お悩み相談教室♪
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■ショートシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月04日〜06月09日
リプレイ公開日:2005年06月15日
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●オープニング
ケンブリッジにはたくさんの生徒が居る。
千差万別、十人十色。いろんな夢が集まっているこの学園都市には‥‥同じぐらい多くの悩みが。
学生たちには悩み多きお年頃も多く、日々様々な悩み事があるようだ。
「先生や仲間内で解決するのにも限界がありますし‥‥」
そういってギルドを訪れたのは数人の先生たち。そして依頼内容はというと‥‥
「時間も足りないので、是非冒険者のように人生経験が豊富な方たちに相談室を設けていただきたいのです」
生徒たちから様々な悩みを聞いて、相談にのる相手を探しているようだ。
「たとえばこんな相談が寄せられているのですが‥‥」
うち一人が、羊皮紙に箇条書きにされた生徒の悩みを見せる。
・剣術が全然上達しなくなってしまいました。これがスランプなのでしょうか?
・魔法を唱えようとしても、いつも失敗ばかりしてしまいます。才能がないのでしょうか?
・今ひとつ勉強に集中できません。どうすれば集中できますか?
・あの娘が気になって夜も眠れません。でも告白する勇気もありません‥‥。
・友達と喧嘩してしまって、それ以来ぎくしゃくしています仲直りするにはどうしたらいいでしょう?
・故郷が恋しくて涙が出ます。なにかいい考えはありませんでしょうか?
・歌を作りたいのですが、良い歌詞と旋律が思い浮かびません。なにかいい方法はないでしょうか?
・社交ダンスを習っているのですが、相手の足を踏んでばかりで練習相手がいません‥‥。
・木工細工が好きなんですけど不器用なんです。どうしたら上達しますか?
・彼は手は繋いでくれるのですが、キスしてくれません。このままだと私、フラれてしまうのでしょうか?
などなど、いろんな悩みがあるようだ。
数日間学生の悩みと正面から向き合ってみよう。
さて、どうする?
●リプレイ本文
「“お悩み”は真っ暗“な闇”の中で聞きます‥‥」
まだ相談者が居ないところにぼそりと響く駄洒落。大宗院透(ea0050)である。
そして、おずおずと隣に相談者が入ってきた気配が。
「どうぞ‥‥」
「あの‥‥この前友達と喧嘩してしまって‥‥それから、仲直りが出来なくてずっとギクシャクしてるんです」
「‥‥(じっと聞いている)」
「それで、仲直りするためにはどうしたら良いのでしょうか」
暫く静かに考えていた透。そして‥‥
「何故喧嘩してしまったのかは知りませんが、白黒はっきり付けることです‥‥」
「喧嘩してしまった原因を‥‥ですか」
「ええ、曖昧なままでは何も解決しません‥‥決闘して白黒つけるのが一番いいと思います‥‥」
「‥‥曖昧なままでは‥‥って、決闘ですかっ!!」
もちろん驚く相談者。そこまで話が大きくなるとは思わなかったんだろう。
しかしどうやら勘違いがあるようで、
「体を動かして、頭を空っぽにすれば意外と仲直りできるものです‥‥」
それは決闘ではなくスポーツである。
「あーなるほど‥‥確かにそういうのもいいかもしれませんね‥‥今度言って見ます」
たとえ話術の技能が幾ら高かろうと、いうべきことを間違えては仕方ない‥‥が、なにやら相談者が納得しているのでよしとしよう。
「魔法の勉強について聞いて欲しいことがあるんですけど‥‥」
「錬金術を学べばいいのです」
「えっと、相談が‥‥」
「錬金術があれば大丈夫です」
「あの‥‥」
「錬金術こそ万能なのです」
なかなか個性的というかはじけた回答をしているのはエリス・フェールディン(ea9520)。
彼女にとっては、錬金術こそが最上にして唯一。そしてまた一人餌食‥‥否、相談者が。
「魔法を唱えようとしても、いつも失敗ばかりしてしまいます。才能がないのでしょうか?」
「魔法が失敗するのは自然の摂理という根本的な原理を知らずに魔法を使っているからです。あなたは火が何故燃えるか、知っていますか?」
「えっと‥‥火は‥‥」
「つまりは、自然の摂理を学ぶために、錬金術を学びなさい。原理を学ばずに道具たる魔法を使用することは危険なことなのです」
