終わりなき戦い、再び!

■ショートシナリオ


担当:雪端為成

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:4

参加人数:9人

サポート参加人数:1人

冒険期間:10月21日〜10月24日

リプレイ公開日:2005年11月01日

●オープニング

 キャメロット郊外にひっそりとそびえる貴族の屋敷。
 廃墟のような古びた屋敷、人の気配は全く無い‥‥しかし。
 この屋敷には、唯一つの目的のためにいまだ朽ちていなかった。
 屋敷の地下には空間があった。それは遺跡。
 戦う者達のためだけに作られた建造物、古の闘技場。
 戦いをこよなく愛した男が遺跡の上に自らの屋敷を築き、夜毎戦いの宴を開いていたのだった。
 そして、その男が死に、屋敷の持ち主が居なくなってなお、戦いは終わることがなかった。
 幾多の戦士たちの血がしみこんだであろう土の床。
 一度戦いの場に踏み込んだ闘士たちを隔絶した無慈悲な石造りの壁。
 ゆらゆらと影を投げかけるのは煌々と照る篝火の灯。
 そして、言葉も無く今宵も戦いが行われているのであった。

 ウィザードの呪文の声と共に、地からせり上がる土の壁。
 相手のレンジャーの放った矢はその表面に虚しく突き刺さり、レンジャーは舌打ちしながら次なる矢を弓につがえる。
 すると、ウィザードの後方から味方のファイターがストーンウォールへと駆け寄る。
 そして石壁を蹴りたおし、ゆっくりと倒れていく壁を足場としながら空中へと飛び上がる。
 空中で交錯するファイターとレンジャーの視線。そして‥‥

 冒険者たるものその力の振るい方はさまざまだ。
 権力のため、金のため、名誉のため、誇りのため、命のため、そして弱き者のため。
 しかし何かを得るため、または守るためには力が要る。純粋で、そして誰よりも強い力。
 そう、それゆえに力を求める冒険者たちは今夜も戦いに向かうのであった。

 さて、どうする?

●今回の参加者

 ea0021 マナウス・ドラッケン(25歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea0340 ルーティ・フィルファニア(20歳・♀・ウィザード・エルフ・ロシア王国)
 ea1458 リオン・ラーディナス(31歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea2538 ヴァラス・ロフキシモ(31歳・♂・ファイター・エルフ・ロシア王国)
 ea4295 アラン・ハリファックス(40歳・♂・侍・人間・神聖ローマ帝国)
 ea6426 黒畑 緑朗(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea7263 シェリル・シンクレア(21歳・♀・ウィザード・エルフ・フランク王国)
 ea9515 コロス・ロフキシモ(32歳・♂・ファイター・ジャイアント・ロシア王国)
 eb1276 楼 焔(25歳・♂・武道家・ドワーフ・華仙教大国)

●サポート参加者

安来 葉月(ea1672

●リプレイ本文

 集まった冒険者は9名。3つの集団に分かれてのバトルロイヤルが行われる。
 一つ目のチームはマナウス・ドラッケン(ea0021)、シェリル・シンクレア(ea7263)とリオン・ラーディナス(ea1458)。
「さってと、少し本気でやってみようか」
 今回唯一の弓使いマナウス。後方からの射撃と司令塔を兼ねる。
「義父様の役に立って見せるのです〜!」
 決意に燃えているのはシェリル。攻撃力の要となるウィザードだ。
「うーん、いかにもソレっぽい雰囲気だよなぁ」
 闘技場を見回しているリオン。バランスの取れたイギリスでも高レベルの前衛である。
 
 二つ目のチームはアラン・ハリファックス(ea4295)、黒畑緑朗(ea6426)そしてルーティ・フィルファニア(ea0340)。
「そろそろどちらか上かも知りたかったところだ・・・・手加減はしないぞ」
 マナウスに対して言うアラン。後衛のルーティのために自らの身を盾として勝利する覚悟だ。
「依頼を果たし剣の腕を鍛え、戦いに勝ち腕を示すのが拙者の目標でござる」
 双刀の浪人は緑朗。ただただ高みを目指し研鑽を積む武芸者だ。
「それにしてもすごいメンバーよね‥‥」
 驚嘆の声を上げるルーティ。確かに最高クラスの冒険者ばかりであるが、彼女はメンバー最大の火力を誇るウィザードだ。

 三つ目のチームはコロス・ロフキシモ(ea9515)、ヴァラス・ロフキシモ(ea2538)、楼焔(eb1276)。
「実践での実力差というものを思い知らせてやろう」
 兄と一緒に参加したコロス。最大の防護力を誇る超重量級戦士だ。
「ムヒヘヘヘヘへ、どいつもこいつもブッた切ってくれるぜェーッ」
 残虐な笑みを浮かべ哄笑しているヴァラス。弟であるコロスとの連携が強力だろう。
「これも偶然‥‥はたまた必然‥‥」
 飄々としている武道家、焔。なにやらアランとも縁があるとか。

 以上3チーム、奇しくも最高クラスの実力者が集まり、戦いは熾烈なものになることが予想される。
 闘技場に集う9人の冒険者。赤々と篝火がそれぞれを照らし出している。
 そして、ついに大きな太鼓が打ち鳴らされ、戦いの始まりを告げる!!

