動物たちと過ごす5日間♪

■ショートシナリオ


担当:雪端為成

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 52 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:04月25日〜04月30日

リプレイ公開日:2005年05月04日

●オープニング

「おーい、用意できたか?」
「ええ、あなた。準備万端ですわ♪ ところで、本当に大丈夫ですか?」
「ふむ‥‥ま、ダイアナのことだし、きっとうまくやるだろう」
「そうですわね‥‥ショーン、しっかりよろしくね」
 そうお願いされた白いもこもこの犬は『わおんっ!』と応えたのであった。

 ところ変わってギルドの受付、陽気な春の昼下がり。
「えーっと、お手伝いを数人よろしくお願いします」
「あら、ダイアナさん。珍しいわね‥‥はい、ショーン君もこんにちわ♪」
 受付を訪れたのは長い髪の少女、サイモン先生の娘のダイアナ嬢である。
 もちろん横には犬のショーン君。心なしか精悍な顔つきになったようだ‥‥。
「それで、今度はどんな依頼かしら?」
「はい、実は‥‥お父様とお母様が暫くの間、家を留守にするんですけど‥‥」
「ふんふん‥‥あは、よしよし♪ ショーン君ふかふかだねー」
 ショーン君の頭を撫でる受付のおねーさん。話を聞け。
「‥‥ええと、5日ほど出かけるので、その間動物たちの世話をしに泊り込みに来てくれる人を募集しようかと思いまして」
「あら、それはいいわね♪ 動物たちと一日中一緒にいられるわね」
「ええ、まぁ学校もありますけど‥‥実はお泊り会みたいで楽しいかなって思いまして」
 ふふっと笑みを零すダイアナ嬢、ボクもボクもとばかりにショーンもあおんっ♪ と吠えるのだった。

 さて、どうする?

●今回の参加者

 ea1434 ラス・カラード(35歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea7435 システィーナ・ヴィント(22歳・♀・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea8367 キラ・リスティス(25歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea8870 マカール・レオーノフ(27歳・♂・神聖騎士・ハーフエルフ・ロシア王国)
 ea8877 エレナ・レイシス(17歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 eb0602 ユルドゥズ・カーヌーン(25歳・♀・クレリック・エルフ・ビザンチン帝国)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 eb1801 西伊織 晴臣(39歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●朝の風景
「それでは、僕達が学校へ行っている間の動物の世話はよろしくお願いします」
 唯一家に残る冒険者仲間にそう告げるラス・カラード(ea1434)。
「宜しくお願いしますね」
「負担をお掛けするがよろしくお願いする」
 リアナ・レジーネス(eb1421)と西伊織晴臣(eb1801)が口々にそういって一同はサイモン先生の家を出る。
 見送られながら、連れだってそれぞれの学校へ向かうとちゅうにも話が弾む。
「ダイアナさん、今回の依頼もよろしくお願いしますね」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いしますね」
 ラスにそう答えるのは依頼人のダイアナ。顔見知りも多く楽しそうであった。
「動物たちと遊ぶために勉強も頑張りませんと!」
 熱意満々なのはキラ・リスティス(ea8367)。
 冒険者と学生の兼業もなかなか大変である。

 そしてあっという間に学校は終り帰り道。とりあえずは買出しである。
「最近料理に目覚めたんだ。今日の夜は野菜スープを作ります♪」
 システィーナ・ヴィント(ea7435)がそういえば、同じく家事技能を持つラスも手伝うと賛同し‥‥
「そういえば、動物たちは何が好きなんですか?」
「普通なもので大丈夫ですよ」
 リアスの疑問にダイアナが答える。すると晴臣が不思議な小さな塊をひょいっと見せる。
「ふっふっふ、わざわざジャパンから持ち込んだこの干し鰹を猫たちはきっと気に入ってくれるに違いない♪」
「でも、合宿は楽しみですねぇ。ほら、たくさん手作りのお菓子もって来ましたよ」
 蜂蜜入りのケーキを掲げるマカール・レオーノフ(ea8870)。でも、合宿とはちょっと違う。
「私も猫用のおもちゃを用意してきました」
 エレナ・レイシス(ea8877)も、布で作ったボールを示す。
 準備は万端。みんな動物たちと楽しく過ごすために努力を惜しまないようだ。

●春の陽気に動物たちと
 午後の気持ちいい空気の中で犬たちを散歩させているのはダイアナとラスとシスティーナだ。
「サイモン先生の犬たちは皆良い子だからお行儀良く散歩してくれるよね!」
「体が大きいから引っ張られると大変ですけど、ちゃんと皆言うことを聞いてくれますよ」
 システィーナが楽しげに言うとダイアナも嬉しそうだ。
「よし、おりこうですね‥‥」
 引っ張ったりしないでしっかり横についてくるカールを撫でながら、ラスは時折ダイアナの横顔を見る。
 わうっ!
 さて、吼えたカールは何が言いたかったのだろうか?

