射手と白猿
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■ショートシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:1〜4lv
難易度:やや難
成功報酬:0 G 80 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:02月07日〜02月12日
リプレイ公開日:2005年02月17日
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●オープニング
「‥‥少々手助けを頼みたい」
そういってギルドを訪れたのは白髪の老人であった。
皮のブーツに防寒着を兼ねた皮のチュニックを着て背中にはショートボウと弓筒を背負っている。
「わしゃあバートラムという爺じゃ。近くの村で狩人を生業としとった」
そしてふっと苦笑するバートラム。
「まぁ、年のせいで狩りのほうはずいぶん前に引退しとるがな。じゃから今は矢を作って生計を立てとる」
そこまで言うと、バートラムはきりっと表情を厳しくして言う。
「‥‥実は、最近サスカッチの群れが村の近くに現れてな。若い狩人が怪我を負わされたり、村の作物を盗んだりし始めよったのじゃ」
苦々しげな口調に迷惑のほどがうかがわれる。
「じゃから、依頼の内容はその猿どもを退治することなんじゃが‥‥」
なぜかバートラムは困ったように白髪頭をがりがりかいている。
「なにせ、小さな村じゃからな‥‥冬じゃしたくわえもそんなに無くてな‥‥」
そこまで言うとギルドの受付のいぶかしむような視線に気づいて慌てて答えるバートラム。
「いやいや、報酬はちゃんと払うが‥‥大して払えそうに無いんじゃよ」
開き直ったか笑いながら言うバートラム。
「まぁ、それじゃぁ誰も来んじゃろうということで、わしの作った矢をタダでやるじゃよ」
にっと人の良い笑みを浮かべてバートラムが言う。
「矢だけならたくさんあるからのう‥‥持って帰るのは許さんがのう」
さて、どうする?
●リプレイ本文
●村での準備
「ギルドから依頼を受け、皆さんの村をおサルから守りに来ました。つきましては、ご協力お願いします。ってこの村、ゲルマン語分かる人いないの? 誰か通訳お願い」
村の着くなり準備を兼ねて尊重に挨拶をしようとしているのはザビアナ・タルフィース(ea9250)。
「そしてお願いなのですが、シーツと酒や肉などを少々いただけないでしょうか・・・・」
他の冒険者の通訳の下で村から白い布と酒や肉などを少しばかりもらうザビアナ。
そして、ザビアナは通訳役の冒険者を伴って村へと聞き込みに向かっていくのであった。
しかし幸か不幸か村人への被害が少なかったため、有力な情報は得られなかったようだ。
一方バートラムの元に集って準備を進めている冒険者も数名。
「化け猿退治か‥‥任されよご老体。この俺が皆殺しにしてやろう」
全身を鎧に包む巨漢の戦士は、コロス・ロフキシモ(ea9515)。
その迫力にバートラムは安心を覚える。
「今回自分は、バードとして白猿との対決をバートラム殿を主役にした歌にしたいと思ったため参加したのです」
バートラムに対してそういったのはバーゼリオ・バレルスキー(eb0753)。
実はザビアナの通訳をしていたのも彼であった。
「私、困っている者を捨て置けぬ故サスカッチ退治に協力致す」
長寿院文淳(eb0711)がそう決意を示す。
「矢が撃ち放題‥‥弓使いにとっては嬉しい話でしょうね。残念ながら私は使えないけど、魔法で援護させてもらうわ。報酬のほうも別に気にしなくていいわよ」
カナリー・グラス(ea8206)そう言うと、依頼人は感謝するかのように頭をさげるのだった。
「別に‥‥用なんか無いけど」
そう言いながらバートラムにまとわりつくようにしているのはクーラント・シェイキィ(ea9821)だ。
どうやら同じ猟師を生業をする者同士として親近感を覚えたようである。
「それで、師匠‥‥次は何をしたら?」
