い出したように告げた。
「後は、焼き払い作戦に使われるはずだった道具の破壊だな」
「宴をやっていた付近にあるかもしれないわね」
 マリスの言う通り、戻ってみると、茂みの奥から30センチ程度の大きさをした細長い赤い石が見つかった。
「これで火をつけるつもりだったのかしら?」
 不思議そうに見つめながら、マリスは赤い石を拾い上げた。
「どうやって使うつもりだったのでしょう‥‥?」
 ティアナがほんのりとした口調で言うと、アクアレードは赤い石を手に取った。
「さあな‥‥よく分からんが、依頼では発見次第、壊すように言われてるからな」
 地面に置いた後、アクアレードはスピアの刃先で赤い石を破壊した。すると、不思議なことに、石は結晶化して、砂のように粉々になると、赤い光を放ちながら消滅していった。
「‥‥これで任務完了だ」