「お昼寝するにはいい気候ですよね」
 ぽかぽか差し込んでくる日差しの中で小さなオーランドと遊んでいるのはエレナ。
 母猫ケイトもエレナの座る長椅子にどっしり座り込んで、布のボールを追いかけてころころ転がるオーランドを眺めている。
 ちなみにエレナの日課はオーランドを膝に乗っけて居眠りである。
「猫はこのぷにぷにしたにくきゅうがたまらないですよ〜」
 最近ちょっと肉球以外もぷにぷにしてきたビリーのお腹をたぷたぷ撫でながら言うリアナ。
 どうやらビリーもリアナがお気に入りで、肉球をぷにられながら、のたーっと仰向けになって目を細めている。
 最近ちょっと太り気味なビリーはリアナの可愛がりまくりでさらに“むにむに”になりそうであった。
「む、少々可哀想だが猫のために蚤を取ってあげないとな」
 丁寧に毛を梳いてあげながら猫の世話をするのは晴臣だ。
 ヴィゴが胡坐をかいた晴臣に抱かれて、蚤取り中。のどをごろごろ言わせて気持ち良さそうである。
 ちなみにすでに終わったリヴはとっとこ窓際にいって丸まってお休み中。
 そして、晴臣の膝に擦り寄って順番待ち中のドミニクが“まだかな”と晴臣を見上げるのだった。

「ミランダ、元気にしていましたか? 市場で売っていたニンジン持ってきましたよ。またキラさんを乗せてあげてくださいね」
 マカールがそういってミランダに近寄ると、ミランダも旧知の人間に気付いたようで鼻面を擦り付けて歓迎する。
「今回もよろしくお願いしますね♪」
 にこっと微笑むキラに対して、ミランダは向ける。仕方ないわねといわんばかりの視線だが、どこか楽しそうなミランダであった。
「やっぱり馬って素敵ですよね‥‥」
「ええ、我々にとっては素晴らしい相棒だと思いますよ」
 馬上のキラがミランダの上から歩きながら手綱を引いてくれているマカールに声をかける。
 ミランダにキラを乗せて馬場をてくてくとゆっくり散歩中である。
 暫くして今度はマカールがミランダに乗ってちょっと散歩するようだ。
「では、私は馬小屋の掃除を‥‥」
「せっかくですからキラさんも一緒に乗ってみます? 馬で走るのは楽しいですよ」
「あ‥‥それではお願いします♪」
 ミランダに乗って暫く馬場を駆け、春の爽やかな風を受ける。
 そのあとブラシをごしごしかけるマカールと足をマッサージするキラであった。
「とても楽しかったです♪ ありがとうございますね、マカールさん‥‥もちろんミランダも」
「どういたしまして。やはり馬は良いですよね」
 ミランダも同意するように視線を投げかけるのだった。

●のんびり食後のお話
 テーブルに並ぶ料理を片付けて、一同はマカールが持ってきた蜂蜜ケーキを幸せそうに食べる。
 話の内容はそれぞれの故郷のことや、動物たちについてだ。
「ふむ、故郷ほど洗い場に男は入るなと追い出されはしないだろう? 洗い物ぐらい手伝うぞ」
 片付けは晴臣をはじめ皆で協力。動物たちも一緒にごちそうさまだ。
 なにやらリヴが晴臣にすりすり。干し鰹の匂いが気に入った様子である。
 お腹が一杯になったオーランドはエレナの膝の上で丸まってお休み中。
 そして、ご飯の後はやっぱり動物たちとのんびりである。

