ファー・ダリッグ部隊を殲滅せよ!

■ショートシナリオ&プロモート


担当:大林さゆる

対応レベル:1〜3lv

難易度:やや難

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:09月14日〜09月19日

リプレイ公開日:2005年09月24日

●オープニング

「ふはははははは、ついに復活の時が来たのだ!!」
 ギャリー・ジャックの命令により、手下たちは『とある場所』へと少しずつ集結していた。

「ついに始まるか‥‥クククククク」
 数匹のファー・ダリッグが、不気味な笑みを浮かべ、森を荒らし回っていた。
「よいか‥‥祭壇に近づけてはならん」
「そんなことはどうでもいい‥‥奴らを皆殺しにすれば問題ない」
 森の奥にて、ファー・ダリッグたちがひそひそと話し合っていた。
「妖精王め、思い知るがいい‥‥我等を追放した恨み‥‥忘れんぞ」
 復讐に捕われて、ファー・ダリッグたちの瞳が怪しく光っていた。

「リュート隊長! 大変です! ファー・ダリッグたちが何やら怪しい動きを始めています!」
 秘密のアジトへと飛び込んできた伝令は慌てていたが、ディナ・シーの青年騎士リュートは冷静にこう告げた。
「それはかえって好都合だ。ファー・ダリッグたちの居場所が分かり次第、こちらから攻撃をしかける」
 亡くなった父母のため‥‥そして、妖精王たちのためにディナ・シー騎士団の生き残りたちがアジトに集まっていた。
 偵察役のディナ・シーが居場所を突き止めた後、伝令のディナ・シーは冒険者ギルドへと向かった。
「ここから歩いて2日くらいの場所に、ファー・ダリッグたちが集まっています。このままでは我が王国が‥‥お願いです! どうか我らに力を貸して下さい!」
 ファー・ダリッグたちは、行く手を拒むように森の中を飛び回っていた。 
 妖精王国に、さらなる危機が迫っていた。

●今回の参加者

 eb0207 エンデール・ハディハディ(15歳・♀・ジプシー・シフール・エジプト)
 eb0874 ガルディ・ドルギルス(55歳・♂・レンジャー・ドワーフ・ビザンチン帝国)
 eb3117 陸 琢磨(31歳・♂・ファイター・人間・華仙教大国)
 eb3350 エリザベート・ロッズ(23歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb3412 ディアナ・シャンティーネ(29歳・♀・神聖騎士・人間・フランク王国)
 eb3503 ネフィリム・フィルス(35歳・♀・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)
 eb3532 アレーナ・オレアリス(35歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)

●リプレイ本文

 鬱蒼と茂る森を抜けると、荒れ果てた大地が広がっていた。
 遥か遠くで、何かの気配が渦巻いていた。恐怖‥‥とは違っていた。
 その先に、見えない力が隠されている‥‥。
 そんな予感をさせる震えが到来していた。

 現地到着後、ガルディ・ドルギルス(eb0874)はディナ・シーの騎士たちが手にしている武器に目をつけた。度重なる戦いによって、ディナ・シーたちの心も武器も傷付いていたが、ガルディは時間の許す限り、剣の手入れをしてくれた。
 そんなささやかなガルディの思いが、ディナ・シーたちの心を動かした。
「ガルディさん‥‥ありがとう。私たちのために、武器の手入れまでしてくれて」
 ディナ・シー騎士の一人が、目に涙を浮かべていた。
 まさかこんなにも喜んでくれるとは、ガルディにとってはうれしい誤算であった。 
 さらに、エンデール・ハディハディ(eb0207)とディナ・シーたちの偵察により、ファー・ダリッグが7匹潜んでいることが判明した。
「さーて、いくデスう。ドンドンいくデスぅ」
 ディナ・シー騎士団の生き残りと冒険者たちは、互いに手を取り合い、戦場へと向かった。 

