閉架書庫へ行ってみよう
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■ショートシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月14日〜07月19日
リプレイ公開日:2005年07月25日
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●オープニング
「また依頼をお願いしたいのだけどよろしいですか?」
ギルドを訪れたのは、図書館司書のブリジット・ブックス女史。今日はなにやら複雑な表情をしている。
「実は冒険者の方たちにとある場所にいただきたいのです」
「とある場所と‥‥遠方へのお使いとかでしょうか?」
「マジカルシードのとある場所なのですが‥‥」
「近いじゃないですか、何か行けない理由でもおありなんですか?」
「実はわたし‥‥そこの管理人が苦手なんです」
「‥‥‥‥ええっと、それで冒険者たちはどこへ向かえばいいんです?」
「あら、まだ言ってなかったかしら‥‥そう、マジカルシード9階にある『閉架書庫』にいってもらいたいのです」
その言葉に受付は吃驚したように反応して、がたっと立ち上がる。
「ええっ! 閉架書庫って‥‥あの禁書室ですか? いろいろ噂がある‥‥」
「別にそんなに不思議なところではないのですよ。ただ持ち出しが禁止されている貴重な写本や資料が保存されてるだけで、危険なものはありませんし」
「そうなんですか‥‥で、仕事内容は?」
「本を幾つか運んでいってもらいたいのですが‥‥実はなにやら道の途中で問題があるらしいんです」
「問題とは?」
「‥‥以前図書館にも出たのですけど‥‥ピクシーが何匹か居るらしいんです」
「あらら‥‥でも、別に悪さはしないんじゃないですか?」
「‥‥今回運んでもらう本は“貴重”な本ですので、万が一のことがあったら困ります」
「それなら、ピクシーも何とかしろと‥‥」
「ええ、別に殲滅しろなんてことはないですけど‥‥とにかく、本を無事に運んでくれさえすればいいんです」
さて、どうする?
●リプレイ本文
●準備は万全に?!
「久しぶりに冒険者らしいことをしてみますか」
ケンブリッジはマジカルシード。その階段を上へと登っているのは1人の巨漢。
入った鉢を何度も往復して廊下に置いていくのは三好石洲(ea2436)である。
「この植物があれば、アドさんたちの魔法で悪戯を少しは防げると思うんですが‥‥そんなに沢山集められないですね」
流石にルートを埋めるというわけには行かずぽつりぽつりと長い廊下に置かれた感じになったようで。
「そうですね‥‥ともかく。せっかく借りてきたんだから痛まないように気をつけなければいけませんよね」
持って来た鉢植えの植物の世話に気をつけているのは、石洲と一緒にやってきたアディアール・アド(ea8737)である。
「うーん、どうしたらいいでしょう‥‥」
廊下にぽつりと置かれた鉢植えの植物を見ながら腕組みをして考え込む石洲。
だが、その彼の様子を伺っている小さな影がいくつか‥‥。
と、そのとき‥‥
「おっと! ‥‥と、何かが足に引っかかったんですが‥‥」
躓いたのかバランスを崩して数歩たたらを踏んだアディアール。
「どうやら今のはピクシーの仕業のようですね‥‥そこにあったロープが足に絡みつくのを見ました」
石洲が指を指す方向には確かにロープが。
そして廊下の遠くから数匹のピクシーの甲高い笑い声が聞こえてきたのだった。
「‥‥本番では頑張りましょうね」
アディアールは静かに言ったのだった。
●妖精たちとの攻防!
