バトルフットボールのススメ!
|
■ショートシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:フリーlv
難易度:易しい
成功報酬:5
参加人数:5人
サポート参加人数:-人
冒険期間:06月04日〜06月09日
リプレイ公開日:2005年06月15日
|
●オープニング
「対戦相手を探してるんだ」
そういってギルドを訪れたのは、16.7歳ほどの青年。
手には皮製のボールを持って、健康的に日焼けしたその姿はまさしくスポーツマンといったところだ。
「‥‥フットボールの相手なんだけど‥‥結構荒っぽいせいかなかなか相手がいなくてね」
そういう彼の名は、ラドクリフ。神聖騎士としてフォレスト・オブ・ローズに通っている。
さて、ここで視点を変えて、彼のチームの試合をみてみよう。
皮製のボールをドリブルして相手ゴールへと向かうラドクリフ。
フットボールコートはただの草原、ゴールも地面に突き立てた2本の棒である。
そこでドリブルしているラドクリフへ向かって突進する影が。
「これでもくらえっ!」
チャージングのCOによる気合の入ったタックルだっ!
しかしなんなくそれを避けるラドクリフ。オフシフトを使って華麗にボールをキープする。
そのままパスをするラドクリフ。チームメイトがそれを受けようとするのだが‥‥
突如地面からのびた草の葉や根がボールをたたき、軌道を曲げる!
プラントコントロールによって、無理やりボールを奪取した敵はその勢いのまま、ラドクリフチームのゴールへと突き進むのだが‥‥
「ストーンウォール!」
あらかじめ準備していたキーパー役が、地面から土の壁を呼び出してそのシュートを防ぐ。
そう、COや魔法何でもありの試合だったのだ!
「チームは8人ぐらい居ればいいんだけど、どうかな?」
ラドクリフたちは三大学園混合チームであるが、こちらは学園の生徒でなくてももちろん良いそうである。
学園の生徒でも冒険者でも、魔法使いでも剣士でも。
たまにはスポーツに汗を流すのもいいかもしれない‥‥少々特殊なスポーツだが。
さて、どうする?
●リプレイ本文
「いい天気になって良かったですね♪」
長い髪をリボンできりりと縛って臨戦態勢なのはキラ・リスティス(ea8367)だ。
「そうですねぇ♪ さて、それではミーティングしましょうか」
答えたのはシャルディ・ラズネルグ(eb0299)だ。珍しくローブ姿ではなく活動的な格好である。
あつまった冒険者は5名。8人のチームを作るために3名の助っ人が加わった。
加わった助っ人は、冒険者とも面識のある、ファイターのルカ、ナイトのライオネル、あと一人はラドクリフチームからの補充だ。
「話には聞いたことあったけど‥‥ちょっと面白そうだね」
オフシフトを得意とするファイターのルカはボールをつんつん蹴りつつどこか楽しそうに。
「ふむ、私の力が必要とあらばもちろん手伝うに決まっているのだ」
なんの技も特技もないけど顔見知りのキラから誘われて、来てしまったへっぽこ騎士のライオネル。
「さて、いよいよ本番ですね‥‥いくつか相手のチームについて知ってることはありますか?」
輪になって集まって、ゆっくりと屈伸をしながらシャルディが問うと、それに答えたのは屈強な体躯のジャイアント。
「どうやら、ゴールを守っている奴の得意技は高速詠唱によるストーンウォールだ‥‥高さは1メートル程度だがな」
風月皇鬼(ea0023)が、足の筋肉を伸ばしながら言う。巨大な体躯と全身を包む筋肉は迫力なかなかの迫力だ。
「聞いた話ではキャプテンのラドクリフは黒の神聖騎士らしいぞ」
なにやら青い衣装で準備運動中なのは伊達和正(ea2388)だ。
「そういえば、チャージングを使う前衛が居るそうですね」
普段はクールなルーウィン・ルクレール(ea1364)も、意気揚々として試合に備える。
「我々のチームは、前衛が多いですし、攻撃的な作戦で行きましょう。魔法を使ってのゴールの守りは任せてくださいね♪」
「よろしくお願いします、シャルディさん。‥‥あ、私はディフェンスです。ライトニングアーマーを使用中は触らないように気をつけてくださいね」
「はい、こちらこそ‥‥さて、そろそろ試合の始まりのようですね」
シャルディが言う。試合会場の草原には相手のチームもすでにやって来ていて、どうやら準備が出来たようだ。
「曰く、普通では飽き足らないが故のルールだとか‥‥お手並み、拝見させて貰おうか」
にやりと獰猛な笑みを浮かべて皇鬼が。
いよいよ試合開始である。
「それでは、試合を開始しますっ!」
声高々と相手チームの審判役のメンバーが声を上げて試合が始まった。
ボールは冒険者チーム。前衛のルーウィンが足の下にボールを置いてじっと相手のチームを見る。
すでにルーウィンは燐光とともにオーラの力を纏い、オーラパワーとオーラボディーによる準備は万端だ。
どこか余裕の表情があるライオネルチーム。それをみて‥‥
「さて、甘く見ていられるのも今のうちですよ!」
そして、軽くボールを蹴ると走りこんできたチャージング使いの相手チームの前衛と正面からぶつかるっ!