クーラントはバートラムを師匠と呼んだりしているのだが、バートラムも悪い気はしていないようである。
●作戦を立てる
「サスカッチねぇ‥‥確かどんな奴だったっけか‥‥」
一同に対してサスカッチの情報を伝えているのはヴァイン・ケイオード(ea7804)。
「ふっ、感心したならモンスター解説おにーさんとでも呼べ」
どこと無く偉そうである。
「何? サル退治なの? 別にいいけど‥‥しかも、雪の中で、白サル相手にする!? かなりきついわよ? 雪の白さと動きで、わかりづらかったりするし‥‥」
なにやら呟いているのはセラフィーナ・クラウディオス(eb0901)だ。何だか文句が止まらないようであった。
「‥‥嬢ちゃん名前はなんというんじゃ?」
「‥‥鳳萌華」
「‥‥そ、そうか。よろしく頼むじゃよ」
静かに相談に加わっていた少女にバートラムが声をかけたのだが帰ってきたのはそっけない返事。鳳萌華(eb0142)は、無口な少女であるようだ。
そして、話し合いの結果相談がまとまりおびき出す作戦を取ることになった。
場所はバートラムの案内を元に選び、餌を用意し隠れるための雪洞を作る。
いよいよ決戦のときがやってくる。
●猿との戦い
「冬場はどうしても食物が不足するからね‥‥村を襲う理由もそれでしょうし。これに掛かってくれるといいけど」
おとりの餌と罠をはさんで左右に待ち伏せをしながらカナリーが呟く。
それから、しばらく無言で時間が過ぎて‥‥。
「‥‥来た」
インフラビジョンを使ってサスカッチを探していた萌華が隣で待機していたクーラントに告げる。
樹上を近づいてくるサスカッチの数は4匹。まだこちらには気づいていないようだ。
そして、えさに気を取られ、木から降りてきた猿たちに対して全まずは遠距離攻撃で総攻撃をかける!
「冬山の事情はわからんでも無いが、お前らはちょっとやりすぎたな。悪いが始末させてもらうぞ。ったく、他者の縄張りに入ると痛い目に合うってのはお前ら猿の方が良く理解してるだろうに」
苦々しげに呟くヴァイン。クイックシューティングによる連射で猿たちを罠へと追い込む。
「あたらないように気をつけてね!! 痺れさせてあげる、ライトニングサンダーボルト!!」
見方にあたらないように気をつけながら、魔法を放つカナリー。
雷鳴とともに空気を焦がし一匹を直撃するライトニングサンダーボルト。
突然の攻撃に驚き、魔法の雷に身を焦がされた一匹が驚いて飛び退ると、地面に掘られた罠にはまり込む。
「あわれな生き物よ、我らの慈悲を見るがいい!!」
踊りかかってきたサスカッチから仲間を守るため剣を抜いて躍り出るザビアナ。
突然隠れ場所から飛び出してきた彼女に驚いた一匹の猿に見事彼女は一撃を与える。
「‥‥止めだ、猿ども。ムゥンッ!」
ヘビーボウをモーニングスターに持ち替え、罠にはまってもがく猿へと肉薄したのはコロス。
スマッシュの一撃に猿はきっちりと止めを刺される。
「南無三! 成仏を‥‥」
ブラックホーリーによって牽制しつつ、味方を守るように立ち回っているのは文淳だ。
「もう、ちょこまか、ちょこまか、すばしっこいったら、さすが野生、逃がさないわよ‥‥」
ぷちぷち文句を言いながらセラフィーナは矢を射掛ける。
「来い! 全て叩き潰す!」
身に纏った防寒着を脱ぎ捨ててオーラパワーで強化された拳をダブルアタックで繰り出すのは鴛鴦竜輝(eb1029)だ。
「おらおらおらぁ! いくらでもかかってこないか!」
体躯の大きな最後の一匹に竜輝の拳が直撃し、矢が突き立つ。さすがの猿たちも怒涛の連続攻撃の前には駆逐されてしまったのであった。
●終わりに
「また来ないとも限らないし、無いよりましだろ」
村に鳴子を残していくのはクーラント。
「では、さらばだ」
コロスは飄々と立ち去る。
「それでは、さらばだ。また機会があれば会うこともあるだろう」
竜輝は猿を手厚く葬ってから仲間たちに一言告げて照れくさげに立ち去る。
「さて、帰ったらこいつ等の行動についての記録だな」
ヴァインは今回のサスカッチたちも記録しておきたいようであった。
依頼は無事成功である。