ぞろぞろと冒険者の一団が進む。重そうな本を軽々と運ぶ石洲に続いてアルカード・ガイスト(ea1135)とジェシュファ・フォース・ロッズ(eb2292)がスクロールを抱えている。
そのほかの冒険者は、周りをガードするように囲みぞろぞろと進んでいるのだが‥‥それほど緊張感はないようだ。
「ピクシーは別に悪さをしているってよりは、遊んで欲しいって感じかな。それなら可愛がってあげてもいいかも」
「ピクシーのイタズラですか? どんな事をされてしまうのでしょう?」
功刀衣流華(ea0195)が楽しそうに言うと、御門魔諭羅(eb1915)が不思議そうに首を傾げて答える。
「私の友人が遭遇した時の話では、かってに本が動かされていたりしたとか‥‥」
説明しているのは先頭を行くシャルディ・ラズネルグ(eb0299)。床をじーっと観察しながらゆっくりと進む。
「さて、どんな悪戯をしてきますかね? もしものときはフットボールの訓練の成果を見せるときですね♪」
そういって意外に身軽なフットワークを見せるシャルディ。どこか和やかに一同は進むのであった。
そして、角を曲がって一直線の廊下に出たとき、廊下の先にひょこひょこと見え隠れする幾つかの小さな赤毛の人影が。
「あれでしょうか?」
それをたまたま見つけたのはエレナ・レイシス(ea8877)。一同が視線をそちらに向けると向こうも好奇心旺盛な瞳をこっちに向ける。
「ああ、どうやら彼らのようですね‥‥遊びたいなら私たちと遊びましょう♪ ほーらチーズありますよ〜」
いきなり食べ物をちらつかせているのはシャルディだが‥‥
うずうずしながらピクシーの一匹がひょこと顔を出す。
‥‥おもいっきり食べ物につられているようである。
「へー、ピクシーってああいうのだったんだ‥‥ってっきり、この前見たちっちゃなシフールみたいな妖精だと思ってたよ」
想像していたのと違ったようで、少々吃驚しているのはジェシュファである。とりあえず彼はスクロールを抱えたままで待機。
「私の呪文は迂闊には使えませんしね。皆さん頼みましたよ」
落ち着き払って言ったのはアルカード。冷静に状況を見やってスクロールをしっかりと持ち直す。
「さて、それじゃお相手しましょうか。遊んで欲しいのでしたら、遊んで差し上げますわよ」
にっこりと微笑んで、衣流華が言うと、悪戯っ子の笑みを浮かべて3匹のピクシーがだーっと冒険者たちに向かって駆け寄ってきたのだった。
「さあ、何をして遊びますか?」
にこにこと一匹の相手をする衣流華はうしろ手でこっそり手裏剣を掴んでいるのだが。それはもしものため。
しかもピクシーには見えないのでオッケーである。
するとピクシーがぴょんこぴょんこ飛び跳ねながらこっちに来いとばかりにおいでおいでする。
「ん〜鬼ごっこがしたいのですか。よ〜し、いきますよ〜」
なんだか冒険者というよりは小さい子を相手する陽気なお姉さんといった風情だがそれはそれ。
たかたか走っていくピクシーを追いかけて衣流華はすたすた進んでいってしまう。
「あ、衣流華さん〜、1人で奥の方に行くと迷子になってしまいますよ〜」
と追いかけていくのはシャルディだ。二人しててくてく複雑な構造をした廊下の奥へ奥へと進んでいってしまうのだった。
「下手して図書館に何かあったりしたら困りますし、一度しっかり対応しておかないと」
「そうですね‥‥でも、今ここは何処なんでしょう?」
すたこらピクシーを追いかけて進む二人。すこし進んではこちらを振り向いてけらけら笑うピクシー。
するとシャルディが手を上げてサイコキネシスを発動。
「あんまり悪戯の度が過ぎると宙ぶらりんですよー」
そして言葉通り宙ぶらりんでふよふよピクシーを引き寄せる。
「あんまり迷惑ばっかりかけてると怒られてしまうからね」
じっと衣流華が目を見ながら諭すと、鬼ごっこして満足したのかうんうんと頷いて大人しくするピクシー。
そしてしっかりお説教したあとにピクシーを離してあげたのだが‥‥。