肩がぶつかり、ボールを巡って足の応酬‥‥しかしオーラを使っているルーウィンが有利であった。
「パワー勝負なら負けませんよっ!」
タックル一撃、吹っ飛ぶ相手。その隙に横をすり抜け、
「伊達殿、パスですっ」
横を走りこんできた和正にボールが渡る。
「フリーウィルの『蒼い稲妻』伊達・和正っ参るっ!!」
蒼い稲妻という名乗りの通り、ボールを受け取るとジグザグに走りこみつつ果敢に攻める和正。
そのままするするとゴールの近くまで進むとシュートを放とうとするのだが‥‥ズザッ!!
なんと横様からボールが奪われたっ! しかしスライディングの音はしたのだが姿がない。
「魔法もなんでもあり‥‥ということはこういうのもありだぜ」
虚空から響く凛々しい声‥‥何も見えないのに、ボールがころころとドリブルされる。そう、インビジブルを使っているのだ。
なかなかの強敵。対する手段はないと思いきや‥‥
「俺はジプシーの‥‥ぐぁっ!(どてっ」
名乗りの途中でボールを蹴り損ね‥‥こけた。インビジブルは使用者からも周囲が見えにくくなるのだ。
ころころころ‥‥っと転がったボールを受け取ったのはラドクリフチームの前衛なのだが‥‥彼の周囲には風が渦巻いている。
「ストリュームフィールドによる風の結界‥‥俺様は“嵐のゲオルグ”だ」
そのまますぱっと攻めに転じるラドクリフチーム。
ストリュームフィールドの効果範囲に入ると、その風で行動が阻害される。その隙に横をすり抜けるのが戦術のようだが‥‥
「甘いよっ!!」
カウンターを使ってボールを奪ったのはルカ。オフシフトですれ違い様にボールを奪って攻撃に転じようとする。
しかし敵もさるもの、フェイント使いとのボールの取り合いでこぼれたボールが‥‥ラドクリフのもとに。
「さて、これでどうだっ!」
なんとラドクリフはずばんといきなりロングシュート!
場面は転じて冒険者チームのゴール前。
「風月さんっ! 右から来るのでカバーを!!」
指示を飛ばしているのはキラなのだが‥‥そこに向かって真っ直ぐロングシュートが。
とっさのことで身動きが取れなかったキラ。そこに‥‥
「む、リスティス嬢っ! 危ない!」
飛び出したのは後衛のライオネル。意外に俊敏にキラの前に移動して受け止めようとして‥‥。
おもいっきりボールを顔面で受け止めたライオネル♪ ボールの軌道はもちろん読めていないのだ。
なぜかやり遂げた笑顔で、鼻血を吹いて吹っ飛ぶライオネル。
それにちらりと視線を向けて、一瞬の躊躇のあとにボールを追うキラ。
空高く舞い上がったボールを追いかけて‥‥
「残念、こっちが先だな」
にょきっと足を伸ばしたラドクリフが胸でボールをトラップして、そのまま長く伸びた足でボールをゴールに叩き込む! しかしボールは一直線に空中からゴールすると思われたのだが‥‥
「甘いですね♪」
シュートの前から予測して唱えていたのか、シャルディが使ったのはサイコキネシス。
ボールはその軌道をぐにゃりとまげてシャルディの正面に向かい、それをぱしっとシャルディは受け止める。
最高のタイミングでサイコキネシスを使ったシャルディの作戦勝ちである。
「なかなかやるな」
思わずこぼれるラドクリフの賛辞。‥‥ちなみに顔面セーブのライオネル先輩は無視のようだ。
「さて、これから反撃ですよ、キラさん〜!」
シャルディがボールを投げる‥‥雷光を纏ったキラがボールを受ける。
それに先ほどのチャージング使いの敵前衛が攻めてくる。魔法使いと舐めているようだ。
しかし、ひらりと華麗に身をかわしつつボールをドリブルするキラ‥‥そのときリボンで束ねた髪の毛が敵に触れ、
‥‥バリバリバリバリ!!