「‥‥錬金術にヒントが隠れているんですか?」
「ヒントではなく、錬金術こそ全てです」
どーんと言い切るエリス。あまりに自信たっぷりな物言いに、なにか糸口を見かけたようである。
はてさて、相談を受けた生徒が稀代の錬金術師となるか、もしくは青春を返せと叫ぶかは‥‥そのうち分かるだろう。
そして生徒をさばきつつ、ため息をつくエリス。
「今回は錬金術の素晴らしさを十分語れました‥‥あ、次の方どうぞ」
「一向に、駄洒落がうまくなりません‥‥色々と学んではいるのですが、聞き手の反応はよくないです‥‥」
「錬金術を取り入れた駄洒落ならきっとうけます」
‥‥どうやら相談に来たのは透のようであった。
「今ひとつ勉強に集中できないんです。どうすれば集中できるのでしょうか?」
「助言が効果あるかどうかは、君に向上心があるかどうかによると思いますよ」
「‥‥‥」
「最後にその悩みを解決する為に全力で戦わなければならないのは自分自身でしょう?」
なかなかに辛辣なことをいっているのはユエリー・ラウ(ea1916)だ。
「‥‥もちろん、向上心はありますよ」
ちょっとカチンと来たのか若い学生が声を固くして答える。
「それなら大丈夫でしょう。では具体的に‥‥俺の場合を教えてあげましょう」
飴と鞭との使い分け。とたんに優しい口調でユエリーが続ける。
「パズルを解くような気持ちで数式に挑んでみたり、暖かなミルクを飲みながら息抜きをするのも良いでしょう」
仕切りの向こうでふむふむと頷く雰囲気。
「堅苦しい本ばかりではなく、簡単に読める本の中にも知識は詰まってますから」
「‥‥こんど図書館に行って借りてみようと思います」
どことなく元気が出た様子である。
「『やらなければならない』のではなく『やりたくなる』ようにすれば良いんです。今まで解らなかった事を知る喜びを少しずつ覚えていくのも悪くないですよ?」
「そうですよね。なんだか勉強が面白くないって思ってたんだと思います‥‥あ、あの、ありがとうございましたっ!」
そういってごとごと立ち上がる気配が。そこにユエリーが、
「そうそう、一人でやるのにこだわらないのでしたら、友達と一緒に勉強するのも良いですよ」
立ち止まる気配。
「‥‥なんなら俺が相手になっても良いですよ? ‥‥こっちのコースは最初から最後までビシバシと厳しいですけどね♪」
「し、失礼しましたー!」
すたこら逃げた生徒の遠ざかる足音を聞いて、ユエリーはくくっと喉の奥で笑うのだった。
「あ、あの‥‥最近剣術が上達してない気がするんです。これがスランプなんでしょうかっ?」
なにやら切羽詰ってる生徒の相手をしているのはマカール・レオーノフ(ea8870)だ。
「そうですね‥‥一つの方向から行き詰ってしまったら別の方向を探せば良いと思いますよ」
どことなく典雅でのんびりした話し振りのマカールにゆったりと諭されて、相談者は安心するとか。
「一度、技の訓練から離れてみてはどうでしょう。高度な訓練や、技の練習から離れて、まったく別の事をしてみるとか」
「別のことですか‥‥」
「そう、別のことです‥‥たとえば回避の訓練とかどうでしょう?」
「回避‥‥体捌きとか足運びとかですよね」
「剣術とは全く違う動きを覚える事になりますから、その点でまた何か突破口を得られるかもしれませんよ」
「なるほど‥‥」
「別の事をすることは、悩んでいた心を休める事にもなりますし」
そこまでいってマカールは言葉を切ると、顔は見えない後輩に向かって言う。
「一見、立ち止まっている時は、実は次のレベルに上がる準備段階なんですよ。跳びあがるには、しゃがまなければならない。その段階なんだと思います」
「準備段階‥‥」
「だから‥‥基礎訓練だけは怠らないように。これを怠ってしまうと、もう一度剣術に戻った時に本当に一からやりなおしになってしまいますから」
「はい! ‥‥あ、あの、頑張ってみます」
「ええ、頑張ってくださいね」
そして相談者が去ったあと、ぽそりと一言マカールが言う。
「‥‥この悩みは他人事じゃないんですよね。いくら鍛錬をしていても、いつか行き詰まる時が訪れることは確実ですから」
悩み多きものほど人の悩みを助けられるのかもしれない。
そして切れ味の良い相談をしているのはイリーナ・リピンスキー(ea9740)。
「あの娘が気になって夜も眠れません。でも告白する勇気も‥‥」