 そしてついに、戦いは佳境を迎えていた。
 エリザベート・ロッズ(eb3350)のライトニングサンダーボルトが一直線に迸ると、凄まじい雷撃がファー・ダリッグ3匹に直撃した。その中の一匹は、ガルディが放った矢で射落とされた。
「‥‥手応えあり」
 ガルディはそう言いつつも、決して油断をすることはなかった。
「フフフフ‥‥まだまだ続くわよ」
 エリザベートは興奮気味な表情で、薄笑いを浮かべていた。残りのファー・ダリッグが突進してくると、すさかずエンデールがライトの魔法を唱えた。
「そーれ、きらきらデスぅ」
 光が放たれた瞬間、攻撃系の魔法だと思ったのか、ファー・ダリッグたちが怯んだ。その機に、アレーナ・オレアリス(eb3532)がワスプ・レイピア+1を構えて突撃した。向かってくるアレーナ目掛けて、ファー・ダリッグがムーンアローを放った。
「甘い!」
 戦闘開始直後、アレーナは自らにレジストマジックを唱えていた。ムーンアローは無力化され、アレーナは一気に間合いに入った。続くように、ディアナ・シャンティーネ(eb3412)がレイピアを突きつけた。さすがのディアナも、血を見るのに未だ抵抗があるのか、ほんの一瞬だけ、目眩がした。
「ディアナ!!」 
 陸琢磨(eb3117)に名前を呼ばれ、ディアナはすぐに我に返った。
「‥‥琢磨さん」
「まだまだ気を抜くな」
 琢磨はそう告げた後、襲い来るファー・ダリッグを躊躇うことなく斬り付けた。さらにガルディが見計らうように、矢を放った。
「残り、2匹か‥‥」
「任せて!」
 ネフィリム・フィルス(eb3503)がライトシールドでファー・ダリッグの放った矢を払い除けた。そしてさらに、アレーナが斬り付け、琢磨がスマッシュで止めを刺した。
 今までの戦いが嘘のように、森は静まり返った。ふと見ると、血に塗れたファー・ダリッグたちが横たわっていた。

 ファー・ダリッグたちの墓を作った後、冒険者たちとディナ・シー騎士団は祈りを捧げた。
「いろいろと世話になったな。返す言葉も見つからないが‥‥」
 この戦いに集まったディナ・シー達の隊長リュートが深く一礼した。その顔は、どことなく複雑な表情だった。
「亡くなった者たちのため‥‥王のために戦ったが‥‥素直に喜べないのは、何故だろうな‥‥」
 リュートが自嘲気味に呟いた。
 墓を作る気になったのは、リュート自身、よく分かっていなかった。
 だが、このままではいけないという思いだけは確かにあった。
 それは、哀しみとは違っていた。
 喜びとも違っていた。 
「‥‥復讐は‥‥自らの身を滅ぼすか‥‥」
 アレーナはそう呟くと、ファー・ダリッグたちに弔いの言葉を捧げた。
「二度と‥‥こうした悲劇が起こらないように‥‥」
 ディアナもまた、鎮魂の言葉を捧げる。だが、微かに震えているようにも見えた。
 理想と現実の間で、ディアナの心は揺れ動いていた。
 それに気付いた琢磨が、意を決してこう告げた。
「何が正しいか、ではなく、できるだけ最善をつくす‥‥そう思えば、ある程度は決心がつく。ファー・ダリッグの復讐は、自らの傲慢さが招いたものだ」
 すると、ネフィリムが不思議そうな顔付きで言った。
「復讐ね〜‥‥なんで、そんなことに捕われるんだろうね?」
「そう言えば、そうだな」
 アレーナもなにやら考え込んでいた。 
「言葉に惑わされてはダメよ。『復讐』なんて、ただの飾りみたいなものだから」
 エリザベートが念を押すように答えた。
「単に、八つ当たりしているだけデスぅ。そんな連中は、デスデスぅ。だけど、ディアナさんの気持ちも、人として当然デスよ」
 エンデールがそう言うと、ディアナは小さく笑った。
「‥‥ですが、少しでも犠牲を出さないように‥‥努力していきたいです。人とか、種族とか、関係なく」
 その言葉に、ガルディが噛み締めるように言った。
「‥‥ディアナのような心を、忘れたくないな」
「そうね‥‥私もそう思うわ」
 エリザベートが目を細めた。

 朝日が昇る‥‥。
 戦いは完全に終わった訳ではなかったが、リュートの心に、新しい意識が目覚めていた。
「これから、どうなるか分からないが‥‥また、同じことが起きるかもしれないが‥‥それでも、前へ進んでいこうと思う」
「仲間のためにも‥‥生き抜けよ」
 ガルディがそう告げると、冒険者たちは新たなる道へと歩いていった。