「大人しくしてないとダメだよー?」
 ゆっくりブラシをかけながら、システィーナが犬のクリストファーに話しかける。
 元気なクリストファーもこんなときはちゃんと大人しいのであった。
「うん、綺麗になったね♪」
 ぎゅーっと首に抱きつくシスティーナ。びっくりしたのかクリストファーもきょとんと顔を向ける。
「クリスマスに会った時より皆、大きくなったよねー」
 褒められたのが分かったのかクリストファーも鼻で頬をつんつく突付いてぺろりと一舐めするのだった。

 そして今の片隅でこんな会話も。
「動物はいいですね‥‥接していると心が洗われている様な気持ちです」
 ラスがショーンを撫でながら、ダイアナとお話中。
「そうですよね‥‥私も皆と一緒にいると幸せですし」
「私にはあなたの優しい人柄も、御両親の愛情はもちろん、動物達と接する事で培われてきたものだと思いますよ」
「あら、お上手ですね‥‥でも、動物は本当に人の心を豊かにすると思いますよ」
「‥‥僕はあなたの事をもっとよく知りたいと思っています‥‥フフ、どうしてでしょうね」
 きょとんとするダイアナ‥‥どうやらこの手の話に非常に鈍いようで今ひとつ伝わってないかもしれない。
 さらに言葉を続けようとするラスだが‥‥じーっと彼を見つめる視線が。
 ‥‥わふ
 姫君を守る騎士のようにショーンがじーっとラスのことを見る。何の話だ? と問いかけるように。
 ちなみにショーンは想い人(想い犬)にフられた経験があるのだ。
 とりあえずはラスには一緒にこんな時間が過ごせることを幸せだと思うことをお勧めしよう。

●夜のおしゃべりも動物たちと
 男性陣に与えられた客部屋にて。
「犬は本当に大きいな‥‥ふさふさで可愛い‥‥」
 晴臣についてきたのは、犬のカールと猫のリヴである。
「だが、猫も可愛い‥‥肉球‥‥ぷにぷにぷに‥‥」
 大きなお目目でじーっと晴臣を見つめるリヴ。大人しくぷにぷにされている。
 げしげしと前足でカールがボクもと催促。カールをわしわし撫でているとリヴがよじよじ膝に登って私も〜と見つめる。
 晴臣モテモテである。
 クリストファーが一緒なのはマカール。
 昼のブラッシングでモフモフ度4割り増しだ。
「撫で甲斐のある大きい犬っていいですよね‥‥」
 他の男性陣もうんうんと頷いて同意。もふもふもふもふ撫でるのが止まらないマカール。
「クリストファーは背中をなでられるのが好きなのかな‥‥」
 わぅ〜
 気の抜けるような声をだして、ぺたりと伏せるクリストファー。双方にとって至福のときである。
 そしてその横でショーンをなでるのはラスである。
 さて、ラスはショーンを撫でながら誰に想いを馳せるのだろうか?

 一方こちらは女性陣の部屋。
 ビリーと仲良くなったリアナはなぜか残念そうだ。
「やっぱり不思議なマタタビは自分の飼っているペットにですか‥‥まあ仕方ありませんね」
 リアナは膝のビリーの喉をくすぐりながら言う。ごろごろと居眠りしながらビリー。
「‥‥寝ている猫さんたちって天使みたいですよね」
「そうですね、とっても可愛いですよねぇ」
「この子、いただいちゃ駄目ですか?」
「手を焼きますよ? 食いしん坊ですから」
 リアナの本気交じりの冗談にダイアナがしれっと答える。
「私が故郷で飼っている猫たちも寝顔は特に可愛いですよー。おきてると悪戯っ子で手を焼く子なんかは特にですね」
 システィーナもドミニカを抱きながら言う。ドミニクはシスティーナに抱かれてご満悦。
「こういう時間って幸せですよね」
 エレナがオーランドを撫でながら言うと‥‥
「本当に楽しいですよね♪」
 ぎゅっとイアンの首に抱きついて言うキラ。もちろん遊んで遊んでと膝をよじ登るヴィゴの喉をくすぐるのも忘れない。
「それじゃ、どんな話をしましょうか? 恋の話とか、怖い話?」
 システィーナが言う。
「こ、怖い話ですか‥‥」
 ぎゅーっとイアンにつかまるキラ。イアンが何事? とばかりに耳をぱたり。
「そうそう、この前学校で聞いたんだけど‥‥」
 動物たちを交えて、夜遅くまで話しこむ一同であった。
 長いと思われた5日間も、あっというまに過ぎ去っていく。やっぱり動物たちと過ごす時間は楽しいのだろう♪