「さて、どうやって元のところまで戻りましょうか‥‥」
「行きはよいよい、帰りは怖い‥‥って感じですね」
人事のように言ってる場合ではない。
とんでもない方向音痴の衣流華と一緒に果たしてシャルディは帰り着けるのだろうか‥‥。
「わっ! こっち来た」
足元を走り抜けたピクシーをすんでのところでやり過ごしたのはジェシュファ。
わいのわいのと盛り上がっているのは、どうやら走り回る二匹のピクシーにいろいろと悪戯攻撃されているからのようだ。
「魔法を使うわけには行きませんし‥‥う、離して下さい〜」
おっとりのんびりと言ったのはエレナ。どうやらローブの端っこをうしろから引っ張られているようだ。
「なるほど‥‥このような悪戯をするわけですね」
冷静に観察しているのはアルカード。その冷静沈着な様子からあまりピクシーも悪戯を仕掛けていない様子だ。
「まったく、さっきからちょろちょろと‥‥うわ、今度は布ですか?!」
サイコキネシスでふよふよと飛んできたぼろ雑巾をばしっと叩き落したのはアディアール。
「地のエレメントですし、多少は親しみがあるのですが‥‥しっかりしていい事と悪い事を教えてあげませんとね」
アディアールがそういうと、たまたま近くにあった鉢植えの植物の鉢の影に隠れるピクシー。
それをみてアディアールがプラントコントロールを発動。葉っぱがしゅるしゅるっと伸びるとピクシーに絡みつく。
「悪気はないようですけど、悪戯が過ぎるのも問題ですからね」
‥‥とそこにうしろから膝かっくんをかますもう1匹のピクシー。
まだまだ悪戯合戦は続くようだ。
「‥‥まぁ、あなた方の犠牲は無駄にしませんよ」
ピクシー達がアディアールやエレナ、魔輸羅に構っている隙にすたすたと先に進みだしたのは本やスクロールを運ぶ3人。
「先にいっていますから。頑張ってくださいね」
「わーい、どんな本があるか楽しみだなー」
アルカード、石洲、ジェシュファは思い思いの言葉を口にしてさっさと先に行ってしまったのであった。
「あら、着物を引っ張るなんて‥‥おいたはいけませんよ」
めっといった風にピクシーを諭すと、ピクシーに向かって魔法を解き放つのは魔輸羅。
スリープの魔法をかけられたピクシーはぱたりと倒れるとすやすやと眠ってしまう。
「眠った子はそのままにして置いた方がいいのかしら?」
「どうなんでしょう‥‥とりあえず踏まれないように隅の方に寝かせておきましょうか」
一発でスースー寝てしまった悪戯っ子をとりあえず運ぶ魔輸羅とエレナであった。
こうしてなんとか妖精たちの悪戯を振り切って冒険者たちは閉架書庫にたどり着いたのであった。
●閉架書庫にて
「これがブックスさんからの紹介状で、これが本とスクロールです」
石洲が本をバックパックから取り出し、カウンターに置くとカウンターの少女は小さく頷いた。
暗く保たれた書庫の中には一応全員が集まっていた。なんとかシャルディと衣流華も間に合ったようである。
「‥‥ごくろうさま‥‥」
ぼそりと小さな声で呟いた受付の少女。
「‥‥依頼も無事に終わったみたいだし‥‥少しだけなら本を見せて上げられるから」
どうやら、ブックス女史からのご褒美のようだ。
「‥‥それにしてもどうしてブックス女史とここの方は折り合いが悪いんでしょうねぇ?」
「さあ‥‥どういう知り合いなんでしょうね?」
「もしかして特殊な趣味があるとか?」
それはどうかは分からないがシャルディとエレナは受付の少女を興味深そうに見やる。
「こっちは装飾聖書ですか。これは‥‥イギリス王国博物誌の随分と古い写本ですね! 見てもいいですか?」
「この本は貴重なものかな‥‥ちょっと読んでいい?」
植物好きのアディアールや、本が好きなジェシュファは短い時間ながら貴重な本に触れる機会が持てたようだ。
わずかな時間ながら貴重な本と知識に囲まれて過ごす冒険者たち。これこそがケンブリッジらしさなのだろう。
また来るときまで、閉架書庫とそこに眠る貴重な資料たちは冒険者たちを待っているのだった。