 隠身の勾玉は視認されているときは意味がないので、小細工はなし。
「行くぞ、兄者!」
「ムへへへ、ロフキシモ兄弟の実力を見せてくれるぜェ――ッ」
「‥‥‥‥」
 コロス、ヴァラスそしてその2人に隠れるようにして焔が突進する。
 前衛のみで構成されたロフキシモ兄弟のチームには距離を詰めるしか選択肢はないのだ。
 前衛でコロスが壁となってヴァラスを守り、ひっそりと焔もそれを追いかける。
「クックック、来たな我がマイライバル。白黒つけるぞ!」
 その集団に真っ向から待ち受けるのはアランだ。どうやら後ろに控える焔に対して因縁があるよう。
 同チームの緑朗は、弓を封じるためにマナウスへと向かう。
 そしてリオンはマナウスとシェリルと連携しつつ待ち受ける。
 一気に混戦の様相。3チームが入り乱れての戦いとなってしまったのだ。
「見敵必殺‥‥受けてみろ!」
 2本の矢を同時につがえ、強弓から放ったのはマナウス。まずは向かってくる緑朗と厄介なウィザードのルーティを狙う。
「甘いですね!」
 ルーティは高速詠唱で生み出したストーンウォールに隠れ矢を防ぐ、しかし緑朗は‥‥
「ちっ! しまっ‥‥」
 肩口に深々と突き刺さる矢。しかし、歩みを止めずリオンと激突である。
「仁戦組局長、いざ、勝負!」
「俺に勝てるかな?!」
 吼える緑朗に、答えるリオン。緑朗の放った双刀の攻撃、ダブルアタックは確実にリオンを捉えると思われた。
 しかしリオンは辛うじて攻撃力の高い日本刀の一撃を回避し、小太刀の一撃だけを受ける。
 攻撃は防具の表面をすべり、かすり傷しか与えられない。そのことに緑朗は眉をしかめるが、息もつかせずそこにリオンの反撃が襲い掛かる!
 COをほとんど持たず、その分地力に優れたリオン。木剣の鋭い一撃を緑朗は回避することも出来ず、両手の刀で受ける。
 だがリオンの方がわずかに手数で勝り、回避そこねた緑朗は木剣の一撃が胴を横薙ぎに打ち据える!
「ぐぅっ! ‥‥まだまだっ!!」
 緑朗のダメージは浅く、再び音高く2人は武器を振るい始めたのだった。

 再び弓をつがえるマナウス。しかし緑朗はリオンの影になり射線が通らない。
 そしてそこにつっこんできたのはコロスとヴァラス!
 射撃技能を持つものを潰そうとするのは必定。地響きすら立ててコロスが突進し、その背後におそらくヴァラスが付き従っているのだ。
「ちぃ‥‥これでどうだ!」
 鎧の隙間を狙ったマナウスの一撃。しかしその一撃は盾によって弾かれる。そして間合いへと踏み込もうとするコロス。
 しかしその瞬間地面から雷光が迸り、コロスを包み込む! シェリルのライトニングトラップが発動したのだ。
「むぅ、こしゃくな‥‥しかしこのコロス・ロフキシモ、容赦せんッ」
 それでもコロスは歩みを止めず、マナウスの間合いへと踏み込んで武器を高々と掲げる。
「好機‥‥潰れよッ!」
 轟音と共に振り下ろされたのはコロスのジャイアントソード!
「ここで終わるかぁっ!!!」
 裂帛の気合で回避にかけるマナウス。オフシフトで素早く移動した彼の銀髪を数条吹き飛ばしてコロスの攻撃は床に突き刺さる!
 辛うじて回避が成功したマナウス。しかしそんな幸運も都合よく続きはしない。
 しかもコロスの体の影から死角を突くようにして、飛び出したのはヴァラス。
「死角をとったぜェ〜! 終わりだァ――ッ」
 ヴァラスが狙ったのは、シェリル。それに気付いたマナウスは血の気が引く。
 そして、次の瞬間には弓を捨てシェリルの盾になるかのように強引に体を割り込ませていた!
「ムシャアアアアア――――ッ」
 凶悪なヴァラスの咆哮、一撃一撃は軽いとはいえ、連続して叩き込まれる両手の刃のまえに、マナウスは血に塗れる。
「っ!! お義父さんっっ!!」
 がくりと膝を折ったマナウスにシェリルが悲鳴を上げる。しかし、彼女も冒険者だ。
 高速詠唱によって連続して2発のライトニングサンダーボルトをヴァラスに叩き込む!
「ムヒヘヘヘヘ!! 効かねぇぜぇぇぇぇ!」
 雷撃によって全身を焼かれ、血を滴らせながら吼えるヴァラス。
「ムウゥ‥‥兄者への攻撃は許さぬ!」
 マナウスはすでに武器を失い血にまみれ、シェリルは壁のように聳えるコロスに言い知れぬ恐怖を覚えた。
 しかしその瞬間、思いもかけぬことが起こった!