これを見た周りの選手が一瞬で距離をあける。
「接触したのは事故ですけど‥‥危ないので気をつけてくださいね♪」
にっこり笑顔つきである。
しかしすたすたとボールをドリブルするキラの進路に立ちふさがる人影が‥‥2つ。
なんと全く同じ格好の選手が2人である。もちろん別に空を飛んだりはしない。
「ボールを奪えっ!」
片方がそういうと、もう一方が一直線にキラの元に向かってくる。
「危ないですよっ!」
と声をかけても、反応せずに真っ直ぐ突進そしてボールに触れるとともに足がぶつかり電撃を喰らうのだが‥‥。
ばさっという音とともにボールを奪いに来た選手が灰に戻る。アッシュエージェンシーだ。
「たとえ、ライトニングアーマーがあっても恐れるに足らず‥‥って、ぎゃぁぁぁぁ!」
相手が急に灰に戻ったせいでバランスを崩すキラ。そのまま接触してアッシュエージェンシー使いは電撃を喰らうのであった。
そして、電撃を喰らって倒れる敵にキラが、
「あ、あの‥‥大丈夫ですか?」
そしてボールは、フェイントを多用するラドクリフチームの前衛が保持。
攻撃に転じようとした瞬間、足元の草がボールに絡み付いて方向をそらす。
なんとシャルディのプラントコントロールだ!
転がったボールを受け止めたのは再び和正。ジグザグのドリブルをしながら、ゴールに向かってシュート!
「これが蒼い稲妻だっ!」
決まるかどうかは運任せの豪快なシュート。オーラパワーの付与された強烈なシュートが‥‥なんとゴールに一直線!
しかし、一筋縄ではいかないのだ。
「ホーリーフィールドです」
ゴールの前にたちふさがった後衛の一人。ラドクリフチーム唯一の女性は既に魔法を展開していたのだ。
透明な壁に阻まれるボール。強力なボールの一撃で解呪はされるものの、あと一歩でボールは届かない。
そして、ボールはラドクリフチームになるのだが‥‥
「やっとまわってきたな‥‥」
ボールを運ぶ嵐のゲオルグの前に立ちふさがったのは、皇鬼。身を低くして、さながら獲物に狙いをさだめた肉食獣のようだ。
体当たりのような猛烈なタックルを難なく受け止め、逆にボールを奪う皇鬼。
「左サイドが空いてますっ!」
キラの指示の声にしたがって、豪快なドリブル。すると目の前にふさがったのは、なんとキャプテンのラドクリフ。
どうやら止めるために下がってきたようだが‥‥。
「戦闘の基本は敵の数を減らすこと‥‥分かるな?」
ぐあっと足を振り上げるようにして、ストライクによる強力なシュートを真っ直ぐラドクリフに向けて、放つ!
「なかなかにやるじゃないか‥‥って、うわぁぁぁぁぁ!!!」
オフシフトで必死の回避をするが、とんでもない速度のシュートは見事に体のど真ん中に命中。
吹っ飛ぶラドクリフには構わず、戻ってきたボールを受け止めると、今度はゴールに向けて再びシュートだ。
「とくと味わえ、雷帝猛虎蹴!」
地面をがりがりとつま先で削り、力を最大限まで溜めてから放つ凄まじいシュート。
なんとボールが折れ曲がって見えるほどに強力な一撃だ。
ホーリーフィールドは和正の一撃で砕かれていたので、残るはキーパーのストーンウォールだけ。
狙ったのかストーンウォールの上を飛び越えるような高さのシュートだったのだが、キーパーもさすが。
真正面からボールを待ち構える。‥‥が、このシュートの威力は尋常のものではない。
「この程度のシュートなんか‥‥って、うわっ!!」
ボールを手で受け止めようとするも、キーパーは腕を弾かれてボールは見事にゴールに飛び込むのだった。
‥‥ここで試合終了〜
「まさか負けるとは‥‥もう一度冒険者の人たちと戦いたいもんだな」
ラドクリフもまさかの敗北宣言。そしてお互いのチームは硬い握手を交わし、健闘をたたえあったのだった。