「悶々としている様だな。身体的に限界も近いのではないかな?」
そうして淡々と言葉を続ける。
「貴方はどうしたい? 彼女と関係を進展させたいか否か‥‥思うに告白することで関係が壊れたり彼女に拒絶され傷つく事を恐れているのではないなか?」
「‥‥はい、確かにそう思ってます」
「恐れるな‥‥と言っても無理だろう。ならば‥‥告白するのではなく貴方が彼女からに相応しい男になれば良い」
「相応しい男‥‥ですか」
「人伝で彼女の理想を聞き出し、彼女が相手に求める分野に精を出し他の者より抜きん出た存在となれ‥‥勉学か運動か剣術か魔術かはわからんがな」
「‥‥そ、それは‥‥」
物怖じしたように言う学生、それに対してイリーナはすぱっと答える。
「‥‥実際告白するより難しいと思うがな。まぁ、それも無理なら彼女の事は心の神殿の聖女と崇めるに留め、相応の女性と付き合うべきだ」
その言葉にぐっと言葉をのむ相談者。
「前に踏み出す勇気も自らを高める意思もない貴方には彼女は高嶺の花だろうからな」
あえて呷るように言うイリーナ。それに対して生徒は‥‥
「‥‥いえ、諦めるようなら最初から好きになった意味がありませんから‥‥もっと自分に磨きをかけようと思います」
どこか吹っ切れたように答える相談者。相談はためになったようだ。
「木工細工が好きなんですけど不器用なんです。どうしたら上達しますか?」
「貴方が一番最初に木工細工で感銘を受けたのは何時、何によってだろう? 一度それを想い出して欲しい」
どうやらイリーナは非常に相談相手として向いているようで、相談者も感銘をうけているようだ。
「繰り返せば確実に技量は上がる。大地からの温もり残る木材に命を吹き込む喜び。それをいつも心に置くことだ」
この相談がもしかすると彼らの人生に大きな影響を与えるのかもしれない。
「今ひとつ勉強に集中できません。どうすれば集中できるんでしょうか‥‥」
「自分の将来を思い描くいてみましょう。10年後の自分が想像できますか? 10年後にどうなっていたいですか? 勉強にはモチベーションが‥‥」
ユルドゥズ・カーヌーン(eb0602)が答えている。訥々とした真摯な相談。そして、また一人新たな相談者が来たのだった。
「社交ダンスを習っているのですが、相手の足を踏んでばかりで練習相手がいません‥‥」
「なんと言っても練習あるのみですが、運動能力の訓練の方はさておいて‥‥」
じっと待つ相談者。
「社交ダンスというのは単なるダンスではありません。儀典の一環ですから男性は紳士らしく、女性は淑女らしく振舞うというルールの上に成り立っているのですよ」
「‥‥ルールですか」
「そうです、ですから相手に対するマナーをしっかり心がけることができれば、それで十分。たとえ足を踏んでも、心から気遣う気持ちが表れていれば、相手の方も許してくださると思いますよ」
にっこりと笑顔を浮かべて答えるユルドゥズ。仕切りの向こうにもきっと分かっただろう。
「私もダンスはまるっきりですが‥‥具体的にどう振舞ったらいいか分からないようでしたら、私がお相手してみましょうか?」
これこそが淑女の心構え。我が身をもって教えるウルドゥズであった。
「魔法がなかなかうまくて‥‥」
「ゆっくりきちんと詠唱すると良いよ。何にしても絶対成功させてやるって気持ちでね」
容姿に似合わずしっかりした回答をするのはジェシュファ・フォース・ロッズ(eb2292)だ。
とくに魔法と勉強についての相談にのっているのであった。
「そうだね。勉強は楽しんでやるものだから、楽しんで勉強してみようよ。そうすると勉強もはかどるかもしれないよ?」
この年でいろいろな相談に乗れるのはなかなかに凄いのだが‥‥まぁ、恋愛相談にはちょっと早かったようである。
「あの‥‥ケンブリッジに来てから故郷が恋しいんです‥‥どうしたらいいでしょうか‥‥」
そしてこころなしかやつれている生徒から相談をうけるジェシュファ。
「僕も故郷は遠く離れてるから、その気持ちは良くわかるよ」
「え‥‥どこからいらっしゃったんですか?」
「僕はロシア王国の出身だからね‥‥」
すこし寂しそうにわらうジェシュファ。親身になって相談に乗っているようだ。
「同郷の人と話していれば良いんじゃないのかな? 一晩語り明かせたら結構気も晴れると思うよ」
「そうですよね‥‥すぐにでも探してみようと思います」
そして、ふとジェシュファは遠くの空を眺めて故郷に思いを馳せるのだった。