 一方、別の場所でも戦いは繰り広げられていた。
「‥‥これなら‥‥どうだ?」
 懐からなんとスクロールをとりだす焔。
「なにっ、スクロールだと?」
 驚愕するアラン。武道家がスクロールを使うなんて前代未聞であるが‥‥焔はその一瞬の隙をつくためだけの振りだった。
 アランが構えたときにはすでにスクロールは放り投げ、間合いの内側に入り込んだ焔は三連続の攻撃を放つ!
 最初の一撃は足払いの蹴り。アランは辛うじて転倒するのを避ける!
 続く一撃は武器狙いのディザーム! しかしこれはアランのパリーイングダガーによって防がれる。
 そして最後にスタンアタックを放つべく拳を放とうとするのだが‥‥それにあわせるようにアランのカウンターアタックが!
 肩口から袈裟懸けにアランの日本刀が焔を切り裂き、焔の拳の一撃は虚しく空を切る。
「ちっ‥‥まだだ‥‥」
 そういって再び挑みかかろうとする焔だったのだが‥‥
「グラビティーキャノン!」
 アランの背後に控えていたルーティの強力な一撃! 焔はなす術もなく重力波に打ち据えられ地に伏せる。
 この一撃で焔は重傷、戦線離脱である。
「それでは、アランさん。黒畑さんの方を任せますね」
 そういってルーティは、別の戦場へ。それは今まさにシェリルに襲いかかろうとしているロフキシモ兄弟のところだった。

 再びコロスが振りかざしたジャイアントソードによるスマッシュ。その一撃がマナウスへと放たれようとしていた。
 同時にシェリルの元にはヴァラスが襲い掛かり、絶体絶命。
 しかしその瞬間。横から放たれた重力波がヴァラスを直撃する!
「ムゥッ! 兄者への攻撃は許さぬッ!」
 それを見てコロスが攻撃対象をルーティへと切替え、襲い掛かったのだが‥‥。
「あらあら、いけませんね? 不用意に女の子に近づくなんて―――棘だらけですよ?」
 そういって放ったのは高速詠唱によるローリンググラビティーだ!
 一瞬の後、すさまじい音と共に落下するコロス。それを見据えて目を細めて笑みを浮かべるルーティ。
「クソがァァ!!」
 その瞬間跳ね起き、再びシェリルへと向かうヴァラスだったが、その前に立ったのはマナウス!
 ヴァラスの初撃はダブルアタック、斬り苛まれるマナウスだが、その手には取り出したナイフが。
 カウンターで叩き込まれたナイフが雷撃と重力波で負傷しているヴァラスに突き立ち、双方は崩れ落ちた。
 2人とも重傷を受け、戦線離脱である。

 双刀と木剣で切り結ぶのは緑朗とリオン。お互いに決定打が出ないまま、じわじわとダメージを蓄積させるのは手数で劣る緑朗だった。
 しかし数度リオンも攻撃を受け、無傷ではなかった。
「これで終りだっ!」
 リオンの気合と共に、放たれた突きの一撃。
 それを受け、倒れ伏す緑朗。手数の差が明暗を分けたのだ。
 数箇所の傷口からは血が滴り、すべる木剣を持ち直すリオン。しかしその前に走りこんできたのはアランだった。
「む、今度の相手はアランか」
「ああ‥・・最後に笑うのはどっちだろうな?」
 にっと笑みを浮かべて答えるアラン。そのアランにリオンは木剣の一撃を打ち込むのだが‥‥
「甘いっ!」
 パリーイングダガーでその一撃を払い、返す一刀でリオンを切りつけるアラン!
 蓄積した傷によってわずかに鈍っていたリオンの一撃は虚しく弾かれ、カウンターの一撃で地に伏すリオンであった。

 シェリルは前に立つルーティと起き上がろうとしているコロスを見比べてどう行動するべきかを迷っていた。
 しかし次の瞬間、起き上がりかけたコロスに対して、ルーティは問答無用でグラビティーキャノンを叩き込む!!
「ムゥッ!!」
 そのまま重力波に巻き込まれ、弾き飛ばされたコロスは闘技場の床にひび割れをつくり、ガックリと動きを止める。

 もちろん、弓のように細められたルーティの笑顔で見つめられたシェリルが降参したのは言うまでもない。


 全員の傷はすぐに癒され、戦いは終わった。
「ムナクソ悪いぜクソッタレがァ。まぐれとはいえこの俺様が負けるなんざよォ〜。コロス、さっさと引き上げるぜ」
「中々に楽しめたぞ‥‥さらばだ」
 ロフキシモ兄弟は、そういいながら早々に去って行った。

「お役に立てませんでした〜」
「‥‥良くがんばったな」
 涙を浮かべて抱きついてきたシェリルを優しく撫でているのはマナウス。
 その後、負けた責任を巡ってリオンと喧嘩しているところをシェリルのライトニングトラップで強引に止められたとか。

「ま、いい試合だったよな」
 リオンがいい、残念げに刀を手入れしていた緑朗は静かに頷く。
 こうして悲喜こもごものなか戦いは終ったのだった。