朽ちた屋敷のその中に‥‥
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■ショートシナリオ
担当:雪端為成
対応レベル:フリーlv
難易度:やや難
成功報酬:0 G 65 C
参加人数:6人
サポート参加人数:-人
冒険期間:10月18日〜10月23日
リプレイ公開日:2005年10月28日
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●オープニング
「今回の依頼は、以前とある先生が住んでいた古い家を探索していただきたいのです」
そう言ったのはケンブリッジの図書館司書を務めるブックス女史である。
「以前はマジカルシード内部の研究室の探索をしていただきましたが、やはり何冊か写本が足りないのです」
「写本‥‥ですか。その先生は確か亡くなったんでしたよね?」
「ええ、人間のウィザードのフィーリウス先生が住んでいらした家が最近分かりまして‥‥」
「ああ、なるほど‥‥本の数や形状とかは分かっているのですか?」
「ええ、たったその先生からの返却が行われていないのはたった一冊です‥‥ただ‥‥」
「ただ?」
「実は以前一度その家に回収に伺ったのですが、あまりにも物が多くて捜索し切れなかったのです」
「そこまで汚かったのですか‥‥」
「それもあるのですが‥‥フィーリウス先生は元冒険者らしく、マジカルシードで知られていない資料や研究などもしていたそうです」
「はぁ‥‥」
「学問分野以外にも広範な分野の資料があるらしいので、この際それを一気に回収してもらおうかと思いまして」
「ああ、なるほど。だから冒険者の手が欲しいということですね」
「ええ、そのとおりです。具体的には、モンスターについての研究に古代魔法語の資料、精霊碑文についての覚書や占星術などの分野の資料もありました」
「それは‥‥ばらばらですね」
「ええ、ということで幅広い知識をもった冒険者と学生の皆さんに、資料の洗い直しと本の捜索を同時にやってもらいたいと思っています」
「なるほど、了解しました。それで‥‥学術的な資料以外で発見した物があれば?」
「元冒険者ですし‥‥それほど高額なものは残されていないでしょうが、もしなにかアイテム類であれば、それは各自自由に処分してください」
「はい、わかりました。そのように伝えますね」
「では、よろしくお願いします‥‥本が誰の目にも触れないところで放置されるのは許されないことですから!」
やっぱり本に対しては熱意が溢れているブックス女史であった。
さて、どうする?
●リプレイ本文
●入り口にて
「げぇっ、こんなところに空き家があったのかよ‥‥もし盗賊が住み着いて、火事が起こってたら‥‥」
「そうなったら本も見つかりませんわ。困りますね」
やっと辿りついた目的地の前で、声を上げたのはジーン・インパルス(ea7578)。
その声にこたえたのは御門魔諭羅(eb1915)だ。
たしかに、郊外に空き家が放置されているのは少々危険かもしれないが、どうやらまだ大丈夫だったよう。
「さて、それじゃ中に入ろうか」
ジーンの声とともにぞろぞろと中へ踏み込む一同、しかし1人だけしばしの間立ち尽くしている者がいた。
「冒険者の屋敷ですか‥‥。忍者屋敷を思い出します‥‥」
じっと家に視線を注ぐのは大宗院透(ea0050)だ。
古びた家になにか思い出すものがあったのだろう。思いは遠く遥か異国へとはせる。
「まあ、すごい散らかり様ですわ」
ため息混じりに聞こえた魔輸羅の声にふと我に返ったのか、透は慌てて皆と合流するために家の中へと踏み込むのだった。
「今回はお嬢さんが多いからね。ま、力仕事は任せておくれよ!」
ぽんぽんと隣にいた透の肩をたたいて、力強く請け負ったのはカッツェ・シャープネス(eb3425)。
確かにカッツェの体格はジャイアントだけあって一番力強そうである。
ただ、隣にいる透は外見だけがお嬢さんであるのだが‥‥あまり気にしていないようであった。
「さて、あたしは炊事場の方を見に行って来るからな」
と、のしのし歩いていくカッツェ。それぞれ思い思いの探索が始まったのだった。
●探索? 片付け?
「んー、あれは、多分ネズミの親子だな。うん、別に怪しいものはいないっぽいな」
インフラビジョンを使いながら天井を見上げていたジーンは、そういいながら窓に近寄る。
「せっかくいい天気なんだし、窓開けようぜ〜、なあマユっち」
長い間閉めっぱなしだった窓をぎしぎしさせて開きながら、魔輸羅へと話しかけるジーン。
「そうですね。それでは、とりあえず本を整理するために居間に出しましょうか」
書斎をのぞいて資料を幾つか手に取った魔輸羅は、居間の机の埃をはらいながらその上に資料を置く。
「その前に居間を片付けませんとね。あ、ゴミはこちらにー」
ふるびた布袋を広げながら、そういって片づけを始めるのはメアリ・テューダー(eb2205)。
「ん、この棚は重そうですね‥‥‥サイコキネシス」
ちょちょいと魔法を使って、棚ごと移動させたりしているのもケンブリッジの冒険者ならではの光景だろう。
「罠を仕掛けるような方ではなかったらしいですが‥‥」
そういって、棚の後ろや椅子の足などを確認しているのは透。忍者の習性なのかなかなか用心深い。
「隠し金庫とかはないでしょうか‥‥」
一体何を探しているのだろう?
「うわぁ、すごい‥‥」
目をきらきら輝かせているのは、アシャンティーア・ライオット(eb3575)だ。
「こんなにたくさんの本があるなんて。いろんな冒険が詰まってるのかな」
アシャンは古びた本の革表紙を布でゆっくりと拭って埃を落としながらそう呟くのだった。
と、その時。
「おお、ここの一角だけ板張りで、なんだかぎしぎし‥‥うわっ!!!」
メキメキバリバリドーン!!
カッツェの声とともに、板が割れて何かが落ちる音が聞こえた。
「大丈夫?!」
急いで駆けつけたジーンたちが見たものは、腰まで木の板を突き破って地面に刺さっているカッツェの姿だった。
「ん、擦り傷ぐらいでよかった」
応急手当をしながらジーンがカッツェに言う。板を踏み抜いたカッツェは特に怪我もなくちょっと擦り傷を作った程度だった。
そして、踏み抜いた板の下からのぞいたのは半地下になった石倉。どうやら貯蔵庫に使っていた空間のようだった。
人一人が辛うじて入れる程度の石造りの空間で、中はがらんとしている。
どうやら食料の保存などに使っていたようなのだが、
「ん、なんかあるみたいだね」
応急手当が終わったカッツェが穴の中を覗き込むと、ぐっと手を伸ばしてなにかを掴む。
そして掴み取ったのは、
「おお、シェリーキャンリーゼだ! ‥‥飲めるのかな?」
見つかったのは古びた酒。とりあえずカッツェはその酒を戦利品として手に入れたのだった。
‥‥その酒をこっそり遠くからメアリが見つめていたのには誰も気付かなかったが。
「帰ったらこの本の欠けてる部分は写本しなおした方がいいかもしれませんね」
「そうですね。古びた表紙もつくろわなければいけないところがたくさんありますし」
アシャンと魔輸羅はお互いに話し合いながら死蔵されていた資料や写本を片付けていた。
「スクロールが欲しかったんですが‥‥流石に置いてありませんでしたわ」
「スクロールは高価なものですからね。でも他にもいいものが見つかるかもしれませんよ」
表紙の金属飾りを磨きながらアシャンが言う。それを聞いて魔輸羅は微笑みながら木箱を取り上げようとすると、
「そうだといいですね。‥‥あら、これはなんでしょう?」
ごろんと木箱から拳大の巻貝が出てきたのであった。
「大きな巻貝ですね‥‥えっと、木箱には波打ち際の貝殻と書いてありますよ」
アシャンの声を聞きいながら、魔輸羅がその貝殻を取り上げて耳に当てる。
するとざざーんと波の音が聞こえるのであった。
「不思議なアイテムですね‥‥」
「まあ、こんな珍しいモンスターのことまで調べていたのですね」
資料を整理していたのはメアリだ。整理しているというよりは、読んでいる時間が多いような気がしないではないが‥‥。
「なるほど、このような生態を持っていたのですか、興味深いですね‥‥はっ、いけません。作業を続けませんと」
横を資料の山を持ったカッツェが通ったのではっと我に返るメアリ。
そしてしばし、整理整頓‥‥と、カッツェが書斎から持って来た新しい資料の山から一冊の本が。
「こ、これは‥‥前から読みたいと思っていた本ではないですか! ここでお目にかかれるなんて‥‥」
モンスターにかけてはかなりの知識を誇るメアリ。モンスターの研究が主だったフィーリウス先生の蔵書の中になにやら見つけたようである。
「ごくっ、で、では早速内容を‥‥」
そして資料を読みふけるメアリ。声をかけられるまで暫くの間本を読みふけっていたようである。
「この部屋は‥‥奥行きがたりないですし、隠し部屋があるかもしれません‥‥」
「ん、たしかに怪しいねぇ。ちょいとこの棚をどけてみようか」
透が書斎の置くの壁を眺めながら言えば、カッツェが手を貸して棚を動かすことになった。
すると壁板の一部ががぽっとはずれて奥に小さな部屋が設けられているのを発見するのだった。
「罠の類は無いようです‥‥」
本を読みふけるメアリ以外の全員がその部屋をのぞきに集まってくる。
「この部屋は‥‥何のために使っていたんでしょうね?」
数枚おいてある古代のメダル。古びた装飾品にぼろぼろになった資料、そのなかに埋もれるようにして一冊の本がみつかった。
「あ、これが依頼の本だと思います。ブックスさんが言ってた特徴にぴったりあいます」
アシャンが本を取り上げる。これにて依頼の目的は達成であるが‥‥アイテムの類は自由にしていいとのことなので一同はまだきょろきょろと周囲を見回す。
「‥‥軽い武器があればよかったのですが‥‥」
透はそういいながら古代のメダルを一枚とりあげる。流石に武器の類はみつからなかったようだ。
「この指輪はなんだろうな? ‥‥学校に帰ってから調べようっと」
木製の妙な指輪を手にしたのはジーン。表面が濡れたように見える不思議な指輪を手に入れたのであった。
「私もこのメダルをもらっておきますね。きっとこのメダルにもいろんな冒険があったのかもしれません‥‥」
きらきらと目を輝かせて言うアシャン。
そして、いまだに読書に没頭しているメアリ。その膝の上にはイギリス王国博物誌がしっかりと乗っているのであった。
かくて本は無事見つかり、依頼の目的は達成したのである。
モンスターの研究を主としていたフィーリウス先生の家で見つかった数多くの資料はケンブリッジへと持ち帰られた。
なぜ隠れ部屋があったのか、どんな資料が見つかったのか。
それはまた別の物語であるが、ひとまずこの依頼は終了したのである。